主治医への連絡、送っていいものか、どこまで書けばいいのか、手が止まっていませんか。医療連携はケアマネジャーが最も苦手意識を持ちやすい業務のひとつなのに、文面の型を教わる機会はほとんどありません。診療情報の照会・主治医意見書の依頼・状態変化の相談・入退院の連携まで、医療機関へ送る文面を場面別に集めました。宛先や日付の「〇〇」を差し替えて、そのままお使いください。先にひとつだけ——医師への文書は「何を判断してほしいか」を先頭に書けば、それだけで返事が早くなります。迷ったら、この1点が1行目にあるかを確認してください。
まず「共通の型」から(冒頭・結び・返信依頼)
どの場面でも使い回せる定型です。冒頭と結びはこの形で固定してしまい、考える時間は本文だけに使います。事業所への連絡より一段ていねいな敬語にそろえておくと、どの医療機関にも送れます。
- (冒頭)平素より〇〇様の診療にご尽力いただき、ありがとうございます。〇〇居宅介護支援事業所のケアマネジャー〇〇と申します。〇〇様の件でご連絡いたします。
- (結び)ご多忙のところ恐れ入りますが、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
- (返信依頼)お手数をおかけしますが、〇月〇日(〇)までに、下記あてにFAXまたはお電話にてご回答いただけますと幸いです。
- (診療の妨げにならない配慮を添える一文)診療の妨げにならない範囲で結構ですので、お手すきの際にご確認いただけますと助かります。
診療情報の照会・情報提供の依頼
サービス調整のために主治医の見解を尋ねる場面です。「何について・どの選択肢で・いつまでに」の3点を1行目に置きます。医師が可否をその場で答えられる形にするのがコツです(詳しくは後半のコツ1へ)。
サービス導入の可否を尋ねる
- 〇〇様について、訪問リハビリテーションの導入を検討しております。医学的にご負担がないか、導入の可否についてのご意見をいただけますでしょうか。可・不可のいずれかに丸をつけてご返送いただく形で差し支えありません。
- 通所介護での入浴について、心臓へのご負担の観点からご留意いただく点はございますでしょうか。可能な範囲で構いませんので、運動や入浴の際の注意事項がありましたらお教えください。
- 〇〇様がご自宅での歩行訓練を希望されています。転倒のリスクを踏まえ、実施してよい範囲や避けたほうがよい動作について、ご助言をいただけますでしょうか。
病状・生活上の留意点を尋ねる
- ケアプラン作成にあたり、〇〇様の現在の病状の見通しと、生活上で留意すべき点についてご教示いただけますでしょうか。同封の照会用紙にご記入いただく形で結構です。
- 服薬について、飲み合わせやふらつき等、日常生活で見守るべき副作用がありましたらお知らせください。ご家族への説明の参考にさせていただきます。
- 食事の形態や水分・塩分の制限など、在宅での生活で配慮すべき事項がありましたらご指示ください。
診療情報提供書の依頼
- 〇〇様の在宅サービス調整のため、現在の病状および留意事項について、診療情報提供書の作成をお願いできますでしょうか。文書料が発生する場合は、あわせてお知らせいただけますと幸いです。
- 入所(入居)先の施設より、直近の診療情報提供書の提出を求められております。お手数ですが、〇月〇日(〇)ごろまでにご用意いただくことは可能でしょうか。
主治医意見書に関する連絡
要介護認定の申請・区分変更にあたり、保険者から主治医意見書の作成が依頼される場面です。申請の事実と、ケアマネジャーがつかんでいる生活状況を補足として添えると、記入の助けになります。
新規申請・区分変更の連絡
- 〇〇様が〇月〇日付で要介護認定の新規申請をされました。近く保険者より主治医意見書の作成依頼が届く予定です。ご記入のほど、よろしくお願い申し上げます。
- 〇〇様について、心身の状態の変化により区分変更申請を行いました。前回認定時から、下記のとおり生活状況に変化がございますので、意見書ご記入の参考にお知らせいたします。
生活状況の補足情報を添える
- 在宅での様子として、この3か月で歩行が不安定になり、週に1〜2回のふらつきが見られるようになりました。夜間のトイレは、ご家族の介助が必要な状況です。意見書の作成にあたり、ご参考にしていただけますと幸いです。
- ご本人は「まだ何でもできる」とおっしゃいますが、実際には調理や服薬の管理が難しくなっており、ご家族が毎日訪問して支援しておられます。診察の場面では伝わりにくい生活面の変化として、共有させていただきます。
記入・提出のお願い
※主治医意見書は保険者(市町村)から主治医へ直接依頼され、記入後は保険者あてにご提出いただくものです(事業所あての返送ではありません)。ケアマネジャーからは、生活状況の補足や記入のお願いを添える形になります。この場面では、上記「共通の型」の「下記あてにご返送」は使いません。
