モニタリング(記録・報告書)の文例集|「変わりなし」で終わらせない場面別の書き方

モニタリング記録の文例集|「変わりなし」で終わらせない 目標→現状→判断→対応の4行の型 業務文書文例

「変わりなし。プラン継続」——月末のモニタリング記録に、この8文字を並べていませんか。

ケアプラン様式の記入位置の図
この記事の文例は、モニタリング記録の「目標の達成状況」「今後の対応」にあたる欄に書きます(様式は事業所ごとに異なります)

書いた本人に手を抜いたつもりはなくても、運営指導(実地指導)でこの1行は、指摘される代表例です。理由ははっきりしていて、目標に対して現状がどうなのかが、記録から読み取れないからです。

このページでは、モニタリング記録(モニタリング報告書・第5表兼用の記録を含む)について、現場でよく出会う9場面の文例をまとめました。あわせて、どの場面でも使い回せる「目標→現状→判断→対応」の4行の型を先に示します。気になる場面だけ拾って、事業所の様式に合わせて整えてお使いください。

記載する例文の日付・氏名・数値・事業所名はすべて架空です。実在の利用者情報は使用していません。

  1. モニタリング記録は「何を」「どこまで」書けば基準を満たすのか
    1. 運営基準で決まっているのは、実は2つだけ
    2. なぜ「変わりなし」だけの記録が指摘されるのか
    3. そのまま使える「4行の型」=目標→現状→判断→対応
  2. 場面1|状態安定時の文例(「変わりなし」を手抜きに見せない書き方)
    1. NG例(運営指導で指摘されやすいパターン)
    2. OK文例(そのまま参考にできる書き方)
    3. 記録のコツ
  3. 場面2|状態悪化のサインを捉えた時の文例
    1. NG例(運営指導・後日のトラブルにつながるパターン)
    2. OK文例(そのまま参考にできる書き方)
    3. 記録のコツ
  4. 場面3|目標の達成・未達成を評価する文例
    1. 達成した時の文例
    2. 未達成・一部達成の時の文例
    3. 記録のコツ
  5. 場面4|プランを動かす場面の文例(サービス変更・意向の食い違い)
    1. サービス変更が必要になった時の文例
    2. 本人と家族で意向が食い違う時の文例
    3. 記録のコツ
  6. 場面5|訪問できない月の文例(入院・特段の事情)
    1. 入院した月・入院中の文例
    2. 訪問できなかった時(その他の特段の事情)の文例
    3. 記録のコツ
  7. 場面6|対応が難しい場面の文例(サービス拒否・ターミナル期)
    1. サービス拒否・キャンセルが続く時の文例
    2. ターミナル期の文例
    3. 記録のコツ
  8. テレビ電話等を活用したモニタリング(2024年度改正)の書き方
    1. 実施できる主な要件
    2. 文例(同意取得時・実施月)
    3. 記録のコツ
  9. 運営指導で見られるポイントと、明日からの書き方
    1. セルフチェックリスト
    2. まとめ:「変わりなし」は、4行に開くだけでいい
  10. 参考文献・出典
  11. 関連記事(ケアマネのタネ 内部リンク・実サイト照合済み)

モニタリング記録は「何を」「どこまで」書けば基準を満たすのか

文例の前に、土台のルールを短く確認します。ここが曖昧なまま文例だけ真似ると、様式は整っていても中身が基準を外れる、という事故が起きます。

運営基準で決まっているのは、実は2つだけ

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条では、モニタリングについて次の2つが定められています(出典:e-Gov法令検索・記事末尾参照)。

  • 特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること
  • 少なくとも1月に1回、モニタリングの結果を記録すること

様式は自由です。第5表(居宅介護支援経過)に書き込む事業所も、独自のモニタリング表・モニタリング報告書を使う事業所も、どちらも基準上は問題ありません。逆にいえば、立派な様式を使っていても「月1回の訪問・面接・記録」が読み取れなければ基準を満たしません。この場合、居宅介護支援費の減算(運営基準減算)の対象になります。減算幅は全国一律の基準で定められており、違反が続くとさらに重くなります。指摘や返還の運用は保険者により差があるため、所在地の保険者に確認してください。

