心不全の方の第2表で、そのまま使える文例を集めました。毎日の体重測定・むくみの観察・塩分や水分の管理・利尿薬の飲み忘れ対策・息切れに応じた活動調整・増悪サインと受診の段取りなど、この病気ならではの場面ごとに並べています。気になる行をコピーして、ご本人の治療内容や暮らしに合わせて整えてお使いください。なお、体重増加の連絡基準や塩分・水分の制限量、増悪時の対応手順は、必ず主治医の指示に基づいて計画に落とします。

ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例

増悪の予防(体重測定・むくみの観察)
- 心不全が悪くならないよう、毎日の体重測定を続けて体の変化に早く気づきたい。
- 足のむくみに自分では気づきにくいので、一緒に見てくれる人がほしい。
- 体重を測る習慣がないので、無理なく続けられる形で毎日の確認をしたい。
- 体の小さな変化を見逃さず、入院せずに家で暮らし続けたい。
塩分・水分の管理
- 濃い味付けに慣れているが、心臓のために塩分を控えた食事を続けたい。
- 食事づくりが負担になってきたので、塩分に配慮した食事を無理なくとりたい。
- 主治医から水分の指示を受けているので、飲む量を自分で把握できるようになりたい。
- 好きなものをすべて我慢するのではなく、楽しみを残しながら食事に気をつけたい。
服薬管理(利尿薬の飲み忘れ・自己中断)
- 薬の種類が多くて飲み間違いが心配なので、確実に飲めるようになりたい。
- トイレが近くなるのが嫌で利尿薬を抜いてしまうことがあるが、正しく続けられるようになりたい。
- 飲み忘れると心不全が悪くなると聞いたので、決まった時間に薬を続けたい。
- 外出の予定がある日の薬のことを、自己判断せず相談できる相手がほしい。
息切れ・疲れやすさと活動のバランス
- 少し動くと息が切れるが、自分でできることは続けたい。
- 疲れをためない範囲で、家事や買い物を続けられるようになりたい。
- 息切れが怖くて動かなくなってしまったが、体の力を落とさない暮らしがしたい。
- 休みながらでも、自分のペースで身の回りのことをしたい。
増悪サインへの不安・早めの受診
- 急に体重が増えたときや夜に息が苦しいとき、どうすればよいか迷わず動けるようになりたい。
- 「これは受診したほうがよい変化か」を相談できる相手がほしい。
- 前回の入院がつらかったので、悪くなる前に手を打てるようになりたい。
退院直後の生活の立て直し・再入院の予防
- 退院したばかりで不安が大きいが、入院前の暮らしを取り戻したい。
- 入院中に足の力が落ちたので、家での生活に体を慣らしていきたい。
- 病院で教わった体重測定や食事の注意を、家でも続けられるようになりたい。
- また入院することにならないよう、体調を保ちながら家で暮らしたい。
入浴(心臓への負担・温度)
- 入浴すると疲れてしまうが、お風呂は好きなので安心して入り続けたい。
- 一人での入浴が不安なので、見守りのあるところで入浴したい。
- 心臓に負担をかけない入り方を身につけて、自宅での入浴を続けたい。
心臓リハビリテーション・運動
- 主治医から運動をすすめられているので、心臓に合った運動を続けたい。
- 通院での心臓リハビリテーションを、送迎の心配なく続けたい。
- 退院後も体を動かす機会を持ち、動ける体を保ちたい。
独居での増悪サインの発見・見守り
- 一人暮らしなので、体調の変化に誰かが気づいてくれる体制がほしい。
- 夜間に息が苦しくなったとき、すぐ連絡できる手段を持って安心して眠りたい。
- 毎日誰かと接点を持ち、変化を見逃されずに一人暮らしを続けたい。
認知機能の低下と体調管理
- 薬や体重測定を済ませたかどうか忘れてしまうので、抜けや重複を防ぎたい。
- 自分でできる部分は続けながら、間違いのない形で治療を続けたい。
重い心不全と暮らす(ターミナル期に近い時期)
- 入退院を繰り返す体になってきたが、できるだけ家で過ごしたい。
- 息苦しさやだるさがあっても、その日その日を自分らしく過ごしたい。
- この先のことを、家族と医療者に支えられながら少しずつ決めていきたい。
家族の介護(不安・負担)
- 家族が食事や薬の管理を抱え込みすぎないよう、支えを借りながら在宅を続けたい。
- 夜間に急変したらどうするかを、家族も相談できる相手がほしい。
長期目標の文例