- 〇〇様について、近く保険者(市町村)より主治医意見書の作成依頼が届く予定です。認定審査会の日程の都合上、お早めにご記入・ご提出いただけますと大変助かります。ご多忙のところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
受診時の情報提供・受診同行の申し送り
診察室では見えにくい「家での様子・服薬の実態・本人の言葉」を医療へ届ける場面です。ここはケアマネジャーにしか書けない情報になります(コツ2で詳しく触れます)。
受診前に生活の様子を伝える
- 〇月〇日にご受診予定と伺いました。診察のご参考までに、在宅での最近のご様子をお伝えします。日中うとうとされる時間が増え、食事量も以前の半分ほどに減っています。ご本人は「食欲はある」とおっしゃっています。
- 処方されているお薬について、飲み忘れが週に数回ある様子です。ご家族が一包化を希望されていますので、ご検討いただけますと幸いです。
受診同行時の申し送り(同行できない場合の書面)
- 本日の受診に同行できず、書面にて申し送りいたします。ご確認いただきたい点は、(1)膝の痛みの訴えが増えていること、(2)夜間の不眠、の2点です。診察の結果と今後の見通しについて、差し支えなければお聞かせください。
- 受診に同行される〇〇様のご家族へ、下記の点を主治医にお尋ねいただくようお願いしております。念のため、事業所からも共有いたします。
気になる変化を医療へつなぐ
- この2週間で、これまでできていた着替えに時間がかかるようになり、ご本人も「手に力が入りにくい」とおっしゃっています。受診の必要性についてご判断いただけますでしょうか。
- ここ最近、同じことを繰り返し尋ねられる場面が増えたとご家族から伺いました。次回受診の際に、ご様子を見ていただけますと幸いです。
状態変化の連絡・相談
在宅での様子の変化を主治医へ共有し、指示を仰ぐ場面です。緊急度の高いものは、まず電話で第一報を入れてから文書を送ります(コツ3で詳しく)。
変化を報告し指示を仰ぐ
- 〇〇様について、〇月〇日より下肢のむくみが強くなり、体重も1週間で2kg増えています。受診の要否も含め、対応についてご指示いただけますでしょうか。
- 数日前より食事中のむせが目立つようになりました。訪問看護からも情報が上がっております。食事形態の見直しや、受診のタイミングについてご助言をお願いいたします。
サービス提供中の異変を共有する
- デイサービスご利用中に血圧の高値(〇〇/〇〇)が続いているとの報告がありました。当日は大事に至りませんでしたが、主治医に共有すべきと判断しご連絡いたします。今後の対応方針についてご指示ください。
- 訪問介護より、爪の周囲に赤みと腫れがあるとの報告を受けました。ご本人は痛みを訴えておられます。受診の要否をご判断いただけますでしょうか。
服薬に関する相談
- 処方薬について、ご本人が「飲むと気分が悪くなる」と訴え、自己判断で中断されている様子です。自己判断での中止は主治医にご相談いただくようお伝えしていますが、次回受診までの対応についてご相談させてください。
入退院時の連携
入院時の生活状況の申し送りと、退院に向けた在宅調整の場面です。病院の医療連携室(地域連携室)あての文書もここに含みます。入退院はケアマネジャーの動きが最も試される局面なので、型を持っておくと落ち着いて対応できます。
入院時の情報提供(生活状況の申し送り)
- 〇〇様が〇月〇日、貴院へ入院されました。在宅での生活状況を申し送りいたします。ご利用中のサービス、服薬状況、ご家族の介護力、ご本人の意向を別紙にまとめておりますので、退院支援のご参考にしていただけますと幸いです。
- 入院前のADLは、屋内は伝い歩き、排泄は見守りで自立しておられました。認知機能の面では、時間や場所の見当がつきにくくなる場面がございます。退院に向けたご検討の際にご配慮いただけますと助かります。
退院前カンファレンスの案内・照会
- 〇〇様の退院に向けて、退院前カンファレンスの開催をご相談したくご連絡いたしました。候補日として〇月〇日(〇)〇時ごろを考えておりますが、ご都合はいかがでしょうか。ご本人・ご家族の同席も予定しております。
- 退院後の在宅サービスを調整するにあたり、退院時点で想定される(1)ADLの見込み、(2)医療的な管理(服薬・処置等)、(3)通院の頻度、の3点について、事前にお教えいただけますでしょうか。
退院後の在宅調整
- 〇〇様が〇月〇日に退院され、〇月〇日より在宅サービスを再開いたします。退院時の指示内容を踏まえてケアプランを修正しましたので、ご確認のうえ、留意点がございましたらご連絡ください。
