【ターミナル期・看取り】ケアプラン第2表の文例集|ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容(コピペ可/35場面)

ターミナル期・看取り期のケアプラン第2表の文例集。改善が書けない時期の目標の立て方 疾患別文例(第2表)

主治医から病状の説明があった翌日、第2表を開いて手が止まる。長期目標の欄に「改善」とも「維持」とも書けない、という場面です。

ターミナル期・看取り期の第2表を、場面別に35本の文例セットにまとめました。1つの場面につき「ニーズ→長期目標→短期目標→サービス内容」の4行がそろっています。近い場面を探して行ごとコピーし、ご本人の状態と話し合いの経過に合わせて整えてお使いください。

ケアプラン第2表の様式全体。ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容の4つの欄の位置を示した図
この記事の文例は、第2表の①ニーズ ②長期目標 ③短期目標 ④サービス内容 の4つの欄にそのまま入ります(1つの場面につき4行セット)

文例の言葉を、ご本人が言った言葉として記録に残さないでください。看取りの時期は、後からご家族が計画書を読み返す確率がもっとも高い時期です。

先に、この時期の計画が他と違う点を3つだけ。

1つめ。目標が「よくなること」ではなくなります。書くのは、その人がどこで・誰と・どう過ごすか。

2つめ。家族の疲れが計画の中心に来やすくなります。それでもニーズの主語は本人です。家族が休めることで本人の在宅生活が続く、という筋に翻訳して書きます。

3つめ。本人が意思を言葉にできるとは限りません。「本人の意向」を書くときは、誰と・いつ話し合って確認したのかが読み取れる形にします。

  1. 場面1 これからをどう過ごすか、話し合いを始める
    1. 01 説明を受けたばかりで、整理がついていない
    2. 02 「最期は家がいい」と話すが、家族の考えがそろわない
    3. 03 本人が言葉で意思を伝えられない
    4. 04 一度決めた方針を、本人が言い直した
    5. 05 「延命の処置は望まない」と本人が話している
  2. 場面2 痛みや息苦しさとつきあいながら過ごす
    1. 06 痛みが強く、夜眠れない日がある
    2. 07 医療用麻薬が始まり、本人と家族が不安を感じている
    3. 08 息苦しさで、会話や食事が途切れる
    4. 09 だるさが強く、日によって過ごし方が変わる
    5. 10 落ち着かない様子や混乱が出てきた
  3. 場面3 食べること・飲むこと
    1. 11 食べる量が減り、家族が焦っている
    2. 12 口の中が乾いて痛み、話しにくい
    3. 13 点滴を続けるかどうかで家族が迷っている
  4. 場面4 体を清潔に保ち、排せつを支える
    1. 14 入浴が難しくなってきたが、風呂に入りたい
    2. 15 起き上がれない時間が増え、床ずれが心配
    3. 16 トイレまで歩けなくなった
  5. 場面5 過ごす場所と療養環境を整える
    1. 17 ベッドと床ずれ防止用具を急いで入れたい
    2. 18 認定結果を待たずにサービスを始めたい
    3. 19 状態が急に重くなり、区分変更を検討する
    4. 20 住宅改修が間に合わない
    5. 21 一人で過ごす時間が長く、動けなくなるのが不安
  6. 場面6 24時間の体制と、急変したときの段取り
    1. 22 夜間の急変が不安で、家族が眠れない
    2. 23 救急車を呼ぶかどうか、家族の考えが決まっていない
    3. 24 訪問看護を医療保険で利用することになった
    4. 25 短い時間の訪問を1日に何度も入れたい
    5. 26 医療的な処置を家族が担うことになった
  7. 場面7 介護する家族を支える
    1. 27 主介護者が仕事を休めず、疲れがたまっている
    2. 28 家族が「これでよかったのか」と迷い続けている
    3. 29 家族が一時的に体を休める時間が必要
    4. 30 施設で最期を迎える方針に切り替わった
  8. 場面8 その人らしい時間を残す
    1. 31 会っておきたい人がいる
    2. 32 やり残した用事を片づけたい
    3. 33 ペットと過ごす時間を守りたい
  9. 場面9 方針が変わったとき・お別れのあと
    1. 34 状態が変わり、計画が実態に合わなくなった
    2. 35 亡くなったあとの段取りを、あらかじめ整理しておく
  10. ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)
    1. コツ1:家族の負担軽減を、本人のニーズ欄に書かない
    2. コツ2:「本人の意向」は、誰と・いつ話し合ったかまで残す
    3. コツ3:長期目標に「改善」を書かない。何を守るのかを書く
    4. コツ4:短期目標の期間は、短く切って見直す前提にする
    5. コツ5:意思は変わる。変わったときの手順を決めておく
    6. コツ6:看取り期に組み替わる制度を、先に押さえておく
  11. 要確認:ここに挙げた制度の適用範囲・要件・必要書類は、報酬改定と保険者の運用によって変わります。担当ケースで使う前に、保険者と各事業所へ確認してください。
    1. 運営指導で見られやすいポイント
    2. 現場のひとこと
  12. 参考・出典
  13. あわせて読みたい

