ケアプラン予防版「口腔機能向上」の文例集
「介護予防サービス計画書の口腔の欄、何をどう書けば自立支援になるのか」——そんなときに使える、介護予防サービス計画書(予防プラン)の「口腔機能向上」を支援する場面の文例を集めました。気になる行をコピーして、ご本人の状態に合わせて整えてお使いください。
予防プランは、要支援1・2の方や、地域支援事業(総合事業)の対象になる方を対象に作るケアプランです。介護保険のケアプラン(第1〜3表)とは様式が異なり、「アセスメント領域と現在の状況」「本人・家族の意欲・意向」「領域における課題(背景・原因)」「総合的課題」「課題に対する目標と具体策の提案」「具体策についての意向(本人・家族)」「目標」「目標についての支援のポイント」「本人等のセルフケアや家族の支援、インフォーマルサービス」「介護保険サービスまたは地域支援事業」「サービス種別」「事業所」「期間」といった欄が並びます。
※介護予防支援の標準様式では「目標」は原則一本化されています。保険者によっては運用上「長期目標/短期目標」を併記する場合があるため、本記事では便宜的に長期目標・短期目標の文例を分けて掲載しますが、お住まいの保険者の様式・運用に合わせて書き分けてください。
このページでは、口腔機能向上を支援するときに、それぞれの欄に書ける文例を場面別に整理しました。
書くときの前提を、先に3つだけ。
- 口腔機能の低下は「食べる・話す・笑う」という生活そのものに直結する課題。サービス導入の前に、ご本人の生活上の困りごとから出発する。
- 目標は本人を主語にして、「食べたい物を食べ続ける」「人と話す機会を保つ」など、本人の暮らしに引きつけて書く。
- 口腔の専門職は歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士(嚥下)と役割が分かれている。誰の関わりが必要かを意識して具体策を書く。
口腔の清潔保持が難しくなってきた場合
加齢に伴い細やかな手の動きが落ち、歯みがきや義歯の手入れが行き届かなくなってきた方の文例です。要支援1・2でもっとも多い場面のひとつです。
総合的課題の文例
- 加齢に伴い手指の細かな動きが落ち、歯みがきが行き届きにくくなってきており、口腔内の清潔保持と口腔機能の維持が課題となっている。
- 歯みがきや義歯の手入れに時間と労力がかかるようになり、口腔内の汚れが残りやすい状況がみられるため、清潔保持の習慣を立て直すことが必要となっている。
- 口臭や歯肉の腫れがみられる時期があり、口腔ケアの方法と頻度を見直し、口腔機能の低下を未然に防ぐことが課題となっている。
- むし歯や歯周病の進行が口腔機能の低下につながりやすいため、清潔保持を通じて口腔の健康を保つことが在宅生活継続の鍵となっている。
長期目標の文例
- 自分の歯と義歯を活かして、これまで通り食事を楽しむことができる。
- 口腔内を清潔に保ち、口臭や歯肉の不調を気にせずに人と関わることができる。
- 自分のペースで口腔ケアを続け、健康な口の状態を保つことができる。
- むし歯や歯周病の悪化を防ぎ、自分の歯でかみ続けることができる。
短期目標の文例
- 1日2回の歯みがきを、自分のペースで続けることができる。
- 義歯の取り外し・洗浄を、毎日の習慣として続けることができる。
- かかりつけ歯科で定期的に口腔のチェックを受けることができる。
- 口腔内の状態(口臭・出血・腫れ等)に自分で気づき、早めに相談することができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:朝食後と就寝前に歯みがきを行い、できる範囲で舌の汚れも落とす習慣を保つ。
- 本人:義歯は毎食後に外して洗い、就寝時は外して義歯洗浄剤につける。
- 本人:年に2〜3回はかかりつけ歯科を受診し、口腔の状態を確認してもらう。
- 家族:口腔ケア用品(歯ブラシ・義歯ブラシ・義歯洗浄剤)の補充を手伝い、続けやすい環境を整える。
- 家族:本人の歯みがき後に、磨き残しがないか時々一緒に確認する。
- 地域:かかりつけ歯科や訪問歯科診療の情報を共有し、必要に応じて受診につなぐ。
サービスでの援助内容の文例
