訪問入浴介護は、ケアプラン第2表に書く内容がワンパターンになりやすいサービスです。

「安全に入浴できる」「清潔を保持できる」。どの利用者さんでも同じ2行になってしまい、その方らしさが出ない。そんな悩みをよく聞きます。
この記事では、場面別に135の文例をまとめました。そのままコピーして、利用者さんの状況に合わせて言葉を入れ替えて使ってください。
この記事の文例の並び方
場面ごとに、第2表の欄の順に並べています。
1行目:ニーズ(「〜したい」「〜してほしい」の形)
2行目:長期目標
3行目:短期目標
4行目以降:サービス内容
上から順にコピーすれば、そのまま第2表の1行分になります。場面によってサービス内容が2行以上あるので、必要なものを選んでください。
文例の前に:訪問入浴介護はどんなサービスか
介護保険法第8条第3項は、訪問入浴介護を「居宅要介護者について、その者の居宅を訪問し、浴槽を提供して行われる入浴の介護」と定義しています。
ポイントは「浴槽を提供して」の部分です。自宅の浴室を使うのではなく、専用の浴槽を居室に持ち込んで入浴します。ここが、自宅の浴室で介助する訪問介護の入浴介助との一番の違いです。
もう一つ。訪問入浴介護は、介護保険法施行規則第66条が定める「居宅サービス等区分」に列挙されています。つまり区分支給限度基準額の対象です。限度額の枠内でプランに組み込みます。
先に押さえておきたい3つのコツ
コツ1:看護職員を含む3人体制が省令で決まっている
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第50条第6号は、次のように定めています。
「指定訪問入浴介護の提供は、一回の訪問につき、看護職員一人及び介護職員二人をもって行うものとし、これらの者のうち一人を当該サービスの提供の責任者とする」
つまり訪問入浴介護は、毎回の訪問に看護職員が入ることが原則のサービスです。
これが分かっていると、第2表のサービス内容に書けることが一気に広がります。「入浴の介助」だけでなく、入浴前のバイタル確認、皮膚状態の観察、当日の入浴可否の判断まで、このサービスの役割として書けるからです。医療的ケアのある方や病状の観察が必要な方に位置づける根拠にもなります。
なお同号のただし書きでは、利用者の身体の状況が安定していること等の場合に、主治の医師の意見を確認した上で看護職員に代えて介護職員を充てることができるとされています。体制を変更する場合の要件も条文で決まっている、ということです。
コツ2:ニーズは「お風呂に入りたい」で止めない
「入浴したい」だけでは、なぜ訪問入浴でなければならないのかが見えません。書くべきは、入浴の先にある生活です。
❌ 安全に入浴したい
⭕ 足が上がらなくなり自宅の浴槽に入れないが、湯船につかって温まりたい
❌ 清潔を保持したい
⭕ 床ずれができやすいので、皮膚を清潔に保って悪化を防ぎたい
「なぜ自宅の浴室では難しいのか」「入浴で何を守りたいのか」が入ると、その方の第2表になります。
なお、家族の意向として書くときは「(家族)お風呂に入れてあげたい」のように、誰の希望かが分かる形にしておくと、運営指導で説明しやすくなります。
コツ3:当日中止・変更がありうる前提で書く
訪問入浴は、当日の体調次第で中止や変更がありえるサービスです。実務では、全身入浴が難しい日に清拭や部分浴で対応することもあります。
だから頻度欄やサービス内容に、あらかじめ「体調により清拭・部分浴へ変更あり」と含みを持たせておくと、実施記録とプランが食い違いません。中止したときに誰へ連絡するかまで書いておくと、さらに実務で使えるプランになります。
⚠️ 清拭・部分浴に変更した場合の報酬上の取り扱いなど、給付管理の実務は保険者や請求ソフトの案内に沿って確認してください。
自宅の浴室で入れなくなった方(22文例)
浴槽をまたぐのが難しくなった方
- 足が上がらなくなり自宅の浴槽に入れないが、湯船につかって温まりたい
- 定期的に入浴し、清潔と気持ちよさを保ちながら自宅での生活を続ける
- 週1回、訪問入浴で全身入浴ができる
- 看護職員を含む3人体制の訪問入浴介護により、安全に全身入浴を行う
- 入浴前に血圧・体温・脈拍を確認し、体調に応じて入浴の可否を判断する
- 入浴後の水分補給と着替えまでを一連の流れとして支援する
