糖尿病の方の第2表で、そのまま使える文例を集めました。インスリン自己注射・血糖自己測定・低血糖への備え・シックデイ・食事や運動・フットケアなど、この病気ならではの場面ごとに並べています。気になる行をコピーして、ご本人の治療内容や暮らしに合わせて整えてお使いください。なお、インスリンの単位や薬の調整、低血糖時の対応手順は、必ず主治医の指示に基づいて計画に落とします。

ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例

血糖コントロール・通院の継続
- 血糖の値が安定しないので、体調を整えて今の暮らしを続けたい。
- 月1回の受診を欠かさず続けて、糖尿病と長くつきあっていきたい。
- 血糖や体調の変化を主治医に正しく伝えて、自分に合った治療を続けたい。
- 数値のことばかり考えず、楽しみを持ちながら病気とつきあいたい。
インスリン自己注射(手技・見守り)
- 手元がおぼつかなくなってきたが、インスリン注射を自分で続けたい。
- 注射の単位や時間を間違えないか不安なので、確認してくれる人がほしい。
- 注射を打ち忘れることがあるので、決まった時間に打てるようになりたい。
- 注射の手技が自己流になっていないか、定期的に見てもらいたい。
血糖自己測定
- 血糖測定の手順があやふやになってきたので、正しく測れるようになりたい。
- 測った値をどう受け止めればよいかわからないので、暮らしに活かせるようになりたい。
- 血糖の記録を受診のときに主治医へきちんと伝えられるようにしたい。
低血糖・シックデイへの不安
- 外出先で低血糖になったらと思うと怖いので、備えを整えて安心して出かけたい。
- 冷や汗やふるえなどのサインが出たときに、自分で対処できるようになりたい。
- 夜間の低血糖が心配なので、安心して眠れるようにしたい。
- 熱や下痢で食事がとれないときに、薬や注射をどうするか迷わず相談できるようにしたい。
食事療法(食事・栄養)
- 食事づくりが負担になってきたが、血糖に配慮した食事を続けたい。
- つい間食をしてしまうので、無理なく続けられる食べ方を身につけたい。
- 好きなものをすべて我慢するのではなく、楽しみながら食事療法を続けたい。
- 一人分の食事づくりが難しいので、栄養の偏りをなくしたい。
運動療法
- 医師から運動をすすめられているので、体に合った運動を続けたい。
- 家に閉じこもりがちなので、体を動かす機会を持ちたい。
- 膝が痛くて歩くのがおっくうだが、できる範囲で体を動かし続けたい。
服薬管理
- 薬の種類が多くて飲み間違いが心配なので、確実に飲めるようになりたい。
- 飲み忘れると血糖が乱れるので、決まった時間に薬を続けたい。
- 低血糖を起こしやすい薬があると聞いたので、飲み方の注意を守りたい。
フットケア・足病変の予防
- 足の感覚がにぶくなってきたので、傷ややけどに早く気づけるようになりたい。
- 爪切りや足の手入れが自分では難しいので、足を清潔に保ちたい。
- 足の傷が悪化しやすいと聞いたので、毎日足の状態を確かめる習慣をつけたい。
合併症(網膜症による視力低下・腎症・神経障害)
- 目が見えにくくなってきたが、薬や注射を間違えずに続けたい。
- 視力が落ちても、住み慣れた家の中で安全に動けるようにしたい。
- 腎臓が悪くならないよう、塩分やたんぱく質に気をつけた食事を続けたい。
- 足のしびれがあっても、転ばずに安全に暮らしたい。
独居でのインスリン・血糖管理
- 一人暮らしでも、注射や薬を欠かさず続けて在宅生活を守りたい。
- 低血糖で動けなくなったときに、誰かに気づいてもらえる体制がほしい。
- 体調を崩したときにすぐ連絡できる相手を持ち、安心して一人で暮らしたい。
認知機能の低下と注射・服薬の管理
- 注射や薬を済ませたかどうか忘れてしまうので、重複や抜けを防ぎたい。
- 自分でできる部分は続けながら、間違いのない形で治療を続けたい。
- もの忘れが増えても、低血糖などの危険を避けて暮らしたい。
家族の介護(不安・負担)
- 家族が注射や食事の管理を抱え込みすぎないよう、支えを借りながら在宅を続けたい。
- 低血糖やシックデイのときの対応を、家族も相談できる相手がほしい。
長期目標の文例

