事業所へのFAX、毎回ゼロから文面を考えて手が止まっていませんか。研修でもテキストでもほとんど教わらないのに、ケアマネジャーが毎週最も多く書く文書のひとつがこの連絡文です。デイサービス・訪問介護・訪問看護・福祉用具への連絡を場面別に集めました。宛先や日付の「〇〇」を差し替えて、そのままお使いください。先にひとつだけ——FAX連絡文は「用件・期限・返信方法」の3点が書いてあれば成立します。文面に迷ったら、この3点が入っているかだけ確認してください。
まず「共通の型」から(冒頭・結び・返信依頼)
どの場面でも使い回せる定型です。冒頭と結びはこの形で固定してしまい、考える時間は本文だけに使います。
- (冒頭)いつもお世話になっております。〇〇居宅介護支援事業所の〇〇です。〇〇様の件でご連絡いたします。
- (結び)ご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
- (返信依頼)恐れ入りますが、〇月〇日(〇)までに、FAXまたはお電話にてご回答いただけますと幸いです。
利用開始の依頼(新規のご相談)
新規依頼のFAXは「本人の概要・希望内容・受け入れ可否の確認」の3点セットで書きます。詳しい情報提供は、受け入れ可能の返事をもらってからで構いません。
デイサービス(通所介護)へ
- 〇〇様(要介護2・80代・女性)について、貴事業所のご利用をご相談したくご連絡いたしました。ご本人は入浴と機能訓練を希望されています。週2回(月・木)での受け入れが可能かどうか、ご検討いただけますでしょうか。
- 現在、週1回・午前中の利用枠に空きはありますでしょうか。受け入れ可能とのご回答をいただけましたら、改めて詳細をご相談させてください。
- ご本人・ご家族が見学と体験利用を希望されています。候補日として〇月〇日(〇)午前を考えておりますが、ご都合はいかがでしょうか。
訪問介護へ
- 〇〇様について、身体介護(入浴介助・週2回)の新規のご依頼です。受け入れの可否と、可能な場合の曜日・時間帯の候補をご教示ください。
- 生活援助(買い物・調理)を週3回で検討しています。〇〇地区へのご訪問は可能でしょうか。あわせて、開始可能な時期の目安もお知らせいただけますと助かります。
訪問看護へ
- 〇〇様(要介護3・心不全)について、週1回の状態観察と服薬管理を想定した訪問看護をご相談いたします。主治医の〇〇クリニック〇〇先生より指示書が交付される予定です。受け入れの可否をご検討いただけますでしょうか。
- 受け入れ可能とのご回答をいただけましたら、基本情報とケアプラン原案をお送りします。初回訪問の日程は、指示書の交付後に改めてご相談させてください。
福祉用具貸与へ
- 〇〇様宅にて、歩行器の選定をお願いしたくご連絡しました。〇月〇日(〇)14時ごろ、私も同席いたしますので、ご訪問が可能かご回答ください。
- 特殊寝台と付属品の導入を検討しています。起き上がりに時間がかかるようになってきたご本人の状況に合わせて、機種のご提案をお願いできますでしょうか。
変更連絡(曜日・時間・回数)
変更のFAXは「いつから・何が・どう変わるか」を1行目に書きます。理由は1文あれば十分です。
曜日・時間の変更
- 〇〇様のご利用曜日について、〇月より火曜日から水曜日への変更をご検討いただけますでしょうか。ご家族の送り出しの都合によるものです。
- 送迎時間についてのご相談です。通院の関係で、〇月〇日(〇)のみお迎えを30分ほど遅らせていただくことは可能でしょうか。
回数の増減
- 区分変更により要介護3の認定が出たため、〇月より利用回数を週2回から週3回へ増やしたいと考えています。追加できる曜日の候補をご教示ください。
- ご本人の希望により、〇月より週3回から週2回(月・金)へ変更いたします。変更後のケアプランと提供票は追ってお送りします。
お休み・キャンセル・再開
- 〇〇様は〇月〇日(〇)、通院のためお休みされます。振替のご希望は現時点ではありません。