浴室の環境が合わなくなった方
- 浴室が狭く介助のスペースがないため、家の中で安全に入浴できる方法がほしい
- 住み慣れた自宅で、安全に入浴できる状態を保つ
- 浴室の環境に左右されず、月◯回の入浴を続けられる
- 居室に浴槽を持ち込み、ベッドサイドで入浴の介助を行う
- 身体に触れる器具はサービス提供ごとに消毒されたものを使用し、清潔に入浴する
入浴中の転倒が心配な方
- 1人で入るのは転ぶのが怖いので、安心して入浴したい
- 転倒することなく、安心して入浴を続けられる
- 見守りと介助のもとで、不安なく入浴できる
- 浴槽への出入りを含め、入浴の一連の動作を複数の職員で介助する
- 入浴前後の移乗は、本人のペースに合わせて声かけしながら介助する
家族だけでは介助しきれない方
- 家族の介助だけでは入浴が難しくなってきたが、お風呂は続けたい
- 無理のない方法で入浴を続け、本人も家族も安心して過ごせる
- 家族が付き添わなくても、定期的に入浴できる
- 看護職員1人・介護職員2人の3人体制で入浴の介助を行う
- 入浴時の様子を家族に伝え、日常の介護の参考にしてもらう
- 体調がすぐれない日は清拭や部分浴に切り替え、清潔を保つ
寝たきり・重度の方(23文例)
寝たきりで過ごしている方
- 寝たきりになってからお風呂に入れていないので、湯船につかりたい
- 定期的な入浴により、清潔を保ちながら穏やかに過ごせる
- 週1回、ベッドのそばで全身入浴ができる
- 寝た姿勢のまま入浴できる浴槽を使用し、全身入浴を行う
- 入浴前後にバイタルサインを測定し、看護職員が体調を確認する
- 入浴の機会に全身の皮膚状態を観察し、変化があればケアマネジャーへ報告する
拘縮が強い方
- 体が固くなってきて家では洗えない部分があるので、全身をきれいにしたい
- 全身の清潔が保たれ、皮膚トラブルなく過ごせる
- 関節に負担をかけない方法で、定期的に入浴できる
- 拘縮の状態に合わせた姿勢と支え方で入浴の介助を行う
- 脇の下や手のひらなど、日常のケアでは洗いにくい部分の清潔を保つ
- 湯で体が温まった状態で、無理のない範囲で手足を動かす支援を行う
褥瘡がある方・予防したい方
- 床ずれができやすいので、皮膚を清潔に保って悪化を防ぎたい
- 皮膚の清潔が保たれ、褥瘡が悪化せずに過ごせる
- 入浴のたびに皮膚状態の確認を受け、変化に早く気づける
- 入浴時に看護職員が褥瘡と全身の皮膚の状態を観察し、変化を関係者へ報告する
- 処置部位は主治医・訪問看護の指示に沿った方法で保護して入浴する
- 入浴後は皮膚の状態に応じた保湿など、指示に基づくケアにつなげる
移動・移乗に全介助が必要な方
- 自分では動けないが、安全にお風呂に入れてもらいたい
- 負担の少ない方法で、入浴を続けられる
- 移乗のときの苦痛や不安なく入浴できる
- ベッドから浴槽への移乗は3人の職員で協力して行い、安全を確保する
- 移乗の際は必ず声かけを行い、本人が安心できるペースで進める
医療的ケアを受けている方(22文例)
在宅酸素を使っている方
- 酸素をつけていても、お風呂に入りたい
- 体に負担をかけない方法で、入浴を続けられる
- 息苦しさが出ることなく、入浴できている
- 主治医の指示に基づき、酸素を使用したまま入浴の介助を行う
- 入浴前後に呼吸の状態を確認し、負担の少ない入浴時間で実施する
- 息苦しさが出たときは中止し、主治医・訪問看護へ連絡する体制をとる
経管栄養・胃ろうの方
- 胃ろうがあってもお風呂に入れると聞いたので、入浴させてあげたい
- 清潔が保たれ、トラブルなく在宅生活を続けられる
- 注入の時間と重ならない時間帯で、定期的に入浴できる
- 胃ろう部の皮膚の状態を入浴時に観察し、変化があれば主治医・訪問看護へ報告する
- 注入スケジュールを踏まえて訪問時間を調整し、負担なく入浴する
尿道カテーテル・ストーマのある方
- 管が入っていても、湯船につかりたい
- カテーテルのトラブルなく、入浴を続けられる
- 安心して全身入浴ができている
- カテーテルの固定と取り扱いに注意しながら、入浴の介助を行う
- ストーマ装具の取り扱いについて、あらかじめ訪問看護と手順を共有しておく
- 入浴時に皮膚や装具まわりの状態を確認し、変化があれば関係者へ報告する
病状の観察が必要な方
