【福祉用具貸与・販売/住宅改修】ケアプラン第2表の文例集|ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容(コピペ可/42場面)

福祉用具貸与・販売と住宅改修のケアプラン第2表の文例集。貸与・販売・工事の書き分け サービス別文例

福祉用具の第2表で手が止まるのは、たいてい「用具の名前しか書けない」時です。ニーズに「特殊寝台を借りたい」、長期目標に「特殊寝台を安全に使用できる」。これでは、なぜその用具なのかが誰にも伝わりません。書くべきは用具名ではなく、その用具で暮らしのどこが変わるかです。

この記事では、福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修を位置づけるときの第2表を、42場面の文例セットにまとめました。1つの場面につき「ニーズ→長期目標→短期目標→サービス内容」の4行がそろっています。近い場面を探して行ごとコピーし、ご本人の暮らしに合わせて整えてお使いください。

ケアプラン第2表の様式全体。ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容の4つの欄の位置を示した図
この記事の文例は、第2表の①ニーズ ②長期目標 ③短期目標 ④サービス内容 の4つの欄にそのまま入ります(1つの場面につき4行セット)
  1. その前に:3つの財布を分けて考える
  2. 場面1 歩行・移動を支える(手すり・スロープ・つえ)
    1. 01 玄関の上がりかまちで足が上がらない
    2. 02 廊下でふらつき、壁伝いに歩いている
    3. 03 掃き出し窓の段差で庭に出られない
    4. 04 買い物の途中で休む場所がない
    5. 05 つえ1本では不安が残る
  3. 場面2 起き上がり・寝返り・就寝環境
    1. 06 布団から起き上がれず、朝の身支度が遅れる
    2. 07 ベッドから足を下ろすと前のめりになる
    3. 08 マットレスが柔らかすぎて寝返りが打てない
    4. 09 ベッドの高さが合わず、立ち上がりで尻もちをつく
  4. 場面3 床ずれの予防・体位変換
    1. 10 臀部に赤みが出てきた
    2. 11 自力で寝返りが打てず、家族が夜中に何度も起きる
  5. 場面4 移乗・持ち上げる介助を減らす
    1. 12 抱え上げる介助で介護者の腰が限界
    2. 13 畳に座ると立ち上がれない
    3. 14 車いすへの移乗が2人がかりになっている
  6. 場面5 車いす・外出の場面
    1. 15 長い距離を歩けず、受診に行けなくなった
    2. 16 車いすに座ると体が右に傾く
    3. 17 家族の車に車いすが積めない
  7. 場面6 排泄(腰掛便座・自動排泄処理装置など)
    1. 18 夜間、トイレまで間に合わない
    2. 19 洋式便器に座ると立ち上がれない
    3. 20 排尿のタイミングが分からず、失敗が続く
    4. 21 全介助のおむつ交換で、介護者が夜間に眠れない
  8. 場面7 入浴(入浴補助用具・簡易浴槽)
    1. 22 浴槽をまたぐのが怖い
    2. 23 浴室の床で足が滑る
    3. 24 浴槽の底から立ち上がれない
    4. 25 自宅に入浴できる場所がない
  9. 場面8 認知症・見守りの用具
    1. 26 夜中に玄関から出て行ってしまう
    2. 27 ベッドから降りて転倒することが増えた
    3. 28 1人で外に出た時に、居場所が分からない
  10. 場面9 軽度者への例外給付
    1. 29 要介護1だが、日によって起き上がれない
    2. 30 要支援2で、短期間の悪化が見込まれる
    3. 31 要介護1で、上体を起こして寝る必要がある
    4. 32 要介護1だが、屋外は歩けない
  11. 場面10 住宅改修/手すりの取付け・段差の解消
    1. 33 玄関から道路までの段差で外に出られない
    2. 34 トイレで立ち座りができない
    3. 35 浴室の出入口に段差がある
    4. 36 廊下と居室の敷居につまずく
  12. 場面11 住宅改修/床材の変更・扉・便器
    1. 37 畳で足を引っかけ、転びやすくなった
    2. 38 開き戸が重くて開けられない
    3. 39 和式便所が使えなくなった
    4. 40 賃貸住宅で、工事の許可が要る
  13. 場面12 選択制・見直し・返却
    1. 41 半年後も同じ歩行器を使うか決めきれない
    2. 42 リハビリで歩けるようになり、歩行器が余っている
  14. 書くときのコツ
    1. コツ1:用具名を目標に書かない
    2. コツ2:貸与・販売・住宅改修の3つを、財布ごとに分けて書く
    3. コツ3:軽度者は「書く前に手続き」の順番を守る
  15. 要確認:市町村確認の様式・添付書類・有効期間(申請のたびに必要か、認定期間中は有効か)は保険者によって扱いが分かれます。担当地域の運用をご確認ください
    1. コツ4:選択制は「選んだ理由」まで残す
    2. コツ5:住宅改修は「工事の前」に動く
    3. コツ6:福祉用具専門相談員に任せきりにしない
    4. 運営指導で見られやすいポイント
    5. 現場のひとこと
  16. 要確認:特定福祉用具販売と住宅改修の支払い方法について、償還払いに加えて受領委任払いを認めている保険者があります。担当地域で受領委任払いが使えるかどうかは、保険者ごとにご確認ください
  17. 要確認:住宅改修の「その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修」については、手すり取付けのための壁の下地補強、段差解消に伴う給排水設備工事、床材変更のための下地の補修や根太の補強、扉の取替えに伴う壁・柱の改修、便器の取替えに伴う給排水設備工事が国の通知で例示されています。この例示から外れる工事をどこまで認めるかは保険者によって判断が分かれるため、見積り段階で保険者にご確認ください
  18. 参考・出典
  19. あわせて読みたい

その前に:3つの財布を分けて考える

同じ「手すり」でも、制度上の扱いは3通りに分かれます。ここを取り違えたまま第2表を書くと、支給申請の段階で差し戻されます。

  • 福祉用具貸与=毎月の区分支給限度基準額の中で、1割〜3割負担で借りる。手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置の13種目。
  • 特定福祉用具販売=入浴と排泄に関わるもの、直接肌に触れて再利用しにくいものが対象。腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分。これに令和6年4月から選択制の3種目(固定用スロープ、歩行器、歩行補助つえ)が加わり、現在は9種目です。同一年度で10万円までが上限で、選択制で販売を選んだ分もこの10万円に含まれます。原則はいったん全額を支払ってから払い戻しを受ける償還払いです。
  • 住宅改修=工事を伴うもの。生涯で20万円が上限(要介護度にかかわらず定額)で、着工前の申請が必要です。