- 介護予防通所型サービス:食後の口腔ケアの場面を活用し、本人に合った歯みがきと義歯の手入れの方法を一緒に確認し、自宅でも続けられる手順を身につける。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅で歯科衛生士が口腔ケアの方法を本人と家族に助言し、清潔保持の習慣づくりを支える。
- 訪問歯科診療:通院が難しい場合は、歯科医師が自宅で口腔内の確認と治療を行い、口腔の健康状態を保つ。
- 地域支援事業:通いの場で行われる口腔体操や口の健康講座につなぎ、地域の中で口腔ケアの意識を保つ機会を確保する。
かむ力(咀嚼力)の低下がみられる場合
硬いものが食べにくくなり、食事の内容が偏りつつある方の文例です。低栄養との関連も意識して書くのがポイントです。
総合的課題の文例
- 歯の喪失や咀嚼力の低下により硬いものが食べにくくなっており、食事の内容が偏りつつあるため、口腔機能を保ち食事の幅を維持することが課題となっている。
- かみにくさから食べる物が限られてきており、栄養の偏りや食事量の低下が懸念されるため、咀嚼機能の維持・向上が必要となっている。
- 義歯の不具合や歯の状態の変化により、これまで食べていた物が食べづらくなっており、口腔の状態を整え、食生活を立て直すことが課題となっている。
- かむ力の低下が食事の楽しみや会話の機会の減少につながりつつあり、口腔機能を保つ取り組みが生活全般の維持に必要となっている。
長期目標の文例
- これまで食べてきた物を、これからも自分の口でかんで食べることができる。
- 食事を楽しみとして続けられ、栄養バランスを保つことができる。
- 自分の歯と義歯を活かして、ご家族や友人と一緒に食事を楽しむことができる。
短期目標の文例
- 食事の際に、無理なくかんで飲み込むことができる。
- 義歯を適切に使い、安定してかむことができる。
- 1日3食、極端な偏りなくバランスよく食べることができる。
- かむ・飲み込む力を保つための口腔体操を、習慣として続けることができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:食事の前に、口や舌を動かす簡単な体操(パタカラ体操等)を行い、口の動きを整える。
- 本人:かみにくいと感じた食材は、無理に避けず、調理の工夫(やわらかく煮る・切り方を変える)で続けられる範囲を保つ。
- 本人:定期的に歯科を受診し、歯と義歯の状態を確認してもらう。
- 家族:食事の内容に偏りがないか、時々一緒に振り返る。
- 家族:食事中の様子(むせ・残し・かみにくさ)に気づいたら、ケアマネや歯科に相談する。
- 地域:通いの場の口腔体操や栄養講座につなぎ、食と口の健康をまとめて支える場を共有する。
サービスでの援助内容の文例
- 介護予防通所型サービス:食事の前後に口腔体操を取り入れ、咀嚼や嚥下に関わる筋肉の動きを保つ取り組みを継続的に行う。
- 介護予防通所型サービス:口腔機能向上加算等を活用し、計画的に口腔体操・かむ力を保つ取り組み・口腔ケアを組み合わせたプログラムを実施する(加算の算定可否・要件は保険者の運用に従う)。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅でかむ力を保つための口腔体操やケア方法を本人と家族に助言する。
- 訪問歯科診療:歯科医師が義歯の調整や歯の治療を行い、安定してかめる口腔環境を整える。
飲み込みにくさ(嚥下機能低下)がみられる場合
食事中のむせや飲み込みにくさがあり、誤嚥や肺炎の予防が必要な方の文例です。医療職との連携を前提に書きます。
総合的課題の文例
- 食事や水分摂取時にむせがみられることがあり、嚥下機能の低下が疑われるため、誤嚥性肺炎の予防に向けて口腔機能を保つことが課題となっている。
- 飲み込みにくさから食事の量や水分量が減りつつあり、低栄養や脱水を防ぐためにも嚥下機能の維持・向上に取り組むことが必要となっている。
- 嚥下機能の低下が会話や食事の楽しみの縮小につながりつつあり、本人の生活の質を保つために口腔機能向上の取り組みが課題となっている。
- 主治医より嚥下機能の低下を指摘されており、医療職と連携しながら口腔機能を支えていく必要がある。
長期目標の文例
- むせなく、安全に食事と水分をとることができる。
- 誤嚥性肺炎を起こさず、自宅での食生活を続けることができる。
- 食事を楽しみとして保ち、人と一緒に食卓を囲むことができる。
短期目標の文例