- 入院に伴い、〇月〇日より当面の間ご利用をお休みします。再開の時期は、退院のめどが立ち次第、改めてご連絡いたします。
- 〇〇様が〇月〇日に退院されました。〇月〇日(〇)よりご利用を再開したく、受け入れ状況のご確認をお願いします。状態の変化については別紙のとおりです。
体調変化の共有
体調に関わる連絡は、急ぐものはまず電話で第一報を入れ、FAXは「記録として残す」ために送ります(詳しくは後半のコツ3へ)。
状態の変化を伝える・様子を尋ねる
- 〇〇様について、〇月〇日の訪問時に足のむくみの増強を確認しました。〇月〇日に受診予定です。ご利用時に体調の変化がありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。
- ご家族より、夜間の眠りが浅く日中のうとうとが増えていると伺いました。ご利用中のご様子(活動への参加・食事量・表情)をお聞かせいただけますでしょうか。
受診結果・けがの共有
- 〇月〇日の受診の結果、内服薬が変更になりました(内容は別紙をご参照ください)。ふらつきが出る可能性があると主治医から説明がありましたので、移動時の見守りをお願いいたします。
- 〇〇様は〇月〇日にご自宅で転倒されました。幸い骨折はありませんでしたが、右腰部に打撲があります。入浴時に皮膚の状態の確認をお願いできますでしょうか。
感染症・入院
- 〇〇様がインフルエンザと診断されました。直近のご利用日は〇月〇日です。再開の時期は、主治医に確認のうえ改めてご連絡いたします。
- 〇〇様は〇月〇日、誤嚥性肺炎のため〇〇病院へ入院されました。サービスは当面お休みとなります。退院に向けた情報が入り次第、共有いたします。
モニタリング・訪問日程の調整
- 今月のモニタリング訪問を〇月〇日(〇)に予定しています。差し支えなければ、最近のご利用時の様子(食事量・活動への参加・気になる変化)を事前にFAXで共有いただけますと助かります。
- サービスご利用時の様子を拝見したく、〇月〇日(〇)の午前中にお伺いしてもよろしいでしょうか。ご都合が悪い場合は、別の候補日をご提案ください。
サービス担当者会議の案内・照会
開催のご案内
- 〇〇様の更新認定に伴い、サービス担当者会議を下記のとおり開催いたします。日時:〇月〇日(〇)〇時〜〇時/場所:ご本人宅。ご出席の可否を、〇月〇日(〇)までにご回答ください。
- ご欠席の場合は、同封の照会用紙にご意見をご記入のうえ、会議前日までにご返送をお願いいたします。
欠席事業所への照会
- 〇月〇日開催のサービス担当者会議はご欠席と伺いましたので、書面にて照会いたします。貴事業所でのご利用状況と、同封のケアプラン原案へのご意見を、〇月〇日(〇)までにご回答ください。
会議後の共有
- 先日のサービス担当者会議でご検討いただいた内容を反映し、確定したケアプランをお送りします。ご確認のうえ、内容に相違がある場合はご連絡ください。
提供票・実績・請求関係
請求関係のFAXは期限が命です。「〇日必着」を必ず入れます。
- 〇月分のサービス提供票・別表をお送りします。内容をご確認のうえ、相違がある場合は〇月〇日(〇)までにご連絡ください。
- 〇月分の実績のご返送をお願いいたします。国保連への請求の関係で、〇月〇日(〇)必着でお願いできますと幸いです。
- お送りいただいた〇月分の実績について、〇日のご利用が提供票と異なっています(提供票:お休み/実績:利用あり)。事実関係をご確認いただけますでしょうか。
- 〇月より〇〇加算の算定を開始されるとのご連絡、承知しました。ケアプランへの位置づけを確認し、修正が必要な場合は改めてお送りします。
お詫び・訂正
訂正のFAXは「どこが・どう違っていたか」と「正しい内容」を並べて書きます。言い訳より先に、正しい情報を届けることが相手への誠意です。
- 先ほどお送りした〇月分の提供票に誤りがありました。正しくは〇月〇日(〇)が利用日です。差し替え版をお送りしますので、恐れ入りますが先の提供票は破棄をお願いいたします。大変失礼いたしました。
