週3回の透析に通う方の第2表を開くと、短期目標に「体重増加を◯kg以内に抑える」「水分を1日◯mLまでにする」と書きたくなります。でもその数字は、透析室と主治医が決めて、透析室が毎回測っている数字です。ケアマネジャーが同じ数字を目標欄に写しても、達成を確かめる手段がありません。第2表に書けるのは、その数字を守れる暮らしのほう——透析に通い続ける足、透析日と非透析日で違う体調に合わせた1週間、シャント側の腕を守る介助の約束、です。

この記事では、慢性腎不全で人工透析を受けている方、そして透析導入前(保存期)の方の第2表で使える文例を、場面ごとに146本まとめました。通院の足、透析後の倦怠感、食事の制限、シャントの保護、独居、家族介護、そして「透析をやめたい」と言われた場面まで並べています。気になる行をコピーして、ご本人の状態に合わせて言葉を入れ替えて使ってください。制度の部分は、介護保険法・政令・省令と厚生労働省の通知の原文にあたって書いています。
この記事の文例の並び方
第2表の欄ごとに章を分けています。
1章目:ニーズ(「〜したい」の形・主語はご本人)
2章目:長期目標
3章目:短期目標
4章目:サービス内容
各章の中は場面別に分かれているので、担当の方に近い場面から拾ってください。後半に「書き方のコツ」と「運営指導で見られやすいポイント」があります。
文例の前に:慢性腎不全・透析の第2表で押さえること
日本透析医学会の集計では、2024年末の透析患者は約33万7千人、平均年齢は70歳を超えています。2024年に透析を始めた方の平均年齢は71.7歳で、原因の1位は糖尿病性腎症(37.6%)、2位は腎硬化症(19.1%)です。つまり透析を受けている方の多くは介護保険の年齢層にいて、糖尿病や高血圧を長く抱えてきた方です。透析患者数の伸びは頭打ちになりましたが、平均年齢は上がり続けています。ケアマネジャーが担当する場面は今後も珍しくありません。
腎不全そのものは介護保険の特定疾病に入っていません
40〜64歳の方が介護保険を使えるのは、要介護状態の原因が特定疾病(介護保険法第7条第3項第2号)による場合です。特定疾病16項目は介護保険法施行令第2条に列挙されていますが、「腎不全」「腎臓病」という項目はありません。
ただし第12号が「糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症」です。糖尿病性腎症から透析に至った40〜64歳の方は、この号で申請の入口に立てます。腎硬化症などが原因の方でも、脳血管疾患など別の特定疾病が要介護状態の原因であれば、その疾病で申請できます。腎硬化症や慢性糸球体腎炎が原因の方は特定疾病に当たらないため、65歳になるまでは障害福祉サービスなど別の制度が中心になります。原因疾患を最初に確認してください。糖尿病そのものの文例は【糖尿病】ケアプラン第2表の文例集にまとめています。
目標欄に医学的なアウトカムを書かない
「体重増加を2kg以内に抑える」「カリウム値が下がる」「クレアチニン値が安定する」。透析の第2表でいちばん多い書き間違いは、透析室の管理目標をそのまま写すことです。透析間の体重増加(ドライウェイトからの増え幅)や検査値の目標は主治医が決め、透析室が毎回測って本人に伝えています。ケアマネジャーが同じ数字を書いても、モニタリングで確かめる手段を持っていません。
書くのは、生活の行為と体制です。「水分を1日◯mL以内にする」ではなく「主治医の指示に沿った水分のとり方を、家でも続けられる」。「体重管理ができる」ではなく「毎朝体重を測り、透析室に持参する記録を続けられる」。この記事の文例はすべてこの形で作り、数字は入れていません。
通院の足は、3つの線引きを知ってから組む
透析は週3回、1回あたり数時間かかるのが一般的で、通院の手段がプランの土台になります。訪問介護で通院を支える場合、区分が2つあります。ひとつは訪問介護の類型としての通院等乗降介助(乗車・降車の介助と前後の移動・受診手続きの介助)。もうひとつは老計第10号の身体介護「1-3-3 通院・外出介助」です。