- 食事中のむせの回数が減り、安全に食べることができる。
- 飲み込みやすい姿勢と食形態で、無理なく食事をとることができる。
- 嚥下に関わる口腔体操を、毎日の習慣として続けることができる。
- 水分を1日に必要な量、少しずつ分けてとることができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:食事の前に口腔体操(パタカラ体操・舌の運動等)を行い、口の動きを整えてから食べる。
- 本人:食事中は背筋を伸ばし、あごを軽く引いた姿勢で、ゆっくりよくかんで食べる。
- 本人:水分は少量ずつ分けて、ゆっくり飲むことを意識する。とろみの濃度や食形態の変更は自己判断で行わず、主治医・言語聴覚士・歯科の助言に沿って取り入れる。
- 家族:食事中の様子(むせ・咳・声のかすれ)に気づいたら、主治医・歯科・ケアマネに相談する。
- 家族:食事の際は、急がせない・話しかけすぎない雰囲気を整え、安全に食べられる環境を支える。
サービスでの援助内容の文例
- 介護予防通所型サービス:食前の口腔体操、嚥下に関わる筋肉の運動、食後の口腔ケアを一連の流れで取り入れ、嚥下機能の維持を支える。
- 介護予防通所型サービス:口腔機能向上加算等を活用し、計画的に嚥下機能向上のプログラムを実施する(加算の算定可否・要件は保険者の運用に従う)。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅で嚥下体操や安全な食べ方の助言を行い、誤嚥予防の取り組みを支える。
- 訪問歯科診療:歯科医師が口腔内と義歯の状態を確認し、嚥下に影響する要因(義歯不適合・歯の不具合)の調整を行う。
- 必要に応じて、主治医・訪問看護・言語聴覚士等の医療職と連携し、嚥下評価と運動の内容を調整する。
口の渇き(口腔乾燥)が気になる場合
唾液の分泌が減り、食事や会話に支障が出始めている方の文例です。薬の副作用との関連も意識して書きます。
総合的課題の文例
- 加齢や服薬の影響により唾液の分泌が減りつつあり、口腔乾燥から食事や会話のしにくさがみられるため、口腔機能を保つ取り組みが必要となっている。
- 口の渇きにより食事の進みが悪く、味も感じにくくなっていることから、唾液の分泌を促し口腔機能を維持することが課題となっている。
- 口腔乾燥は口腔内の細菌増殖やむし歯・誤嚥のリスクにつながるため、清潔保持と保湿を組み合わせた取り組みが必要となっている。
長期目標の文例
- 口の渇きに悩まされず、食事と会話を楽しむことができる。
- 口腔内の状態を保ち、自分の歯と義歯で食べ続けることができる。
- 水分摂取と口腔ケアを習慣として続け、健康な口の状態を保つことができる。
短期目標の文例
- 1日に必要な水分量を、少しずつ分けてとることができる。
- 口腔体操や唾液腺マッサージを、毎日の習慣として続けることができる。
- 口腔乾燥に伴う不快感が減り、食事と会話を楽に行うことができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:起床後・食前・食間など、決まったタイミングで少しずつ水分をとる。
- 本人:唾液腺マッサージや舌の運動を、1日数回行う習慣を持つ。
- 本人:服薬の影響が疑われる場合は、自己判断で中止せず、主治医や薬剤師に相談する。
- 家族:食事や会話の場面で口の渇きを感じていないか、時々声をかけて確認する。
- 家族:口腔乾燥がひどいときは、ケアマネや歯科に早めに相談する。
サービスでの援助内容の文例
- 介護予防通所型サービス:口腔体操に唾液腺マッサージを組み入れ、口腔乾燥を和らげる取り組みを継続的に行う。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅で口腔乾燥に対する口腔ケアと保湿の方法を本人と家族に助言する。
- 訪問歯科診療:歯科医師が口腔内の状態を確認し、必要に応じて口腔保湿剤等の使用について助言する。
- 必要に応じて、主治医・薬剤師と連携し、口腔乾燥に影響しうる服薬内容を共有・調整する。
義歯が合わなくなってきている場合
義歯の不適合により食事や会話に支障が出ている方の文例です。歯科受診の動機づけが鍵になります。
総合的課題の文例
- 長年使用している義歯が合わなくなり、食事のしにくさや痛みがみられるため、義歯の調整を通じて口腔機能を保つことが課題となっている。
