「自宅にリハビリの人が来てくれる」という同じ見え方をするサービスが、制度の上では2つに分かれています。ここを取り違えたまま第2表を書くと、給付管理の段階でつじつまが合わなくなります。

まず、名前の似た3つを分けます。
- 通所リハビリテーション:施設に通う。介護保険法第8条第8項。
- 訪問リハビリテーション:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に来る。介護保険法第8条第5項。事業所は病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院に限られます(平成11年厚生省令第37号 第77条)。
- 訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問:自宅に来るが、制度上はこれも「訪問看護」です。介護保険法第8条第4項の「看護師その他厚生労働省令で定める者」に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が入っているからです(平成11年厚生省令第36号 第7条)。
3つ目は、見た目がいちばん訪問リハビリテーションに近く、いちばん間違えやすいところです。第1表・第2表に書くサービス種別も、給付管理で立てる費用も「訪問看護」になります。
この記事では、訪問リハビリテーションを位置づけるときの第2表の文例を148本集めました。退院直後の立て直し、自宅の段差や浴室といった実際の動線、家事や趣味、飲み込みと言葉、進行する病気とのつきあい、そして通所リハビリテーションや地域の場へ移る日まで並べています。気になる行をコピーして、ご本人の状態と医師の指示の内容に合わせて整えてお使いください。
リハビリテーションの内容・頻度・中止の基準は、事業所の医師の診療と指示、そして訪問リハビリテーション計画で決まります。 ケアマネジャーが独自に決めて書く欄ではありません。第2表には「自宅のどの場面を、誰の指示のもとで練習するのか」が読み取れる形で落とします。
ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例

この章の文例は「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」欄に書きます。主語はご本人です。訪問リハビリテーションでは、「自宅のどこで困っているか」まで下ろすと、そのまま短期目標につながります。
退院直後・自宅での生活の立て直し
- 退院してきたが、家の中の勝手が入院前と変わってしまったので、動き方を組み直したい。
- 病院で練習した動作を、自分の家の間取りでもできるようにしたい。
- 退院直後で外に出るのが不安なので、まずは家に来てもらって体を動かしたい。
- 骨折の手術のあと、医師の許可の範囲で動く量を少しずつ増やしていきたい。
- 退院してから相談する相手がいなくなったので、体のことを聞ける人に来てほしい。
- 家の中で転びそうになることがあるので、危ない場所を一緒に見てほしい。
自宅の中の移動と動線
- トイレまでの廊下でふらつくので、この道のりを安全に歩けるようになりたい。
- 玄関の上がりかまちが越えられなくなったので、自分で出入りできるようになりたい。
- 寝室から居間までの移動に時間がかかるので、日中を家族と同じ部屋で過ごしたい。
- 敷居の段差でつまずくので、家の中を安心して歩けるようにしたい。
- 階段の上り下りが怖くなったので、2階の自分の部屋を使い続けたい。
- 車いすとベッドの間の移動を自分でできるようになって、家族を待たずに動きたい。
- 夜中にトイレへ行くのが不安なので、暗い時間でも安全に動けるようにしたい。
トイレ・入浴・更衣を自宅の設備で行いたい
- トイレまで自分で行って、最後まで一人で済ませたい。
- 自宅の浴槽は深くてまたげないので、家のお風呂に入り続ける方法を知りたい。
- 洗い場で立ち座りをするのが怖いので、安全な手順を教わりたい。
- 便座からの立ち上がりがつらくなったので、自分で立てるようになりたい。
- ボタンやファスナーが留めにくくなったので、自分で着替えを済ませたい。
- ズボンの上げ下げに手間取るので、トイレの中での動作を楽にしたい。
- 床に座る生活を続けたいので、畳から立ち上がる方法を身につけたい。
家事・趣味・家の中の役割
- また自分で台所に立って、簡単なものを作れるようになりたい。
- 洗濯物を干す動作がつらくなったので、続けられるやり方を教わりたい。
- 仏壇の前に座ってお参りする姿勢を、続けられるようにしたい。