どちらの場合も、病院に着いてからの院内介助には線があります。厚生労働省の事務連絡(平成22年4月28日・介護保険最新情報Vol.149)は、院内介助を「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」と整理しています。同じ事務連絡には、多くの保険者が要件にしている3点——①適切なケアマネジメントを行った上で、②院内スタッフ等による対応が難しく、③利用者が介助を必要とする心身の状態であること——と、その例(院内の移動に介助が必要/認知症その他のため見守りが必要/排せつ介助を必要とする)が載っています。なお通院等乗降介助として位置づけた場合の院内介助は、乗降介助に包括して評価され、別に算定しません。最終判断は保険者なので、位置づける前に確認してください。
医療費と手帳:3つの制度の名前だけは押さえる
透析を受けている方には、医療費とセットで動く制度が3つあります。ケアマネジャーが手続きを代行する立場ではありませんが、名前と行き先を知らないと、本人・家族の困りごとを拾えません。
1. 身体障害者手帳(じん臓機能障害):身体障害者福祉法の別表に「じん臓の機能の障害で永続し、日常生活が著しい制限を受ける程度」が挙げられています。等級表では1級・3級・4級があり、認定は指定医の診断書に基づきます(窓口は市町村)。
2. 自立支援医療(更生医療):障害者総合支援法の自立支援医療のうち、身体障害者手帳を持つ18歳以上の方が対象になる仕組みで、厚生労働省の概要では腎臓機能障害に対する「人工透析療法、腎臓移植術」が例示されています(窓口は市町村)。
3. 特定疾病療養受療証:健康保険法施行令第41条第7項の「特定疾病給付対象療養」を受ける方が、保険者の認定を受けて持つ証です。人工透析を実施している慢性腎不全が対象に含まれ、1か月の自己負担限度額は原則1万円(一定以上の所得区分の70歳未満の方は2万円・同施行令第42条第9項。これは健康保険の場合で、国民健康保険・後期高齢者医療の方は各保険者の案内をご確認ください)。申請先は加入している医療保険です。
すでに全部そろっている方がほとんどですが、転居・保険の切り替え・家族が代わって手続きする場面で抜けが出ます。初回アセスメントで「3つとも手元にありますか」と聞いてみませんか。
ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例(47文例)

この章の文例は「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」欄に書きます。主語はご本人です。
週3回の透析に通い続けたい
- 週3回の透析を、これからも休まず通い続けたい
- 透析の日は体がきついので、送迎を頼んで安全に通いたい
- 自分で車に乗り降りするのが不安なので、手を貸してもらいながら通院したい
- 透析室までの移動や手続きに助けが要るが、病院で対応できない部分を補ってほしい
- 家族に毎回送ってもらうのは申し訳ないので、家族以外の通院の手段を持ちたい
- 天候や体調で通えない日が出ないよう、代わりの手段を決めておきたい
透析日と非透析日で、体調に合わせて暮らしたい
- 透析の後はぐったりして動けないので、その日は無理せず休める形にしたい
- 透析のない日に、家のことや外出をまとめてできるようにしたい
- 週の中で調子の良い日と悪い日があるので、それに合わせた予定で暮らしたい
- 透析から帰った日の食事の支度が負担なので、手伝ってもらいたい
- 透析で1日つぶれてしまうが、残りの日は自分らしく過ごしたい
透析後の倦怠感・血圧の変動がある
- 透析の後に血圧が下がってふらつくことがあるので、転ばずに過ごしたい
- 帰宅後に起き上がれないほどだるい日があるので、安心して横になれる環境にしたい
- 透析後の立ちくらみで台所に立てないことがあるので、その日の食事を確保したい
- 体調の変化に自分で気づいて、透析室や主治医に伝えられるようになりたい
食事・水分の制限を続けたい
- 主治医から指示されている水分のとり方を、家でも守り続けたい
- 塩分やカリウム、リンの制限を守った食事を、自分で作れるようになりたい
- 制限のある食事を毎日作るのが難しいので、配食や調理の手伝いを使いたい
- のどが渇いてつい飲んでしまうので、続けられる工夫を一緒に考えてほしい
- 食べてはいけないものが分からず不安なので、教えてもらいながら食事を楽しみたい
- 食欲が落ちてきたので、制限の中でも食べられるものを増やしたい
シャント側の腕を守りたい