場面1 これからをどう過ごすか、話し合いを始める

方針が固まる前の時期の文例です。この段階では「決まっていないこと」も計画に残します。

01 説明を受けたばかりで、整理がついていない

【こんな場面】要介護2・70代男性。通院での治療を終え、自宅に戻ったところ。

  • ニーズ:これから先のことを、家族や医療者と相談しながら自分で決めていきたい。
  • 長期目標:これからの過ごし方についての考えが関係者に伝わり、それに沿った支援を受けられる。
  • 短期目標:主治医・家族・支援者と話す場を持ち、今の希望を自分の言葉で伝えられる。
  • サービス内容:主治医=病状と見通しの説明/訪問看護=説明後の受け止めの確認/ケアマネジャー=話し合いの場の設定と、話された内容の記録・共有。

02 「最期は家がいい」と話すが、家族の考えがそろわない

【こんな場面】要介護3・80代女性。同居の長男は在宅、別居の長女は入院を希望。

  • ニーズ:住み慣れた家で過ごしたいという自分の考えを、家族にも分かってもらいたい。
  • 長期目標:本人の希望を家族が共有し、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:本人・長男・長女・主治医が同じ場で話し、当面の療養場所を決められる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=家族全員が参加できる日程での担当者会議と経過の記録/主治医=自宅で受けられる医療の説明/訪問看護=夜間と急変時の体制の説明。

※合意できないまま計画を進めない、という話ではありません。決まらなければ「決まっていない」と支援経過に書き、次にいつ話すかを決めておきます。

03 本人が言葉で意思を伝えられない

【こんな場面】要介護5・90代女性。認知症が進み、問いかけへの応答が難しい。

  • ニーズ:言葉で伝えられなくなっても、これまでの暮らし方に沿って過ごしたい。
  • 長期目標:本人が大切にしてきたことに沿った支援を受け、住み慣れた家で過ごせる。
  • 短期目標:本人の元気だったころの言動を家族から聞き取り、支援者全員で共有できる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=家族への聞き取りと記録(いつ・誰から聞いたかを含む)/主治医・訪問看護=聞き取った内容をふまえた方針の検討/家族=本人が以前から話していたことを伝える。

※本人の意思が確認できないときの手順は、国のガイドラインに3段階で示されています。①家族等が本人の意思を推定できるときは、その推定意思を尊重する。②推定できないときは、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとって何が最善かを判断する。③家族等がいない場合と、家族等が判断を医療・ケアチームに委ねた場合は、チームで本人にとっての最善の方針をとる。②を飛ばしてチームだけで決める手順ではありません。推定の根拠になった本人の言動を、いつ・誰から聞いたかとあわせて記録に残してください。

04 一度決めた方針を、本人が言い直した

【こんな場面】要介護3・80代男性。在宅の方針だったが「入院したい」と話した。

  • ニーズ:気持ちが変わったときに、それを言えるようにしておきたい。
  • 長期目標:そのときどきの本人の考えに沿って、療養の場を選び直せる。
  • 短期目標:話した内容を主治医と家族に伝え、2週間以内に方針を確認し直せる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=発言と日付の記録、担当者会議または照会での確認/主治医=入院と在宅それぞれの選択肢の説明/訪問看護=思いの変化の把握と報告。

05 「延命の処置は望まない」と本人が話している

【こんな場面】要介護3・80代男性。以前から家族に自分の考えを伝えていた。

  • ニーズ:自分の望む医療の受け方を、家族と医療者に分かっておいてもらいたい。
  • 長期目標:話し合った内容が関係者に共有された状態で、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:本人・家族・主治医で話し合い、その内容を文書にして関係者が持てる。
  • サービス内容:主治医=医療上の選択肢と起こりうることの説明/ケアマネジャー=話し合いの日時・参加者・内容の記録と事業所への共有/訪問看護=急変時に確認する内容の整理。

※どの医療を選ぶかは本人・家族と主治医が決めることです。計画に書くのは、話し合いが行われ、決まった内容が関係者に届いている状態のほうです。本人が処置を望む場合も、同じ形で書けます。書き分けるのは中身ではなく、いつ・誰と確認したかのほうです。

場面2 痛みや息苦しさとつきあいながら過ごす

症状への対応は医療の役割です。第2表に書くのは、症状があっても過ごせる暮らしの形と、変化を医療につなぐ道筋になります。

06 痛みが強く、夜眠れない日がある

【こんな場面】要介護3・70代女性。夜間に痛みが出て、目が覚めてしまう。

  • ニーズ:痛みで眠れない夜を減らし、日中を自分のペースで過ごしたい。
  • 長期目標:痛みの状態が主治医に伝わり、日中に起きて過ごす時間を保てる。
  • 短期目標:痛みの出る時間と強さを記録し、受診時と訪問時に伝えられる。
  • サービス内容:訪問看護=痛みの程度と出方の観察、主治医への報告、指示に基づく対応/主治医=痛みへの治療方針の決定/家族=夜間の様子の記録。

07 医療用麻薬が始まり、本人と家族が不安を感じている

【こんな場面】要介護2・70代男性。妻が「使い続けて大丈夫か」と心配している。

  • ニーズ:痛みを抑える薬について納得したうえで、指示どおりに使い続けたい。
  • 長期目標:薬への不安が減り、痛みを抑えながら自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:薬の使い方と副作用の説明を受け、本人と妻が疑問を相談できる。
  • サービス内容:訪問看護=服薬状況と効果、副作用の観察と主治医への報告/居宅療養管理指導(薬剤師)=使い方と保管方法の説明/主治医=処方内容の調整。