なぜ「変わりなし」だけの記録が指摘されるのか

モニタリングの目的は、居宅サービス計画の実施状況の把握、つまり「立てた目標に対して今どうなっているか」の評価です。

「変わりなし」という記録には、何と比べて・どの目標について・変わりがないのかが書かれていません。読み手(運営指導の担当者・交代後の担当ケアマネ)からは、訪問して世間話だけして帰った記録と区別がつかないのです。安定している月こそ、「安定している」と評価した根拠を書く必要があります。書き方は次の型に落とせば済みます。

そのまま使える「4行の型」=目標→現状→判断→対応

どの場面でも、この4行を埋めれば記録として成立します。

  • 1行目【目標】:第2表の短期目標をそのまま書き写す(要約しない。要約すると評価対象がずれる)
  • 2行目【現状】:数字・頻度・本人や家族の発言で書く(例:週7日中5日/今月8回中8回利用/「風呂は家より安心」)
  • 3行目【判断】:達成・一部達成・未達成のどれかと、プラン変更の要否
  • 4行目【対応】:次に誰が何をするか+期日(例:次回訪問◯月◯日14時)

組み立てると、こうなります。

  • 目標「週2回のデイサービスで入浴を続ける」→ 今月8回中8回利用、欠席なし。本人「家の風呂より安心して入れる」→ 達成状況は安定、プラン変更の必要なし → 次回訪問◯月6日14時。

この4行が、この記事の全文例の背骨です。ここから場面別に見ていきます。

場面1|状態安定時の文例(「変わりなし」を手抜きに見せない書き方)

一番件数が多く、一番手が抜けてしまう場面です。安定は「変化ゼロ」ではなく、「目標に対して維持できている」という立派な評価結果として書きます。

NG例(運営指導で指摘されやすいパターン)

  • ◯月◯日 モニタリング訪問。変わりなし。
  • 体調良好。デイも楽しく通っている。
  • 特に問題なし。プラン継続。
  • いつも通りの生活。次月も様子を見る。

OK文例(そのまま参考にできる書き方)

  • ◯月6日/14:00〜14:40/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング訪問、本人・長男の妻同席。目標「週2回のデイサービスで入浴を続ける」:今月8回中8回利用、欠席なし。本人「家の風呂より安心して入れる」との発言。目標「朝夕の内服を忘れず続ける」:お薬カレンダーを確認、残薬なし。長男の妻「この1か月、飲み忘れは見ていない」。両目標とも達成状況は安定しており、プラン変更の必要なしと判断。次回訪問◯月◯日14時。
  • ◯月10日/10:30〜11:10/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。目標「手すりを使い、日中は1人でトイレに行く」:週7日中6日は日中1人でトイレ動作可能(先月と同水準)。夜間は長女の見守りを継続。転倒なし。福祉用具(手すり)の不具合なしを目視確認。プラン継続が妥当と判断。次回訪問◯月◯日。
  • ◯月8日/13:30〜14:10/自宅(独居)/担当ケアマネ/月次モニタリング。目標「配食サービスを利用し、1日2食は食事をとる」:配食の利用実績を配達票で確認、今月欠食の連絡なし。本人「夕方の弁当は完食している」。訪問介護の連絡ノートでも冷蔵庫内の食品の傷みなし。体重◯kg(先月比±0)。独居生活は現行サービスで維持できていると判断、プラン変更なし。
  • ◯月15日/14:00〜14:30/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング、本人と面接。目標「週1回、老人クラブの集まりに参加する」:今月4回中4回参加。本人「行けば話し相手がいるから続けたい」。通所リハビリからの情報提供(◯月分報告書)でも、立ち上がり動作は前月と同水準を維持。両目標とも維持できており、プラン変更の必要なし。次回訪問◯月◯日10時。

記録のコツ

安定時の記録は、数字1つ+発言1つを最低ラインにします。「今月8回中8回」「週7日中6日」のような分数の形は、前月との比較がそのまま評価になるので便利です。サービス事業所の実績(連絡ノート・月次報告書)を根拠に使ったときは、どこから得た情報か(「配達票で確認」「◯月分報告書より」)を添えると、伝聞と事実の区別がつきます。

場面2|状態悪化のサインを捉えた時の文例

モニタリングの本領が出る場面です。ここでの注意は1つだけ。ケアマネジャーは診断をしないこと。「認知症が進行した」「脱水の疑い」といった医学的判断を書くのではなく、観察した事実と、受診勧奨・情報提供・サービス調整というケアマネの対応を書きます。

NG例(運営指導・後日のトラブルにつながるパターン)