- シャントのある腕を傷めないよう、介助のときに気をつけてほしい
- シャントの音や腫れの変化に、自分でも周りの人も気づけるようにしたい
- 重い荷物や腕枕など、シャント側の腕に負担をかけない暮らし方を身につけたい
- 入浴や着替えのときに、シャントの部位を守って手伝ってほしい
貧血・かゆみ・足のつりなどの症状がある
- 体がだるく息切れしやすいので、休みながらでもできることを続けたい
- かゆみで夜眠れない日があるので、主治医に相談しながら楽に眠りたい
- 夜中に足がつって困るので、対処の仕方を教わって安心して眠りたい
- 症状を透析室に伝えそびれてしまうので、伝える手助けがほしい
一人暮らしをしている
- 透析に通いながら、一人暮らしをできるだけ長く続けたい
- 透析から帰った後に誰にも気づかれず倒れるのが怖いので、見守ってもらいたい
- 制限のある食事を一人で用意するのが難しいので、支援を受けたい
- 体調が急に悪くなったとき、すぐ連絡できる手段を持ちたい
- 透析日の朝の支度や戸締まりを、一人でも間に合うようにしたい
家族が介護している
- (家族)透析日の送迎と付き添いの負担を、少しでも減らしたい
- (家族)制限のある食事の作り方に自信がないので、教わりながら作りたい
- (家族)透析後にぐったりしている本人にどう対応すればよいか知りたい
- (家族)自分が体調を崩したときも、本人の透析が途切れない体制にしたい
- (家族)本人の気持ちの落ち込みを、どう受け止めればよいか相談したい
透析導入前(保存期)を過ごしている
- 透析にならないよう、主治医の指示に沿った食事と生活を続けたい
- 腎臓の働きを守るため、血圧の薬と受診を欠かさないようにしたい
- むくみや息切れなど体の変化に早く気づいて、受診につなげたい
- 透析が必要になったときの準備を、主治医と相談しながら進めたい
気持ちの整理・受け止め
- 透析が一生続くことを受け止めきれないが、少しずつ前を向きたい
- 透析をやめたいと思う日があるので、その気持ちを聞いてくれる人がほしい
- 病気のことばかり考えてしまうので、楽しみと思えることをひとつ持ちたい
- 同じ病気の人がどう暮らしているか知って、参考にしたい
長期目標の文例(14文例)

この章の文例は「長期目標」欄に書きます。検査値や体重ではなく、透析を続けながら送る暮らしの形で書きます。
- 週3回の透析を休まず続けながら、自宅での生活を送れる
- 透析日と非透析日のリズムをつかみ、自分のペースで1週間を過ごせる
- 主治医の指示に沿った食事と水分のとり方を、日々の暮らしの中で続けられる
- シャント側の腕を守りながら、身の回りのことを自分で行える
- 透析後の体調の変化に自分で気づき、休む・伝えるの判断ができる
- 支援と見守りの体制のもとで、透析に通いながら一人暮らしを続けられる
- 家族が送迎や食事の負担を分かち合いながら、在宅での生活を続けられる
- 体調の良い日に外出や趣味の時間を持ち、人とのつながりを保てる
- 症状や困りごとを透析室・主治医に伝え、相談しながら療養を続けられる
- 透析のない日に家庭内の役割を持ち、家族の一員としての生活を続けられる
- 急な体調の変化があっても、決めた手順で連絡し受診につなげられる
- (保存期)主治医の指示に沿った生活を続け、受診と服薬を欠かさず過ごせる
- (保存期)透析が必要になる時期に備え、本人と家族が見通しを持って暮らせる
- 「透析のある暮らし」を自分のものとして受け止め、楽しみを持って過ごせる
短期目標の文例(41文例)

この章の文例は「短期目標」欄に書きます。誰が見ても達成できたかどうかが分かる形にします。数字を入れるなら、回数・曜日・場面までにして、体重や検査値は書きません。
通院
- 週3回の透析日に、送迎車の時間に合わせて支度を終えて玄関で待てる
- 乗降の介助を受けて、透析日の往復を転倒なく行える
- 受付から透析室までの移動を、必要な介助を受けながら行える
- 送迎が使えない日の代わりの手段を、本人・家族・支援者が言える
- 透析の予定表を見える場所に貼り、翌日の透析を自分で確認できる
生活リズム(透析日・非透析日)
- 透析から帰った日は、決めた時間まで横になって休める
- 非透析日に、買い物や外出など予定した用事を1つ済ませられる
- 透析日の夕食は、用意された食事を自分で温めて食べられる