- 定期受診と毎日の服薬・注射を続け、血糖の安定した状態で在宅生活を送れる。
- 低血糖やシックデイへの備えを整え、安心して外出や交流を続けられる。
- 自分に合った食事と運動を習慣にし、体調よく自分らしい暮らしを続けられる。
- インスリン注射と血糖測定を、支援を受けながら安全に続けられる。
- 毎日のフットケアを習慣にし、足の傷や悪化を防いで自分の足で歩き続けられる。
- 視力低下などの合併症があっても、環境を整えて安全に在宅生活を続けられる。
- 見守りと連絡の体制のもとで、一人暮らしを安心して続けられる。
- 家族が支えを得ながら、無理なく介護を続けられる。
短期目標の文例

血糖コントロール・服薬
- お薬カレンダーを使い、毎食後の薬を飲み忘れなく続けられる。
- 月1回の受診を続け、血糖の記録と体調の変化を主治医に伝えられる。
- 受診結果(HbA1cなど)を訪問看護師やケアマネジャーと共有できる。
インスリン注射・血糖測定
- 訪問看護師の確認を受けながら、決まった時間にインスリン注射を自分で打てる。
- 注射の実施をカレンダーに記録し、打ち忘れや重複を防げる。
- 主治医の指示による週3回の血糖測定を続け、値をノートに記録できる。
- 注射の手技を月2回、看護師と一緒に確認できる。
低血糖時の対応
- 冷や汗・ふるえ・強い空腹感など、低血糖のサインを本人と家族が言える。
- 主治医の指示に基づき、サインが出たらすぐブドウ糖をとることができる。
- ブドウ糖を寝室と外出用のかばんに常備し、置き場所を支援者全員が知っている。
- 低血糖が起きた日時と状況を記録し、受診時に主治医へ伝えられる。
シックデイの備え
- 食事がとれない・熱があるときの対応(シックデイルール)を、あらかじめ主治医に確認しておける。
- 体調を崩したときは自己判断で薬をやめず、その日のうちに主治医または訪問看護師に連絡できる。
- 連絡先の一覧を電話のそばに貼り、本人も家族もすぐ見られる。
食事・運動
- 配食サービスを週5日利用し、血糖に配慮した食事を1日2食とれる。
- 管理栄養士の助言をもとに、間食を1日1回決まった時間にとる形に整えられる。
- 食事の内容と時間の乱れを防ぎ、注射や薬のタイミングと合わせられる。
- 週3回、1回20分程度の散歩を続けられる。
- 通所介護で週2回、体操と入浴を続けられる。
フットケア
- 毎日入浴・着替えのときに、足の裏や指の間に傷や変色がないか確かめられる。
- 訪問看護師による足の観察と爪切りを月2回受けられる。
- 外出時は足に合った靴を履き、素足で過ごさないようにできる。
合併症と暮らす工夫(視力低下・腎症・神経障害)
- 薬の一包化と大きな文字の表示で、見えにくくても飲み間違いを防げる。
- 家の中の段差や照明を整え、つまずきや転倒を防いで移動できる。
- 主治医・管理栄養士の指導に沿って、塩分を控えた食事を続けられる。
- 湯たんぽやこたつでのやけどを防ぐ工夫を、本人と家族が続けられる。
サービス内容の文例