- 病気があっても、体調を見ながら入浴を続けたい
- 体調の変化に早く気づきながら、入浴を続けられる
- 入浴のたびに看護職員の体調確認を受けられる
- 入浴前にバイタルサインを測定し、当日の入浴可否を確認して実施する
- 入浴を中止する目安を、主治医・家族・事業所であらかじめ共有しておく
皮膚・清潔の課題がある方(16文例)
皮膚トラブルがある方
- 湿疹やただれがあるので、清潔にして皮膚をよくしたい
- 皮膚の状態が落ち着き、かゆみや痛みなく過ごせる
- 皮膚の清潔が保たれ、悪化せずに過ごせている
- 主治医の指示に沿った洗い方・湯温で入浴の介助を行う
- 入浴時に皮膚の状態を観察し、気になる変化は受診につなげる
- 入浴後の軟膏塗布などのケアは、指示された方法で家族・訪問看護と分担する
かゆみ・乾燥が強い方
- 体のかゆみがつらいので、お風呂でさっぱりしたい
- かゆみが和らぎ、夜眠れる状態を保つ
- 皮膚の乾燥によるかゆみが減っている
- 洗浄剤や湯温に配慮し、皮膚に負担の少ない方法で入浴する
- 入浴後の保湿を習慣にできるよう、方法を家族と共有する
長く入浴できておらず清潔を保ちたい方
- しばらくお風呂に入れていないので、体をきれいにしてさっぱりしたい
- 清潔が保たれ、気持ちよく人と会える状態でいられる
- 月◯回の入浴を続けられている
- 全身入浴により、頭髪から足先までの清潔を保つ
- 入浴を生活の楽しみとして位置づけ、本人の好みに合わせた声かけを行う
認知症の方(11文例)
入浴を嫌がる方
- 本人がお風呂を嫌がるようになったが、体は清潔に保ってあげたい
- 本人が抵抗なく入浴でき、清潔を保てる
- 落ち着いて入浴できる日が増えている
- 無理に勧めず、本人の気持ちに合わせた声かけで入浴に誘う
- 入浴を嫌がる背景を関係者で共有し、本人が安心できる関わり方をそろえる
- その日の様子で全身入浴が難しいときは、部分浴や清拭に切り替える
入浴の手順が分からなくなってきた方
- お風呂の入り方が分からなくなってきたので、手伝ってもらいたい
- 戸惑うことなく、気持ちよく入浴を続けられる
- 介助を受けながら、落ち着いて入浴できている
- 毎回同じ流れ・同じ声かけで入浴を進め、本人の混乱を減らす
- 本人ができる動作は本人に行ってもらい、できない部分を介助する
ターミナル期の方(12文例)
最期まで入浴を楽しみたい方
- 体は弱ってきたが、大好きなお風呂に最期まで入りたい
- 苦痛が少ない状態で、本人の望む入浴を続けられる
- 体調のよい日に、湯船につかることができている
- 主治医・訪問看護と連携し、当日の体調を確認したうえで入浴を行う
- 負担を減らすため、湯温と入浴時間を本人の状態に合わせて調整する
- 本人と家族の希望を確認しながら、そのつど無理のない方法を選ぶ
体調に波があり全身入浴が難しい日がある方
- その日の体調に合わせて、できる形でお風呂に入りたい
- 清潔と心地よさを保ちながら、自宅での療養を続けられる
- 体調に応じた方法で、清潔を保てている
- 入浴前の体調確認により、全身入浴・部分浴・清拭を当日判断で使い分ける
- 中止・変更の判断の目安を、主治医・家族・事業所であらかじめ決めておく
- 実施した内容と本人の様子を記録し、ケアマネジャー・訪問看護と共有する
家族の介護負担が大きい方(11文例)
家族が入浴介助をしている方
- 家族だけの入浴介助が限界なので、専門職に任せて安全に入れてあげたい
- 本人は安全に入浴でき、家族は無理なく介護を続けられる
- 入浴介助を任せられる日ができ、家族の負担が減っている
- 入浴の介助を訪問入浴介護に切り替え、家族は着替えの準備と見守りを担う
- 入浴時に気づいた変化を家族へ伝え、日々の介護に生かしてもらう
- 家族が休める時間を確保できるよう、訪問日時を調整する
高齢の配偶者が介護している方
- 夫(妻)も高齢で入浴介助ができないが、お風呂には入れてあげたい
- 2人とも無理をせず、自宅での生活を続けられる
- 配偶者が介助しなくても、定期的に入浴できている
- 入浴に伴う一連の介助をすべて職員が行い、配偶者の負担をなくす
- 訪問時に配偶者の体調や困りごとにも目を配り、必要なときはケアマネジャーへつなぐ
サービス内容欄に書ける共通の文例(18文例)