- 週の予定表を透析日と非透析日で色分けし、本人と家族が共有できる
- 入浴は非透析日に、シャント部位を保護して週◯回行える
食事・水分
- 主治医から指示されている水分のとり方を、本人と家族が説明できる
- 制限に合わせた献立を、管理栄養士の助言をもとに週◯日は自分で作れる
- 配食サービスを利用し、透析日の夕食を制限に合った内容でとれる
- 食品のカリウム・リンの注意点を、支援者と一緒に確認しながら買い物ができる
- のどの渇きへの対処法を、自分に合う形で2つ以上持てる
- 食事の記録を透析室に持参し、栄養指導を受けられる
シャント・体調の観察
- シャント側の腕で血圧測定や採血をしないことを、本人・家族・支援者が言える
- 入浴・更衣の介助で、シャント側の腕を圧迫しない手順を支援者が守れる
- 毎朝体重を測り、記録を透析室に持参できる
- シャントの音や腫れ・痛みの変化を、その日のうちに透析室へ連絡できる
- 体調の変化を伝える連絡先と伝え方を、本人と家族が言える
症状への対処(倦怠感・低血圧・かゆみ・貧血)
- 透析後に立ちくらみがあるときは、座って休んでから動く習慣がつく
- だるさが強い日は無理をせず、支援者に「今日は休む」と伝えられる
- かゆみや足のつりなどの症状を透析室に伝え、対処を教わって実行できる
- 息切れが強いときの休み方を身につけ、動作の途中で休憩を入れられる
- 皮膚の保湿を毎日続け、かき壊しを減らせる
役割・参加
- 非透析日に週◯回、通所先で他の利用者と一緒に活動へ参加できる
- 洗濯物たたみなど、家庭の中の役割を非透析日に続けられる
- 趣味の◯◯を、体調の良い日に再開できる
- 月◯回、友人や知人と会う機会を持てる
- 同じ病気の方の集まりや患者会の情報を、支援者と一緒に調べられる
家族・独居の暮らし
- 家族が週◯日、送迎や付き添いから離れて自分の時間を持てる
- 家族が制限に合わせた調理を教わり、週◯日は自分で作れる
- 透析から帰宅した後に、電話や訪問で安否の確認が入る
- 緊急通報の使い方を覚え、必要なときに押せる
- 訪問のない非透析日も、電話や通いの場で誰かとつながる日をつくれる
保存期(透析導入前)
- 主治医の指示に沿った食事の注意点を、本人と家族が説明できる
- 処方どおりに服薬でき、飲み忘れが週◯回以下になる
- 毎朝、血圧と体重を測って手帳に記録できる
- むくみや息切れなど受診の目安となるサインを、本人と家族が言える
- 透析に向けた準備の説明を主治医から受け、疑問を書き出して次の受診で聞ける
サービス内容の文例(44文例)

この章の文例は「サービス内容」欄に書きます。医療サービスは、主治医の指示にもとづくことが読み取れる形にします。
透析室・主治医との連携
- 主治医(透析担当医):透析の実施、ドライウェイト・水分・食事制限の指示、体調変化時の対応の指示
- 透析室看護師:透析ごとの体調・体重・血圧の確認、シャントの観察、本人への療養指導
- ケアマネジャー:医療サービスの利用にあたり本人の同意を得て主治医の意見を確認し、作成した居宅サービス計画を主治医へ交付する
- ケアマネジャー:本人の同意を得て、透析室から食事・水分・シャントの注意事項を聞き取り、各事業所へ共有する
- ケアマネジャー:各事業所が把握した体調・食事・服薬の様子を、本人の同意を得て透析室・主治医へ伝える
- ケアマネジャー:透析室の送迎・院内対応の体制を確認し、訪問介護で補う範囲を担当者会議で決めて記録する
- ケアマネジャー:透析日と非透析日で分けた週間サービス計画を作り、本人・家族・事業所で共有する
通院の手段
- 透析施設の送迎:自宅から透析室までの送迎(利用できる範囲を施設に確認する)
- 訪問介護(通院等乗降介助):透析日の乗車・降車の介助、乗車前・降車後の移動と受付手続きの介助
- 訪問介護(身体介護・通院介助):院内スタッフの対応が難しい範囲について、院内の移動・排せつの介助(担当者会議で必要性を確認し記録する)
- 介護タクシー等:送迎が使えない日の代わりの手段の確保
- 家族:送迎ができない日の連絡と、代わりの手段への切り替え
訪問看護(主治医の指示に基づく)
- 訪問看護:血圧・体重・むくみ・息切れなど全身状態の観察、透析後の体調確認、異常時の主治医・透析室への連絡