  • 少し弱ってきた印象。様子を見る。
  • 認知症が進行してきたと思われる。
  • 食欲低下あり。脱水が心配。

OK文例(そのまま参考にできる書き方)

  • ◯月7日/14:00〜14:50/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング、本人・長女同席。目標「3食を自分で食べる」:長女「今月に入り、夕食を半分残す日が週3日ほどある」。体重◯kg(先月比−1.2kg・デイ測定値)。本人「噛むと右の奥歯が痛い」との発言あり。歯科受診を本人・長女に勧め、長女が◯月◯日に付き添い受診予定。デイサービスに食事摂取量の記録を依頼。次回訪問を2週間後(◯月◯日)に前倒しする。
  • ◯月12日/10:00〜10:40/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。目標「杖歩行で室内を安全に移動する」:本人「今月、廊下で2回ふらついて壁につかまった」。長男より「夜トイレに行くとき危なっかしい」との情報。転倒には至っていないが、頻度が先月(0回)から増えている。◯月◯日の定期受診時にふらつきの件を主治医に伝えるよう本人・長男に助言し、了承を得る。並行して、福祉用具事業所に廊下の手すり追加の相談を依頼。次回訪問◯月◯日。
  • ◯月9日/13:30〜14:20/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング、本人・長女同席。長女より「今月、鍋を火にかけたまま忘れて焦がしたことが2回あった」との情報提供。本人は「覚えていない」との発言。目標「自宅での調理を続ける」の継続可否に関わる変化と判断。本人・長女の同意を得たうえで、次回受診時に主治医へ情報提供する(長女がメモを持参)。訪問介護のサービス提供責任者に、調理場面の様子の共有を依頼。IHクッキングヒーターへの変更希望の有無を次回確認予定。
  • ◯月20日/11:00〜11:30/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。訪問介護◯◯(サ責△△)より事前に「午前の訪問時、うとうとしている日が今週3日あった」との情報提供あり。訪問時、本人は覚醒しているが、「夜眠れず朝方に眠くなる」との発言。服薬状況を確認、眠前薬の飲み忘れが週2〜3回ある様子。訪問看護◯◯に情報を共有し、服薬管理の方法を検討するよう依頼。◯月◯日の受診に合わせ、長女から主治医に睡眠状況を伝えてもらうこととした。

記録のコツ

悪化サインの記録は、「観察事実→誰に伝えたか→次に何が起きる予定か」の3点で閉じます。ケアマネにできる対応は、受診を勧める・主治医や事業所に情報提供する・サービスを調整する、の範囲です。記録もその範囲で書けば、医学的判断を踏み越えません。「−1.2kg」「週3日」「2回」のように、サインは必ず数字で残すこと。次の受診・次の担当者会議で、そのまま使える情報になります。

場面3|目標の達成・未達成を評価する文例

短期目標の期間が満了する月は、モニタリング記録がそのまま計画見直しの根拠書類になります。達成でも未達成でも、書き方の型は同じです。

達成した時の文例

  • ◯月5日/14:00〜14:40/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。短期目標「杖歩行で近所のコンビニ(約200m)まで買い物に行く」(期間◯月◯日まで):今月、長女同行で2回、1人で1回、コンビニまでの往復を達成。本人「1人で行けたのがうれしい」。目標は達成と評価。次期は距離を延ばすか、頻度を上げるかを本人の意向をふまえて検討し、◯月◯日のサービス担当者会議で新しい目標を協議する。
  • ◯月18日/10:30〜11:00/自宅/担当ケアマネ/短期目標「デイサービスで週2回入浴する」(期間満了月):3か月間の利用実績24回中23回(欠席1回は通院のため)。皮膚トラブルなし。目標達成と評価し、次期も同内容で継続することを本人・家族と確認。◯月◯日の担当者会議で計画更新予定。
  • ◯月22日/モニタリング記録(訪問は同日14時・本人と面接)/短期目標「お薬カレンダーを使い、飲み忘れを週1回以下にする」:長女の記録では今月の飲み忘れ0回。導入前(週3回程度)から明確に改善。目標達成。管理方法が定着したため、次期目標は服薬の自己管理範囲を広げる方向で検討する。

