「意向欄は書けるのに、課題分析の結果の欄になると手が止まる」——そんなときに使える、第1表「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」欄の文例を集めました。気になる行をコピーして、ご本人の状態や課題に合わせて整えてお使いください。
この欄は、本人・家族の意向(同じ第1表の意向欄)を、専門職として受け止め直す場所です。「意向は分かった。では、その思いを実現するうえで何が課題で、何の支援が必要なのか」を、ケアマネの見立てとして言葉にします。
※ここでいう「課題分析の結果」は、第1表の意向欄に続くこの記入欄を指します。第2表のもとになるアセスメント(課題分析)票そのものとは別物です。
書くときの前提を、先に3つだけ。
- 意向をそのまま繰り返さず、「その意向を踏まえると何が課題か」を専門職の視点で示す。
- 「〜という意向を尊重しつつ、〜が課題であり、〜の支援が必要と考えます」という型でつなぐと整う。
- ここで挙げた課題が、第2表のニーズ(生活全般の解決すべき課題)へ自然につながるように意識する。
在宅生活の継続を支える場合
「家で暮らし続けたい」という意向を、課題と支援の見立てにつなげる文例です。
- ご本人の「住み慣れた家で暮らし続けたい」という意向を尊重しつつ、加齢に伴い日常生活動作の一部に支援が必要となっており、安全に在宅生活を続けるための環境整備と見守りが必要と考えます。
- 在宅生活の継続を望むご本人の思いを軸に、家事や移動の負担をどう軽減するかが課題であり、生活面の支援を組み合わせることで自宅での暮らしを支えていく必要があると考えます。
- ご本人・ご家族ともに在宅継続を希望されており、その実現には心身の状態の安定と、家族介護の負担が過重にならない体制づくりが課題と考えます。
- 現在の生活リズムを大きく変えずに暮らしたいという思いを尊重し、できている部分を保ちながら、不足する部分を必要最小限の支援で補うことが適切と考えます。
- 転居や入所ではなく自宅での生活を望まれているため、転倒や体調変化といった在宅生活のリスクを早期に把握し、悪化を防ぐ支援が必要と考えます。
短めの言い回し
- 住み慣れた自宅での生活継続を望まれており、安全面の確保と生活支援を整えることが必要と考えます。
- 在宅生活の継続というご本人の意向を尊重し、心身の状態を保ちながら暮らせる支援体制が必要と考えます。
自立支援・重度化防止を重視する場合
「自分のことは自分で」「今の状態を保ちたい」という意向を、自立支援の見立てにつなげる文例です。
- 「できることは自分で続けたい」というご本人の意向を尊重しつつ、現在の生活機能を維持することが課題であり、生活の中で体を動かす機会の確保を通じて重度化を防ぐ支援が必要と考えます。
- ご本人の「身の回りのことを自分で続けたい」という思いを大切にし、過剰な手助けで力を奪わないよう、本人のできる力を引き出す関わりが適切と考えます。
- 現在の歩行や身辺動作を保ちたいという意向を踏まえ、機能の低下を防ぎながら活動と参加の機会を保つことが課題と考えます。
- 「また自分で外出したい」というご本人の思いを尊重し、その実現に向けて移動能力の維持・向上と、安全に外出できる環境を整える支援が必要と考えます。
- 残された機能を活かして自立した生活を続けたいという意向を踏まえ、廃用の進行を防ぎ、生活の中で体を動かす機会を保つことが必要と考えます。
短めの言い回し
- 自分でできることを続けたいという意向を尊重し、現在の生活機能を維持する支援が必要と考えます。
- 重度化を防ぎたいというご本人・ご家族の思いを踏まえ、活動量を保ちながら状態の維持を図る支援が適切と考えます。
医療と生活の両立を図る場合
持病の管理や服薬・通院など、医療面の安心と暮らしを両立させる見立ての文例です。
- 「持病をこれ以上悪くしたくない」というご本人の意向を尊重しつつ、服薬や通院を確実に続けることが課題であり、医療と生活の両面から支える支援が必要と考えます。
- 入退院をくり返したくないというご本人の思いを踏まえ、体調の変化を早期に把握し、悪化を防ぐための医療職との連携が必要と考えます。