- 庭の手入れをもう一度したいので、そこに向けた体の使い方を知りたい。
- 趣味の裁縫を再開したいので、手元の作業を続けられるようにしたい。
- 家族に何もしてもらうだけの立場になりたくないので、自分にできる役割を持ちたい。
外に出る・通院する・人と会う
- 自宅から門扉までの道のりを、自分の足で行けるようになりたい。
- 近所のスーパーまで一人で買い物に行けるようになりたい。
- バスに乗って通院できるようになって、人に頼らず出かけたい。
- 孫の行事に出かけられるように、外出できる体力を戻したい。
手・腕の動き、話すこと・飲み込むこと
- 箸が使いにくくなったので、家族と同じ食卓で自分で食べたい。
- 麻痺のある手を、できる範囲で家の中の動作に使っていきたい。
- 言葉が出にくくなったので、家族との会話を続けられるようにしたい。
- 電話で用件を伝えることが難しくなったので、伝わる方法を身につけたい。
- 食べるときにむせることが増えたので、家で食べている物を見てもらいたい。
- 声が小さくて聞き返されるので、人と話す機会を減らしたくない。
進行する病気・重度の方/通う形が難しい方
- 少し動くと息が切れるので、体に負担の少ない動き方を知りたい。
- 病気の進み方に合わせて、そのときできる動き方を教わり続けたい。
- 体力が続かず外出して受けることが難しいので、家で受けられる形にしたい。
- 人の多い場所が苦手なので、慣れた自宅で落ち着いて取り組みたい。
- 少しずつできないことが増えているが、今できていることは手放したくない。
- 加齢に伴う変化があっても、住み慣れた家での暮らしを続けたい。
家族・介護者から見た困りごと(本人主体で書く)
- 介護してくれる家族と、これからも同じ家で暮らし続けたい。
- 移乗を手伝う家族の腰の負担が心配なので、自分でできる動きを増やしたい。
- 家族が介助の方法を教わって、無理のない形で在宅生活を続けたい。
- ヘルパーによって介助の仕方が違うので、同じやり方で手伝ってもらいたい。
長期目標の文例

この章の文例は「長期目標」欄に書きます。「筋力が向上する」ではなく、その力がついた結果として本人がしている暮らしの形で書きます。
自宅での生活の継続
- 退院前に行っていた家の中の動作を取り戻し、自宅での生活を続けられる。
- 手すりとつたい歩きで屋内を移動し、住み慣れた家で暮らし続けられる。
- 日中を居間で過ごし、家族と同じ時間を共有できる。
- 家族と協力しながら、無理のない形で在宅生活を続けられる。
自宅内の移動・動線
- トイレまでの道のりを自分で往復し、排せつを一人で済ませられる。
- 自宅の浴槽に自分の手順で出入りし、家のお風呂に入り続けられる。
- 玄関を自分で出入りし、外に出る日を持てる。
- 寝室と居間の間を自分で行き来し、日中を起きて過ごせる。
- ベッドと車いすの間の移り方が定まり、家族を待たずに動ける。
生活行為・役割・楽しみ
- 簡単な調理を再開し、自分の食事を自分で用意できる。
- 家の中で自分の役割を持ち、張り合いのある一日を過ごせる。
- 以前からの趣味を再開し、続けられる形で楽しめる。
- 家族や近所の人との会話を続け、人とのつながりを保てる。
- 食卓に家族とそろい、自分の手で食事をとれる。
機能の維持(進行する病気・重度の方)
- その時々の体の状態に合わせた動き方を続け、今できている動作を保てる。
- 専門職の助言を受けながら、日々の暮らしの中で体を動かし続けられる。
- 体の変化を家族と支援者が把握できる体制のもとで、自宅で過ごせる。
- 痛みや息切れとつきあいながら、自分のペースで一日を過ごせる。
通所や地域の場への移行
- 自宅で続けられる運動を身につけ、訪問以外の場にも通える。
- 目標としていた生活行為ができるようになり、次の過ごし方に進める。
- 通所の場や地域の集まりに通い、人と関わる時間を持てる。
短期目標の文例

この章の文例は「短期目標」欄に書きます。訪問リハビリテーションの強みは、練習する場所と実際に困っている場所が同じことです。 「自宅の」「どの動線で」まで書き込みます。
自宅の動線での移動
- ベッドの手すりを使って、自分で起き上がれる。
- 寝室からトイレまでの廊下を、手すりとつたい歩きで一人で行ける。
- 居間から台所までを、歩行器を使って往復できる。
- 敷居の段差を、つまずかずにまたげる。
- 玄関の上がりかまちを、手すりを使って昇り降りできる。
- 自宅の階段を、手すりを使って一段ずつ昇り降りできる。
- ベッドと車いすの間を、見守りのもとで自分で移れる。
