「目標を立てても、モニタリングのときに達成できたのか判断しづらい」——そんな悩みに応える、数字で評価できる(測定可能な)長期目標・短期目標の文例を集めました。数字の部分はすべて○で表記しています。気になる行をコピーして、ご本人の現状値や意向に合わせて○に数字を入れてお使いください。
数字を入れた目標には、こんな良さがあります。
- モニタリングで「達成できたか/できなかったか」がはっきり判断できる。
- サービス担当者会議で、チームに到達点を具体的に説明できる。
- 運営指導でも「評価できる目標か」が見られるため、説明に困らない。
測定できる目標にする4つの要素
数字で評価できる目標は、次の4つの要素を意識すると自然と作れます。すべてを毎回入れる必要はありませんが、「数値」と「期限」が入っているだけで評価のしやすさが大きく変わります。
要素1:数値(回数・時間・距離・量・割合)
「どれくらい」を数字で示します。回数・時間・距離・量・割合のどれかに置き換えると測定できます。
❌ できるだけ歩けるようになる。
⭕ 見守りのもと、○mを連続して歩けるようになる。
要素2:期限(いつまでに)
「いつまでに」を入れると、モニタリングの時期に達成度を確認できます。長期は○か月、短期は○か月という形で期間を意識します。
❌ 自分でトイレに行けるようになる。
⭕ ○か月後までに、日中は見守りで自分でトイレに行けるようになる。
要素3:条件(どんな状況で)
「見守り」「声かけ」「福祉用具を使って」など、どんな状況でできるのかを示すと、自立度の変化を測れます。介助量が減っていく過程そのものが評価指標になります。
❌ 入浴できる。
⭕ 手すりと見守りがあれば、週○回の入浴を自分で行える。
要素4:主語は本人(自立支援志向)
主語を本人にすると、「本人が何をできるようになるか」という自立支援の視点になります。「させる」「させない」ではなく「本人が〜できる」で書きます。
❌ 転倒しないよう職員が見守る。
⭕ 福祉用具を使い、○か月間、転倒なく室内を移動できる。
テーマ別 測定可能な目標文例集
ここからはテーマ別の文例です。数字はすべて○表記なので、ご本人の現状値を確認したうえで実際の数字を入れてお使いください。長期目標は○か月(おおむね6か月程度を想定)、短期目標は○か月(おおむね3か月程度を想定)で設定すると評価のリズムが取りやすくなります。また、短期目標は長期目標を達成するための段階です。短期の積み重ねが長期につながるよう、両者を連動させて設定します。
認知症(中核症状)長期目標
記憶・見当識・実行機能の低下を、生活に出る形で測れるようにした文例です。
- ○か月後も、声かけと予定表の活用で、1日○回の食事を自分のペースで続けられる。
- カレンダーや時計の確認を1日○回習慣にし、日付や予定の見当をつけて行動できる。
- 手順表を使い、身支度などの一連の動作を○割は自分で進められる。
- なじみの活動に週○回参加し、生活の張りと持っている力を保てる。
- 服薬カレンダーの活用で、1日○回の服薬を見守りのもと続けられる。
認知症(中核症状)短期目標
- 予定表を使い、○か月間、デイサービスへ週○回、混乱なく通える。
- 声かけと道具の準備があれば、調理や片づけの工程を○割は自分で行える。
- 1日○回、職員や家族と一緒にカレンダーを確認し、今日の予定を言葉で確認できる。
- 持ち物チェックの習慣で、忘れ物による外出のつまずきを○か月で○回以下に減らせる。
- なじみの作業活動に週○回取り組み、最後まで集中して続けられる。
📝 「○○ができなくなった」という喪失ではなく、「道具や声かけがあれば○回できる」と残っている力を数字で示すと、達成感を持てる目標になります。
認知症(BPSD)長期目標
不安・興奮・拒否・帰宅願望などへの対応を、本人の落ち着きや参加の度合いで測れるようにした文例です。
- ○か月後も、安心できる関わりのもとで、1日の大半を穏やかに過ごせる。
- なじみの活動に週○回参加し、不安が和らいだ時間を保てる。
- 夕方の落ち着かない時間帯も、声かけと環境調整で、週○回以上は穏やかに過ごせる。
- ケアへの拒否があっても、本人のペースに合わせることで週○回は無理なく受け入れられる。
- 安心できる関わりにより、○か月間、夜間に落ち着かない回数を週○回以下に減らせる。
認知症(BPSD)短期目標
- 帰宅願望が出る場面で、傾聴と気分転換により、○か月間、興奮に至らず落ち着いて過ごせる。
- 好きな活動に週○回参加し、落ち着いて過ごせる時間を1日○時間以上保てる。
- 入浴や整容への声かけを工夫し、週○回は拒否なく応じられる。
- 不安が強まる場面を記録で把握し、○か月で落ち着かない回数を週○回以下に減らせる。
- なじみの人や物に触れる時間を1日○回つくり、安心して過ごせる。
📝 BPSDは「ゼロにする」ではなく「穏やかに過ごせた回数・時間」を測ると、関わりの効果が見えやすくなります。記録から現状値をつかんでから目標を設定すると評価しやすいです。
脳血管後遺症(片麻痺・嚥下・失語)長期目標
ADL・自主訓練の回数・むせ込みなどで測れるようにした文例です。
- ○か月後までに、手すりと見守りで、トイレ動作を○割は自分で行える。
- 自宅でできる自主訓練を週○回続け、上下肢の動かしやすさを保てる。