分かれ目でいちばん多い相談が、手すりとスロープです。工事を伴わない置き型・突っ張り型の手すりは貸与、壁に固定する手すりは住宅改修。持ち運びできる可搬型のスロープは貸与、敷居などの小さな段差に据え置く固定用スロープは貸与と販売の選択制、コンクリートで斜路を作れば住宅改修になります。

※令和6年4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車は除く)・単点杖(松葉づえは除く)・多点杖の4種目は、貸与と販売のどちらかを選べる選択制になりました。選択制については後半のコツ4で扱います。

場面1 歩行・移動を支える(手すり・スロープ・つえ)

「転ばないように」だけで終わらせず、どこへ行きたいのかまで書くと、目標が測れる形になります。

01 玄関の上がりかまちで足が上がらない

【こんな場面】要介護1・80代女性。玄関の段差が18cmあり、外出をやめてしまった。

  • ニーズ:玄関の段差でつまずくのが怖いので、自分の足で外に出たい。
  • 長期目標:介助を受けずに玄関を出入りし、週1回の買い物に行ける。
  • 短期目標:手すりを支えにして、上がりかまちの昇り降りを見守りだけで行える。
  • サービス内容:福祉用具貸与(手すり)=据え置き型手すりの設置、高さと向きの調整、使用方法の説明。福祉用具専門相談員が福祉用具サービス計画を作成し、モニタリングで使い勝手を確認する。

02 廊下でふらつき、壁伝いに歩いている

【こんな場面】要介護2・80代男性。廊下の途中でふらつき、壁に手をついて進んでいる。

  • ニーズ:途中でふらついて怖いので、家の中を自分で歩いて移動したい。
  • 長期目標:家の中の移動を1人で行い、転倒せずに1か月を過ごせる。
  • 短期目標:廊下とトイレの前で手すりを使い、壁に手をつかずに歩ける。
  • サービス内容:福祉用具貸与(手すり)=突っ張り型手すりの設置と定期点検。訪問介護(身体介護)=歩行の見守りと、ふらつきの状況の記録。

03 掃き出し窓の段差で庭に出られない

【こんな場面】要介護2・70代女性。庭いじりが趣味だが、窓の段差12cmを越えられない。

  • ニーズ:庭に出る段差が越えられないので、また鉢植えの世話をしたい。
  • 長期目標:庭に出て、季節ごとの花の手入れを続けられる。
  • 短期目標:スロープを使って、家族の見守りのもとで庭に出られる日を週3日にできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(スロープ)=可搬型スロープの選定と設置角度の調整、滑り止めの確認。

04 買い物の途中で休む場所がない

【こんな場面】要介護1・80代女性。独居。300mほど歩くと足が上がらなくなる。

  • ニーズ:途中で休めないので、近所のスーパーまで自分で買い物に行きたい。
  • 長期目標:週2回、自分で食材を選んで買い物に行ける。
  • 短期目標:座面つきの歩行車を使い、休憩をはさみながら片道300mを歩ける。
  • サービス内容:福祉用具貸与(歩行器)=座面つき歩行車の選定、ブレーキ操作の練習、屋外での使用方法の確認。

05 つえ1本では不安が残る

【こんな場面】要介護1・70代男性。左足に力が入りにくく、T字つえでは体が傾く。

  • ニーズ:つえ1本では体が傾いて不安なので、通院を自分で続けたい。
  • 長期目標:月2回の通院を1人で行い、外出の機会を保てる。
  • 短期目標:多点杖を使い、立ち止まらずにバス停まで歩ける。
  • サービス内容:福祉用具貸与または特定福祉用具販売(歩行補助つえ・多点杖)=選択制の説明、支持面の広さと高さの調整、屋外歩行の確認。

※多点杖は令和6年4月から選択制の対象です。貸与と販売のどちらを選んだのかと、その理由を第2表または支援経過に残しておきます。

場面2 起き上がり・寝返り・就寝環境

特殊寝台は「介護しやすいから」ではなく、本人の起き上がり・立ち上がりを支えるものとして書きます。

06 布団から起き上がれず、朝の身支度が遅れる

【こんな場面】要介護2・80代女性。布団から起き上がるのに10分以上かかる。

  • ニーズ:起き上がりに時間がかかるので、朝の支度を自分のペースで進めたい。
  • 長期目標:朝の起床から着替えまでを自分で行い、日中の活動時間を保てる。
  • 短期目標:背上げ機能を使い、介助を受けずに起き上がってベッドの端に座れる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台・特殊寝台付属品)=ベッドの高さ・背上げ角度の調整、マットレスとサイドレールの選定、操作方法の説明。

07 ベッドから足を下ろすと前のめりになる

【こんな場面】要介護3・80代男性。端座位で体が前に倒れ、家族が支えている。

  • ニーズ:座ると前に倒れて怖いので、自分でベッドの端に座っていたい。
  • 長期目標:ベッドの端に座って靴下を履き、朝の身支度に参加できる。
  • 短期目標:介助バーにつかまり、支えなしで1分間座位を保てる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台付属品)=介助バーの取り付け位置の調整。訪問リハビリテーション=座位保持の練習と、姿勢の確認。

08 マットレスが柔らかすぎて寝返りが打てない

【こんな場面】要介護3・70代女性。沈み込むマットレスで、夜間に何度も家族を呼ぶ。

  • ニーズ:体が沈んで動けないので、夜は自分で寝返りを打ちたい。
  • 長期目標:夜間に自分で体の向きを変え、続けて眠れる時間を確保できる。
  • 短期目標:硬さを変えたマットレスで、介助を呼ぶ回数を1晩2回以内にできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台付属品)=マットレスの硬さと厚みの変更、サイドレールの位置の見直し、1か月後のモニタリング。

09 ベッドの高さが合わず、立ち上がりで尻もちをつく

【こんな場面】要介護2・80代男性。ベッドが低く、立ち上がりの途中で座り込む。

  • ニーズ:立ち上がる途中で座り込んでしまうので、自分でトイレまで歩きたい。
  • 長期目標:日中の排せつをトイレで行い、在宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:高さを調整したベッドから、手すりを使って1人で立ち上がれる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台・特殊寝台付属品)=床からの高さの調整、ベッド用手すりの設置、立ち上がり動作の確認。