※薬の量を調整するのは主治医です。計画にも「調整」ではなく「観察と報告」と書きます。

08 息苦しさで、会話や食事が途切れる

【こんな場面】要介護4・80代男性。在宅酸素療法を行っている。

  • ニーズ:息苦しさの少ない過ごし方を身につけて、家族と話す時間を持ちたい。
  • 長期目標:呼吸が楽な過ごし方を続け、自宅で家族との時間を保てる。
  • 短期目標:楽に呼吸できる姿勢を訪問看護師と見つけ、日中その姿勢で過ごせる。
  • サービス内容:訪問看護=呼吸状態の観察と姿勢の助言/福祉用具貸与=背上げのできる特殊寝台と体位保持用クッション/訪問介護=見守りと姿勢変更の介助(酸素の流量は変更しない)。

09 だるさが強く、日によって過ごし方が変わる

【こんな場面】要介護3・80代女性。調子のよい日と横になって過ごす日がある。

  • ニーズ:体調のよい日は起きて過ごし、つらい日は無理をせずに休みたい。
  • 長期目標:その日の体調に合わせた過ごし方ができ、自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:起きられる日は居間で食事をとり、つらい日は臥床のまま支援を受けられる。
  • サービス内容:訪問介護=その日の状態に応じた食事・清潔の支援と記録/訪問看護=全身状態の観察と主治医への報告/ケアマネジャー=体調の波に合わせた訪問時間の調整。

※「週◯回できる」と書きにくい時期です。回数ではなく「できる日はこう、つらい日はこう」と2通り書くと、モニタリングで評価できます。

10 落ち着かない様子や混乱が出てきた

【こんな場面】要介護4・80代男性。夕方から落ち着かず、家族が困っている。

  • ニーズ:不安が強くなる時間帯も、慣れた場所で安心して過ごしたい。
  • 長期目標:落ち着いて過ごせる環境が整い、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:落ち着かない様子の出る時間と状況を記録し、主治医に伝えられる。
  • サービス内容:訪問看護=様子の観察、痛みや排せつなど身体面の要因の確認と報告/訪問介護=そばに付き添う時間の確保と声かけ/家族=日中の様子の記録。

場面3 食べること・飲むこと

食べる量が減る時期は、家族がもっとも揺れるところです。量を戻すことを目標にしないほうが、計画は現実に合います。

11 食べる量が減り、家族が焦っている

【こんな場面】要介護3・80代女性。娘が食事のたびに時間をかけて促している。

  • ニーズ:食べられる量が減っても、苦しくない形で食事の時間を続けたい。
  • 長期目標:量に合わせた食事の形が整い、本人と家族が食事の時間を穏やかに過ごせる。
  • 短期目標:本人が食べたいものを聞き取り、1日1回は好みのものを口にできる。
  • サービス内容:訪問看護=摂取量と全身状態の観察、家族への説明/居宅療養管理指導(管理栄養士)=食べやすい形態と量の助言/訪問介護=食事の準備と介助、摂取量の記録。

※「摂取量を増やす」を短期目標にすると、達成できない日が続きます。書くのは、食べられる範囲でどう過ごすかのほうです。

12 口の中が乾いて痛み、話しにくい

【こんな場面】要介護4・80代男性。食事がほとんどとれず、口腔内が乾燥している。

  • ニーズ:口の中の不快感を減らして、家族と話す時間を持ちたい。
  • 長期目標:口腔内の清潔と潤いが保たれ、痛みなく過ごせる時間を持てる。
  • 短期目標:1日2回の口腔ケアを受け、乾きによる不快感が減ったことを伝えられる。
  • サービス内容:訪問介護=口腔ケアの実施と口腔内の記録/訪問看護=口腔内の観察と主治医・歯科への報告/居宅療養管理指導(歯科衛生士)=家族が行う口腔ケアの指導。

13 点滴を続けるかどうかで家族が迷っている

【こんな場面】要介護4・90代女性。水分もほとんどとれなくなってきた。

  • ニーズ:体に負担の少ない形で、楽に過ごせる時間を持ちたい。
  • 長期目標:本人にとって何が最善かを話し合ったうえで方針が決まり、その方針のもとで穏やかに過ごせる。
  • 短期目標:本人がこれまで話していた内容をふまえた方針が主治医・家族との話し合いで確認され、その方針に沿った支援を受けられる。
  • サービス内容:主治医=医療上の選択肢と、それぞれの場合に想定されることの説明/訪問看護=説明後の家族の受け止めの確認/ケアマネジャー=本人が以前から話していた内容の聞き取り(いつ・誰から)と記録、事業所への共有。

※どちらを選ぶかにケアマネジャーが意見を述べる場面ではありません。計画に書くのは、家族が納得して決められる場をつくることです。本人が意思を示せないときは、家族が「自分たちの希望」を述べているのか「本人ならこう言うだろう」と推定しているのかを、支援経過で書き分けてください。この2つは別物です。

場面4 体を清潔に保ち、排せつを支える

動ける範囲は日ごとに変わります。「できなくなったこと」ではなく、その時点でできることから書きます。

14 入浴が難しくなってきたが、風呂に入りたい

【こんな場面】要介護4・80代男性。浴槽をまたぐことができなくなった。

  • ニーズ:体を洗ってさっぱりする時間を、できる限り続けたい。
  • 長期目標:体調に合わせた方法で体を清潔に保ち、気持ちよく過ごせる。
  • 短期目標:週2回、体調に応じて入浴または清拭を受け、皮膚の状態を見てもらえる。
  • サービス内容:訪問入浴介護=体調確認のうえでの入浴介助/訪問看護=入浴の可否の判断と皮膚状態の観察/訪問介護=入浴できない日の清拭と更衣。