- 〇〇様のご利用中止のご連絡が遅くなり、申し訳ありませんでした。ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。今後は決定した時点で速やかにご連絡いたします。
- 本日〇時ごろ、宛先を誤ってFAXを送信してしまった可能性があります。心当たりのない書類が届いておりましたら、恐れ入りますが破棄いただき、その旨ご一報いただけますでしょうか。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。連絡文で迷わなくなる3つのコツをまとめました。
コツ1:「用件・期限・返信方法」の3点を先に書く
❌ いつもお世話になっております。さて、〇〇様の件ですが、最近ご家族からいろいろとお話があり、利用についても検討が必要かと思われ……
⭕ 〇〇様の利用曜日変更のご相談です。〇月〇日(〇)までに、可否をFAXでご回答ください。(理由:ご家族の送り出しの都合)
📝 受け取る側の相談員も、1日に何枚もFAXをさばいています。1行目で「何の用件か」、2行目で「いつまでに・どう返せばいいか」が分かる文面は、それだけで返信が早くなります。経緯や背景は、そのあとに1〜2文で添えれば十分。迷ったら「1枚1用件」も守ってください。変更連絡と担当者会議の案内を1枚に詰め込むと、片方が処理されずに埋もれます。
コツ2:個人情報は「その連絡に必要な最小限」だけ載せる
❌ 病名・既往歴・家族状況まで、手元の情報を全部書いた新規依頼FAX。
⭕ 新規依頼の1枚目は「氏名(またはイニシャル)・要介護度・希望サービス・可否の確認」まで。詳細情報は受け入れが決まってから送る。
📝 そもそも事業所間の利用者情報の共有は、契約時に本人・ご家族から同意を得ていることが前提です。そのうえで——FAXは便利な反面、誤送信すれば紙がそのまま相手の手に渡ります。厚生労働省の個人情報ガイダンスでも、FAX送信時の宛先確認は誤送信対策の基本として挙げられています。実務では「事業所の番号は短縮ダイヤルに登録し、手入力しない」「送信前に宛先表示を指差し確認する」の2つでほとんどの誤送信は防げます。万一のときのために、お詫び・訂正の章の誤送信文例も手元に置いておいてください。
コツ3:急ぎは電話、記録はFAX——体調変化は「電話第一報+FAX」の二段構え
❌ 転倒の報告を、FAX1枚だけで済ませる。
⭕ まず電話で第一報を入れ、そのあと「お電話でお伝えした件です」とFAXを送る。
📝 FAXは相手がいつ読むか分かりません。当日のサービス提供に関わる情報(転倒・発熱・服薬変更・キャンセル)は、電話で確実に届けるのが先です。ではFAXは要らないかというと、逆です。電話は記録が残りません。「言った・聞いていない」を防ぎ、支援経過に「〇日〇時、FAXにて〇〇事業所へ情報提供」と書ける形にするのがFAXの役目。急ぎの度合いで手段を選ぶのではなく、急ぎのときこそ両方使う、と覚えてください。
現場のひとこと
返信が早い事業所と遅い事業所の差は、実は送る側の文面の差でもあります。「〇日までに・FAXで・可否だけ」と返し方まで指定した1枚は、驚くほど早く戻ってきます。相手の手間を1つ減らす書き方が、結局は自分の仕事を早くします。
※文例はあくまで参考です。連絡手段や様式の指定、個人情報の取り扱いルールは、保険者や各事業所の取り決めによって異なります。所属事業所の運営規程・個人情報保護の方針に沿って、内容を整えてお使いください。
参考・出典
- 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027272.html
本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者・事業所の情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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