通所リハビリテーション(デイケア)の第2表を、デイサービスの文例を少し書き替えて作ってしまうことがあります。ところがこの2つは、計画に置くまでの手続きから違います。

デイケアは、主治の医師がその必要性を認めた方だけが使えるサービスです(介護保険法第8条第8項)。ケアマネジャーの側にも、医療サービスを計画に位置づけるときは主治の医師等の指示があることを確認する義務があります(平成11年厚生省令第38号 第13条第20号)。デイサービスにはこの手続きがありません。ここが最初の分かれ道です。
この記事では、通所リハビリテーションを位置づけるときの第2表の文例を149本集めました。退院直後、歩行や移動、家事や趣味などの生活行為、飲み込みと言葉、進行する病気とのつきあい、そして「デイサービスへ移る日」まで並べています。気になる行をコピーして、ご本人の状態と医師の指示の内容に合わせて整えてお使いください。
リハビリテーションの内容・回数・中止の基準は、事業所の医師の指示と通所リハビリテーション計画で決まります。 ケアマネジャーが独自に決めて書く欄ではありません。第2表には「誰の指示・誰の評価で決まったか」が読み取れる形で落とします。
ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例

この章の文例は「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」欄に書きます。主語はご本人です。
退院直後・在宅生活の立て直し
- 入院で体力が落ちたので、退院前にできていた家の中の動作を取り戻したい。
- 退院してきたが一人で動くのが不安なので、専門職に見てもらいながら体を動かしたい。
- 病院で教わった運動を、家でも続けられる形にしたい。
- 骨折の手術のあと、医師の許可の範囲で少しずつ動く量を増やしていきたい。
- 退院後に転ぶことが怖いので、安全に動ける方法を身につけたい。
- 病院を出てから相談する相手がいなくなったので、体のことを聞ける場がほしい。
歩行・移動の力を取り戻したい
- 杖を使えば歩けるので、この状態を保って自分の足で暮らしたい。
- 家の中はつたい歩きでいけるが、玄関の段差が越えられるようになりたい。
- 外に出る自信がなくなったので、近所を歩けるところまで戻したい。
- 車いすから自分で移れるようになって、家族の負担を減らしたい。
- 歩く距離が短くなってきたので、休まずに郵便ポストまで行けるようになりたい。
家の中の動作と、家事・買い物(ADL・IADL)
- トイレまで自分で行って、最後まで一人で済ませたい。
- 浴槽をまたぐのが難しくなってきたので、家のお風呂に入り続けたい。
- ボタンやファスナーが留めにくくなったので、自分で着替えを済ませたい。
- ベッドから起き上がるのに時間がかかるので、朝の支度を自分のペースでできるようにしたい。
- 床からの立ち上がりが怖いので、畳の部屋でも安心して過ごしたい。
- また自分で台所に立って、簡単なものを作れるようになりたい。
- 近所のスーパーまで一人で買い物に行けるようになりたい。
- 洗濯物を干す動作がつらくなったので、続けられるやり方を教わりたい。
- バスに乗って通院できるようになって、人に頼らず出かけたい。
- 畑仕事をもう一度したいので、そこに向けた体の使い方を知りたい。
- 孫の行事に出かけられるように、外出できる体力を戻したい。
手・腕の動き、話すこと・飲み込むこと(作業療法・言語聴覚療法の視点)
- 箸が使いにくくなったので、家族と同じ食卓で自分で食べたい。
- 麻痺のある手を、できる範囲で生活の中で使っていきたい。
- 字を書くことが難しくなったので、書類の記入を自分で済ませたい。
- 爪切りや整容を自分で行い、身だしなみを整えて出かけたい。
- 言葉が出にくくなったので、家族や近所の人と話を続けられるようにしたい。
- 電話で用件を伝えることが難しくなったので、伝わる方法を身につけたい。
- 食べるときにむせることが増えたので、専門職に見てもらいながら口から食べ続けたい。
- 声が小さくなって聞き返されるので、人と話す機会を減らしたくない。
痛みや進行する病気とつきあいながら、今の力を保ちたい
- 膝の痛みとつきあいながら、今できている動作を保ちたい。
- 少し動くと息が切れるので、体に負担の少ない動き方を知りたい。
- 腰の痛みが怖くて動かない日が増えたので、動いてよい範囲を教わりたい。
- 血圧の変動があるので、体調を見てもらえる場所で運動したい。
- 病気の進み方に合わせて、そのときできる動き方を教わり続けたい。
- 動きにくい時間帯があるので、その時間の過ごし方を一緒に考えてほしい。
- 少しずつできないことが増えているが、今できていることは手放したくない。
- 体の変化に家族が戸惑っているので、一緒に見通しを持てるようにしたい。