場面3 床ずれの予防・体位変換

床ずれ防止用具は、皮膚の状態を誰がどの頻度で見るのかまで書いておくと、担当者会議で役割分担が決まります。

10 臀部に赤みが出てきた

【こんな場面】要介護4・80代女性。日中もベッドで過ごす時間が長く、仙骨部に発赤がある。

  • ニーズ:おしりが痛くて横になっていられないので、痛みなく休みたい。
  • 長期目標:皮膚のトラブルを起こさずに、自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:体圧分散マットレスを使い、発赤が広がらない状態を保てる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(床ずれ防止用具)=体圧分散マットレスの選定と圧の調整。訪問看護=週2回の皮膚状態の観察と記録、変化があった時の主治医への報告。

11 自力で寝返りが打てず、家族が夜中に何度も起きる

【こんな場面】要介護4・70代男性。妻が2時間おきに体位変換をしており、睡眠が取れていない。

  • ニーズ:妻の負担が気になるので、体の向きを変えるのを機械に手伝ってほしい。
  • 長期目標:床ずれをつくらずに、夫婦2人での在宅生活を続けられる。
  • 短期目標:体位変換器を使い、妻が夜間に起きる回数を1晩1回までにできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(体位変換器・床ずれ防止用具)=体位変換器の選定、使い方の説明。訪問介護(身体介護)=就寝前の体位の整えと皮膚の確認。

※体位変換器は、体の下に挿入して体位を容易に変換できる機能があるものが対象です。体位の保持だけを目的とするクッションやパッドは対象になりません。

場面4 移乗・持ち上げる介助を減らす

抱え上げる介助が続いている家庭は、介護者が倒れた時点で在宅生活が止まります。介護者側の状態も第2表の根拠になります。

12 抱え上げる介助で介護者の腰が限界

【こんな場面】要介護5・70代男性。妻が毎日3回、抱え上げて車いすへ移乗している。

  • ニーズ:妻に無理をさせたくないので、安全に車いすへ移りたい。
  • 長期目標:移乗の場面で介護者が腰を痛めることなく、在宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:リフトを使い、抱え上げる移乗を1日0回にできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(移動用リフト)=床走行式リフトの選定と設置場所の検討、操作の指導。特定福祉用具販売(移動用リフトのつり具の部分)=体格に合うつり具の選定。

13 畳に座ると立ち上がれない

【こんな場面】要介護2・80代女性。居間の座卓で過ごすが、床から立ち上がれず動けなくなる。

  • ニーズ:床から立てないので、家族と同じ居間で過ごし続けたい。
  • 長期目標:日中を居間で過ごし、家族との会話の時間を保てる。
  • 短期目標:昇降座椅子を使い、介助なしで床からの立ち座りができる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(移動用リフト・昇降座椅子)=設置場所と昇降速度の調整、使用方法の説明。

※昇降座椅子は移動用リフトの一種として扱われます。軽度者の判断では「立ち上がり」ではなく「移乗」の認定調査項目を用いる点に注意してください。

14 車いすへの移乗が2人がかりになっている

【こんな場面】要介護4・70代男性。ベッドと車いすの間の移乗に2人の介助が必要。

  • ニーズ:人手が集まらないと移動できないので、少ない人数でも車いすに移りたい。
  • 長期目標:日中に車いすで居間に出て、家族と食事をともにできる。
  • 短期目標:スライディングボードを使い、1人の介助で移乗できる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(体位変換器)=スライディングボードの選定と使い方の指導。訪問介護(身体介護)=移乗の介助と、手順の家族への伝達。

場面5 車いす・外出の場面

車いすは「移動できる」ではなく「どこへ行くか」で目標を立てると、達成の判定ができます。

15 長い距離を歩けず、受診に行けなくなった

【こんな場面】要介護3・80代女性。屋内は伝い歩きだが、屋外は50mで息が切れる。

  • ニーズ:途中で歩けなくなるので、月1回の受診を自分で続けたい。
  • 長期目標:定期受診を欠かさず、体調の変化を早めに相談できる。
  • 短期目標:介助用車いすを使い、家族の付き添いで通院を月1回続けられる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(車いす)=介助用車いすの選定、シート幅とブレーキの調整、家族への操作説明。

16 車いすに座ると体が右に傾く

【こんな場面】要介護4・80代男性。左片麻痺。座って30分ほどで体が傾き、姿勢が崩れる。

  • ニーズ:姿勢が崩れて苦しくなるので、座ったまま食事を最後まで食べたい。
  • 長期目標:座位を保って昼食を全量摂取し、体重を維持できる。
  • 短期目標:クッションを変えて、30分間まっすぐ座っていられる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(車いす付属品)=姿勢保持クッションの選定と角度の調整。訪問リハビリテーション=座位姿勢の評価と、崩れた時の直し方の指導。

17 家族の車に車いすが積めない

【こんな場面】要介護3・70代女性。自走用車いすが重く、娘が車に積めない。

  • ニーズ:車に積めなくて外出できないので、娘と一緒に出かけたい。
  • 長期目標:月1回、家族と外出する機会を持てる。
  • 短期目標:折りたためる軽量の車いすに変更し、娘が1人で積み下ろしできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(車いす)=重量と折りたたみ方式の異なる複数の機種の提示、試用による選定、変更後のモニタリング。

※福祉用具専門相談員には、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示することと、貸与しようとする商品の全国平均貸与価格を説明することが求められています。1機種だけを提示された時は、他の選択肢も出してもらってください。

場面6 排泄(腰掛便座・自動排泄処理装置など)

排泄関連は原則として販売です。年度で10万円という上限があるため、購入の順番も含めて相談しておきます。

18 夜間、トイレまで間に合わない

【こんな場面】要介護2・80代女性。寝室からトイレまで8mあり、夜間に失敗が続く。

  • ニーズ:夜に間に合わなくて情けないので、自分で用を足したい。
  • 長期目標:夜間の排せつを自分で行い、下着を汚さずに過ごせる。
  • 短期目標:ポータブルトイレを使い、夜間の失敗を週1回以内にできる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(腰掛便座)=ポータブルトイレの選定、設置場所と高さの調整。訪問介護(身体介護)=朝のバケツの片づけと清拭。