- 玄関から門扉までを、杖を使って往復できる。
トイレ・入浴・更衣(自宅の設備で)
- 日中のトイレを、声かけなしで自分で済ませられる。
- 便座からの立ち上がりを、手すりを使って行える。
- トイレの中でのズボンの上げ下げを、自分で行える。
- 自宅の浴槽への出入りを、手すりとバスボードを使って行える。
- 洗い場での立ち座りを、シャワーいすを使って行える。
- 洗身のうちできる部分を自分で行い、届かない部分だけ介助を受けられる。
- 洗面台の前に5分立ち、歯みがきと洗顔を済ませられる。
家事・調理・洗濯・買い物
- 台所に立って、湯を沸かして飲み物を用意できる。
- 調理のうち、切る・盛りつけるといった工程を自分で行える。
- 洗濯物を干す動作を、高さを変えた物干しを使って行える。
- 自宅で使う道具の置き場所を見直し、迷わず取り出せる。
- 近所の店まで歩いて行き、買った物を持って帰れる。
- 自宅から集合ポストまで、休まずに歩いて往復できる。
手・腕の動作、話すこと・飲み込むこと
- 自助具のスプーンを使って、主食を自分で食べられる。
- 麻痺のある手を、物を押さえる役割で日常的に使える。
- ボタンとファスナーを、時間をかけても自分で留められる。
- 言いたいことを、絵カードや筆談を交えて相手に伝えられる。
- 電話で家族に用件を伝えられる。
- 言語聴覚士から示された姿勢と一口の量で、自宅の食事をとれる。
- 食後に口の中に食べ物が残っていないか、本人と家族が確認できる。
自宅での自主練習と家族の関わり
- 訪問時に示された運動を、自宅で朝夕に続けられる。
- その日に行った運動を記録に残し、訪問日に職員へ見せられる。
- 家族が起き上がりと移乗の介助の手順を教わり、実際にやってみられる。
- 自宅で運動する場所と時間を決め、家族と共有できる。
- ヘルパーと家族が同じ介助の手順で手伝えるよう、手順を書いた紙を自宅に置ける。
体調管理と中止の基準の共有
- 訪問の前後に血圧と体温を測ってもらい、その日の体調を職員と確認できる。
- 医師から示された「その日は運動を控える目安」を、本人と家族が言える。
- 痛みやしびれが強くなったときに、その場で職員へ伝えられる。
- 体調の変化があったときの連絡先を、本人と家族が手元で確認できる。
通所や地域の場への移行に向けた準備
- 自宅で一人でも続けられる運動を3つ覚え、実際に行える。
- 通所リハビリテーションや通所介護を見学し、感想を家族とケアマネジャーに伝えられる。
- 送迎車への乗り降りを、見守りのもとで行える。
- 訪問リハビリテーションの終了後にどう過ごすかを、本人・家族・事業所で話し合える。
サービス内容の文例

この章の文例は「サービス内容」欄に書きます。
医師の診療・指示と訪問リハビリテーション計画
- 訪問リハビリテーション:事業所の医師の指示と訪問リハビリテーション計画に基づく、居宅での理学療法・作業療法・言語聴覚療法の提供。
- 訪問リハビリテーション事業所の医師:診療に基づく訪問リハビリテーション計画の作成への関与と、リハビリテーションの内容・負荷・中止の基準に関する指示。
- 訪問リハビリテーション:訪問リハビリテーション計画の内容についての本人・家族への説明と、本人への交付。
- 訪問リハビリテーション:実施状況と評価の記録、および事業所の医師への報告。
- 主治医:訪問リハビリテーションの必要性についての意見と、併存する病気に応じた注意点の提示。
- ケアマネジャー:本人の同意を得て主治の医師等の意見を求め、作成した居宅サービス計画を主治の医師等へ交付する。
理学療法士(PT)の関わり
- 訪問リハビリテーション(理学療法士):起き上がり・立ち上がり・移乗など、自宅の家具と寝具を使った基本的な動作の練習。
- 訪問リハビリテーション(理学療法士):自宅の廊下・敷居・上がりかまちなど、実際の動線を使った移動の練習。
- 訪問リハビリテーション(理学療法士):杖・歩行器・装具の使い方の確認と、自宅の広さに合わせた調整の助言。
- 訪問リハビリテーション(理学療法士):転びやすい場所の確認と、動作の順序を変えることによる危険の減らし方の提案。
- 訪問リハビリテーション(理学療法士):自宅で続けられる運動の選定と、家族への実施方法の説明。
作業療法士(OT)の関わり
- 訪問リハビリテーション(作業療法士):トイレ・入浴・更衣・整容など、自宅の設備を使った生活動作の練習。
- 訪問リハビリテーション(作業療法士):調理・洗濯・掃除など、本人が再開したい家事の工程を分けた練習。
- 訪問リハビリテーション(作業療法士):自助具や生活用具の選定と、自宅での使い方の練習。