未達成・一部達成の時の文例

  • ◯月8日/14:00〜14:50/自宅/担当ケアマネ/短期目標「週3回、自宅で下肢の体操を行う」(期間満了月):本人「1人だとやる気が出ず、週1回できるかどうか」。実施は週1回程度にとどまり、目標は未達成と評価。要因は運動内容ではなく「1人では取り組みにくい」ことにあると考えられる。通所リハビリの自主トレメニューに組み込めないか、◯月◯日の担当者会議でPTに相談する。
  • ◯月15日/10:00〜10:40/自宅/担当ケアマネ/短期目標「夜間、ポータブルトイレを1人で使用する」:週7日中3日は1人で使用できているが、4日は長男の介助を要している。一部達成と評価。本人「夜は足に力が入りにくい」との発言があり、達成を妨げている要因を◯月◯日の受診時に主治医に伝えるよう長男に依頼。目標期間を1期延長するか、内容を見直すかを担当者会議で協議する。
  • ◯月25日/13:30〜14:00/自宅/担当ケアマネ/短期目標「週1回、地域のサロンに参加する」:今月の参加0回。本人「行きたい気持ちはあるが、送ってくれる人がいないと行けない」。目標未達成の要因は本人の意欲ではなく移動手段と評価。当初計画時に移動支援を組み込まなかった設定側の課題と判断し、外出支援の方法(家族送迎・移送サービス等)を含めて計画を見直す。◯月◯日担当者会議開催予定。

記録のコツ

未達成は、隠すものでも取り繕うものでもありません。未達成+要因分析の記録は、次の計画変更の根拠として運営指導でむしろ評価されます。要因は「本人側(意欲・体調)」「サービス側(内容・頻度)」「目標設定側(そもそも高すぎた・手段が欠けていた)」のどれかに整理して書くと、担当者会議の議題にそのまま載せられます。達成の場合も「達成。継続」で止めず、次期をどうするかの一言まで書いて閉じましょう。

場面4|プランを動かす場面の文例(サービス変更・意向の食い違い)

モニタリングで変化を捉えたら、次はサービス担当者会議→計画変更へつながります。モニタリング記録は、その入口の判断を残す場所です。

サービス変更が必要になった時の文例

  • ◯月8日/10:00〜10:50/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング、本人・長女同席。長女より「日中、私が仕事でいない時間帯(10時〜15時)に、昼食をとらずに過ごす日が増えている」。本人「1人だと温めるのが億劫」との発言。目標「1日3食をとる」の達成が現行サービスでは難しくなっていると判断。昼の時間帯に訪問介護(見守り兼配膳)を追加する方向で本人・長女と合意。事業所の受け入れ可否を確認のうえ、サービス担当者会議を◯月中に開催する。
  • ◯月16日/14:00〜14:40/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。通所リハビリの欠席が今月4回中3回。本人「今は体がしんどくて、行く支度だけで疲れる」。体調低下により通所形態が本人の負担になっていると判断。通所リハビリを一旦休止し、訪問リハビリテーションへの切り替えを本人・家族と検討することで合意。主治医の意見を確認のうえ、担当者会議を開催予定(◯月◯日調整中)。
  • ◯月11日/11:00〜11:30/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。目標「入浴を週2回続ける」:自宅浴室での入浴時、浴槽をまたぐ動作に長男の全介助を要するようになった(先月までは一部介助)。長男「支えるのが体力的に限界に近い」。住環境と介助力の両面から、入浴方法の再検討が必要と判断。福祉用具(バスボード等)の導入と通所での入浴切り替えの2案を本人・長男に提示し、次回担当者会議で検討することとした。

本人と家族で意向が食い違う時の文例

  • ◯月13日/14:00〜15:00/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング、本人・長男同席。本人「デイサービスはもうやめたい。家でゆっくりしたい」との発言。長男「日中1人にするのは心配なので続けてほしい」との発言。意向が分かれているため、この場では結論を出さず、①本人がデイの何を負担に感じているかの聞き取り(デイの生活相談員に依頼)、②回数・時間帯の調整案の検討、の2点を先に進めることを両者に説明し、了承を得る。次回訪問◯月◯日に再度意向を確認する。
  • ◯月21日/10:30〜11:20/自宅/担当ケアマネ/本人「風呂は自分で入れるから訪問介護の入浴介助はいらない」。同席の長女「先月浴室でふらついたので、1人での入浴はやめてほしい」。双方の発言を確認のうえ、担当ケアマネより「入浴時の安全確認の方法を複数案(見守りのみ・浴室内手すり追加・デイでの入浴)用意して次回提示する」と伝え、両者了承。本人の「自分で入りたい」という意向自体は計画の前提として尊重することを本人に伝えた。
  • ◯月27日/14:00〜14:40/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。長女より「そろそろ施設も考えたい」との発言(本人退席中)。本人は前回までのモニタリングで一貫して「家にいたい」と表明している。両者の意向の相違を記録に残し、担当ケアマネからは①在宅継続の場合に追加できる支援、②施設検討を始める場合の一般的な流れ、の2点を情報提供。次回、本人・長女がそろう場で改めて意向を確認する。