- 義歯の不適合からかむ力が低下し、食事の内容が偏りつつあるため、歯科受診と口腔機能の維持に向けた取り組みが必要となっている。
- 義歯がずれることで会話のしにくさや人と関わる機会の減少につながりつつあり、口腔の状態を整え、生活の質を保つことが課題となっている。
長期目標の文例
- 自分に合った義歯で、これまで通り食事と会話を楽しむことができる。
- 義歯の手入れと点検を続け、安定した口腔機能を保つことができる。
- 痛みや不具合に早めに気づき、歯科で対応してもらうことができる。
短期目標の文例
- 歯科で義歯の調整を受け、痛みや不具合が和らいだ状態で食事ができる。
- 義歯の取り外し・洗浄・装着を、自分の手順で続けることができる。
- 年に2〜3回の歯科受診を、習慣として続けることができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:義歯のかみ合わせやずれを感じたら、我慢せず歯科に相談する。
- 本人:毎食後に義歯を外して洗い、就寝時は外して義歯洗浄剤につける。
- 家族:本人の食事の様子(食べこぼし・かみにくさ・会話のしにくさ)に気づいたら、歯科受診を一緒に検討する。
- 家族:通院が難しい場合は、訪問歯科診療の利用についてケアマネと相談する。
サービスでの援助内容の文例
- 訪問歯科診療:通院が難しい場合は、歯科医師が自宅で義歯の調整・修理・新製を行い、安定してかめる状態を整える。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅で義歯の手入れと装着の方法を本人と家族に助言する。
- 介護予防通所型サービス:食事と口腔ケアの場面で義歯の使用状況を確認し、不具合の早期発見につなげる。
口腔ケアの習慣が定着していない場合
これまで歯みがきや義歯の手入れの習慣が十分でなく、口腔機能の低下が懸念される方の文例です。生活リズムに組み込む工夫がポイントです。
総合的課題の文例
- これまで口腔ケアの習慣が十分でなく、口腔内の汚れや歯肉の不調がみられるため、毎日の口腔ケアを習慣として定着させることが課題となっている。
- 口腔ケアの大切さに対する意識が育ちにくい背景があり、口腔機能の低下と全身への影響を防ぐために、本人の負担にならない形でケアの習慣を立て直すことが必要となっている。
- 歯みがきや義歯の手入れが不定期となっており、むし歯や歯周病の進行が懸念されるため、生活リズムに口腔ケアを組み込む取り組みが課題となっている。
長期目標の文例
- 口腔ケアを毎日の習慣として続けることができる。
- 口腔内を清潔に保ち、自分の歯と義歯で食べ続けることができる。
- 歯科とのつながりを保ち、口の健康を自分で管理できるようになる。
短期目標の文例
- 朝食後と就寝前に、口腔ケアの時間を持つことができる。
- 自分に合った口腔ケアの方法(道具・手順)を身につけることができる。
- かかりつけ歯科を持ち、定期的に通うことができる。
本人・家族・地域でできる具体策の文例
- 本人:朝食後と就寝前など、決まったタイミングで歯みがきと義歯の手入れを行う。
- 本人:自分に合った歯ブラシ・義歯ブラシ・義歯洗浄剤を準備し、続けやすい道具をそろえる。
- 本人:かかりつけ歯科を決め、年に2〜3回は受診する。
- 家族:口腔ケアの場面に時々付き添い、続けやすい雰囲気をつくる。
- 家族:歯みがきの後に磨き残しがないか、一緒に確認する機会を持つ。
- 地域:通いの場や健康講座で口腔ケアの情報に触れる機会を共有する。
サービスでの援助内容の文例
- 介護予防通所型サービス:食後の口腔ケアの時間を活用し、本人に合った方法を一緒に確認しながら、習慣として定着するよう支える。
- 居宅療養管理指導(歯科衛生士):歯科医師の指示のもと、自宅で歯科衛生士が口腔ケアの方法と頻度を本人・家族に助言し、生活に組み込めるよう支援する。
- 訪問歯科診療:歯科医師が口腔内の確認と治療を行い、本人がかかりつけ歯科とつながり続ける関係をつくる。
- 地域支援事業:通いの場の口腔体操や口の健康講座につなぎ、地域の中で口腔ケアの意識を保つ機会を確保する。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。
コツ1:目標は「口の機能」ではなく「本人の暮らし」を主語に書く