- 訪問看護:シャントの観察(音・腫れ・痛み)と、本人・家族への保護方法の指導
- 訪問看護:皮膚の状態の観察、かゆみへの保湿ケアの指導、かき壊しの処置
- 訪問看護:服薬状況の確認、透析後の薬の飲み方の確認
- 訪問看護:本人・家族への体調観察のポイントと、受診の目安の指導
訪問介護
- 訪問介護(身体介護):透析から帰宅した日の移動・排せつの介助、転倒の防止
- 訪問介護(身体介護):入浴介助(シャント側の腕を圧迫・強くこすらない手順で行い、皮膚の状態を観察する)
- 訪問介護(身体介護):更衣の介助(シャント側の腕は袖を先に通すなど、透析室から示された方法で行う)
- 訪問介護(生活援助):制限に合わせた調理(透析室・管理栄養士の助言に沿った献立で、本人と一緒に行う)
- 訪問介護(生活援助):買い物の代行・同行(制限のある食品の確認を本人と一緒に行う)
- 訪問介護(生活援助):透析日の帰宅後に合わせた食事の準備と、翌日の透析の持ち物の確認
- 訪問介護員:訪問時に体調・食事量・むくみの様子を確認し、変化があればケアマネジャー・訪問看護へ報告する
通所介護・通所リハビリテーション
- 通所介護(非透析日):入浴の機会の確保、他の利用者との交流、活動による生活リズムづくり
- 通所介護:食事は透析室の指示に沿った内容とし、水分の提供量を事前に確認する
- 通所介護:送迎時に自宅での様子を確認し、変化があればケアマネジャーへ報告する
- 通所リハビリテーション(主治医の指示に基づく):体力・歩行能力の維持、透析後の倦怠感に配慮した運動量の調整
居宅療養管理指導
- 居宅療養管理指導(薬剤師):残薬の確認、透析日と非透析日で飲み方が違う薬の整理、一包化や服薬カレンダーの提案
- 居宅療養管理指導(管理栄養士):主治医の指示に基づく食事内容の助言、家族・訪問介護員への調理方法の指導(位置づけの要件は主治医に確認する)
- 居宅療養管理指導(医師・歯科医師):主治医からの療養上の指導と、事業所への情報提供
福祉用具・住環境
- 福祉用具貸与:透析後のふらつきに備えた手すり・歩行器の選定と定期的な調整
- 福祉用具貸与:特殊寝台など、透析後に休みやすく起き上がりやすい寝具の検討(軽度者は例外給付の要否を保険者に確認する)
- 住宅改修:玄関から送迎車までの動線の段差解消、手すりの取り付け
- 特定福祉用具販売:入浴用いすなど、シャント側の腕に体重をかけずに入浴できる用具の検討
独居・見守りの体制
- 透析日の帰宅後に訪問または電話が入る形で、訪問系サービスの時間を組む
- 配食サービス(透析食対応):制限に合わせた食事の提供と、手渡し時の安否確認
- 緊急通報装置:透析後の体調不良や転倒時に外部へ連絡できる体制の確保
- 別居家族・民生委員:非透析日の定期的な電話連絡と訪問
本人・家族の取り組み
- 本人:毎朝の体重測定と記録、主治医の指示に沿った水分・食事の管理、透析室への持参
- 本人:シャント側の腕での血圧測定・採血・重い荷物を避け、異変があればその日のうちに透析室へ連絡すること
- 本人:透析後は無理をせず休み、体調がすぐれないときは支援者に伝えること
- 家族:透析室の指導内容を支援者と共有し、家庭での食事づくりに反映すること
- 家族:送迎や付き添いを一人で抱え込まず、負担が大きいときはケアマネジャーへ相談すること
書き方のコツ(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。透析ならではの書き分けのコツをまとめました。
コツ1:体重・水分の数字は書かない。「指示に沿って続けられる」型で書く
「透析間の体重増加を2kg以内にする」。この目標を書いたプランは、運営指導では指摘されなくても、モニタリングで困ります。数字を測っているのは透析室で、ケアマネジャーの手元に来るのは本人の伝聞だけです。しかも目標値は体調や季節で主治医が変えます。第2表に固定した瞬間、古くなります。
書き換えるなら「毎朝体重を測り、記録を透析室に持参できる」「主治医から指示されている水分のとり方を、本人と家族が説明できる」。行動と体制で書けば、訪問介護員が記録の有無を確かめられ、家族が説明できたかを担当者会議で確かめられます。数字を決めるのは透析室、数字を守れる暮らしを組むのがケアマネジャーです。測り方の作り込みは、ケアプラン第2表 目標の文例集も参考にしてください。