19 洋式便器に座ると立ち上がれない

【こんな場面】要介護1・80代男性。便座が低く、立ち上がりに介助が必要。

  • ニーズ:便座から立てないので、トイレは1人で済ませたい。
  • 長期目標:日中の排せつを1人で行い、家族に頼まずに済む。
  • 短期目標:補高便座を使い、手すりを支えに自分で立ち上がれる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(腰掛便座)=補高便座の高さの選定と取り付け。福祉用具貸与(手すり)=便器横への据え置き型手すりの設置。

20 排尿のタイミングが分からず、失敗が続く

【こんな場面】要介護2・70代女性。尿意の訴えが乏しく、失禁が1日2回ある。

  • ニーズ:気づかないうちに濡れてしまうので、トイレで用を足したい。
  • 長期目標:日中の排せつをトイレで行い、外出をあきらめずに済む。
  • 短期目標:排泄予測支援機器の通知に合わせて誘導を受け、日中の失禁を1日0回にできる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(排泄予測支援機器)=機器の選定と装着方法の説明。訪問介護(身体介護)=通知に合わせたトイレ誘導と記録。

※排泄予測支援機器は、膀胱内の状態を検知して排尿のタイミングを知らせるものです。尿量や残尿を測定して治療に用いる機器は対象になりません。

21 全介助のおむつ交換で、介護者が夜間に眠れない

【こんな場面】要介護5・70代男性。妻が夜間3回のおむつ交換をしている。

  • ニーズ:夜中に何度も妻を起こしてしまうので、負担を減らしたい。
  • 長期目標:介護者が夜間の睡眠を確保し、在宅での介護を続けられる。
  • 短期目標:自動排泄処理装置を使い、夜間の交換を1晩1回までにできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(自動排泄処理装置)=本体の設置と使用方法の説明。特定福祉用具販売(自動排泄処理装置の交換可能部品)=レシーバーやホースなど交換部品の購入。訪問看護=皮膚状態の確認。

※自動排泄処理装置は本体が貸与、交換可能部品が販売という組み合わせになります。第2表でも2行に分けて書くと、給付管理の時に迷いません。

場面7 入浴(入浴補助用具・簡易浴槽)

入浴補助用具は販売の対象です。用具だけで足りるのか、住宅改修や通所介護での入浴が要るのかを、あわせて検討します。

※入浴補助用具は7つに限定されています。入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台(浴槽の縁にかけて使うバスボードなど)、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト。この7つから外れるものは、入浴に使うものであっても保険給付の対象になりません。

22 浴槽をまたぐのが怖い

【こんな場面】要介護1・80代女性。浴槽の縁が高く、入浴の回数が減っている。

  • ニーズ:またぐのが怖くて風呂に入れないので、湯船につかりたい。
  • 長期目標:週2回、自宅の湯船につかって過ごせる。
  • 短期目標:バスボードを使い、腰かけたまま浴槽に入れる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(入浴補助用具)=バスボードと浴槽用手すりの選定、取り付けと使用方法の説明。

23 浴室の床で足が滑る

【こんな場面】要介護2・70代男性。浴室のタイルで滑り、転倒しかけた。

  • ニーズ:足元が滑って怖いので、自宅の風呂を使い続けたい。
  • 長期目標:転倒せずに入浴を続け、清潔を保てる。
  • 短期目標:浴室内すのこと入浴用いすを使い、ふらつかずに浴室内を移動できる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(入浴補助用具)=浴室内すのこと入浴用いすの選定、高さの調整。住宅改修(床材の変更)=浴室床の滑りにくい床材への変更の検討。

※浴室用の滑り止めマットは入浴補助用具(7種)に含まれず、保険給付の対象外です。床の滑り対策を保険で行う場合は住宅改修の「床材の変更」で検討します。

24 浴槽の底から立ち上がれない

【こんな場面】要介護2・80代女性。湯船に座り込むと、自力で立ち上がれない。

  • ニーズ:湯船から出られなくなるので、1人で入浴を終えたい。
  • 長期目標:家族が不在の時間帯でも、自分で入浴を済ませられる。
  • 短期目標:浴槽内いすを使い、介助なしで浴槽から出られる。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(入浴補助用具)=浴槽内いすと入浴用いすの選定、高さの調整、使用手順の説明。

25 自宅に入浴できる場所がない

【こんな場面】要介護4・80代男性。浴室が使えず、清拭のみで1か月が経過。

  • ニーズ:体を洗えないのが気持ち悪いので、湯につかりたい。
  • 長期目標:定期的に入浴し、皮膚のトラブルを起こさずに過ごせる。
  • 短期目標:週1回、居室で全身の入浴ができる。
  • サービス内容:訪問入浴介護=週1回の居宅での入浴と健康チェック。特定福祉用具販売(簡易浴槽)=訪問入浴介護が確保できない場合の代替手段として、簡易浴槽の適否を検討。

※浴室が使えない場合、まず訪問入浴介護を検討します。簡易浴槽は給湯・排水の工事を伴わないため、湯の準備と排水を誰が担うのかまで決まって初めて成立します。

場面8 認知症・見守りの用具

見守り機器は「監視する」ためではなく、本人が動ける範囲を守るために入れます。目的を書き分けると、家族の納得も得やすくなります。

26 夜中に玄関から出て行ってしまう

【こんな場面】要介護2・80代男性。アルツハイマー型認知症。夜間の外出があり、家族が眠れない。

  • ニーズ:夜に外へ出て行くことが心配されているが、本人は日中は自由に出かけたい。
  • 長期目標:安全を確保しながら、住み慣れた自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:玄関の通過を家族が把握でき、外出の際に付き添える体制をつくれる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器)=玄関へのセンサーの設置と通知先の設定。訪問介護(身体介護)=日中の外出の同行。

※本人の意向と家族の心配が食い違う場面です。ニーズ欄は本人の言葉を軸にし、家族の心配は第1表の家族の意向に書き分けます。

27 ベッドから降りて転倒することが増えた

【こんな場面】要介護3・80代女性。認知症があり、夜間に1人でベッドを降りて室内を歩き回り、床で発見されることがある。

  • ニーズ:夜中に転んでしまうので、自分のタイミングでトイレに行きたい。
  • 長期目標:夜間の転倒を起こさずに、自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:離床の通知を受けて家族が付き添うことで、夜間の転倒を1か月0回にできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器)=離床センサーの設置と感度の調整。福祉用具貸与(特殊寝台付属品)=ベッド用手すりの位置の見直し。