- 退院後、はじめての受診(〇月〇日予定)に向けて、在宅での経過を申し送りいたします。退院直後は食事量が戻らず、日中の傾眠も見られておりますので、診察の際にご確認いただけますと幸いです。
サービス担当者会議への意見照会(主治医欠席時)
主治医が会議に出席できない場合に、書面で医学的意見を求める場面です。「何について意見がほしいのか」を具体的にしぼると、記入の負担が下がります。
- 〇月〇日にサービス担当者会議を開催いたします。ご出席が難しい場合は、同封のケアプラン原案について、医学的な観点からのご意見を照会用紙にご記入のうえ、会議前日までにご返送いただけますでしょうか。
- 今回の会議では、(1)リハビリの目標設定、(2)入浴サービスの可否、の2点について、主治医のご意見をぜひ反映したいと考えております。この2点にしぼってご記入いただく形で結構です。
- ご記入いただいたご意見は、会議当日に他の専門職と共有し、確定するケアプランに反映いたします。後日、確定版のケアプランをお送りしてご確認いただきます。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。医療連携で迷わなくなる3つのコツをまとめました。
コツ1:「何を判断してほしいか」を先頭に、選択肢の形で尋ねる
❌ 平素よりお世話になっております。〇〇様ですが、最近ご家族からリハビリのご希望があり、通所での対応も含めて検討しておりまして……
⭕ 訪問リハビリの導入について、可否のご意見をいただけますでしょうか。可・不可に丸をつけてご返送いただく形で結構です。(経緯:ご家族より歩行機能の維持のご希望あり)
📝 医師は限られた診療時間の中で多くの患者を診ています。長い経緯を読ませる文面より、「何について・どう答えればいいか」が1行目で分かる文面のほうが、はるかに早く返事が戻ります。可否を丸で選べる、数字を書き込むだけ——このように「書く手間を最小にした形」で尋ねるのがコツです。経緯や背景は、そのあとに1〜2文で添えれば十分です。
コツ2:ケアマネジャーにしか書けない「生活の情報」を具体的に伝える
❌ お変わりなくお過ごしです。特に問題はありません。
⭕ ご本人は「食欲はある」とおっしゃいますが、実際の食事量はこの1か月で半分ほどに減り、体重も2kg落ちています。処方薬は週に数回飲み忘れがあります。
📝 医師が診察室で得られる情報は、診察のその瞬間のものです。家での様子、服薬の実態、本人が家族に漏らす言葉——これらは、在宅を見ているケアマネジャーだけが持っている情報です。「お変わりありません」で終わらせず、いつ・どのくらい・どんな場面で、と具体的に書くほど、医療の判断材料になります。ご本人の発言と実際の様子が食い違うときは、その両方をそのまま伝えるのが、最も価値のある情報提供になります。
コツ3:緊急度で手段を選ぶ——急変は電話、記録は文書
❌ 発熱と食事量の低下を、FAX1枚だけで報告する。
⭕ まず電話で第一報を入れ、そのあと「お電話でお伝えした件です」と文書を送る。
📝 文書は相手がいつ読むか分かりません。当日の対応に関わる情報(急な発熱・転倒・むせ込みの増加)は、電話で確実に届けるのが先です。そのうえで、やり取りを記録に残すために文書を送ります。「言った・聞いていない」を防ぎ、支援経過に「〇日〇時、〇〇クリニックへ情報提供」と書ける形にしておくためです。なお、診療情報提供書や主治医意見書は、様式や文書料(費用)が絡む場合があります。費用の負担や交付の要否は保険者・医療機関によって異なる場合がありますので、依頼の前に取り扱いを確認しておくと行き違いを防げます。
現場のひとこと
医療連携が苦手という声はとても多いのですが、その多くは「何をどこまで書けばいいか分からない」ことからきています。医師が返事をしやすい形——聞きたいことを1つにしぼり、選択肢で尋ねる——を身につけると、苦手意識はかなり軽くなります。丁寧すぎる長文より、要点が1行で伝わる短い文書のほうが、医師には喜ばれます。
※文例はあくまで参考です。連絡手段や様式の指定、文書料の取り扱い、個人情報の共有ルールは、保険者や各医療機関の取り決めによって異なります。所属事業所の運営規程・個人情報保護の方針に沿って、内容を整えてお使いください。
参考・出典
- 厚生労働省「要介護認定」(主治医意見書は要介護認定に必要な書類として位置づけられています)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html
本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者・医療機関の情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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