コツ2:1週間を「透析日」と「非透析日」の2本立てで組む
透析のある方の週間サービス計画表は、月水金と火木土で別の人の予定のように見えるのが正解です。透析日は朝の支度・送迎・帰宅後の休息と軽い食事で終わります。非透析日に入浴、通所、買い物、家族の休息を寄せます。この配分を第2表のサービス内容にも書いておくと、事業所側が「なぜ火曜にデイなのか」を理解して動けます。
実際の透析の曜日と時間帯(午前・午後・夜間)は施設ごとに違います。透析室に確認してから曜日を書き、施設の送迎の範囲(自宅前までか・玄関内までか)もそのとき聞き取ります。ここを聞き漏らすと、訪問介護の乗降介助が要るのか要らないのかが決まりません。
コツ3:通院の足は「誰が・どこからどこまで」に分解する
「通院介助」と1行で書いたプランは、運営指導で「院内介助の必要性はどう確認したか」と聞かれると答えに詰まります。分解して書いてください。自宅の玄関から車まで(誰が)、車から透析室の受付まで(誰が)、受付から透析ベッドまで(病院か・訪問介護員か)、帰りも同じ順で。
院内の部分を訪問介護で位置づけるなら、厚生労働省の事務連絡(介護保険最新情報Vol.149)が示す3点——①適切なケアマネジメント、②院内スタッフ等による対応が難しいこと、③本人が介助を必要とする心身の状態——を、支援経過と担当者会議の記録に残します。病院側に対応できるかを確認した日付と相手(地域連携室など)も書いておくと、後から自分が助かります。通院等乗降介助で位置づけた場合、院内介助は乗降介助に包括されて別には算定されません。訪問介護の書き分け全般は【訪問介護(ホームヘルプ)】ケアプラン第2表の文例集にまとめています。
コツ4:シャント側の腕は「触れない」を具体の手順で書く
「シャントに注意する」だけでは、訪問介護員は何をすればよいか分かりません。透析室から本人・家族に指示されている注意事項——シャント側の腕で血圧を測らない・採血しない、腕時計や重い荷物で圧迫しない、腕枕をしない、入浴で強くこすらない——を、透析室に確認してサービス内容に写します。
たとえば入浴介助なら「シャント側の腕を圧迫・強くこすらない手順で行い、皮膚の状態を観察する」。更衣なら「シャント側の腕は袖を先に通す」。この1行があるだけで、初めて入る訪問介護員も同じ動きができます。シャントの音や腫れの変化を誰が透析室に連絡するかも、サービス内容で割り振ってください。
コツ5:「透析をやめたい」と言われても、ケアマネジャーが答えを出さない
透析を続けている方から「もうやめたい」と聞く場面は珍しくありません。だるさ、食事の制限、週3回の拘束、家族への負い目。気持ちに理由があります。ここでケアマネジャーが「続けましょう」と励ますのも、「やめる選択もあります」と言うのも、どちらも越権です。透析の継続・見合わせは医学的判断と本人・家族の意思決定の領域で、主治医と透析室が本人と話し合う場を持つべきことがらです。
ケアマネジャーにできるのは、その言葉を主治医・透析室に届けること。そして「やめたい」の裏にある困りごと——だるくて家事ができない、食べたいものが食べられない、送迎で家族に迷惑をかけている——を第2表に載せて、減らせる負担を減らすことです。ニーズの章に「透析をやめたいと思う日があるので、その気持ちを聞いてくれる人がほしい」を置いたのは、この場面のためです。主治医への伝え方は主治医・医療機関との連携文例集にあります。
現場のひとこと
透析のプランは、透析室がすでに持っている情報を取りに行くだけで半分できます。水分と食事の指示、シャントの注意、送迎の範囲、透析後に注意する症状。どれも透析室の看護師が本人に何度も説明している内容で、ケアマネジャーが新しく考える必要はありません。初回訪問の前に透析室へ電話を1本入れて「療養指導の内容を教えてください」と頼んでみませんか。断られることは、まずありません。
運営指導で見られやすいポイント
1. 訪問看護・通所リハビリテーションなど医療サービスについて、主治医の指示を確認した経過が記録に残っているか(平成11年厚生省令第38号 第13条第20号)
2. 医療サービスの利用にあたり利用者の同意を得て主治医の意見を求め、作成した計画を主治医へ交付した記録があるか(同 第13条第19号・第19号の2)
3. 目標が「体重増加◯kg以内」「検査値の改善」など医学的な結果ではなく、本人が取り組める行為になっているか