- 在宅での療養生活を望まれており、その実現には主治医をはじめとする医療職との連携のもとで、健康管理と生活支援を一体的に進めることが適切と考えます。
- 服薬管理が一人では難しくなってきている状況を踏まえ、確実な服薬を支える仕組みづくりが課題であり、関係職種の連携で支えていく必要があると考えます。
- 「家で体調を整えながら暮らしたい」という意向を尊重し、急な体調変化の際に速やかに対応できる体制を整えることが必要と考えます。
短めの言い回し
- 持病の管理を続けながら在宅で暮らしたいという意向を踏まえ、医療と生活の両面から支える支援が必要と考えます。
- 体調の安定を望まれており、医療職と連携した健康管理と早期対応の体制が必要と考えます。
本人と家族で意向が異なる場合
本人と家族の思いに食い違いがあるときに、両方を受け止めて見立てを示す文例です。判断を一方に寄せず、合意形成の必要性を書くのがポイントです。
- ご本人は在宅生活の継続を強く望まれる一方、ご家族は介護負担や安全面への不安を抱えておられます。双方の思いを尊重しつつ、安全に在宅を続けられる条件を整えることと、家族の負担を軽減することの両立が課題と考えます。
- 「家にいたい」というご本人の思いと、「施設も考えたい」というご家族の思いに違いがあるため、双方が納得できる方向性を見出すための話し合いと情報提供が必要と考えます。
- ご本人は自立して暮らしたいと希望されていますが、ご家族は見守りの強化を望まれています。本人の主体性を尊重しながら、家族が安心できる見守りの体制を整えることが課題と考えます。
- ご家族はサービスの利用を勧めておられますが、ご本人には利用への戸惑いがあります。本人の気持ちに寄り添いながら、無理のない形で支援につながれるよう関係づくりが必要と考えます。
- 住まいや今後の生活について本人・家族の意向に隔たりがあるため、双方の思いを丁寧に確認し、合意形成を支えることが当面の課題と考えます。
短めの言い回し
- 本人と家族の意向に違いがあるため、双方の思いを尊重しながら合意形成を支える関わりが必要と考えます。
- ご本人の主体性とご家族の安心の両立が課題であり、双方が納得できる支援の調整が必要と考えます。
家族の介護負担に配慮する場合
介護を続ける家族を支え、在宅を長続きさせるための見立ての文例です。
- 在宅介護を続けたいというご家族の思いを尊重しつつ、介護負担が過重になりつつある状況を踏まえ、家族が休息をとりながら介護を継続できる体制づくりが必要と考えます。
- 主たる介護者であるご家族が心身ともに疲弊しないよう、介護を一人で抱え込まない支援が課題であり、サービスの活用と相談先の確保が必要と考えます。
- 仕事と介護の両立に難しさが生じているご家族の状況を踏まえ、日中の支援を確保し、介護を続けられる環境を整えることが適切と考えます。
- ご家族の介護への思いを尊重しながらも、共倒れを防ぐことが重要であり、レスパイトを含めた支援で介護を長く続けられるよう支える必要があると考えます。
- 遠方に暮らすご家族が安心できるよう、本人の状態の変化を共有し、いざというときに連携できる体制を整えることが課題と考えます。
短めの言い回し
- ご家族の介護負担が大きくなっており、休息を確保しながら在宅を続けられる支援が必要と考えます。
- 介護を一人で抱え込まないよう、サービスの活用と相談体制を整えることが課題と考えます。
役割・生きがい・社会参加を支える場合
閉じこもりを防ぎ、楽しみやつながり、その人らしい役割を支える見立ての文例です。
- 「人と関わる機会を持ちたい」というご本人の意向を尊重しつつ、外出や交流の減少による閉じこもりを防ぐことが課題であり、社会参加の機会を保つ支援が必要と考えます。
- 好きな趣味や活動を続けたいというご本人の思いを大切にし、生活に張りと楽しみを保つことが、心身の状態の維持にもつながると考えます。
- 家庭や地域での役割を持ち続けたいという意向を踏まえ、できる役割を活かしながら、その人らしい生活を支えることが適切と考えます。
- なじみの人とのつながりを保ちたいという思いを尊重し、人との交流が途切れないよう支える関わりが必要と考えます。
- 意欲の低下や活動量の減少がみられる状況を踏まえ、本人が楽しみと感じられる活動を通じて、生活意欲を保つ支援が必要と考えます。