15 起き上がれない時間が増え、床ずれが心配

【こんな場面】要介護5・80代女性。1日の大半をベッドで過ごしている。

  • ニーズ:痛みや皮膚のトラブルなく、ベッドの上でも楽に過ごしたい。
  • 長期目標:皮膚の状態が保たれ、痛みの少ない姿勢で自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:体位変換とマットレスの調整により、皮膚の発赤が悪化せずに経過する。
  • サービス内容:福祉用具貸与=床ずれ防止用具と特殊寝台/訪問看護=皮膚の観察、主治医の指示による処置、家族への体位変換の指導/訪問介護=体位変換とおむつ交換、皮膚の記録。

16 トイレまで歩けなくなった

【こんな場面】要介護4・80代男性。ふらつきが強く、トイレへの移動が難しい。

  • ニーズ:できるところまでは自分で排せつを済ませたい。
  • 長期目標:安全に排せつができる方法が整い、本人の気持ちに沿った形で過ごせる。
  • 短期目標:ベッドサイドでポータブルトイレを使い、日中の排せつを介助のもとで行える。
  • サービス内容:特定福祉用具販売(腰掛便座)=ポータブルトイレの導入/訪問介護=排せつの介助と後始末、排せつ状況の記録/訪問看護=排尿・排便の状態の確認と主治医への報告。

場面5 過ごす場所と療養環境を整える

状態が変わる速さに、手続きが追いつかない時期です。急ぎで整える手順を計画に落とします。

17 ベッドと床ずれ防止用具を急いで入れたい

【こんな場面】要介護2・80代男性。1週間で歩行が難しくなった。

  • ニーズ:体を起こしにくくなってきたので、楽な姿勢で過ごせる寝床を整えたい。
  • 長期目標:療養に適した環境が整い、痛みや皮膚のトラブルなく自宅で過ごせる。
  • 短期目標:特殊寝台と床ずれ防止用具を導入し、起き上がりと体位変換の負担が減る。
  • サービス内容:福祉用具貸与=特殊寝台・付属品・床ずれ防止用具の選定と搬入、使用方法の説明/訪問看護=必要な機能の助言/ケアマネジャー=主治医の意見と保険者への確認。

※特殊寝台や床ずれ防止用具は、要介護2以上が原則の貸与種目です。軽度者(要支援1・2と要介護1)でも、状態によって例外的に給付が認められる仕組みがあります。例外給付(軽度者への福祉用具貸与)の手続きと必要書類は保険者ごとに運用が分かれます。急ぎで導入する場合の取扱いを、保険者と福祉用具事業所へ確認してください。

18 認定結果を待たずにサービスを始めたい

【こんな場面】新規申請中・80代女性。退院後すぐに支援が必要な状態。

  • ニーズ:認定の結果を待つ間も、家に帰ってからの生活に困らないようにしたい。
  • 長期目標:必要な支援を切れ目なく受け、自宅での療養を始められる。
  • 短期目標:暫定の計画でサービスを開始し、認定結果が出た時点で計画を整え直せる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=暫定ケアプランの作成、担当者会議、結果が出た後の見直し/訪問看護・訪問介護=暫定の計画に沿った支援の開始/家族=申請手続きへの協力。

※暫定ケアプランは、見込みで判断した要介護度をもとに組み立てます。結果が見込みより軽く出れば、超過分は自己負担です。この点を先に説明し、説明した事実を支援経過に残してください。暫定ケアプランの作成手順、担当者会議の時期、結果が出た後の差し替え方法は保険者により運用が異なります。

19 状態が急に重くなり、区分変更を検討する

【こんな場面】要介護2・70代男性。1か月で寝たきりに近い状態になった。

  • ニーズ:今の体の状態に合った支援を受けて、自宅での生活を続けたい。
  • 長期目標:状態に見合った区分のもとで、必要な支援を過不足なく受けられる。
  • 短期目標:区分変更の申請を行い、申請中も必要なサービスを利用できる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=区分変更申請の支援、主治医への情報提供、結果が出るまでの間の計画の調整/主治医=主治医意見書の作成/訪問看護=現在の状態についての情報提供。

※区分変更申請中は、現在の認定が有効です(新規申請の暫定ケアプランとは扱いが違います)。結果は申請日に遡って適用されるため、軽く出た場合は遡って限度額が下がり、超過分は全額自己負担になります。結果が出るまでの間に上限を超える見込みがあるときは、その可能性を先に伝えておきます。

20 住宅改修が間に合わない

【こんな場面】要介護3・80代女性。玄関の段差が上がれず、通院に支障が出ている。

  • ニーズ:家の出入りができる形を早く整えて、通院と外出を続けたい。
  • 長期目標:住まいの環境が整い、必要なときに外に出られる状態を保てる。
  • 短期目標:工事を伴わない用具を先に導入し、玄関からの出入りを介助のもとで行える。
  • サービス内容:福祉用具貸与=設置工事を伴わないスロープ・手すり/訪問介護=外出の介助/ケアマネジャー=住宅改修の申請と工期の調整、それまでの代替手段の確保。