- 加齢に伴う変化があっても、住み慣れた家での暮らしを続けたい。
通所介護や地域の場に移りたい(卒業を見据える)
- 体力が戻ってきたので、そろそろ地域の集まりにも顔を出したい。
- リハビリの目的が果たせたら、仲間と過ごせる場所に移りたい。
- 自分でできる運動を覚えて、通わなくても続けられるようにしたい。
- 週の予定が通所だけになっているので、他の楽しみも持ちたい。
家族・介護者から見た困りごと(本人主体で書く)
- 介護してくれる家族と、これからも同じ家で暮らし続けたい。
- 移乗を手伝う家族の腰の負担が心配なので、自分でできる動きを増やしたい。
- 家族が仕事を続けられるように、日中は専門職のいる場所で過ごしたい。
- 自宅での介助の方法を家族が教わり、無理のない形で在宅生活を続けたい。
長期目標の文例

この章の文例は「長期目標」欄に書きます。「筋力が向上する」ではなく、本人が取り組める生活動作と、続けられる暮らしの形で書きます。
在宅生活の再開・継続
- 入院前に行っていた家の中の動作を取り戻し、自宅での生活を続けられる。
- 杖と手すりを使って屋内を移動し、住み慣れた家で暮らし続けられる。
- 日中の過ごし方が定まり、生活のリズムを保って自宅で過ごせる。
- 家族と協力しながら、無理のない形で在宅生活を続けられる。
移動と外出
- 自分の足で近所まで出かけ、行きたい場所に行ける。
- 玄関の段差を安全に昇り降りし、通院や買い物に出かけられる。
- 車いすとベッドの間の移り方が定まり、日中を居間で過ごせる。
- 公共交通機関を使って、一人で通院できる。
生活行為・役割・楽しみ
- 簡単な調理を再開し、自分の食事を自分で用意できる。
- 家の中で自分の役割を持ち、張り合いのある一日を過ごせる。
- 以前からの趣味を再開し、続けられる形で楽しめる。
- 家族や近所の人との会話を続け、人とのつながりを保てる。
- 食卓に家族とそろい、自分の手で食事をとれる。
機能の維持(進行する病気・重度の方)
- その時々の体の状態に合わせた動き方を続け、今できている動作を保てる。
- 専門職の助言を受けながら、日々の暮らしの中で体を動かし続けられる。
- 体の変化を家族と支援者が把握できる体制のもとで、自宅で過ごせる。
- 痛みや息切れとつきあいながら、自分のペースで一日を過ごせる。
通所介護・地域の場への移行
- 自宅で続けられる運動を身につけ、通所リハビリテーション以外の場にも参加できる。
- 目標としていた生活行為ができるようになり、次の過ごし方に進める。
- 地域の集まりや通所介護に通い、人と関わる時間を持てる。
短期目標の文例

この章の文例は「短期目標」欄に書きます。誰が見ても達成できたかどうかが分かる形にします。
起き上がり・立ち上がり・歩行・段差
- ベッドの手すりを使って、自分で起き上がれる。
- いすからの立ち上がりを、支えなしで行える。
- 食卓のいすに30分続けて座り、食事を最後までとれる。
- ベッドと車いすの間を、見守りのもとで自分で移れる。
- 室内を手すりとつたい歩きで移動し、トイレまで一人で行ける。
- 杖を使って玄関から門扉まで往復できる。
- 玄関の上がりかまちを、手すりを使って昇り降りできる。
- 自宅から郵便ポストまで、休まずに歩いて往復できる。
- 通所リハビリテーションの送迎車への乗り降りを、見守りのもとで行える。
トイレ・入浴・更衣(ADL)
- 日中のトイレを、声かけなしで自分で済ませられる。
- 浴槽への出入りを、手すりとバスボードを使って行える。
- 上着の着脱を、時間をかけても自分で行える。
- ズボンの上げ下げを、座った姿勢で自分で行える。
- 洗身のうちできる部分を自分で行い、届かない部分だけ介助を受けられる。
調理・洗濯・買い物(IADL)
- 台所に立って、湯を沸かして飲み物を用意できる。
- 調理のうち、切る・盛りつけるといった工程を自分で行える。
- 洗濯物を干す動作を、高さを変えた物干しを使って行える。
- 近所の店まで歩いて行き、買った物を持って帰れる。
- 自宅で使う道具の置き場所を見直し、迷わず取り出せる。
手・腕の動作、話すこと・飲み込むこと
- 自助具のスプーンを使って、主食を自分で食べられる。
- 麻痺のある手を、物を押さえる役割で日常的に使える。
- ボタンとファスナーを、時間をかけても自分で留められる。
- 自分の名前と日付を書類に記入できる。
- 言いたいことを、絵カードや筆談を交えて相手に伝えられる。
- 電話で家族に用件を伝えられる。
- 言語聴覚士から示された姿勢と一口の量で、食事をとれる。
- 食後に口の中に食べ物が残っていないか、本人と家族が確認できる。
- 言語聴覚士から示された練習を、自宅で1日1回行える。
自宅での継続(自主トレーニング・家族の関わり)
- 事業所で示された運動を、自宅で朝夕に続けられる。