- 訪問リハビリテーション(作業療法士):本人が使う物の配置の見直しと、手が届く高さへの調整の助言。
- 訪問リハビリテーション(作業療法士):家庭内での役割や趣味の再開に向けた、本人・家族との相談。
言語聴覚士(ST)の関わり
- 訪問リハビリテーション(言語聴覚士):話す・聞く・伝えるための練習と、家族への伝え方の助言。
- 訪問リハビリテーション(言語聴覚士):自宅で実際に食べている物と食事の場面の確認、および姿勢・一口の量の助言(医師の指示に基づく)。
- 訪問リハビリテーション(言語聴覚士):本人に合った意思疎通の手段(筆談・絵カード・機器等)の検討と練習。
- 訪問リハビリテーション(言語聴覚士):食後の口の中の確認方法についての、本人・家族への説明。
自宅の環境調整・福祉用具・住宅改修
- 訪問リハビリテーション:自宅の生活環境の確認と、動作しやすい配置への助言。
- 訪問リハビリテーション:家具・調理器具など生活用具の工夫についての提案。
- 福祉用具貸与・特定福祉用具販売:手すり・歩行器・入浴補助用具など、練習した動作を自宅で行うための用具の検討(リハビリテーション専門職の助言をふまえ、福祉用具専門相談員と選定する)。
- 住宅改修:段差の解消や手すりの取り付けの検討(実際の動作を見たうえで位置と高さを決め、必要性を担当者会議で確認する)。
- 訪問リハビリテーション:改修後・用具導入後の動作の確認と、使い方の再調整。
- 多職種での情報共有:自宅で行ってよい動作の範囲と、手伝う場面を支援者全員で共有する。
他のサービス事業所・家族への助言
- 訪問リハビリテーション:自宅を訪問し、訪問介護員など他のサービスの従事者に対して、本人の能力と介助の方法・留意点を助言する。
- 訪問リハビリテーション:家族に対する、日常生活上の留意点と介助の工夫についての助言。
- 訪問リハビリテーション:ケアマネジャーを通じた、他の事業所の従事者への情報の共有。
- 訪問介護:訪問リハビリテーションから示された手順に沿った、起き上がり・移乗・入浴の介助。
- 通所介護:訪問リハビリテーションから共有された留意点をふまえた、入浴と日中の過ごし方の支援。
会議・情報連携・移行
- リハビリテーション会議:本人・家族を中心に、医師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、ケアマネジャー、居宅サービス計画に位置づけた事業所の担当者などで、評価結果と支援方針を共有する。
- 訪問リハビリテーション:ケアマネジャーに対する、本人の能力・自立のために必要な支援方法・日常生活上の留意点の情報提供。
- 訪問リハビリテーション:利用終了の1か月前以内に、終了後の過ごし方について会議を行い、次に利用予定の事業所や総合事業の担当者の参加を求める。
- 訪問リハビリテーション:利用終了時に、ケアマネジャーと計画的な医学的管理を行っている医師へ、リハビリテーションの観点から必要な情報を提供する。
- ケアマネジャー:事業所から受けた心身や生活の状況に関する情報を、本人の同意を得て主治の医師等へ伝える。
本人・家族の取り組み
- 本人:訪問時に示された運動を自宅で続け、行った内容を記録に残すこと。
- 本人:練習した動作を、実際の生活場面(トイレ、入浴、台所)で使ってみること。
- 家族:介助の方法を理学療法士・作業療法士から教わり、迷ったときに相談すること。
- 家族:自宅で運動する場所を整え、続けられるよう声をかけること。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。訪問リハビリテーションならではの書き分けのコツをまとめました。
コツ1:訪問リハビリテーションと「訪問看護からの理学療法士等の訪問」を取り違えない
❌ サービス種別:訪問リハビリテーション(訪問看護ステーションから理学療法士が来ている)
⭕ サービス種別:訪問看護(訪問看護ステーションの理学療法士による訪問)
📝 冒頭でも触れましたが、ここが訪問リハビリテーションでいちばん多い取り違えです。分かれ道は「どの事業所から来ているか」の一点です。
- 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院から来る → 訪問リハビリテーション(平成11年厚生省令第37号 第77条で、事業所はこの4つに限られています)
- 訪問看護ステーションから来る → 訪問看護(介護保険法第8条第4項の「厚生労働省令で定める者」に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が含まれるため/平成11年厚生省令第36号 第7条)