21 一人で過ごす時間が長く、動けなくなるのが不安

【こんな場面】要介護3・80代女性。独居で、日中は誰もいない。

  • ニーズ:一人でいる時間にも、変化に気づいてもらえる形で家に居続けたい。
  • 長期目標:見守りと連絡の体制のもとで、一人暮らしを続けられる。
  • 短期目標:毎日いずれかの支援者が訪問する形を組み、緊急時の通報手段を使える。
  • サービス内容:訪問看護・訪問介護=訪問日を分散させた毎日の訪問/緊急通報装置=夜間の急変時の通報手段/ケアマネジャー=訪問のない時間帯の確認と近隣・親族との調整。

※緊急通報装置は介護保険の給付ではなく、市町村の事業や民間サービスとして提供されるものです。第2表には介護保険外のサービスとして書き分け、利用条件と費用を先に確認します。

場面6 24時間の体制と、急変したときの段取り

この時期にもっとも計画の力が出るところです。夜中に何が起きても、家族が電話をかける先が決まっている状態をつくります。

22 夜間の急変が不安で、家族が眠れない

【こんな場面】要介護4・80代男性。妻が夜中も様子を気にして起きている。

  • ニーズ:夜に何かあってもすぐ相談できる形をつくり、家族と一緒に家で過ごしたい。
  • 長期目標:24時間の連絡体制のもとで、本人も家族も夜間を安心して過ごせる。
  • 短期目標:夜間の連絡先と順番が家族に共有され、夜間も相談につながる支援を受けられる。
  • サービス内容:訪問看護=24時間の連絡体制と、必要に応じた緊急時の訪問/主治医=夜間・休日の連絡方法の指示/ケアマネジャー=連絡先一覧の作成と電話のそばへの掲示。

※訪問看護には24時間の連絡体制に関する加算があり、事業所の体制によって算定できるものが分かれます。担当ケースで算定できる加算(緊急時訪問看護加算、ターミナルケア加算など)の要件と、利用者負担の増額分の説明は、訪問看護事業所へ確認してください。

23 救急車を呼ぶかどうか、家族の考えが決まっていない

【こんな場面】要介護4・80代女性。自宅で最期までという方針だが、家族に迷いがある。

  • ニーズ:具合が変わったときに、自分の望んだ形で対応してもらいたい。
  • 長期目標:急変時の対応について関係者の共通理解があり、方針に沿った対応を受けられる。
  • 短期目標:急変時にまずどこへ連絡するかを本人・家族・主治医で確認し、紙にできる。
  • サービス内容:主治医=急変時の対応方針の説明と指示/訪問看護=夜間に家族が迷ったときの相談対応/ケアマネジャー=確認内容の記録と訪問系事業所への共有。

※取り決めがあっても、家族がその場で救急要請することはあります。それを責める話にはしないでください。決めておく意味は、迷ったときに相談できる先が1つ増えることにあります。

24 訪問看護を医療保険で利用することになった

【こんな場面】要介護3・70代男性。末期の悪性腫瘍と診断されている。

  • ニーズ:必要な回数の看護を受けながら、自宅での療養を続けたい。
  • 長期目標:医療との連携のもとで症状が管理され、自宅で過ごし続けられる。
  • 短期目標:医療保険による訪問看護に切り替え、状態に応じた回数の訪問を受けられる。
  • サービス内容:訪問看護(医療保険)=症状の観察と管理、主治医の指示に基づく処置、家族への指導/ケアマネジャー=介護保険のサービスとの調整と給付管理の整理/主治医=訪問看護指示書の交付。

※要介護認定を受けている方の訪問看護は介護保険が優先しますが、末期の悪性腫瘍など「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表第七)に該当する場合は医療保険の給付になります。別表第七には、末期の悪性腫瘍のほか、筋萎縮性側索硬化症、多系統萎縮症、パーキンソン病関連疾患、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態などが挙げられています。

医療保険の訪問看護になると、介護保険側の緊急時訪問看護加算やターミナルケア加算は算定されず、給付管理の対象からも外れます。第2表には他制度のサービスとして位置づけ、第7表には載せません。特別訪問看護指示書が交付された場合の期間と回数の扱いは、訪問看護事業所と保険者へ確認してください。

25 短い時間の訪問を1日に何度も入れたい

【こんな場面】要介護4・80代女性。体位変換とおむつ交換を短い間隔で行う必要がある。

  • ニーズ:こまめに体の向きを変えてもらい、痛みの少ない状態で過ごしたい。
  • 長期目標:必要な間隔での支援を受け、皮膚のトラブルなく自宅で過ごせる。
  • 短期目標:1日3回以上の訪問で、体位変換とおむつ交換を必要な間隔で受けられる。
  • サービス内容:訪問介護=体位変換、おむつ交換、清拭、状態の記録/訪問看護=皮膚と全身状態の観察/ケアマネジャー=訪問時間の調整と事業所間の役割の整理。

※訪問介護には、前回の訪問からおおむね2時間未満の間隔で行う場合に所要時間を合算する取扱い(いわゆる2時間ルール)があります。例外は2つで、緊急時訪問介護加算を算定する場合と、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者に訪問介護を提供する場合です(老企第36号)。看取り期に短時間の訪問を1日に複数回入れる計画は、後者が根拠になります。医師の診断をどう確認し、計画書・記録に何を残すかは、保険者と訪問介護事業所へ確認してください。

26 医療的な処置を家族が担うことになった

【こんな場面】要介護4・70代女性。夫が在宅酸素と吸引の一部を担っている。

  • ニーズ:家族の手を借りながら、自宅での療養を続けたい。
  • 長期目標:家族が対応できる範囲が定まり、負担が過重にならない形で在宅生活を続けられる。
  • 短期目標:家族が手技の指導を受けた体制のもとで、必要な処置を自宅で受けられる。
  • サービス内容:訪問看護=家族への手技の指導と実施状況の確認/主治医=家族が行う範囲の指示/ケアマネジャー=家族が担う内容と支援者が担う内容を計画上で分けて記載。