- その日に行った運動を記録に残し、通所日に職員へ見せられる。
- 家族が介助の方法(起き上がり・移乗の手順)を教わり、実際にやってみられる。
- 自宅で運動する場所と時間を決め、家族と共有できる。
体調管理と中止の基準の共有
- 運動の前後に血圧と体温を測ってもらい、その日の体調を職員と確認できる。
- 医師から示された「その日は運動を控える目安」を、本人と家族が言える。
- 痛みやしびれが強くなったときに、その場で職員へ伝えられる。
- 通所日の様子と気づいたことを、事業所からケアマネジャーへ月1回まとめて伝えてもらえる。
- 体調の変化があったときの連絡先を、本人と家族が手元で確認できる。
移行(卒業)に向けた準備
- 自宅で一人でも続けられる運動を3つ覚え、実際に行える。
- 地域の通いの場や通所介護を見学し、感想を家族とケアマネジャーに伝えられる。
- 通所リハビリテーションの利用終了後にどう過ごすかを、本人・家族・事業所で話し合える。
- 週の予定のうち1日を、通所以外の外出や活動にあてられる。
サービス内容の文例

この章の文例は「サービス内容」欄に書きます。
医師の指示と通所リハビリテーション計画
- 通所リハビリテーション:事業所の医師の指示と通所リハビリテーション計画に基づく、心身の機能の維持回復と日常生活の自立に向けたリハビリテーションの提供。
- 通所リハビリテーション:医師および理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等が共同して作成した通所リハビリテーション計画の説明と交付。
- 通所リハビリテーション:リハビリテーション開始前・実施中の留意事項と、やむを得ず中止する場合の基準の設定と共有。
- 通所リハビリテーション:診療および運動機能検査・作業能力検査等による評価と、評価結果に基づく計画の見直し。
- 主治医:通所リハビリテーションの必要性についての意見、リハビリテーションの内容と負荷に関する指示、併存する病気に応じた注意点の提示。
- ケアマネジャー:本人の同意を得て主治の医師等の意見を求め、作成した居宅サービス計画を主治の医師等へ交付する。
理学療法士(PT)の関わり
- 通所リハビリテーション(理学療法士):起き上がり・立ち上がり・移乗・歩行など、基本的な動作の練習。
- 通所リハビリテーション(理学療法士):自宅の間取りに合わせた移動の練習(廊下の幅、段差の高さ、手すりの位置を想定して行う)。
- 通所リハビリテーション(理学療法士):杖・歩行器・装具の使い方の確認と、本人に合わせた調整の助言。
- 通所リハビリテーション(理学療法士):自宅で続けられる運動の選定と、家族への実施方法の説明。
作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の関わり
- 通所リハビリテーション(作業療法士):食事・更衣・整容・入浴など、生活動作そのものを使った練習。
- 通所リハビリテーション(作業療法士):調理・洗濯・買い物など、本人が再開したい生活行為の分析と練習。
- 通所リハビリテーション(作業療法士):自助具や生活用具の選定と、使い方の練習。
- 通所リハビリテーション(作業療法士):家庭内での役割づくりに向けた、家族との相談と調整。
- 通所リハビリテーション(言語聴覚士):話す・聞く・伝えるための練習と、家族への伝え方の助言。
- 通所リハビリテーション(言語聴覚士):飲み込みの状態の確認と、食事の姿勢・一口の量の助言(医師の指示に基づく)。
- 通所リハビリテーション(言語聴覚士):本人に合った意思疎通の手段(筆談・絵カード・機器等)の検討と練習。
自宅の環境への橋渡し
- 通所リハビリテーション:自宅を訪問しての生活環境の確認と、動作しやすい配置への助言。
- 通所リハビリテーション:訪問介護員など他の事業所の職員に対する、介助方法と日常生活上の留意点の助言。
- 福祉用具貸与・特定福祉用具販売:手すり・歩行器・入浴補助用具など、練習した動作を自宅で行うための用具の検討(事業所のリハビリテーション専門職の助言をふまえ、福祉用具専門相談員と選定する)。
- 住宅改修:段差の解消や手すりの取り付けの検討(動作の練習と並行して進め、必要性を担当者会議で確認する)。
- 多職種での情報共有:練習している動作と、自宅で行ってよい範囲を支援者全員で共有する。
口腔・栄養との一体的な取り組み
- 通所リハビリテーション:口の健康状態の評価と、必要に応じた歯科医療機関への受診の勧め。
- 通所リハビリテーション:栄養状態の把握と、体を動かす量に見合った食事についての助言。
- 通所リハビリテーション:リハビリテーション・口腔・栄養の情報を関係職種の間で共有し、計画の見直しに反映する。
- 居宅療養管理指導(歯科医師・歯科衛生士等):口の中の評価、義歯の調整、口腔ケアの方法の実地指導。