- 毎日の体重測定と服薬を続け、心不全の増悪や再入院なく在宅生活を送れる。
- 塩分に配慮した食事を無理なく習慣にし、体調の安定した暮らしを続けられる。
- 息切れと相談しながら自分のペースで動き、身の回りのことを自分で続けられる。
- 体調の変化に早く気づいて受診につなげる体制のもと、安心して生活できる。
- 退院前の生活リズムを取り戻し、家での役割や楽しみを続けられる。
- 見守りと連絡の体制のもとで、一人暮らしを安心して続けられる。
- 症状と折り合いをつけながら、住み慣れた家で自分らしい時間を過ごせる。
- 家族が支えを得ながら、無理なく介護を続けられる。
短期目標の文例

体重測定・むくみの観察
- 毎朝起きて排尿を済ませた後に体重を測り、ノートに記録できる。
- 主治医から指示された連絡の基準(短期間の体重増加など)を、本人と家族が言える。
- 訪問時に足のすね・甲のむくみを支援者と一緒に確かめられる。
- 体重の記録を受診のときに主治医へ見せられる。
塩分・水分の管理
- 配食サービスを週5日利用し、塩分に配慮した食事を1日2食とれる。
- 管理栄養士の助言をもとに、漬物や汁物のとり方を無理のない形に整えられる。
- 主治医から水分の指示がある場合は、目盛り付きの容器で1日の量を把握できる。
- 外食や総菜を選ぶときの目安を、本人と家族が管理栄養士に確認できる。
服薬
- お薬カレンダーを使い、利尿薬を含む毎日の薬を飲み忘れなく続けられる。
- トイレの不安など薬をやめたくなる理由を、自己判断せず主治医や看護師に相談できる。
- 薬が残った・足りないときは、次の受診を待たずに薬剤師へ連絡できる。
活動と休息のバランス・心臓リハビリテーション
- 息切れが出たら休む・治まったら再開する動き方を、本人が実践できる。
- 主治医の指示の範囲で、週3回、疲れの残らない程度の散歩を続けられる。
- 洗濯や調理を座ってできる環境を整え、休みながら家事を続けられる。
- 通所リハビリテーションで週2回、体の状態に合わせた運動を続けられる。
増悪サインと受診の段取り
- 急な体重増加・むくみの悪化・夜間の息苦しさ・横になると苦しいなどのサインを、本人と家族が言える。
- サインに気づいたら、主治医の指示に基づきその日のうちに医療機関または訪問看護師へ連絡できる。
- 連絡先の一覧を電話のそばに貼り、本人も家族もすぐ見られる。
- 夜間・休日の連絡先を、あらかじめ主治医に確認しておける。
入浴
- 湯の温度と入浴時間の目安を主治医に確認し、その範囲で入浴を続けられる。
- 通所介護で週2回、見守りのもとで入浴できる。
- 脱衣所と浴室を暖め、暖かい部屋との温度差を減らして入浴できる。
- 入浴の前後に体調を確かめ、息切れやだるさが強い日は無理をせず清拭に切り替えられる。
退院直後の生活の立て直し
- 退院時に病院から受けた指導の内容を、支援者全員が共有できる。
- 退院後2週間は訪問看護の回数を増やし、体調の変化を細かく確認できる。
- 入院中にできなくなったこと・できることを支援者と確かめ、家での動き方を決められる。
サービス内容の文例