4. 院内介助を訪問介護で位置づけている場合、その必要性と院内スタッフの対応可否を確認した経過が支援経過・担当者会議の記録に残っているか
5. 透析日と非透析日で提供時間・内容が変わるサービスについて、週間サービス計画表と第2表の記載が一致しているか
6. 食事・水分の制限について、主治医・透析室の指示に基づくことが読み取れる形で書かれているか
よくある迷いどころ
透析クリニックに送迎車があります。それでもプランに書きますか
書きます。施設の送迎は介護保険のサービスではありませんが、第2表のサービス内容には保険外の支援も位置づけて、全体の体制を見える形にします。送迎車の範囲(玄関前までか・部屋の中までか、車いすのまま乗れるか)を確認し、足りない部分だけを訪問介護で補います。送迎車があるからと通院の行を空欄にすると、送迎が使えない日の代わりの手段が誰にも見えません。
糖尿病性腎症から透析になった58歳の方です。介護保険を申請できますか
原因が糖尿病性腎症であれば、特定疾病の第12号「糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症」に当たり、要介護認定の申請ができます(介護保険法施行令第2条第12号)。ただし要介護状態の原因がその疾病によるものかどうかは認定の中で判断されるため、申請書の主治医欄には透析担当医を書き、意見書に糖尿病性腎症が記載されるよう、あらかじめ主治医(または透析室の相談員)に伝えておいてください。腎硬化症や糸球体腎炎が原因の方は、腎不全そのものでは特定疾病に当たりません。ただし脳血管疾患や閉塞性動脈硬化症など、別の特定疾病が要介護状態の原因であればその疾病で申請できるので、合併症も含めて主治医に確認してください。どれにも当たらない場合は障害福祉の窓口が入口になります。
透析日にデイサービスを入れてもよいですか
制度上の禁止はありませんが、組みにくいのが実情です。午前に透析なら帰宅は午後で、疲れて休む時間が要ります。午後に透析なら午前しか空きません。非透析日にデイを寄せるのが基本で、透析日は帰宅後の訪問介護か訪問看護で体調を確認する組み立てにします。デイの水分・食事の提供量は事前に透析室の指示を伝えて調整してもらってください。通所の文例は【デイサービス(通所介護)】ケアプラン記入例・文例集にあります。
通院等乗降介助と身体介護(通院介助)、どちらで位置づけますか
乗り降りと前後の移動・手続きが中心なら通院等乗降介助、乗車前後に着替えや排せつなど身体介護が続く場合や院内の介助が必要な場合は身体介護、というのが大まかな考え方です。ただし両者の適用関係は厚生労働省の通知(平成15年老振発第0508001号・老老発第0508001号)で細かく定められていて、保険者ごとの運用もあります。この記事では原文の細目まで照合していないので、位置づける前に保険者と訪問介護事業所のサービス提供責任者に確認してください。
心不全も抱えている方です。どちらの文例を使いますか
透析の方には心不全を合併している方が多く、日本透析医学会の集計でも死因の2位が心不全です。体重・むくみ・息切れの観察は両方に共通するので、【心不全】ケアプラン第2表の文例集の観察の文例と、この記事の通院・シャント・食事の文例を組み合わせてください。指示はどちらも主治医から一本で出ます。
まとめ
✓ 腎不全は介護保険の特定疾病に入っていない。糖尿病性腎症だけが第12号で該当する(施行令第2条)
✓ 目標欄に体重・水分・検査値の数字は書かない。「主治医の指示に沿って続けられる」型で書く
✓ 通院の足は「誰が・どこからどこまで」に分解する。院内介助は原則病院側、例外の要件3点を記録に残す(介護保険最新情報Vol.149)
✓ 1週間は透析日と非透析日の2本立て。入浴・通所・家族の休息は非透析日に寄せる
✓ シャント側の腕は「触れない」を手順で書く。注意事項は透析室から取り寄せる
✓ 「透析をやめたい」はケアマネジャーが答えず、主治医・透析室に届けて、裏の困りごとを第2表に載せる
✓ 手帳・更生医療・特定疾病療養受療証の3つが手元にあるか、初回に聞く
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ケアプラン第2表 目標の文例集|測定可能な長期目標・短期目標