通所日の生活支援と体調の確認
- 通所リハビリテーション:自宅玄関からの送迎と、乗り降りの際の見守り・介助。
- 通所リハビリテーション:利用日の血圧・体温・表情や動きの確認と、変化があった場合の家族・ケアマネジャー・主治医への連絡。
- 通所リハビリテーション:入浴の見守りと一部介助、入浴時の皮膚の状態の観察(できる動作は本人が行う)。
- 通所リハビリテーション:昼食の提供と、食べた量・水分量の確認。
- 通所リハビリテーション:連絡帳による家族との情報共有(その日に行った内容、様子、気になる変化)。
会議・情報連携・移行
- リハビリテーション会議:本人・家族を中心に、医師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、ケアマネジャー、居宅サービス計画に位置づけた事業所の担当者などで、評価結果と支援方針を共有する。
- 通所リハビリテーション:ケアマネジャーに対する、本人の能力・自立のために必要な支援方法・日常生活上の留意点の情報提供。
- 通所リハビリテーション:利用終了の1か月前以内に、終了後の過ごし方について会議を行い、次の事業所や総合事業の担当者の参加を求める。
- 通所リハビリテーション:利用終了時に、ケアマネジャーと医学的管理を行っている医師へ、リハビリテーションの観点から必要な情報を提供する。
- ケアマネジャー:事業所から受けた心身や生活の状況に関する情報を、本人の同意を得て主治の医師等へ伝える。
本人・家族の取り組み
- 本人:事業所で示された運動を自宅で続け、行った内容を記録に残すこと。
- 本人:練習した動作を、実際の生活場面(トイレ、入浴、台所)で使ってみること。
- 家族:介助の方法を理学療法士・作業療法士から教わり、迷ったときに相談すること。
- 家族:自宅で運動する場所を整え、続けられるよう声をかけること。
- 家族:通所日の様子を連絡帳で確認し、気づいたことを事業所とケアマネジャーへ伝えること。
ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。通所リハビリテーションならではの書き分けのコツをまとめました。
コツ1:デイケアは「医師の指示」がないと計画に置けない
❌ 本人がリハビリを希望しているため、通所リハビリテーションを週2回位置づける。
⭕ 主治医から通所リハビリテーションの必要性について意見を得たうえで、週2回位置づける。作成した居宅サービス計画は主治の医師等へ交付する。
📝 デイサービスとデイケアの最大の違いは、ここです。介護保険法の定義そのものに差があります。通所介護は「老人デイサービスセンター等に通わせ、入浴・排せつ・食事等の介護と機能訓練を行うこと」(第8条第7項)。通所リハビリテーションは「主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る」という限定が、定義の中に入っています(同条第8項)。
ケアマネジャーの側の義務も、運営基準に3段構えで書かれています(平成11年厚生省令第38号 第13条)。
- 第19号:利用者が通所リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
- 第19号の2:意見を求めた場合、居宅サービス計画を作成した際には、その計画を主治の医師等に交付しなければならない。
- 第20号:医療サービスを計画に位置づける場合は、主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行う。
「意見を求める」だけでは足りず、「計画を交付する」までがセットです。 支援経過に残すのは、意見を求めた日と方法、返ってきた内容、そして計画を交付した日の3つです。
コツ2:「主治の医師等」は、入院中の病院の医師でもよい
❌ かかりつけ医の受診が来月なので、それまで通所リハビリテーションは入れられない。
⭕ 入院中の主治医から意見を得て、退院直後から通所リハビリテーションを位置づける。
📝 退院前カンファレンスで「デイケアを使いたいが、意見をもらう相手はかかりつけ医だろうか」と迷う場面があります。令和6年度の介護報酬改定で、この点が明確にされました。ここでいう「主治の医師等」は、要介護認定の申請のために主治医意見書を記載した医師に限定されません。 そのうえで、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションについては、退院後のリハビリテーションの早期開始を進める観点から、入院中の医療機関の医師による意見を踏まえて、速やかに医療サービスを含む居宅サービス計画を作成することが望ましい、とされています(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)。