- 看護職員1人・介護職員2人による訪問入浴介護
- 入浴前のバイタルサイン測定(血圧・体温・脈拍)と入浴可否の確認
- 寝た姿勢のまま入浴できる浴槽を居室に持ち込んでの全身入浴
- 洗身・洗髪および入浴後の着替え・整容の介助
- 入浴時の全身の皮膚状態の観察と、変化があった場合の報告
- 入浴後の水分補給の促し
- 体調に応じた清拭・部分浴への変更
- 入浴を中止した場合の主治医・ケアマネジャーへの連絡
- 使用する浴槽・器具のサービス提供ごとの消毒
- 褥瘡・処置部位の保護と、指示に基づく入浴方法の実施
- 移乗・体位変換を含む入浴に伴う一連の介助
- 本人の状態に合わせた湯温・入浴時間の調整
- 入浴時の様子の記録と、家族・関係事業所への情報提供
- 訪問看護・訪問介護と連携した入浴日程の調整
- 状態変化時にサービス担当者間で共有する連絡体制の確認
- 本人・家族の希望を踏まえた入浴方法の調整
- 気づいた変化を踏まえたケアプラン見直しへの情報提供
- 主治医の意見を確認したうえでの職員体制の調整
ここから先は書き方の補足です
頻度欄の書き方(見本)
例)週1回(体調により清拭・部分浴へ変更あり)
例)週1回(夏季は週2回)
例)月4回(入浴前にバイタル確認のうえ実施)
例)週1回(中止時は主治医・ケアマネジャーへ連絡)
例)退院後当面は週1回、状態に応じて調整
よくある迷いどころ
訪問介護の入浴介助と何が違いますか
訪問入浴介護は、専用の浴槽を持ち込んで行う入浴です。介護保険法の定義に「浴槽を提供して」と書かれています。自宅の浴室が使える方の介助なら訪問介護、浴室が使えない・移動が難しい・看護職員の体調確認が必要という方なら訪問入浴、という整理が出発点になります。
デイサービスで入浴していても使えますか
両方入っている方は珍しくありません。大事なのは、第2表でそれぞれの目的が分かれていることです。たとえば「デイでは活動と交流、訪問入浴では寝た姿勢での全身入浴と皮膚状態の観察」のように、なぜ両方必要かが読み取れる書き方にしておきます。給付管理上の取り扱いに迷う場合は、保険者に確認してください。
看護職員が来るなら、医療処置もしてもらえますか
訪問入浴の看護職員の役割は、入浴に伴う体調確認や観察が中心です。処置やケアそのものが必要な方は、訪問看護の位置づけをあわせて検討します。どこまで対応できるかは事業所によって違いがあるので、契約前に確認しておくと確実です。
要支援の方は使えますか
要支援の方向けには、介護予防訪問入浴介護という別のサービスがあります(指定介護予防サービス等基準第46条)。位置づけの考え方や取り扱いは要介護の場合と異なる点があるため、地域包括支援センターや保険者に確認してください。
まとめ
✓ 訪問入浴介護は「浴槽を提供して」行う入浴の介護。自宅の浴室で介助する訪問介護とはここが違う
✓ 1回の訪問は看護職員1人・介護職員2人の3人体制が原則(基準省令第50条第6号)。だからバイタル確認・皮膚観察・中止判断まで第2表に書ける
✓ ニーズは「入浴したい」で止めず、なぜ自宅の浴室では難しいのか・入浴で何を守りたいのかまで書く
✓ 当日中止・清拭や部分浴への変更がありうる前提で、頻度欄に含みを持たせておく
✓ 区分支給限度基準額の対象サービス。給付管理の細かな取り扱いは保険者に確認する
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参考・出典
介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第3項・第43条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第44条・第45条・第50条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第66条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
※制度の取り扱いや給付管理の実務は、保険者によって案内が異なる場合があります。実際の取り扱いについては、お住まいの市区町村(保険者)にご確認ください。

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