やっていることは自宅での動作の練習で、外から見ると同じです。それでも、第1表・第2表に書くサービス種別も、給付管理で立てる費用の種類も別になります。訪問看護ステーションから理学療法士が来ているケースを「訪問リハビリテーション」と書くと、計画と請求が食い違います。
報酬の扱いも別々に動いています。令和6年度の介護報酬改定では、訪問看護における理学療法士等の訪問について、看護職員の訪問回数との関係などに応じた減算が新たに設けられました(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」4.(1)②)。単位数や加算・減算の要件は改定のたびに動くため、算定の可否は事業所と保険者に確認してください。
なお、訪問看護は状態によって医療保険の給付になる場合があります。判断するのは主治医と訪問看護事業所ですが、給付が変われば区分支給限度基準額の使い方も変わります。訪問看護側の書き方は【訪問看護】ケアプラン第2表の文例集にまとめています。
コツ2:訪問リハビリテーションは「事業所の医師の診療」を通って計画になる
❌ 本人がリハビリを希望しているため、訪問リハビリテーションを週2回位置づける。
⭕ 主治医から訪問リハビリテーションの必要性について意見を得たうえで位置づけ、事業所の医師の診療に基づく訪問リハビリテーション計画の作成を依頼する。
📝 医師の関わり方が、訪問リハビリテーションと訪問看護では違います。
- 訪問看護:主治の医師による指示を文書で受ける(平成11年厚生省令第37号 第69条第2項)。いわゆる訪問看護指示書です。
- 訪問リハビリテーション:事業所の医師の診療に基づいて、その医師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問リハビリテーション計画を作る(同 第81条第1項)。事業所には常勤の医師を置くことが定められています(同 第76条第1項第1号・第2項)。
「指示書をもらえばよい」と思って動くと、事業所から「まず当院を受診してください」と言われて驚くことがあります。訪問リハビリテーションは、その事業所の医師が診るところまでが手続きに入っているからです。事業所の医師が診療を行わない場合には、事業所外の医師の診療と情報提供などを要件とした診療未実施減算という枠組みがありますが、これは事業所側が判断することです(同改定資料 2.(1)⑩)。ケアマネジャーが先にやるのは、受診の段取りの確認です。
ケアマネジャー自身の義務も、運営基準に3段構えで書かれています(平成11年厚生省令第38号 第13条)。
- 第19号:医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、本人の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
- 第19号の2:意見を求めた場合、居宅サービス計画を作成した際には、その計画を主治の医師等に交付しなければならない。
- 第20号:医療サービスを計画に位置づける場合は、主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行う。
条文には「訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービス」と書かれていますが、令和6年度改定で解釈通知に「訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等については」という書き出しが加えられ、訪問リハビリテーションが名指しで入りました(同改定資料 2.(1)⑫)。支援経過に残すのは、意見を求めた日と方法、返ってきた内容、そして計画を交付した日の3つです。
コツ3:「主治の医師等」は、入院中の病院の医師でもよい
❌ かかりつけ医の受診が来月なので、それまで訪問リハビリテーションは入れられない。
⭕ 入院中の主治医から意見を得て、退院直後から訪問リハビリテーションを位置づける。
📝 令和6年度改定で、この点が明確にされました。ここでいう「主治の医師等」は、要介護認定の申請のために主治医意見書を記載した医師に限定されません。 そのうえで訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションについては、退院後のリハビリテーションの早期開始を進める観点から、入院中の医療機関の医師による意見を踏まえて速やかに居宅サービス計画を作成することが望ましい、とされています(同改定資料 2.(1)⑫)。