場面7 介護する家族を支える

この章の文例は、すべて本人を主語にしたまま書いています。家族の休息は、本人が自宅で過ごし続けるための条件だからです。

27 主介護者が仕事を休めず、疲れがたまっている

【こんな場面】要介護4・80代女性。同居の娘が勤務を続けながら介護している。

  • ニーズ:働きながら支えてくれる娘と、これからも同じ家で暮らし続けたい。
  • 長期目標:家族が仕事と介護を両立できる形が整い、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:日中の訪問と夜間の連絡体制を組み、娘が不在の時間も支援を受けられる。
  • サービス内容:訪問介護=日中の食事・排せつ・清潔の支援/訪問看護=日中の観察と夜間の電話相談/ケアマネジャー=勤務時間に合わせた訪問調整と介護休業制度の情報提供。

28 家族が「これでよかったのか」と迷い続けている

【こんな場面】要介護4・90代男性。長男が在宅を選んだ判断を悔いている様子がある。

  • ニーズ:家族が思い悩まずにそばにいてくれる形で、残りの時間を過ごしたい。
  • 長期目標:家族が判断を1人で背負わずにすむ体制のもとで、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:家族が気持ちを話せる場が月1回確保され、判断を1人で背負わない体制のもとで過ごせる。
  • サービス内容:訪問看護=家族の話の聞き取りと状態の説明/ケアマネジャー=訪問時の面談時間の確保と経過の記録/主治医=家族の疑問への説明。

29 家族が一時的に体を休める時間が必要

【こんな場面】要介護4・80代女性。介護する夫が疲労で体調をくずしかけている。

  • ニーズ:夫が体調をくずさない形をつくって、自宅での生活を続けたい。
  • 長期目標:家族が休息をとれる体制のもとで、在宅での療養を継続できる。
  • 短期目標:短期入所療養介護を利用し、医療的な管理を受けながら数日を過ごせる。
  • サービス内容:短期入所療養介護=医療上の管理を含む日常生活の支援/ケアマネジャー=受け入れ可能な事業所の確認と状態に応じた計画の見直し/家族=利用日に休息と受診の時間をとる。

※看取りの時期が近いと、短期入所の受け入れが難しくなる場合があります。断られた場合に備えて、訪問系の一時的な増回も併せて検討しておきます。

30 施設で最期を迎える方針に切り替わった

【こんな場面】要介護5・90代女性。在宅での介護が続けられなくなった。

  • ニーズ:これまで大切にしてきた過ごし方を続けられる場所で、最期まで穏やかに過ごしたい。
  • 長期目標:本人と家族が納得した場所で、必要な医療とケアを受けながら過ごせる。
  • 短期目標:本人・家族・主治医と話し合い、療養する場所を決められる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=施設の情報提供、見学の調整、経過と本人の意向の引き継ぎ/主治医=医療上の必要性についての意見/家族=施設との面談への同席。

※在宅を続けられなかったことを失敗のように扱わないでください。場所が変わっても、本人が大切にしてきたことは引き継げます。ここで注意したいのは、本人が自宅を望んでいた場合に、その意向をニーズ欄から消さないことです。「本人は自宅を希望していたが、◯月◯日の話し合いを経て施設での療養を選んだ」という経過は第5表に、決まった方針は第1表に残します。ニーズ欄を家族側の事情で書き換えると、本人が何を望んでいたかが計画から消えます。引き継ぎ書には、話し合いの経過と本人の言葉を残します。

場面8 その人らしい時間を残す

この時期にしか書けない目標があります。本人が「したい」と言ったことを、そのまま計画に載せます。

31 会っておきたい人がいる

【こんな場面】要介護4・80代男性。遠方に住む孫に会いたいと話している。

  • ニーズ:元気なうちに孫に会って、話をしておきたい。
  • 長期目標:会いたい人と会う機会を持ち、自宅で穏やかに過ごせる。
  • 短期目標:来訪の日に合わせて体調を整え、居間で家族と過ごす時間を持てる。
  • サービス内容:訪問看護=来訪日の体調確認とその日の過ごし方の助言/訪問介護=来訪前の整容と居室の整え/ケアマネジャー=来訪の予定に合わせた訪問時間の調整。

32 やり残した用事を片づけたい

【こんな場面】要介護3・70代女性。通帳や書類の整理を気にしている。

  • ニーズ:身の回りのことを整理して、気がかりを減らしておきたい。
  • 長期目標:気がかりが整理され、落ち着いた気持ちで自宅で過ごせる。
  • 短期目標:家族と一緒に書類を確認する時間を持ち、手続きの相談先が分かる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=相談先(地域包括支援センター、専門職など)の情報提供/家族=書類の確認への同席/訪問介護=本人が座って作業できる環境の準備。

※財産や相続の相談そのものはケアマネジャーの業務ではありません。計画に書くのは、相談先につなぐところまでです。

33 ペットと過ごす時間を守りたい

【こんな場面】要介護3・70代男性。独居で、飼い犬の世話ができなくなってきた。

  • ニーズ:家族同然の犬と一緒に、この家で過ごし続けたい。
  • 長期目標:ペットの世話の見通しが立ち、自宅での生活を続けられる。
  • 短期目標:犬の世話を担う人と方法を決め、本人がそばで過ごせる状態を保てる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=親族・地域の支援先・預かり先の確認と調整/訪問介護=居室の環境整備/家族・親族=世話の分担。