※認知症老人徘徊感知機器は「認知症のある方が屋外に出ようとした時、または屋内のある地点を通過した時に感知して通報するもの」と定義されています。離床センサーを位置づける時は、認知症があることと、通過を感知する必要性を記録に残しておきます。

28 1人で外に出た時に、居場所が分からない

【こんな場面】要介護1・70代男性。散歩を日課にしているが、帰り道が分からなくなることがある。

  • ニーズ:帰り道が分からなくなることがあるので、散歩は続けたい。
  • 長期目標:日課の散歩を続けながら、迷った時に早く見つけてもらえる。
  • 短期目標:見守りの仕組みを整えたうえで、日課の散歩を週5日続けられる。
  • サービス内容:市町村の高齢者見守り事業=位置情報端末の貸出し等の利用申請の支援。地域の見守りネットワークへの登録。介護支援専門員=民生委員・近隣への協力依頼の調整。

※位置情報端末(GPS)は介護保険の福祉用具貸与の対象ではありません。市町村の独自事業として貸出しや費用助成を行っている地域があるため、保険外の資源として整理します。

場面9 軽度者への例外給付

要支援1・2と要介護1の方は、車いす・特殊寝台など9種目が原則として算定できません(自動排泄処理装置は要介護3まで。ただし尿のみを自動的に吸引するものは除かれ、軽度者でも算定できます)。ただし例外があります。ここは第2表の書き方より前に、手続きの順番のほうが大事です。

  • まず認定調査票の基本調査結果を見る。特殊寝台・特殊寝台付属品は「起き上がり(1-4)/3.できない」または「寝返り(1-3)/3.できない」、床ずれ防止用具・体位変換器は「寝返り(1-3)/3.できない」、車いす・車いす付属品は「歩行(1-7)/3.できない」、移動用リフトは「立ち上がり(1-8)/3.できない」または「移乗(2-1)/3.一部介助・4.全介助」。該当項目があれば、それが根拠になります。
  • 基本調査の結果では該当しないが必要な場合は、①医師の医学的な所見に基づき、Ⅰ状態が変動しやすい/Ⅱ急速に悪化する/Ⅲ医学的判断から危険の回避が必要、のいずれかに当たること、②サービス担当者会議等を通じて特に必要と判断されること、の2つを満たしたうえで市町村の確認を受けます。
  • 医学的所見の確認方法は、主治医意見書、医師の診断書、担当の介護支援専門員等が聞き取った内容のいずれでも構わないとされています。様式や手段は問われません。
  • 車いす及び車いす付属品の「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」と、移動用リフトの「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」は、担当者会議を通じた各担当者の意見や判断がケアプランに記載されていれば市町村確認が不要とされています。

※確認の様式・添付書類・提出期限は保険者によって異なります。位置づける前に、担当地域の運用を確認しておいてください。

29 要介護1だが、日によって起き上がれない

【こんな場面】要介護1・70代男性。パーキンソン病。薬の効き方に波があり、動けない時間帯がある。

  • ニーズ:薬が効かない時間は起き上がれないので、動ける時間を自分のことに使いたい。
  • 長期目標:日内変動があっても生活のリズムを保ち、通院と入浴を続けられる。
  • 短期目標:動きにくい時間帯でも、背上げ機能を使って自力で起き上がれる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台・特殊寝台付属品)=背上げ機能つきベッドと介助バーの設置。【理由:〇〇医院 〇〇医師より「パーキンソン病治療薬のオン・オフ現象により、日によって起き上がりができない状態が頻繁に起こる」との所見。動きにくい時間帯の起き上がりを背上げ機能で補い、自力での離床を保つために特殊寝台が必要。】介護支援専門員=サービス担当者会議での必要性の確認、市町村への例外給付の確認申請。

※状態が変動しやすい例として、パーキンソン病治療薬によるオン・オフ現象が挙げられています。

※市町村確認では、ケアプランに「医師の所見」「医師氏名」「その用具が特に必要な理由」が書かれているかを見られます。一つでも書面で確認できないと確認が下りません。第4表・第5表にも同じ内容を残します。

30 要支援2で、短期間の悪化が見込まれる

【こんな場面】要支援2・70代女性。がんの末期。認定調査時は自立していたが、進行が早い。

  • ニーズ:これから動けなくなるのが分かっているので、家で過ごし続けたい。
  • 長期目標:自宅で希望する過ごし方を続け、必要な医療とケアを受けられる。
  • 短期目標:状態が変わっても寝床での起き上がりと体位の調整ができる。
  • サービス内容:介護予防福祉用具貸与(特殊寝台・床ずれ防止用具)=ベッドとマットレスの早期導入。【理由:〇〇病院 〇〇医師より「がんの進行が早く、短期間のうちに起き上がりが困難になることが見込まれる」との所見。状態が変わる前に寝床を整え、自力での起き上がりと体位の調整を保つために特殊寝台が必要。】訪問看護=症状の観察と主治医への報告。介護支援専門員=例外給付の確認申請、区分変更申請の検討。

※急速に悪化し、短期間のうちに該当することが確実に見込まれる場合として、がん末期の状態悪化が例示されています。

※要支援1・2の方の計画は「介護予防サービス・支援計画表」で、第2表のような長期目標/短期目標の2段の欄はありません。上の4行は「目標」「目標についての支援のポイント」に読み替えてお使いください。給付の名称も介護予防福祉用具貸与・特定介護予防福祉用具販売・介護予防住宅改修になります。

31 要介護1で、上体を起こして寝る必要がある

【こんな場面】要介護1・80代男性。重度の心疾患があり、主治医から上体を起こした姿勢を指示されている。

  • ニーズ:横になると苦しくなるので、夜は楽な姿勢で眠りたい。
  • 長期目標:夜間の症状悪化を防ぎ、自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:角度を保った姿勢で、夜間に続けて4時間以上眠れる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(特殊寝台)=背上げ角度を保持できるベッドの設置と角度の設定。【理由:〇〇医院 〇〇医師より「重度の心疾患があり、臥位で心不全発作の危険がある。上体を起こした姿勢を保つこと」との指示。急激な動きを避け、心不全発作の危険性を回避するために特殊寝台が必要。】介護支援専門員=担当者会議での確認、市町村への確認申請。