同じ改定では、入院中にリハビリテーションを受けていた方について、退院日から1か月以内の訪問リハビリテーションであることなどを条件に、診療未実施減算を適用しない取扱いも設けられました(同改定資料 2.(1)⑨)。制度の側が「退院直後の空白を作らない」方向に動いています。 退院前カンファレンスに出るときは、その場で意見をもらい、記録に残すところまでを予定に入れてください。
コツ4:目標に「筋力が向上する」「可動域が広がる」と書かない
❌ 短期目標:下肢筋力が向上し、歩行が安定する。
⭕ 短期目標:寝室からトイレまでの廊下を、手すりとつたい歩きで一人で行ける。
📝 筋力や関節の動く範囲は、リハビリテーション専門職が評価する項目であって、第2表の目標欄に置くものではありません。理由は2つあります。1つは、本人が「できたかどうか」を判断できないこと。もう1つは、加齢に伴う変化や病気の進行がある方では、機能そのものが上向くとは限らないことです。上向かなかった半年を「失敗した計画」にしてしまう書き方は避けます。
置き換えの手順は決まっています。「その機能が上がったら、この人は自宅で何ができるようになるのか」を1つだけ聞く。答えが「トイレに一人で行ける」なら、それをそのまま目標の文にします。答えが出てこないときは、目標ではなく評価項目を書こうとしている合図です。
機能の評価そのものは、事業所側の訪問リハビリテーション計画に書かれます。第2表には生活の言葉を、事業所の計画には評価の言葉を。
コツ5:自宅でしかできないことを、目標に書く
❌ 短期目標:歩行練習を行い、移動が安定する。
⭕ 短期目標:敷居の段差を、つまずかずにまたげる。/自宅の浴槽への出入りを、手すりとバスボードを使って行える。
📝 通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションの第2表を、同じ文で書いてしまうことがあります。もったいない書き方です。訪問リハビリテーションの強みは、練習する場所と、実際に困っている場所が同じであることにあります。
通所の場にあるのは、手すりのついた広い訓練室と、標準的な高さの平行棒です。自宅にあるのは、すれ違えない幅の廊下、思ったより高い上がりかまち、またぎにくい深さの浴槽、そして廊下の角に置いたままの電話台です。この家の、この段差を、この手順で越えるという練習は、その場に行かないとできません。
厚生労働省の通知でも、訪問リハビリテーションについて「居宅からの一連のサービス行為として、買い物やバス等の公共交通機関への乗降などの行為に関する指定訪問リハビリテーションを利用することも重要である」とされています(介護保険最新情報Vol.1217)。訓練室の中で完結しないところに意味があるという整理です。
書くときのコツは、場所と道具を1つずつ足すことです。「入浴動作の自立」ではなく「自宅の浴槽への出入りを、手すりとバスボードを使って行える」。場所と道具が入った瞬間に、モニタリングで見に行く先が決まります。
コツ6:訪問リハビリテーション計画と第2表をそろえる
❌ 第2表は「歩行が安定する」、事業所の計画は「屋内移動の自立」。別々のまま半年が過ぎる。
⭕ 第2表の短期目標を「寝室からトイレまでの廊下を、手すりとつたい歩きで一人で行ける」とし、事業所の計画にも同じ場面が入っていることを担当者会議で確認する。
📝 訪問リハビリテーション計画は、すでに居宅サービス計画がある場合は、その内容に沿って作成しなければならないと定められています(平成11年厚生省令第37号 第81条第2項)。つまり、順番としては第2表が先です。第2表があいまいだと、事業所の計画も一般的な内容に流れます。
作った計画は本人に交付されます(同 第81条第5項)。本人の手元に届く紙なので、そこに書かれた場面と第2表の場面がずれていると、本人が混乱します。
もう一点。事業所の医師と専門職が退院した方の計画を作るときは、その医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等により、リハビリテーションの情報を把握しなければならないとされています(同 第81条第4項)。退院時の書類を事業所へ渡す段取りは、ケアマネジャーが最初に押さえる仕事です。 担当者会議の前に、どの書類が誰から誰へ渡るかを1回確認しておくと、初回の計画の質が変わります。
コツ7:リハビリテーション会議は「ケアマネジャーが構成員」と書かれている