参考・出典
介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3項第2号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第19号・第19号の2・第20号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条・別表/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000283
身体障害者福祉法施行規則(昭和25年厚生省令第15号)別表第5号 身体障害者障害程度等級表/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50000100015
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第25項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123
同法施行令(平成18年政令第10号)第1条の2/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418CO0000000010
厚生労働省「自立支援医療(更生医療)の概要」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/kousei.html
健康保険法施行令(大正15年勅令第243号)第41条第7項・第42条第9項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/215IO0000000243
全国健康保険協会「特定疾病療養受療証」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/high_cost_medical_expenses/002/
「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計第10号・平成30年3月30日改正)/介護保険最新情報Vol.637(独立行政法人福祉医療機構 WAM NET) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2018/0402095345456/ksVol637.pdf
「訪問介護における院内介助の取扱いについて」(平成22年4月28日 厚生労働省老健局振興課事務連絡)/介護保険最新情報Vol.149(WAM NET) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/resources/4b11874b-59e8-4056-9f83-5034c195e2a7/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%83%85%E5%A0%B1vol.149%EF%BC%88%E8%A8%AA%E5%95%8F%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%99%A2%E5%86%85%E4%BB%8B%E5%8A%A9%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%89.pdf
一般社団法人日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)」 https://docs.jsdt.or.jp/overview/
※文例はあくまで参考です。透析の回数・時間、水分・食事の制限、ドライウェイト、シャントの取り扱い、服薬の注意点は、必ず主治医と透析室の指示にもとづいて個別に決めてください。通院等乗降介助・院内介助の算定の可否や、身体障害者手帳・自立支援医療・特定疾病療養受療証の取り扱いは、保険者・市区町村・加入している医療保険によって案内が異なる場合があります。実際の取り扱いについては、主治医およびお住まいの市区町村(保険者)にご確認ください。


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