※ペットの世話は訪問介護の対象外です。誰が担うかを、介護保険の外側の資源として書き分けます。

場面9 方針が変わったとき・お別れのあと

計画は、途中で変わることを前提に作ります。最後の2本は、担当が終わる前後に必要になる段取りです。

34 状態が変わり、計画が実態に合わなくなった

【こんな場面】要介護4・80代男性。1週間で食事と移動の状況が大きく変わった。

  • ニーズ:今の体の状態に合った支援を、間を空けずに受けたい。
  • 長期目標:状態の変化に応じて計画が見直され、必要な支援を受け続けられる。
  • 短期目標:変化から1週間以内に担当者会議または照会を行い、計画を作り直せる。
  • サービス内容:ケアマネジャー=状態変化の把握、担当者会議の開催または照会、計画の変更と交付/各事業所=変化後の状態についての情報提供/主治医=医療上の方針の確認。

35 亡くなったあとの段取りを、あらかじめ整理しておく

【こんな場面】要介護5・90代女性。看取りの時期が近いと医師から説明があった。

  • ニーズ:最期のときに家族が慌てずにすむよう、段取りを整えておきたい。
  • 長期目標:急なときにも段取りに沿って対応される体制のもとで、自宅での療養を続けられる。
  • 短期目標:連絡の手順を家族が把握した状態で、最期まで自宅で過ごせる。
  • サービス内容:主治医・訪問看護=急変時および亡くなった際の連絡先と手順の説明/ケアマネジャー=連絡手順の一覧の作成と関係事業所への共有、家族の疑問への対応/家族=手順の確認。

※主治医への連絡が先という取り決めがあれば、家族が迷わずに済みます。夜中に何が起きたか分からないまま判断を迫られるのが、家族にとって一番つらい場面です。取り決めは口頭で終わらせず、紙にして共有しておきます。

※事務手続き(給付管理、福祉用具の引き上げ、関係機関への連絡)はケアマネジャー側の段取りです。第2表のサービス内容ではなく、支援経過に整理しておきます。利用者が亡くなった月の給付管理と実績報告、福祉用具の引き上げ日の扱いは、保険者と事業所で運用が分かれます。

ここから「書き方のコツ」(深めたい方向け)

すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。看取り期ならではの書き分けをまとめました。

コツ1:家族の負担軽減を、本人のニーズ欄に書かない

❌ ニーズ:介護している妻の負担を軽減する。

⭕ ニーズ:妻の体が続く形で介護を続けてもらい、この家で暮らし続けたい。

📝 第2表のニーズは本人が主語です。看取りの時期は家族の疲れが目立つので、主語がずれやすくなります。翻訳の手がかりは「家族が倒れたら、本人の在宅生活も終わる」という事実。家族の休息は本人が家に居続けるための条件なので、本人を主語にしたまま書けます。家族の希望そのものは第1表の意向欄へ。家族が休むという行動は、サービス内容の側に「家族=利用日に休息と受診の時間をとる」と書きます。

コツ2:「本人の意向」は、誰と・いつ話し合ったかまで残す

❌ 本人・家族の希望により、自宅での看取りを支援する。

⭕(支援経過の書き方)◯月◯日、本人・長男・長女・主治医で話し合い、当面は自宅で療養する方針を確認(本人は「家にいたい」と発言)。

📝 この時期に一番あぶないのは、家族の希望を本人のニーズ欄に書き写す運用です。書いた本人も、数か月後には「誰がそう言ったのか」を思い出せません。第2表のニーズには本人の言葉を、話し合いの経過は支援経過(第5表)に、方針は第1表に。3つに分けると、あとから経過をたどれます。

本人の意思が確認できないときの手順は、国のガイドラインに示されています。まず家族等が本人の意思を推定できるなら、その推定意思を尊重する。推定できないときも、家族等がいるかぎりは本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとって何が最善かを決める。医療・ケアチームだけで最善を判断するのは、家族等がいない場合と、家族等が判断をチームに委ねた場合です。この違いは記録に出ます。②の話し合いを経たのか③なのかが分かるよう、話し合いの参加者を書いてください。

コツ3:長期目標に「改善」を書かない。何を守るのかを書く

❌ 長期目標:体力が回復し、自分で歩いてトイレに行けるようになる。

⭕ 長期目標:痛みの少ない姿勢で過ごせる環境が整い、住み慣れた家で家族と過ごせる。

📝 目標が書けなくなるのは、目標=改善という前提が残っているからです。この時期に守るものは3つ。苦痛が少ない状態、過ごす場所、本人が大切にしてきたこと(役割・人・楽しみ)。どれかを長期目標の文にすれば、達成できない目標を毎月更新し続ける状態から抜けられます。「維持」も避けたい言葉です。何を維持するのかがないと、モニタリングで確認するものがありません。

コツ4:短期目標の期間は、短く切って見直す前提にする

📝 状態が日単位で変わる時期に「◯月◯日まで」と切るのは、たしかに難しい作業です。それでも期間欄は空けられません。現実的なのは、短めに設定して変化があった時点で切り替える運用です。