退院してから受診日を待つあいだに、体を動かす機会が空いてしまう。その空白を短くするための整理です。退院前カンファレンスに出るときは、その場で意見をもらい、記録に残すところまでを予定に入れておいてください。
コツ3:目標に「筋力が向上する」「可動域が広がる」と書かない
❌ 短期目標:下肢筋力が向上し、歩行が安定する。
⭕ 短期目標:室内を手すりとつたい歩きで移動し、トイレまで一人で行ける。
📝 筋力や関節の動く範囲は、リハビリテーション専門職が評価する項目であって、第2表の目標欄に置くものではありません。理由は2つあります。1つは、本人が「できたかどうか」を判断できないこと。もう1つは、加齢に伴う変化や病気の進行がある方では、機能そのものが上向くとは限らないことです。上向かなかった半年を「失敗した計画」にしてしまう書き方は避けます。
置き換えの手順は決まっています。「その機能が上がったら、この人は何ができるようになるのか」を1つだけ聞く。答えが「トイレに一人で行ける」なら、それをそのまま目標の文にします。答えが出てこないときは、目標ではなく評価項目を書こうとしている合図です。
機能の評価そのものは、事業所側の通所リハビリテーション計画に書かれます。第2表には生活の言葉を、事業所の計画には評価の言葉を。
コツ4:第2表の目標と、通所リハビリテーション計画をそろえる
❌ 第2表は「歩行が安定する」、事業所の計画は「屋外歩行の自立」。別々のまま半年が過ぎる。
⭕ 第2表の短期目標を「杖を使って玄関から門扉まで往復できる」とし、事業所の計画にも同じ場面が入っていることを担当者会議で確認する。
📝 通所リハビリテーション計画は、医師と理学療法士・作業療法士その他の従業者が共同して作成し、すでに居宅サービス計画がある場合は、その内容に沿って作成しなければならないと定められています(平成11年厚生省令第37号 第115条第1項・第2項)。つまり、順番としては第2表が先です。第2表があいまいだと、事業所の計画も一般的な内容に流れます。
事業所側の人の配置も見ておきます。通所リハビリテーション事業所には、常勤の医師を1人以上置くことが定められています(同 第111条第1項第1号・第3項)。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、利用者100人またはその端数を増すごとに1人以上(同 第111条第1項第2号ロ)。「リハビリの専門職がいる」だけでなく、「医師が計画に関わる」ところがデイケアの構造です。
もう一点。事業所の医師が退院した方の計画を作るときは、その医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等により、リハビリテーションの情報を把握しなければならないとされています(同 第115条第4項)。退院時の書類を事業所へ渡す段取りは、ケアマネジャーが最初に押さえる仕事です。 担当者会議の前に、どの書類が誰から誰へ渡るかを1回確認しておくと、初回の計画の質が変わります。
コツ5:「いつまで通うか」を、はじめの計画に書いておく
❌ サービス内容:通所リハビリテーションで機能訓練を継続する。
⭕ 短期目標:自宅で一人でも続けられる運動を3つ覚え、実際に行える。/サービス内容:利用終了の1か月前以内に、終了後の過ごし方について会議を行う。
📝 デイケアは、通い続けることを前提にしていないサービスです。厚生労働省の通知では、リハビリテーション会議について「サービスの利用が終了する一月前以内に、事業所の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーション会議を行うことが望ましい」とされ、その際にケアマネジャーや、終了後に利用予定の他の事業所、介護予防・日常生活支援総合事業の担当者の参加を求めるものとされています(介護保険最新情報Vol.1217)。
同じ通知には、生活行為向上リハビリテーション実施加算について「目標達成後に自宅での自主的な取組」や総合事業の通所事業、地域の通いの場、通所介護などに移行することを目指して集中的に行う、と書かれています。制度の側は、最初から「出口」を織り込んでいます。
とはいえ、進行する病気の方や重度の方に「卒業」を当てはめる話ではありません。その場合の長期目標は「今できている動作を保てる」で構いません。 分かれ道は、機能の回復が見込める時期にいるかどうかです。回復の時期にいる方の計画に出口を書いておかないと、目的を果たしたあとも同じ計画が更新され続けます。
コツ6:デイサービスとの併用・使い分けを、計画の言葉で説明する