訪問リハビリテーションでは、リハビリテーション会議の開催により専門的な見地から情報を共有するよう努める、とされています(平成11年厚生省令第37号 第80条第7号)。そしてこの会議の構成員には、条文の中に介護支援専門員が名指しで入っています。 呼ばれてから出る会議ではなく、最初から入っている会議です。
事業所からケアマネジャーへ提供される情報の内容も、通知に示されています。本人・家族の活動や参加に関する希望、基本的動作能力や応用的動作能力とその改善の可能性、日常生活能力を維持または向上させる介護の方法と留意点、家屋等の環境調整の可能性、家具や調理器具といった生活用具の工夫(介護保険最新情報Vol.1217)。「家屋の環境調整」と「生活用具の工夫」が並んでいるところが、訪問リハビリテーションの会議らしいところです。
さらに訪問リハビリテーションには、自宅を訪問して、訪問介護員など他のサービスの従事者や家族に助言するという役割も示されています(同Vol.1217)。ヘルパーが入る時間に理学療法士も居合わせて、そこで介助の手順をそろえる。このやり方は、通所の場では組めません。 第2表のサービス内容に「他のサービスの従事者への助言」と1行入れておくと、担当者会議で自然に話が出ます。
なお、リハビリテーションマネジメント加算をはじめとする加算の算定要件は改定のたびに見直されています。算定できるかどうかは、最新の報酬告示と通知、そして事業所への確認でご判断ください。
コツ8:「訪問から通所へ」「訪問から終了へ」の出口を、はじめに書いておく
❌ サービス内容:訪問リハビリテーションで機能訓練を継続する。
⭕ 短期目標:自宅で一人でも続けられる運動を3つ覚え、実際に行える。/サービス内容:利用終了の1か月前以内に、終了後の過ごし方について会議を行う。
📝 厚生労働省の通知では、サービスの利用が終了する1か月前以内に、事業所の医師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリテーション会議を行うことが望ましいとされ、その際にケアマネジャーや、終了後に利用予定の他の事業所、介護予防・日常生活支援総合事業の担当者の参加を求めるものとされています(介護保険最新情報Vol.1217)。制度の側は、最初から「出口」を織り込んでいます。
訪問リハビリテーションの出口は、大きく2つです。1つは通所リハビリテーションや通所介護へ移る道。外に出られる体力と自信が戻ったときの行き先です。もう1つは、自主的な運動と他のサービスに引き継いで終了する道です。どちらに向かうかで、短期目標に置く準備が変わります。 通所へ向かうなら「送迎車への乗り降り」と「見学」、終了へ向かうなら「自宅で続けられる運動を3つ覚える」です。
とはいえ、進行する病気の方や重度の方に「卒業」を当てはめる話ではありません。その場合の長期目標は「今できている動作を保てる」で構いません。分かれ道は、機能の回復が見込める時期にいるかどうかです。回復の時期にいる方の計画に出口を書いておかないと、目的を果たしたあとも同じ計画が更新され続けます。
運営指導で見られやすいポイント
- 訪問リハビリテーションを位置づけるにあたり、主治の医師等の意見を求めた経過が記録に残っているか(平成11年厚生省令第38号 第13条第19号)。
- 主治の医師等の指示があることを確認したうえで位置づけているか(同 第13条第20号)。
- 作成した居宅サービス計画を主治の医師等へ交付した記録が残っているか(同 第13条第19号の2)。
- 第1表・第2表のサービス種別が、実際に来ている事業所の種類と合っているか(訪問看護ステーションからの訪問を「訪問リハビリテーション」と書いていないか)。
- 目標が「筋力の向上」などの機能の評価ではなく、本人が取り組める生活動作になっているか。
- 短期目標に、自宅のどの場面かが分かる表現(場所・道具・動作)と期間が設定されているか。
- 事業所の訪問リハビリテーション計画の目標と、第2表の目標が食い違っていないか。
- 退院直後の場合、医療機関からの情報が事業所へ渡った経過が記録に残っているか。
- 訪問回数と時間の設定を、ニーズと目標から説明できるか。
現場のひとこと
訪問リハビリテーションで第2表が急によくなるのは、担当者会議を自宅の廊下で立ったまま開いた日です。全員でトイレまでの道のりを歩いてみると、話が具体的になります。「ここで手すりが途切れる」「この電話台をどけたい」「ここは介助でいい」。訓練室の中の言葉では出てこない文が、その場で3つも4つも出てきます。書いたあとで見に行くのではなく、見てから書く。訪問系のサービスは、その順番にできる数少ない機会です。