医療との連携
- 訪問看護:血糖値・全身状態の観察、インスリン注射の実施または実施状況・手技の確認、低血糖・シックデイ時の対応(主治医の指示に基づく)、フットケア、主治医との連携。
- 居宅療養管理指導(医師・薬剤師):服薬管理の助言、薬の一包化やお薬カレンダーの調整、低血糖を起こしやすい薬の注意点の説明。
- 居宅療養管理指導(管理栄養士):血糖や腎機能に配慮した食事の助言、本人・家族が続けられる献立の工夫。
- 主治医:血糖コントロールの評価と治療方針の決定、シックデイ時の対応指示。
食事・運動・生活の支援
- 配食サービス:栄養バランスに配慮した食事の提供と、手渡し時の安否確認。
- 訪問介護:調理・買い物の支援、食事や水分の摂取状況の確認、服薬の声かけと確認、注射を実施したかどうかの確認(注射・血糖測定の行為そのものは行わない)。
- 通所介護・通所リハビリテーション:運動の機会と他者との交流、入浴介助、食事・体調の観察。
- 福祉用具貸与・住宅改修:視力低下や足のしびれに応じた手すりの設置・段差の解消による転倒予防(照明の見直しなど住環境の工夫は、本人・家族の取り組みとして位置づける)。
緊急時・見守りの体制(独居・認知機能の低下)
- 緊急通報装置・見守りサービス:低血糖など急変時に外部へ連絡できる体制の確保。
- 訪問系サービスの時間調整:注射・服薬の時間帯に合わせた訪問による実施確認と声かけ。
- 多職種での情報共有:低血糖のサイン・対応手順・連絡先を支援者全員で共有し、異変時は訪問看護・主治医へ連絡。
- 民生委員・近隣・家族による定期的な連絡と安否確認。
本人・家族の取り組みと負担軽減
- 本人:決まった時間の服薬・注射と血糖測定、毎日の足の観察、無理のない範囲での運動、ブドウ糖の携帯。
- 家族:低血糖のサインの理解と対応手順の共有、食事・体調の変化の記録、受診への同行。
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護:インスリン注射など医療の管理を続けながらの家族の休息(レスパイト)の確保。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。糖尿病ならではの、書き分けのコツをまとめました。
コツ1:「血糖コントロールの維持」で止めず、毎日の行動に落とす
❌ 血糖コントロールを良好に維持する。
⭕ お薬カレンダーを使い、毎食後の薬を飲み忘れなく続けられる。
📝 「血糖コントロール」は治療の結果であって、本人の行動ではありません。第2表に書くのは、そこへ向かう毎日の行動——服薬・注射・食事・運動・受診です。HbA1cなどの目標値をいくつにするかは主治医が決めることです。ケアマネジャーが独自に数値目標を設定して書き込むことはしません。計画に書くのは「受診結果を訪問看護師と共有できる」のように、数値と暮らしをつなぐ動きのほうです。
コツ2:低血糖は「起きたら対応」ではなく「段取り」を書く
❌ 低血糖時は適宜対応する。
⭕ ブドウ糖を寝室と外出用のかばんに常備し、置き場所を支援者全員が知っている。
📝 低血糖は、対応が遅れると意識障害まで進むことがあります。起きてから考えるのではなく、計画には段取りを書きます。①サイン(冷や汗・ふるえ・強い空腹感)を本人・家族・支援者が言えるか、②主治医の指示に基づく対応(ブドウ糖の摂取など)が決まっているか、③ブドウ糖の置き場所と連絡先を全員が知っているか。この3点が第2表と支援経過に見える形になっていれば、誰が訪問した日でも同じ対応がとれます。なお、意識がもうろうとしている・呼びかけに反応が鈍いときは、無理に口から食べさせず、すぐ救急要請と主治医への連絡に切り替えます。この切り替えの基準も、あらかじめ主治医に確認しておきます。また、飲み薬でも低血糖は起こります。インスリンの方だけの話ではありません。
コツ3:訪問介護に「できること・できないこと」の線を引いて書く
❌ 訪問介護:インスリン注射の介助。
⭕ 訪問介護:服薬の声かけと確認、注射を実施したかどうかの確認(注射・血糖測定の行為そのものは行わない)。
📝 インスリン注射と血糖測定は医行為にあたるため、訪問介護員は行えません。実施できるのは本人・家族と看護職です。一方で、声かけ・見守り・実施したかどうかの確認・記録は訪問介護の大事な役割になります。この線引きがあいまいな計画は、運営指導で必ず見られますし、現場のヘルパーを困らせます。「行為は訪問看護、確認は訪問介護」と役割を分けて書くと、独居や認知機能が低下した方でも治療を続ける体制が作れます。
運営指導で見られやすいポイント
- インスリン注射・血糖測定の担い手が、医行為の線引きに沿って書かれているか(訪問介護員が行う計画になっていないか)。
- 低血糖時の対応とシックデイの連絡体制が、主治医の指示に基づいて計画上に見えるか。
- 食事・運動の内容が、主治医や管理栄養士の指導と食い違っていないか。
- フットケアや合併症(視力・腎機能・神経障害)の観察が位置づけられているか。
- 独居や認知機能低下がある場合、「誰が・いつ・何を確認するか」が具体的に書かれているか。
現場のひとこと
低血糖が怖くて外出をやめてしまう方を何人も見てきました。備えを一緒に作って「これがあれば出かけられる」に変えること。それが糖尿病のケアプランの役目だと感じています。
※文例はあくまで参考です。インスリンの単位や薬の調整、低血糖・シックデイ時の対応手順は、必ず主治医の指示に基づいて個別に決めてください。症状の出方や治療内容には個人差が大きく、期間や保険適用の可否はご本人の状態や保険者の判断によって異なります。ご本人の状況に合わせ、主治医や訪問看護師・管理栄養士と相談しながら整えてお使いください。
参考・出典
- 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病とは」
https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html
- 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「低血糖」
https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html
- 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「シックデイ」
https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/060/06.html
本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


コメント