記録のコツ

意向が食い違う場面は、両者の発言を鉤括弧つきで並列に残すのが鉄則です。「家族が心配している」とだけ書くと、本人の意向が記録から消えます。ケアマネがどちらかに肩入れした形の記録(「長男の言うとおり継続が妥当」など)は、後日の紛争時に不利です。結論を保留した場合は、保留したこと自体と、次に何を確認するかを書けば、その記録は「対応中」として成立します。

場面5|訪問できない月の文例(入院・特段の事情)

「今月は入院していたので、モニタリング欄が空白」——これが一番危ない状態です。運営基準の「月1回の訪問・面接」には「特段の事情のない限り」という前置きがあります。入院はその代表例ですが、空白のままでは特段の事情があったことすら証明できません

入院した月・入院中の文例

  • ◯月分モニタリング記録/本人は◯月◯日より△△病院に入院中(誤嚥性肺炎)。入院のため、居宅への訪問および面接は実施できず(特段の事情に該当)。◯月◯日、病棟看護師△△氏に電話で状況確認:治療は点滴中心、リハビリは◯月◯日から開始予定。◯月◯日、長女に電話:「熱は下がってきた。退院の話はまだ出ていない」。退院時期が見え次第、退院前カンファレンスへの出席を病院に依頼する。詳細は支援経過記録◯月◯日欄参照。
  • ◯月分モニタリング記録/◯月◯日に本人が入院したため、当月の居宅訪問による面接は◯月◯日の1回のみ実施済み(入院前)。入院前のモニタリング内容:目標「週2回のデイで入浴を続ける」は◯月◯日時点まで達成状況安定。入院に伴い全サービスを休止(各事業所への連絡は◯月◯日実施・支援経過記録参照)。退院後、心身状況の変化をふまえて計画を再作成する予定。
  • ◯月分モニタリング記録/入院2か月目。◯月◯日、△△病院にて本人と面会(病棟の面会ルールに従い15分)。本人「早く家に帰りたい」との発言。病棟看護師より「車椅子への移乗は介助があれば可能になった」との情報。◯月◯日、MSW△△氏より退院前カンファレンスの日程調整の連絡あり(◯月◯日開催予定)。退院後の住環境整備(福祉用具・住宅改修)の検討を開始する。

訪問できなかった時(その他の特段の事情)の文例

  • ◯月分モニタリング記録/◯月◯日訪問予定であったが、前日に長女より「本人が発熱しており、感染症の疑いで受診予定。訪問は控えてほしい」との連絡あり(特段の事情に該当すると判断)。◯月◯日・◯月◯日に長女へ電話で状況確認:解熱し、食事量も回復傾向。◯月◯日に改めて居宅を訪問し、面接を実施(内容は同日欄に記載)。
  • ◯月分モニタリング記録/本人は◯月◯日より△△短期入所生活介護を利用中(家族の介護休息のため・◯月◯日まで)。◯月◯日、短期入所先を訪問し本人と面接。施設相談員△△氏より「食事・排泄とも自宅での状況と大きな変化なし」との情報。帰宅後の◯月◯日に居宅を訪問し、目標に対する達成状況を確認予定。

短期入所利用中の面接の扱いは保険者により解釈に差があります。この形で足りるかは、所在地の保険者に確認してください。

  • (書いてはいけない例)◯月は担当件数が多く訪問できなかった。→ 事業所側の都合は特段の事情に該当しません。この書き方は、基準を満たしていないことの自白になります。

記録のコツ

特段の事情がある月は、「何があって・なぜ訪問できず・代わりに何をして状況把握したか」の3点セットで書きます。電話・病棟訪問・家族からの聞き取りなど、代替手段での把握を必ず残すこと。特段の事情は利用者側の事情を指し、担当者の多忙・車がない等の事業所側の事情は含まれない、という点は運営指導で必ず確認されます。判断に迷うケースは、事後ではなくその月のうちに保険者へ確認し、確認した事実も記録しておくと安全です。