※医学的判断から危険性を回避する例として、心疾患による心不全、ぜんそく発作等による呼吸不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避が挙げられています。

32 要介護1だが、屋外は歩けない

【こんな場面】要介護1・80代女性。屋内は伝い歩きだが、屋外は50mで座り込む。通院と買い物に行けない。

  • ニーズ:外を歩き続けられないので、通院と買い物に出かけたい。
  • 長期目標:月2回の通院と週1回の買い物を続け、外出の機会を保てる。
  • 短期目標:介助用車いすを使い、家族の付き添いで外出できる日を月3回にできる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(車いす)=介助用車いすの選定と操作の説明。介護支援専門員=主治医からの情報収集と、福祉用具専門相談員が参加するサービス担当者会議での必要性の判断、判断の経過の第2表・第4表への記載。

※「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」に該当する場合、各担当者の意見や判断がケアプランに記載されていれば市町村確認は不要とされています。誰がどう判断したかを残しておくことが、そのまま根拠になります。

場面10 住宅改修/手すりの取付け・段差の解消

住宅改修は着工前の申請が原則です。第2表に書いてから工事を始めるのではなく、書いた時点で申請の準備が始まっていると考えます。

33 玄関から道路までの段差で外に出られない

【こんな場面】要介護2・80代男性。玄関前に3段の階段があり、手すりがない。

  • ニーズ:階段が怖くて外に出られないので、自分で通院に行きたい。
  • 長期目標:介助を受けずに玄関を出入りし、通院と散歩を続けられる。
  • 短期目標:手すりを使って、3段の階段を立ち止まらずに降りられる。
  • サービス内容:住宅改修(手すりの取付け)=玄関前階段への手すりの設置。介護支援専門員=住宅改修が必要な理由書の作成、複数事業者からの見積もりの説明、事前申請の支援。

34 トイレで立ち座りができない

【こんな場面】要介護2・80代女性。便器の横に支えるものがなく、家族を呼んでいる。

  • ニーズ:立ち座りで人を呼ぶのが申し訳ないので、トイレは1人で済ませたい。
  • 長期目標:日中の排せつを1人で行い、在宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:手すりを使って、介助なしで便座から立ち上がれる。
  • サービス内容:住宅改修(手すりの取付け)=便器横への横手すりと縦手すりの設置。訪問リハビリテーション=立ち上がり動作の練習と、手すりの高さの助言。

※工事を伴わない置き型・突っ張り型の手すりは福祉用具貸与です。まず貸与で試してから工事の要否を決める、という進め方も選べます。

35 浴室の出入口に段差がある

【こんな場面】要介護2・70代男性。脱衣所と浴室の間に15cmの段差があり、またぐ時にふらつく。

  • ニーズ:またぐ時にふらつくので、自宅の風呂に入り続けたい。
  • 長期目標:週3回の入浴を自宅で続け、清潔を保てる。
  • 短期目標:段差をなくした出入口を、手すりを使って1人でまたがずに通れる。
  • サービス内容:住宅改修(段差の解消・手すりの取付け)=浴室出入口の段差解消と縦手すりの設置。特定福祉用具販売(入浴補助用具)=入浴用いすの選定。

36 廊下と居室の敷居につまずく

【こんな場面】要介護1・80代女性。敷居の3cmの段差でつまずき、2回転倒している。

  • ニーズ:敷居につまずくのが怖いので、家の中を安心して歩きたい。
  • 長期目標:家の中での転倒を起こさずに、ひとり暮らしを続けられる。
  • 短期目標:段差を解消した後、つまずかずに居室と廊下を行き来できる。
  • サービス内容:住宅改修(段差の解消)=敷居部分の段差解消。介護支援専門員=理由書の作成、工事後の状態を確認する写真の準備の支援。

※小さな敷居の段差であれば、固定用スロープ(貸与または販売)で対応できる場合もあります。工事と用具のどちらが本人に合うか、福祉用具専門相談員と一緒に検討してください。

場面11 住宅改修/床材の変更・扉・便器

住宅改修の対象は6種類です。手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え、そしてこれらに付帯して必要となる工事。この枠から外れるものは対象になりません。

37 畳で足を引っかけ、転びやすくなった

【こんな場面】要介護2・80代女性。畳の縁で足を引っかけ、月に1度は転んでいる。

  • ニーズ:畳で足を引っかけるので、居間で安心して過ごしたい。
  • 長期目標:居間での転倒を起こさずに、家族と過ごす時間を保てる。
  • 短期目標:床材を変えた後、居間の中を歩行器でつまずかずに移動できる。
  • サービス内容:住宅改修(床材の変更)=畳からフローリングへの変更。福祉用具貸与(歩行器)=屋内用歩行器の選定と幅の確認。

38 開き戸が重くて開けられない

【こんな場面】要介護3・80代男性。トイレの開き戸が重く、車いすでは開けられない。

  • ニーズ:扉が開けられないので、自分でトイレに入りたい。
  • 長期目標:日中の排せつをトイレで行い、おむつを使わずに過ごせる。
  • 短期目標:引き戸に替えた後、車いすに座ったまま自分で開閉できる。
  • サービス内容:住宅改修(扉の取替え)=開き戸から引き戸への変更、それに付帯する枠の調整。福祉用具貸与(車いす)=トイレの入口幅に合う車いすの選定。

39 和式便所が使えなくなった

【こんな場面】要介護2・80代女性。和式便所でしゃがめず、庭先で済ませてしまうことがある。

  • ニーズ:しゃがめないので、家の中のトイレで用を足したい。
  • 長期目標:自宅のトイレで排せつを行い、外での失敗をなくせる。
  • 短期目標:洋式便器に替えた後、手すりを使って1人で立ち座りができる。
  • サービス内容:住宅改修(便器の取替え・手すりの取付け)=和式便器から洋式便器への取替えと手すりの設置。介護支援専門員=理由書の作成と、工事前後の写真の準備の支援。

40 賃貸住宅で、工事の許可が要る

【こんな場面】要介護2・80代男性。市営住宅に居住。玄関に手すりを付けたい。

  • ニーズ:玄関でふらつくので、支えをつけて自分で出入りしたい。
  • 長期目標:外出の機会を保ち、地域とのつながりを続けられる。
  • 短期目標:手すりを設置し、介助なしで玄関の上がりかまちを昇り降りできる。
  • サービス内容:住宅改修(手すりの取付け)=玄関への手すりの設置。介護支援専門員=住宅の所有者への説明と承諾書取得の支援、理由書の作成、事前申請の支援。