短めの言い回し
- 閉じこもりを防ぎたいというご本人の思いを踏まえ、外出や交流の機会を保つ支援が必要と考えます。
- 楽しみや役割を持ち続けたいという意向を尊重し、社会参加と生活意欲を支える関わりが適切と考えます。
独居高齢者の場合
一人暮らしの不安や見守りのニーズを、専門職の見立てにつなげる文例です。
- 「一人暮らしを続けたい」というご本人の意向を尊重しつつ、体調変化や緊急時に周囲が気づきにくい点が課題であり、日常的な見守りと、いざというときに連絡がとれる体制づくりが必要と考えます。
- 独居で家事や生活管理の負担が大きくなっている状況を踏まえ、不足する部分を支援で補いながら、自宅での生活を続けられるよう支える必要があると考えます。
- 人との関わりが減り孤立しがちな状況を踏まえ、社会的なつながりを保つことが課題であり、交流の機会と見守りを兼ねた支援が適切と考えます。
- 支払いや各種手続きが一人では難しくなりつつあるため、生活が立ち行かなくなる前に、必要な支援や相談先につなぐことが必要と考えます。
- ご本人は自立した生活を望まれていますが、独居ゆえの安全面の不安があるため、本人の主体性を尊重しながら見守りの体制を整えることが課題と考えます。
短めの言い回し
- 独居での生活継続を望まれており、見守りと緊急時に連絡がとれる体制づくりが必要と考えます。
- 一人暮らしの不安を踏まえ、生活支援と社会的なつながりを保つ支援が適切と考えます。
認知症のご本人の場合
もの忘れや不安があっても、本人の思いと尊厳を大切にした見立ての文例です。
- 「慣れた家で安心して暮らしたい」というご本人の意向を尊重しつつ、もの忘れや不安により生活に支障が生じている状況を踏まえ、混乱を減らし安心して過ごせる環境と関わりが必要と考えます。
- できることは自分で続けたいというご本人の思いを大切にし、本人の力を活かしながら、不足する部分をさりげなく支える関わりが適切と考えます。
- ご本人の不安や落ち着かなさの背景を理解し、なじみの環境・人との関わりを保ちながら、穏やかに過ごせるよう支えることが課題と考えます。
- もの忘れがあっても本人の意思や尊厳を尊重し、できる限り本人の思いに沿った生活を続けられるよう支援することが必要と考えます。
- 在宅生活の継続には、ご本人を支えるご家族への支援も欠かせないため、家族が孤立せず介護を続けられる体制づくりも併せて必要と考えます。
短めの言い回し
- もの忘れがあっても住み慣れた家で安心して暮らせるよう、環境調整と見守りの支援が必要と考えます。
- 本人の意思と尊厳を尊重しながら、家族への支援も含めて在宅生活を支える必要があると考えます。
看取り・終末期の意向に向き合う場合
人生の最終段階の意向を受け止める、繊細な見立ての文例です。本人・家族・主治医の話し合いを前提に書いてください。
- 「最期まで住み慣れた家で穏やかに過ごしたい」というご本人の意向を尊重しつつ、本人・ご家族・主治医をはじめとする関係者が方針を共有し、安心して過ごせるよう支えることが必要と考えます。
- 痛みや苦しみを和らげながら過ごしたいというご本人の思いを踏まえ、医療職と連携し、本人らしい時間を大切にした支援が適切と考えます。
- 残された時間を家族とともに過ごしたいという意向を尊重し、ご家族の不安にも寄り添いながら、在宅での療養を支える体制づくりが必要と考えます。
- ご本人・ご家族の意向を丁寧に確認したうえで、状態の変化に応じて柔軟に支援を見直し、最期まで安心して過ごせるよう支えることが課題と考えます。
- 急変時の対応については、本人・家族・主治医であらかじめ話し合われた方針を関係者で共有するとともに、急変時の連絡先(主治医・訪問看護等)を明確にし、迷わず対応できるようにしておくことが必要と考えます。
短めの言い回し
- 住み慣れた家で穏やかに過ごしたいという意向を尊重し、医療・介護が連携して支える体制が必要と考えます。
- 本人・家族・主治医で方針を共有しながら、最期まで本人らしく過ごせるよう支える必要があると考えます。
状態が安定し維持を目指す場合
大きな変化はないが、今の状態を保ちたいケースの見立て文例です。予防的な視点でも使えます。