デイケアとデイサービスを同じ週に入れると、担当者会議で「どちらかでよいのでは」と言われることがあります。書き分けの軸は、目的です。デイケアの側には「医師の指示のもとで、生活動作の練習をする」という目的を、デイサービスの側には「入浴」「交流」「家族の休息」「日中の見守り」といった目的を、それぞれ別のニーズと目標の下に置きます。同じニーズの下に2つのサービスを並べると、重複しているように見えます。 ニーズを分ければ、それぞれの役割が読み取れます。
なお、要支援の方が使うのは介護予防通所リハビリテーションで、報酬の設定も加算の枠組みも要介護の場合とは別です。要支援と要介護を行き来する方の計画は、切り替えのたびに事業所と確認してください。
運営指導で見られやすいポイント
- 通所リハビリテーションを位置づけるにあたり、主治の医師等の意見を求めた経過が記録に残っているか(平成11年厚生省令第38号 第13条第19号)。
- 主治の医師等の指示があることを確認したうえで位置づけているか(同 第13条第20号)。
- 作成した居宅サービス計画を主治の医師等へ交付した記録が残っているか(同 第13条第19号の2)。
- 目標が「筋力の向上」などの機能の評価ではなく、本人が取り組める生活動作になっているか。
- 短期目標に、評価できる表現(場面・動作・回数)と期間が設定されているか。
- 事業所の通所リハビリテーション計画の目標と、第2表の目標が食い違っていないか。
- 利用回数と時間の設定を、ニーズと目標から説明できるか。
- 退院直後の場合、医療機関からの情報が事業所へ渡った経過が記録に残っているか。
現場のひとこと
デイケアの第2表で手が止まるのは、たいてい「本人が何をしたいのか」が聞けていないときです。「歩けるようになりたいですか」と聞くと、ほとんどの方が「はい」と答えます。それでは目標が書けません。聞くのは「歩けるようになったら、どこへ行きますか」のほうです。畑、床屋、孫の家、駅前の喫茶店。行き先が出てきた瞬間に、短期目標の文はほとんど決まります。
※文例はあくまで参考です。リハビリテーションの内容・回数・負荷・中止の基準は、必ず事業所の医師の指示と通所リハビリテーション計画にもとづいて個別に決めてください。病状や回復の経過には個人差が大きく、加算の算定要件や介護予防通所リハビリテーションの取扱いは、ご本人の状態や事業所・保険者の判断によって異なります。ご本人の状況に合わせ、主治医やリハビリテーション専門職と相談しながら整えてお使いください。
参考・出典
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」第8条第7項(通所介護の定義)・第8項(通所リハビリテーションの定義/主治の医師が必要性を認めた者に限る)
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第110条(基本方針)/第111条(従業者の員数・常勤医師1以上、PT・OT・STは利用者100またはその端数を増すごとに1以上)/第114条(医師の指示及び通所リハビリテーション計画に基づくこと、リハビリテーション会議)/第115条(通所リハビリテーション計画の作成)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
- e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」第13条第19号(主治の医師等の意見)・第19号の2(計画の交付)・第20号(主治の医師等の指示の確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(2.(1)⑫ ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化/2.(1)① リハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1217「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(令和6年3月15日 老高発0315第2号ほか/令和6年4月1日適用)
https://www.mhlw.go.jp/content/001227728.pdf
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 通所リハビリテーション(デイケア)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html
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本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。運営者の経歴と、文例を使うときの注意は運営者情報(/about/)に記載しています。


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