医療との連携
- 訪問看護:体重・むくみ・息切れ・血圧など全身状態の観察、服薬状況の確認、増悪サイン出現時の対応(主治医の指示に基づく)、主治医との連携、本人・家族への療養指導。
- 居宅療養管理指導(医師・薬剤師):服薬管理の助言、薬の一包化やお薬カレンダーの調整、利尿薬の飲み忘れ・自己中断を防ぐ工夫。
- 居宅療養管理指導(管理栄養士):塩分・水分に配慮した食事の助言、本人・家族が続けられる献立の工夫。
- 主治医:心不全の評価と治療方針の決定、活動量・入浴・体重増加時の対応の指示、心臓リハビリテーションの指示。
食事・入浴・生活の支援
- 配食サービス:塩分に配慮した食事の提供と、手渡し時の安否確認。
- 訪問介護:調理・買い物の支援、食事や水分の摂取状況の確認、服薬の声かけと確認、体重測定の見守りと記録(薬の量の調整や医療機器の操作は行わない)。
- 通所介護・通所リハビリテーション:見守りのある入浴、体の状態に合わせた運動、体重・体調の観察と事業所間の情報共有。
- 福祉用具貸与・住宅改修:シャワーチェアや手すりの設置による入浴・移動の負担軽減、寝起きが楽になる特殊寝台の検討。
緊急時・見守りの体制(独居・夜間)
- 緊急通報装置・見守りサービス:夜間の息苦しさなど急変時に外部へ連絡できる体制の確保。
- 多職種での情報共有:増悪サイン・連絡の基準(主治医の指示による)・連絡先を支援者全員で共有し、異変時は訪問看護・主治医へ連絡。
- 訪問系サービスの曜日調整:訪問のない日が続かないよう組み合わせ、毎日誰かの目が入る形の確保。
- 民生委員・近隣・家族による定期的な連絡と安否確認。
本人・家族の取り組みと負担軽減・重症期の支え
- 本人:毎朝の体重測定と記録、決まった時間の服薬、息切れに合わせた休息、塩分に配慮した食事。
- 家族:増悪サインと連絡先の共有、体重記録の確認、受診への同行。
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護:体調管理を続けながらの家族の休息(レスパイト)の確保。
- 重症期:訪問診療・訪問看護を中心とした体制への見直し、本人・家族の意向(過ごしたい場所・受けたい医療)の確認と多職種での共有。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。心不全ならではの、書き分けのコツをまとめました。
コツ1:「安静に過ごす」を目標にしない
❌ 心臓に負担をかけないよう、安静に過ごすことができる。
⭕ 息切れが出たら休む・治まったら再開する動き方を、本人が実践できる。
📝 心不全=安静、と書きたくなりますが、動かない生活は足の力と生活の張りを奪い、かえって体調を崩すきっかけになる場合があります。だからといって「動いてよい範囲」をケアマネジャーが決めることもできません。活動量の上限は主治医の判断です。第2表に書くのは「息切れが出たら休む」「座ってできる家事に変える」のような、指示の範囲内での動き方のほうです。主治医が心臓リハビリテーションを指示している方なら、その内容と通所サービスの運動が食い違わないよう、担当者会議でそろえておきます。
コツ2:体重測定は「測る」で終わらせず「連絡する」まで書く
❌ 毎日体重を測定し、健康管理に努める。
⭕ 主治医から指示された連絡の基準(短期間の体重増加など)を本人と家族が言える。
📝 心不全の増悪は、急な体重増加・むくみの悪化・夜間の息苦しさといったサインの形で現れます。毎日の体重測定はそれに気づくための行動ですが、測って記録するだけでは計画として途中までです。「どれだけ増えたら・誰に・いつ連絡するか」までつながって、はじめて早期受診の段取りになります。ここで注意したいのは、連絡の基準となる数値をケアマネジャーが独自に決めて書かないことです。基準は主治医が本人の状態に合わせて示すものなので、計画には「主治医から指示された基準」として位置づけ、その中身を本人・家族・支援者全員で共有します。
コツ3:訪問介護に「できること・できないこと」の線を引いて書く
❌ 訪問介護:利尿薬の管理と体調に応じた調整。
⭕ 訪問介護:服薬の声かけと確認、体重測定の見守りと記録(薬の量の調整や医療機器の操作は行わない)。
📝 「むくみが強いから今日は利尿薬を増やそう」という判断は、訪問介護員にもケアマネジャーにもできません。看護師も独自には行わず、主治医の指示の範囲内で対応します。薬の調整の判断は主治医が行います。在宅酸素を使っている方の流量変更も同じです。一方で、声かけ・見守り・体重測定の記録・食事の様子の確認は訪問介護の大事な役割で、この記録が主治医の判断材料になります。「判断は主治医、観察と報告は現場」と役割を分けて書くと、独居や認知機能が低下した方でも治療を続ける体制が作れます。線引きのあいまいな計画は、運営指導で必ず見られるところです。
運営指導で見られやすいポイント
- 体重増加時・増悪サイン出現時の対応が、主治医の指示に基づいて計画上に見えるか(ケアマネジャー独自の数値基準になっていないか)。
- 薬の調整や医療機器の操作が、訪問介護員の役割として書かれていないか。
- 塩分・水分の管理が、主治医や管理栄養士の指導と食い違っていないか。
- 活動量や入浴の内容が、主治医の指示の範囲に収まっているか。
- 独居や認知機能低下がある場合、「誰が・いつ・何を確認するか」が具体的に書かれているか。
現場のひとこと
心不全の方の再入院は、たいてい「なんとなく足がむくんでいた」「最近きつそうだった」の数日後に起きます。あの数日のうちに誰かが気づいて連絡できるかどうか。第2表はそのための連絡網の設計図だと思って書いています。
※文例はあくまで参考です。体重増加の連絡基準や塩分・水分の制限量、増悪時の対応手順は、必ず主治医の指示に基づいて個別に決めてください。症状の出方や治療内容には個人差が大きく、期間や保険適用の可否はご本人の状態や保険者の判断によって異なります。ご本人の状況に合わせ、主治医や訪問看護師・管理栄養士と相談しながら整えてお使いください。
参考・出典
- 国立循環器病研究センター「心不全」
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/heart-failure/
- 日本心臓財団「高齢者の心不全」
https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/
本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。


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