- 現在の生活は概ね安定しているものの、加齢に伴う心身の変化が予測されるため、現状を維持し、状態の低下を未然に防ぐ支援が必要と考えます。
- 「今の暮らしを続けたい」というご本人の意向を尊重し、できている生活を保ちながら、変化の兆しを早期に捉えて対応することが適切と考えます。
- 大きな支障は生じていないものの、活動量の低下がみられるため、生活機能の維持に向けた働きかけが必要と考えます。
- 状態が安定している今のうちに、本人ができることを保ち、将来の生活機能の低下に備えることが課題と考えます。
短めの言い回し
- 現在の安定した生活を保ちながら、状態の低下を防ぐ予防的な支援が必要と考えます。
- 今できていることを維持し、変化の兆しに早期に対応する支援が適切と考えます。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。
コツ1:意向をそのまま繰り返さない
❌ ご本人は家で暮らし続けたいと希望されています。
⭕ ご本人の「家で暮らし続けたい」という意向を尊重しつつ、安全に在宅生活を続けるための見守りが課題と考えます。
📝 この欄は、意向を「踏まえた」課題分析の結果です。意向欄に書いたことをもう一度書くだけだと、専門職の見立てになりません。「意向は分かった、ではどうするか」をケアマネの言葉で示すのがこの欄の役割です。
コツ2:「意向→課題→必要な支援」の順でつなぐ
❌ 在宅生活を支援します。
⭕ ご本人の在宅継続の意向を尊重しつつ、家事や移動の負担軽減が課題であり、生活面の支援が必要と考えます。
📝 「〜という意向を尊重しつつ/踏まえ」→「〜が課題であり」→「〜の支援が必要と考えます」の3点をつなぐと、論理が一本の線になります。この型を覚えておくと、どの場面でも応用できます。
コツ3:意向と意見が違うときこそ専門職の見立てを書く
📝 本人と家族で思いが食い違うときは、どちらかに肩入れせず、「双方の思いを尊重しつつ、合意形成を支えることが課題」と書くのが基本です。判断を急がず、話し合いと情報提供の必要性を示すことが、専門職としての適切な見立てになります。
コツ4:具体的なサービス名で締めない
❌ 訪問介護とデイサービスの利用が必要と考えます。
⭕ 家事の負担軽減と、人と関わる機会を保つ支援が必要と考えます。
📝 課題分析の結果は、「何の支援が必要か」を方向性として示す欄です。具体的なサービスは第2表で位置づけるため、ここでは支援の「種類・方向性」までにとどめると、計画全体が整理されます。
運営指導で見られやすいポイント
- 意向欄の内容を、専門職の見立てとして受け止め直して書けているか。
- 挙げた課題が、第2表のニーズ(生活全般の解決すべき課題)へつながっているか。
- 本人と家族の意向が異なる場合に、双方を踏まえた見立てになっているか。
- 本人の状態や生活状況に基づく、その人に即した課題分析になっているか。
現場のひとこと
この欄は、ケアマネの「腕の見せどころ」だと感じています。意向をそのまま書き写すのは簡単ですが、その思いを実現するうえで何が壁になるのかを言葉にできると、計画全体が一気に締まります。迷ったら「意向を尊重しつつ、何が課題か」だけ考えると、自然と書けることが多いです。
※課題分析の結果の書き方や様式の細かな扱いは、ご本人の状況や保険者(市町村)の確認・判断によって異なる場合があります。文例はあくまで参考とし、ご本人の状態やアセスメント内容に合わせて整えてお使いください。
(参考:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、課題分析標準項目・居宅サービス計画書の標準様式に関する通知)
この記事を書いた人
現役のケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年携わり、ご本人とご家族の支援を続けてきました。管理者として運営指導も受ける立場から、現場で本当に使える文例を整理しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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