※住宅改修を行う方と住宅の所有者が異なる場合は、所有者の承諾書が必要です。公営住宅は原状回復の条件が付くこともあるため、着工前に管理者へ確認します。

場面12 選択制・見直し・返却

入れて終わりにしないための場面です。使わなくなった用具が置きっぱなしになっている家庭は、思っているより多くあります。

41 半年後も同じ歩行器を使うか決めきれない

【こんな場面】要介護1・70代女性。退院後に歩行器を使い始めたが、今後の見通しが立たない。

  • ニーズ:この先どうなるか分からないので、様子を見ながら歩く練習を続けたい。
  • 長期目標:屋外歩行を続け、週1回の通いの場に参加できる。
  • 短期目標:3か月後に歩行の状態を評価し、貸与を続けるか購入するかを決められる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(歩行器)=選択制の説明と、貸与を選んだ理由およびモニタリング時期の計画への記載。福祉用具専門相談員=モニタリング結果の報告。介護支援専門員=主治医・リハビリ専門職の意見をふまえた担当者会議での再検討。

※選択制の対象になるのは、脚部がすべて杖先ゴム等の形状となる固定式・交互式の歩行器です。車輪やキャスターが付いている歩行車は選択制の対象に含まれず、貸与のみになります。文例04の座面つき歩行車がこれに当たります。

42 リハビリで歩けるようになり、歩行器が余っている

【こんな場面】要介護1・70代男性。訪問リハビリを続け、屋内は杖歩行が安定してきた。

  • ニーズ:使わない道具に部屋を占領されているので、動きやすい部屋にしたい。
  • 長期目標:屋内を杖で移動し、家の中の生活を1人で組み立てられる。
  • 短期目標:使っていない用具を整理し、居室内をつまずかずに移動できる。
  • サービス内容:福祉用具貸与(歩行器)=利用状況の確認のうえ返却の手続き。訪問リハビリテーション=杖歩行の安定性の評価。介護支援専門員=区分支給限度基準額の残りの確認と、他サービスへの振り替えの検討。

書くときのコツ

コツ1:用具名を目標に書かない

「特殊寝台を安全に使用できる」は、目標ではなく手段です。用具は目標を達成するための道具なので、目標欄には用具を使った結果として本人がどうなるかを書きます。「介助を受けずに起き上がってベッドの端に座れる」「夜間の失敗を週1回以内にできる」。この形なら、モニタリングで達成できたかどうかを判定できます。

同じ理由で、「福祉用具貸与を利用できる」「住宅改修ができる」も目標にはなりません。

コツ2:貸与・販売・住宅改修の3つを、財布ごとに分けて書く

同じ場面でも、財布が違えば手続きも上限も別です。第2表のサービス内容欄では、種別を先に書いてから内容を書くと、給付管理と支給申請で迷いません。

  • 福祉用具貸与(手すり)=据え置き型手すりの設置
  • 特定福祉用具販売(入浴補助用具)=バスボードの選定
  • 住宅改修(手すりの取付け)=浴室への縦手すりの設置

1つの場面に複数の財布がまたがることもよくあります。文例21の自動排泄処理装置(本体は貸与・交換部品は販売)や、文例35の浴室(段差解消は住宅改修・入浴用いすは販売)がその例です。

コツ3:軽度者は「書く前に手続き」の順番を守る

要支援1・2と要介護1の方に、車いす・特殊寝台などを位置づけたい時、第2表を先に書いても給付にはつながりません。順番はこうです。

1. 認定調査票の基本調査結果を確認する。該当項目があれば、それが根拠になる。

2. 該当しない場合は、主治医から医学的な所見を得る(主治医意見書・診断書・聞き取りのいずれでも可)。

3. 福祉用具専門相談員が参加するサービス担当者会議で必要性を協議し、判断の経過を第4表に残す。

4. ケアプランに「医師の所見」「医師氏名」「その用具が特に必要な理由」を書く。

5. 市町村の確認を受ける(車いす及び車いす付属品の「日常生活範囲における移動の支援が特に必要」と移動用リフトの「段差の解消が必要」は、ケアプランに各担当者の意見や判断が記載されていれば確認が不要とされています)。

6. そのうえで第2表に位置づける。

順番を守らないと、確認が下りた月より前の期間は保険給付の対象になりません(全額自己負担)。退院に間に合わせようとして先に搬入し、あとで確認を取る、という進め方は事故になります。

要確認:市町村確認の様式・添付書類・有効期間(申請のたびに必要か、認定期間中は有効か)は保険者によって扱いが分かれます。担当地域の運用をご確認ください

コツ4:選択制は「選んだ理由」まで残す

固定用スロープ・歩行器(歩行車は除く)・単点杖(松葉づえは除く)・多点杖の4種目は、貸与と販売のどちらかを選べます。制度上、次の流れが想定されています。

  • 介護支援専門員(不在の場合は福祉用具専門相談員)が、利用者・家族に選択制の趣旨を説明する。
  • 医師等の所見を用意し、サービス担当者会議等で協議して提案する(「長期利用が見込まれるので販売」「利用期間が読めないので貸与」など)。
  • 利用者が貸与か販売かを選ぶ。
  • 貸与を選んだ場合は、ケアプランと福祉用具サービス計画に、貸与を選んだ理由とモニタリングの時期を記載する。モニタリングは利用開始時から6か月以内に少なくとも1回行うとされています。

短期間で状態が変わりそうな時期は貸与、生活が安定して長く使う見通しが立った時は販売、という考え方が基本になります。

書く欄について、国はどの欄に書くかを指定していません。第2表のサービス内容欄に「(貸与を選択:利用期間の見通しが立たないため)」と併記しておくのが、実務上いちばん分かりやすい形です。

販売を選ぶ時に伝えておきたいことが1つあります。販売後のメンテナンスは事業者の努力義務にとどまり、故障や状態変化への対応は利用者と事業所の個別契約になります。他の居宅サービスがなければ、そこで介護支援専門員の関与も終わります。「買ったあと誰に相談するか」を決めてから選んでください。