場面6|対応が難しい場面の文例(サービス拒否・ターミナル期)

書きにくい場面ほど、記録が担当ケアマネを守ります。「支援がうまくいっていない事実」を書くのをためらわないでください。接触し続けている記録そのものが、支援を放棄していない証拠になります。

サービス拒否・キャンセルが続く時の文例

  • ◯月10日/14:00〜14:30/自宅/担当ケアマネ/月次モニタリング。デイサービスの欠席が今月6回中4回。本人「人が多いところは気疲れする。行きたくない」との発言。無理に利用を勧めず、欠席時の日中の過ごし方を聞き取り:ほぼ自室で臥床して過ごしている。生活リズムと下肢筋力への影響が懸念されるため、①少人数のデイへの変更、②訪問型サービスへの一部切り替え、の2案を本人に提示。本人「小さいところなら考えてもいい」。◯月◯日に見学を調整する。
  • ◯月17日/11:00/自宅を訪問するも、本人「今日は誰とも話したくない」と玄関先で面会を断られる。体調不良の様子は見られず、立ち姿・声の調子に大きな変化なし(玄関先で約3分確認)。「また来ます」と伝えて辞去。同日、長女に電話で状況を共有:「ここ1週間、気分の波が大きい」。◯月◯日に改めて訪問予定。次回受診(◯月◯日)で気分の波について主治医に伝えるよう長女に依頼した。
  • ◯月24日/13:30〜14:10/自宅/担当ケアマネ/訪問介護のキャンセルが今月3回続いている件について本人と面談。本人「ヘルパーさんが来る日は朝から気を張ってしまう」。サービスそのものより訪問時間帯(8時30分)が本人の生活リズムに合っていないと判断。時間帯を10時以降へ変更する案を本人が了承。事業所と調整のうえ、変更が計画に影響する場合は担当者会議で検討する。キャンセルが続いた経緯と本人の意向は、事業所にも共有済み。

ターミナル期の文例

  • ◯月5日/15:00〜15:40/自宅/担当ケアマネ/主治医△△医師より、本人・家族に病状説明が行われた後の訪問(説明内容の詳細は診療側の領域のため、家族から聞き取った範囲で記録)。長女「先生からは、これからは苦痛を取ることを中心に、と言われた」。本人「最期まで家にいたい」と明確に意向を表明。長女も在宅での看取りを希望。本人・家族の意向をふまえ、訪問診療・訪問看護を中心とした体制に計画を見直すこととし、◯月◯日にサービス担当者会議を開催予定。モニタリング訪問の頻度を週1回に増やすことを家族に伝え、了承を得る。
  • ◯月19日/10:30〜11:00/自宅/担当ケアマネ/週次の訪問。本人は臥床して過ごす時間が増えているが、声かけへの返答あり。「痛みは薬でおさまっている」との発言。長女「夜間は訪問看護の電話対応に助けられている」。訪問看護◯◯(看護師△△)と同日情報共有:食事量・排泄状況を確認(詳細は訪問看護報告書参照)。福祉用具(エアマット)の追加を◯月◯日に導入済み。本人の「家にいたい」という意向は変わらないことを確認。次回訪問◯月◯日。
  • ◯月26日/14:00〜14:20/自宅/担当ケアマネ/訪問時、本人は傾眠がち。長女同席のもと、体位変換・口腔ケアの実施状況と、家族の休息が取れているかを確認。長女「姉と交代でみているので、今は大丈夫」。当日の心身の状況(呼びかけへの反応・皮膚の状態・水分摂取の様子)を記録し、訪問看護と主治医に電話で情報提供。今後の訪問は週2回とし、状態変化時は随時対応することを家族と確認した。

記録のコツ

ターミナル期は、訪問のたびに「心身の状況」と「誰に情報提供したか」を記録することが柱になります。在宅で亡くなった場合に算定するターミナルケアマネジメント加算は、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上居宅を訪問し、心身の状況等を記録して主治医や事業所に情報提供していることが要件です(対象疾患は2024年度改正で末期の悪性腫瘍以外にも広がっています。要件の詳細は最新の算定基準・保険者で確認してください)。加算を取る・取らないにかかわらず、この粒度の記録は看取り期の支援の質そのものを支えます。医学的な状態評価は主治医・訪問看護の領域なので、ケアマネの記録は観察した様子と本人・家族の言葉、連携した事実に徹しましょう。