❌ 咀嚼機能・嚥下機能の維持・向上を図る。
⭕ これまで食べてきた物を、これからも自分の口でかんで食べることができる。
📝 「咀嚼機能の維持」は手段、「自分の口で食べ続ける」がご本人にとっての目的です。口の機能は「食べる・話す・笑う」という生活そのものに直結する領域なので、本人の暮らしに引きつけて書くと、評価もしやすく主体性も伝わります。
コツ2:口腔ケアと口腔機能向上は分けて考える
📝 「口腔ケア」は歯みがき・義歯の手入れ・うがいなど口腔内の清潔保持の取り組み、「口腔機能向上」は咀嚼・嚥下・発音・唾液分泌など口の働きを保つ取り組みを指します。予防プランでは両方を組み合わせて書くことが多いですが、課題の中心が「清潔保持」なのか「口の機能」なのかを意識して書き分けると、目標と援助内容のずれが減ります。
コツ3:サービスごとの専門職の役割を分けて書く
📝 口腔の領域は専門職の役割分担が比較的はっきりしています。義歯の調整・治療は歯科医師、ブラッシング指導・口腔ケアや口腔機能向上の助言は歯科衛生士、嚥下評価・嚥下訓練は主治医の指示のもとで言語聴覚士、というように、誰の関わりが必要かを意識して具体策と援助内容に書くと、サービス計画が現場の動きと一致します。歯科衛生士も口腔体操・嚥下体操の指導は行いますが、嚥下訓練そのものは医療職(言語聴覚士等)の領域として書き分けると、運営指導でも整理がつきやすくなります。
コツ4:「リハビリ」と書き切らず、口腔体操・口腔ケアの言葉を使う
❌ 嚥下リハビリを行う。
⭕ 食前に口腔体操を取り入れ、嚥下に関わる筋肉の動きを保つ。
📝 「リハビリ」は本来、医療職(言語聴覚士・理学療法士等)の関わる場面で使われる言葉です。介護予防通所型サービスでの取り組みは「口腔体操」「嚥下体操」「口腔ケア」と書いた方が、サービス内容と表記がずれません。医療職の関与が必要な場面は、訪問看護・訪問リハ・主治医との連携として別欄で書き分けます。
運営指導で見られやすいポイント
- 目標が本人を主語にして書かれ、本人の暮らしに引きつけられているか。
- 口腔ケア(清潔保持)と口腔機能向上(口の働き)の課題が、それぞれ書き分けられているか。
- サービス名称が保険者の運用に合っているか(旧称「介護予防通所介護」は使わず、現行の「介護予防通所型サービス」で記載されているか)。
- 歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士等の専門職の役割が、援助内容に適切に反映されているか。
現場のひとこと
口の機能は、ご本人の生活の楽しみ(食事・会話・笑顔)にもっとも近い領域だと感じています。「最近食事の量が減った」「むせが増えた」「人と話す機会が減った」というご家族の何気ない言葉の裏側に、口腔の課題が隠れていることが少なくありません。文例を選ぶときは、目の前のご本人が「何を続けたいのか」「どんな場面で困っているのか」を一行書き出してから当てはめると、自然と本人主体のプランに整っていきます。口腔の欄は、生活と機能をつなげる橋渡しの場所だと思っています。
※介護予防サービス計画書の様式や、口腔機能向上を支援する各サービスの名称・適用可否・運用方法、加算の算定要件等は、ご本人の状態や保険者(市町村)の判断、地域支援事業の実施状況によって異なる場合があります。文例はあくまで参考とし、ご本人の状態と保険者の運用に合わせて整えてお使いください。
(参考:厚生労働省『介護予防マニュアル 第4版』(令和3年度・口腔機能向上を含む内容に統合)、厚生労働省老健局『介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて』)
※本記事は一般的な情報提供であり、個別事例の判断は地域包括支援センター・保険者にご確認ください。
この記事を書いた人
現役のケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年携わり、ご本人とご家族の支援を続けてきました。管理者として運営指導も受ける立場から、現場で本当に使える文例を整理しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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