※文例はあくまで参考です。リハビリテーションの内容・頻度・負荷・中止の基準は、必ず事業所の医師の指示と訪問リハビリテーション計画にもとづいて個別に決めてください。病状や回復の経過には個人差が大きく、加算・減算の要件や介護予防訪問リハビリテーションの取扱い、医療保険との関係は、ご本人の状態や事業所・保険者の判断によって異なります。ご本人の状況に合わせ、主治医やリハビリテーション専門職と相談しながら整えてお使いください。
参考・出典
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」第8条第4項(訪問看護の定義/看護師その他厚生労働省令で定める者)・第5項(訪問リハビリテーションの定義)・第8項(通所リハビリテーションの定義)
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- e-Gov法令検索「介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)」第7条(法第8条第4項の厚生労働省令で定める者=保健師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)・第8条(法第8条第5項の厚生労働省令で定める基準)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第60条(訪問看護の看護師等の員数)/第69条(主治の医師との関係・文書による指示)/第75条(訪問リハビリテーションの基本方針)/第76条(従業者の員数・常勤医師1以上、PT・OT・ST 1以上)/第77条(事業所は病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院)/第80条(具体的取扱方針・医師の指示・リハビリテーション会議の構成員)/第81条(訪問リハビリテーション計画の作成・交付)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
- e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」第13条第19号(主治の医師等の意見)・第19号の2(計画の交付)・第20号(主治の医師等の指示の確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(2.(1)⑨ 退院直後の診療未実施減算の免除/2.(1)⑩ 診療未実施減算の経過措置の延長等/2.(1)⑫ ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化/4.(1)② 理学療法士等による訪問看護の評価の見直し)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1217「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(令和6年3月15日 老高発0315第2号ほか/令和6年4月1日適用)
https://www.mhlw.go.jp/content/001227728.pdf
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 訪問リハビリテーション」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group5.html
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 訪問看護」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group4.html
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 通所リハビリテーション(デイケア)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html
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本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。運営者の経歴と、文例を使うときの注意は運営者情報(/about/)に記載しています。


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