テレビ電話等を活用したモニタリング(2024年度改正)の書き方

2024年度(令和6年度)の基準改正で、一定の要件を満たす場合に、テレビ電話装置などの情報通信機器を活用したモニタリングが認められました。使う予定がなくても、運営指導で「要件を理解しているか」を聞かれることがあるため、枠組みだけ押さえておきましょう。

実施できる主な要件

  • 利用者の同意があること(文書で残すのが実務上安全です)
  • サービス担当者会議などの場で、主治医・サービス事業所など関係者の合意を得ていること(利用者の状態が安定している、テレビ電話等を通じて本人と意思疎通ができる、事業所から情報提供を受けられる体制がある、など)
  • 少なくとも2か月に1回(介護予防支援は6か月に1回)は居宅を訪問して面接すること

要件の細部は解釈通知と保険者の運用によります。導入前に、必ず所在地の保険者と最新の運営基準・解釈通知を確認してください。

文例(同意取得時・実施月)

  • ◯月15日/サービス担当者会議(第4表参照)にて、テレビ電話を活用したモニタリングの導入を協議。主治医△△医師(書面意見)・訪問介護◯◯・通所介護◯◯より、本人の状態が安定していること、月次の情報提供が可能であることを確認し、隔月でのテレビ電話モニタリングの実施に合意。本人・長女に対し、実施方法と「対面訪問は少なくとも2か月に1回行う」ことを説明し、同意書に署名を得る(同意書は利用者ファイルに保管)。
  • ◯月8日/14:00〜14:30/テレビ電話(長女のタブレット使用・長女同席)/月次モニタリングを情報通信機器の活用により実施(◯月◯日の担当者会議合意・本人同意書に基づく)。画面越しに本人と会話、表情・声の調子に大きな変化なし。目標「朝夕の内服を忘れず続ける」:長女が画面上でお薬カレンダーを提示、残薬なし。訪問介護◯◯からの月次情報提供(◯月◯日受領)でも生活状況に変化なし。プラン変更の必要なしと判断。次回◯月は居宅を訪問して面接を実施する(前回の居宅訪問は◯月◯日)。

記録のコツ

テレビ電話でのモニタリング記録には、「どの合意・同意に基づいて実施したか」と「前回・次回の居宅訪問がいつか」を毎回書き込みます。この2点があるだけで、運営指導での説明が「記録を見せるだけ」で済みます。逆に、記録上ただ「電話で確認」とだけ書くと、訪問義務を果たしていない月に見えてしまうので注意してください。

運営指導で見られるポイントと、明日からの書き方

最後に、モニタリング記録について運営指導で確認されやすいポイントを並べます。自分の直近3か月分の記録を横に置いて、照らしてみてください。

セルフチェックリスト

  • 月1回以上、居宅を訪問し本人に面接したことが記録から読み取れるか(家族とだけ話した記録になっていないか)
  • 目標に対する達成状況が書かれているか(「変わりなし」「問題なし」で終わっていないか)
  • プラン変更の要否の判断が毎月書かれているか
  • 訪問できなかった月に、特段の事情の内容と代替の状況把握が書かれているか
  • 悪化サインを捉えた記録が、受診勧奨・情報提供・サービス調整というケアマネの対応の範囲で書かれているか
  • 本人と家族の意向が異なる場面で、両者の発言が並列で残っているか
  • テレビ電話等を使った月に、根拠となる同意・合意と直近の居宅訪問日が書かれているか

まとめ:「変わりなし」は、4行に開くだけでいい

モニタリング記録に長文は要りません。目標を書き写し、現状を数字と発言で書き、判断を1つ選び、次の一手と期日を添える。目標→現状→判断→対応の4行が埋まっていれば、安定の月も、荒れた月も、訪問できなかった月も、記録として成立します。

まずは今月の1件、いつも「変わりなし」と書いていた利用者の記録から、4行の型で書き直してみてください。

※本記事の文例はすべて架空のものです。運営基準・加算の算定要件は改正や保険者の運用により変わるため、実際の運用にあたっては最新の告示・通知と所在地の保険者の取り扱いを必ず確認してください。

参考文献・出典

  • e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)

https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038

  • 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(介護報酬改定・運営基準関係資料)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html

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この記事はケアマネのタネ編集部が作成しました。文例はすべて架空のものであり、実在の利用者情報は含まれていません。

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