  • 期間は1か月程度で設定し、状態が変わったらその時点で見直す
  • 目標の文には日付を入れず、期間欄で管理する(本文に日付を書くと、変更のたびに全文を直すことになります)
  • 「できる日」と「つらい日」の両方を書く(例:起きられる日は居間で食事、つらい日は臥床のまま支援を受ける)
  • 達成できなかった目標を、そのまま次の期間に写さない。状態が変わったなら目標のほうを書き換えます

コツ5:意思は変わる。変わったときの手順を決めておく

📝 「家で最期まで」と決めた方が、数週間後に「やっぱり入院したい」と話すことがあります。逆もあります。気持ちが変わることは決め直しであって、前の判断の誤りではありません。手順を3つ決めておきます。

  • 発言があった日付と、そのままの言葉を支援経過に残す(要約すると変化の大きさが伝わりません)
  • 主治医と家族へ伝え、方針を確認し直す場を設ける(担当者会議、難しければ照会)
  • 確認された内容で第1表の総合的な援助の方針と第2表を書き直し、交付する

この3つが残っていれば、方針が何度変わっても計画の筋は通ります。口頭で共有しただけで計画が古いままだと、夜間に対応する事業所が古い方針で動くことになります。

コツ6:看取り期に組み替わる制度を、先に押さえておく

📝 この時期は、平時とは別のルートが使えるようになります。詳細は改定や保険者の運用で変わるため、押さえるのは「切り替わる場面がある」という点です。

  • 訪問看護の保険の切り替え:末期の悪性腫瘍など「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当すると、医療保険の給付になります。給付管理の扱いが変わるので、時期を事業所と確認します。
  • 訪問介護の2時間ルールの例外:例外の1つに、医師が回復の見込みがないと診断した方への訪問が含まれます。短時間の訪問を1日に複数回入れる計画の根拠になります。
  • 区分変更申請と暫定ケアプラン:申請中でも暫定の計画でサービスを使えますが、結果が見込みより軽ければ超過分は自己負担です。説明した事実を記録に残します。
  • 福祉用具の急ぎの導入:特殊寝台や床ずれ防止用具は要介護2以上が原則ですが、軽度者(要支援1・2と要介護1)でも状態によって例外的に給付が認められる仕組みがあります。
  • 住宅改修が間に合わないとき:工事を伴わないスロープや手すりの貸与で先につなぎます。
  • 在宅での看取りに関する加算:訪問看護のターミナルケア加算や緊急時訪問看護加算など、サービス種別ごとに要件が異なります。利用者負担が変わるものは事前に説明します。
  • 居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算:2024年度改定で、対象が末期の悪性腫瘍に限定されなくなり、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者まで広がりました。あわせて「人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握すること」が要件に加わっています。意向をどう聞き、どう残すかは、そのまま加算の要件です。

要確認:ここに挙げた制度の適用範囲・要件・必要書類は、報酬改定と保険者の運用によって変わります。担当ケースで使う前に、保険者と各事業所へ確認してください。

運営指導で見られやすいポイント

  • ニーズが本人を主語にした表現で書かれているか。家族の負担軽減がそのままニーズ欄に入っていないか。
  • 「本人の意向」の根拠が記録から読み取れるか。誰が・いつ確認したか、意思が確認できない場合は推定の根拠となる本人の言動が支援経過にあるか。
  • 状態が変化した後に、担当者会議(または照会)と計画の変更、交付の記録が残っているか。
  • 短期目標の期間が実態と合っているか。達成できないまま同じ目標が何期も続いていないか。
  • 急変時の対応方針が関係者に共有され、その事実が記録されているか。
  • 区分変更申請中の暫定計画について、自己負担が生じる可能性を説明した記録があるか。
  • 訪問看護が医療保険に切り替わった時期と、給付管理の扱いが整理されているか。
  • 訪問介護の役割に、医療的な判断や薬の調整が含まれていないか。
  • ターミナルケアマネジメント加算を算定する場合、人生の最終段階における利用者の意向を把握した経過が記録に残っているか。

現場のひとこと

看取りの時期の計画は、たいてい何度も書き直すことになります。書き直した回数だけ、その人の状態を見ていた証拠が残る。だから直すことを面倒に思わないようにしています。もう1つ、訪問のたびに家族へ「今日はどうでしたか」と聞くこと。この時期は、記録に残らない小さな変化がいちばん多く出ます。

※文例はあくまで参考です。病状の見通し、医療の内容、症状への対応は主治医が判断するものです。制度の適用範囲や加算の要件、区分変更や暫定計画の取扱いは、ご本人の状態や事業所の体制、保険者の判断によって異なります。ご家族や主治医、訪問看護師と相談しながら整えてお使いください。

参考・出典

  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197721.pdf

  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197722.pdf

  • 厚生労働省「『人生会議』してみませんか」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)「どんなサービスがあるの? – 訪問看護」

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group4.html

  • 厚生労働省「要介護認定」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html

  • 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

  • e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」

https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038

  • 国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」

https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/relaxation/index.html

  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等 別表第七(厚生労働大臣が定める疾病等)」

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9733&dataType=0&pageNo=5

  • 兵庫県「訪問介護の手引き(令和6年4月)」※老企第36号を掲載

https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/documents/houmonkaigotebiki.pdf

  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf

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本記事は「ケアマネのタネ」編集部が、現場のケアマネジャー・社会福祉士の視点を持ち寄って作成しています。実在の利用者情報は使わず、すべて一般化した架空の文例として掲載しています。運営者の経歴と、文例を使うときの注意は運営者情報に記載しています。

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