コツ5:住宅改修は「工事の前」に動く

住宅改修は着工前の申請が原則です。事前申請で提出するのは、支給申請書、工事費見積り書、住宅改修が必要な理由書、改修後の完成予定の状態が分かるもの(図面や写真)。工事後に、領収書、工事費内訳書、改修前後の写真、所有者が違う場合は承諾書を提出します。

理由書を作成できるのは、介護支援専門員、地域包括支援センターの担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上その他これに準ずる資格等を有する者とされています。

理由書を作成しても、利用者から別途費用を徴収することはできません。一方で、地域支援事業の任意事業として住宅改修支援費(理由書の作成費)を支給している自治体があり、その場合は全額が保険給付でまかなわれ、利用者の負担はありません。担当地域に制度があるかどうかを一度確認しておくと、次からの動きが変わります。

覚えておきたい金額と回数はこの4つです。

  • 支給限度基準額は生涯20万円。要介護度にかかわらず定額です。
  • 保険給付は原則9割(上限18万円)、所得に応じて8割(上限16万円)・7割(上限14万円)。
  • 20万円の範囲内なら、複数回に分けて申請できます。
  • 要介護状態区分が3段階以上重くなった時と、転居した時は、改めて20万円までの支給限度基準額が設定されます(3段階上昇によるものは1回限りです)。

段階の数え方は、要支援1が第一段階、要支援2・要介護1が第二段階、要介護2が第三段階、要介護3が第四段階、要介護4が第五段階、要介護5が第六段階です。

コツ6:福祉用具専門相談員に任せきりにしない

福祉用具専門相談員には、利用者ごとに福祉用具貸与・販売計画を作成し、それを利用者と介護支援専門員に交付することが求められています。貸与の場合は、計画作成後に実施状況を把握し、必要に応じて計画を変更します。

こちら側で確認しておきたいのは3点です。

  • 機能や価格帯の異なる複数の商品が提示されたか。
  • 貸与しようとする商品の全国平均貸与価格が説明されたか(貸与件数の多い商品には上限価格が設定されています)。
  • 福祉用具貸与・販売計画のコピーを受け取り、第2表の目標と食い違っていないか。

第2表の短期目標が「介助なしで浴槽から出られる」なのに、福祉用具サービス計画の利用目標が「安全に入浴する」で止まっている。この食い違いは運営指導で指摘されやすい箇所です。

運営指導で見られやすいポイント

  • 目標欄が「福祉用具を利用できる」「住宅改修ができる」になっていないか(手段と目標の混同)。
  • 貸与・販売・住宅改修の区別が、サービス内容欄から読み取れるか。
  • 軽度者に対象外種目を位置づけている場合、基本調査結果または医師の所見・担当者会議・市町村確認の経過が残っているか。
  • 選択制の対象種目について、利用者への説明と選択の経過が記録されているか。貸与を選んだ場合、モニタリングの時期が計画にあるか。
  • 住宅改修について、事前申請の前に理由書が作成されているか。複数事業者からの見積もりについて説明したか(保険者が提出を求める場合があります)。
  • 福祉用具貸与・販売計画を受け取り、第2表の目標と整合しているか。
  • 状態が変わったあとも、使っていない用具が計画に残ったままになっていないか。
  • 区分支給限度基準額を超えていないか(超えた分は全額自己負担になります)。
  • 入院中や短期入所の期間に、貸与の予定がそのまま残っていないか。

現場のひとこと

福祉用具でいちばん多い失敗は、入れ過ぎではなく「入れたまま」です。退院直後に一式そろえたベッドと車いすとポータブルトイレが、半年後もそのまま並んでいる。本人はもうベッドから自分で降りられるのに、サイドレールが4本ついたままだったこともあります。

用具は、増やす提案より減らす提案のほうが伝わりにくいものです。「もう要りませんね」ではなく、「これができるようになったので、次はこれを外してみませんか」。できるようになったことから話を始めると、返却の相談が前向きな話になります。

※文例はあくまで参考です。軽度者への例外給付の判断と市町村確認の手続、住宅改修の対象範囲と付帯工事の扱い、選択制の運用、受領委任払いの可否、市町村の独自事業の有無は、ご本人の状態や保険者の判断によって異なります。ご本人の状況に合わせ、ご家族や福祉用具貸与・販売事業所、施工事業者、主治医、保険者と相談しながら整えてお使いください。

要確認:特定福祉用具販売と住宅改修の支払い方法について、償還払いに加えて受領委任払いを認めている保険者があります。担当地域で受領委任払いが使えるかどうかは、保険者ごとにご確認ください

要確認:住宅改修の「その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修」については、手すり取付けのための壁の下地補強、段差解消に伴う給排水設備工事、床材変更のための下地の補修や根太の補強、扉の取替えに伴う壁・柱の改修、便器の取替えに伴う給排水設備工事が国の通知で例示されています。この例示から外れる工事をどこまで認めるかは保険者によって判断が分かれるため、見積り段階で保険者にご確認ください

参考・出典

  • 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

  • 厚生労働省 法令等データベース「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年1月31日 老企第34号/福祉用具の種目の定義・入浴補助用具7種・住宅改修の付帯工事の例示)

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4381&dataType=1&pageNo=1

  • 厚生労働省「介護保険における住宅改修(制度の概要・住宅改修の種類・支給限度基準額・手続きの流れ)」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf

  • 厚生労働省「福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択制について」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001434739.pdf

  • 厚生労働省 法令等データベース「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(平成12年3月8日 老企第42号)

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4385&dataType=1&pageNo=1

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group21.html

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売」(対象9種目・同一年度10万円)

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group22.html

  • 松山市「住宅改修支援費(住宅改修が必要な理由書の作成費の支給)」

https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/kaigohoken/hokensa-bisu/zaitaku/jukai_shienhi.html

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 住宅改修」

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group23.html

  • 厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(対象種目・制度改正の経緯)」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001490779.pdf

  • 厚生労働省「全国平均貸与価格及び貸与価格の上限」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14518.html

  • 札幌市「軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付(令和7年度版)」(平成27年3月23日厚生労働省告示第94号「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」第31号のイの内容を収録)

https://www3.city.sapporo.jp/download/shinsei/procedure/03153_pdf/presen_03153_007.pdf

  • e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」

https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037

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本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。運営者の経歴と、文例を使うときの注意は運営者情報に記載しています。

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