- とろみや姿勢の調整により、食事中のむせ込みを週○回以下に保てる。
- 福祉用具を使い、○mの移動を見守りのもとで行える。
- 伝えたいことを、絵カードや短い言葉で、1日○回は自分から相手に伝えられる。
脳血管後遺症(片麻痺・嚥下・失語)短期目標
- リハビリで習った自主訓練を、○か月間、1日○回続けられる。
- 手すりを使い、ベッドからの立ち上がりを○回中○回は自分で行える。
- 食事の姿勢と一口量を意識し、○か月間、むせ込みを1食あたり○回以下に保てる。
- 声かけと見守りで、○mの歩行を○か月後までに行える。
- あいさつや要望を、短い言葉や絵カードで1日○回は自分から伝えられる。
📝 「リハビリを頑張る」ではなく「自主訓練を週○回」「○mを歩ける」と、本人が日々確認できる回数や距離に置き換えると測定できます。
転倒・骨折リスク長期目標
移動の自立度・転倒回数・歩行距離・下肢の運動回数などで測れるようにした文例です。
- ○か月間、転倒なく、住み慣れた家で安全に生活できる。
- 福祉用具を使い、室内○mの移動を自分の足で続けられる。
- 下肢の運動を週○回続け、立ち上がりやバランスの力を保てる。
- 夜間も足元の明かりと手すりを使い、転倒なくトイレへ行ける。
- 外出の機会を週○回保ち、活動量と歩く力を維持できる。
転倒・骨折リスク短期目標
- 手すりや歩行器を使い、○か月間、ふらつきによる転倒を○回以下に抑えられる。
- 自宅でできる足腰の運動を、○か月間、週○回続けられる。
- 通所の場で運動に取り組み、連続して○m歩ける状態を保てる。
- 滑りにくい履物と福祉用具を使い、○か月間、室内移動を安全に行える。
- 夜間のトイレを、○か月間、転倒なく自分で行える。
📝 「転ばないようにする」だけだと評価できません。「○か月間、転倒○回」「○m歩ける」と、回数や距離で書くと達成・未達がはっきりします。現状の歩行距離を測ってから目標値を決めると現実的になります。
独居高齢者長期目標
服薬・水分摂取・安否確認・外出や交流の頻度などで測れるようにした文例です。
- ○か月後も、見守りの仕組みを活かし、安心して一人暮らしを続けられる。
- 1日○回の服薬を、お薬カレンダーの活用で続けられる。
- 1日○mlを目安に水分をとり、体調を保って暮らせる。
- 週○回の安否確認のつながりを保ち、変化に早く気づける状態を続けられる。
- 外出や交流の機会を週○回持ち、人とのつながりを保てる。
独居高齢者短期目標
- お薬カレンダーを使い、○か月間、1日○回の服薬を飲み忘れなく続けられる。
- 1日○回、決まった時間に水分をとる習慣を○か月で身につけられる。
- 週○回の見守り訪問や電話で、○か月間、安否を確認できる体制を保てる。
- 週○回、買い物や通いの場に出かけ、外出の機会を保てる。
- 体調やお金の不安を、週○回の見守りの機会に、相談先へ伝えられる。
📝 独居は「安心して暮らす」だけだと抽象的になりがちです。服薬○回・水分○ml・安否確認週○回など、頻度や量に置き換えると、見守り体制が機能しているかを評価できます。
数値目標を立てるときの注意
数字を入れると評価はしやすくなりますが、入れ方を誤ると本人を追い詰める目標になってしまいます。次の4点を意識してください。
注意1:高すぎる目標にしない
本人が達成感を持てる刻みにします。いきなり大きな数字を置かず、現状から少し先の届く目標を設定すると、達成体験が次の意欲につながります。
注意2:本人・家族の意向が出発点
数字は支援者の都合で決めるものではありません。本人がどう暮らしたいか、家族がどう支えたいかという意向を起点に、その実現度合いを測る形で数字を添えます。
注意3:ベースライン(現状値)を把握してから決める
「今どれくらいできているか」を確認してから目標値を決めます。現状を測らずに数字を置くと、高すぎたり低すぎたりして、評価の意味がなくなります。
注意4:達成したら次の目標へ更新する
短期目標を達成できたら、そこで止めず次の段階へ更新します。達成・未達のどちらでも、モニタリングの結果を次の目標づくりに活かすことが、計画を生きたものにします。
現場のひとこと
数字は「本人を縛る道具」ではなく「できるようになったことを見つける道具」です。○に入れる数字は、本人の暮らしと意向から逆算して決める——その順番だけは外さないようにしています。
※期間や数値目標は、利用者の状態やご家族の状況、保険者(市町村)の確認・判断によって異なります。必ず個別の状況に合わせて設定してください。
(参考:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、課題分析標準項目・居宅サービス計画書の標準様式に関する通知)
この記事を書いた人
現役のケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年携わり、ご本人とご家族の支援を続けてきました。管理者として運営指導も受ける立場から、現場で本当に使える文例を整理しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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