「52歳、半年前にALSと診断された。まだ歩けるが、箸とボタンが難しくなってきた」。この方の第2表の前で、書く手が止まっていませんか。止まる理由ははっきりしています。病名から先の見通しは、第2表に置きようがなく、置いてはいけないものなんです。第2表に載るのは今できている動作を、どの方法で続けるかです。
手が使いにくい。ふらついて方向転換で転ぶ。話が伝わりにくくなってきた。むせる。夜のいびきと息苦しさ。立ち上がると目の前が暗くなる。訪問看護を増やしたいが、これは介護保険なのか医療保険なのか。この7つを聞き取ると、文例を選ぶ場所が決まります。
この記事では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の3疾患の第2表で使える文例を、疾患名ではなく「生活の困りごと」の場面ごとに172本まとめました。歩行と転倒、手の使いにくさ、話すこと、飲み込み、呼吸、排尿と立ちくらみ、寝返りと床ずれ、入浴、通院と保健所、お金と制度、気持ちと選択、一人暮らし、家族まで並べています。気になる行をコピーして、ご本人の状態に合わせて言葉を入れ替えて使ってください。パーキンソン病そのものは別の記事(第16弾)、症状が進んで痛みや呼吸のつらさが前に出た局面は第27弾に分けています。制度の部分は、介護保険法施行令、特定疾病の診断基準、難病法、給付調整通知、訪問看護療養費の告示と通知、障害者総合支援法と介護保険優先の通知、補装具の指針、喀痰吸引等の法令、医行為でない行為の通知、記載要領、難病情報センターなどの原文にあたって書いています。
この記事の文例の並び方
第2表の欄ごとに章を分けています。
1章目:ニーズ(「〜したい」の形・主語はご本人)
2章目:長期目標
3章目:短期目標
4章目:サービス内容
各章の中は場面別に分かれているので、担当の方に近い場面から拾ってください。後半に「書き方のコツ」と「運営指導で見られやすいポイント」があります。

- 文例の前に:神経難病(ALS・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症)の第2表で押さえること
- この記事の範囲:3疾患。パーキンソン病関連疾患は1段落だけ
- 40〜64歳の申請:がんのような「回復の見込み」の限定はない
- 病名の呼び方は制度ごとに違う(オリーブ橋小脳萎縮症の扱い)
- 訪問看護は最初から医療保険。訪問リハと居宅療養管理指導は介護保険のまま
- 医療保険の訪問看護は「毎日・1日に2回以上・2か所」まで組める
- 難病の医療費助成(特定医療費)は介護保険と同時に進める
- 障害福祉の上乗せは「限度額でケアプラン上確保できない」が根拠。第2表と第7表が材料になる
- 意思伝達装置は介護保険でなく補装具。吸引器は日常生活用具
- 介護職ができる医療的ケアの線引き:吸引と経管栄養は条件つきで可、人工呼吸器の管理は範囲外
- 目標は「保つ」「今の方法で続ける」「難しくなる前に習得する」で書く
- 保健所の難病担当と難病相談支援センターは、ケアマネジャーと並んで走る
- 症状は病名でなく「止まった動作」で書く:3疾患で最初に困る場所が違う
- ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例(55文例)
- 長期目標の文例(16文例)
- 短期目標の文例(45文例)
- サービス内容の文例(56文例)
- 書き方のコツ(深めたい方向け)
- 運営指導で見られやすいポイント
- よくある迷いどころ
- まとめ
- あわせて読みたい
- 参考・出典
文例の前に:神経難病(ALS・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症)の第2表で押さえること
この記事の文例は、40〜64歳の第2号被保険者と、65歳以上で在宅療養を続けている方の第2表を主軸にしています。神経難病の第2表は、介護保険・医療保険・難病法・障害福祉の4つの制度が同時に走る場面で書きます。その前に、言葉と制度の入口を11個。
この記事の範囲:3疾患。パーキンソン病関連疾患は1段落だけ
この記事が扱うのは、介護保険法施行令第2条の第3号(筋萎縮性側索硬化症)・第8号(脊髄小脳変性症)・第11号(多系統萎縮症)です。3つとも指定難病で、難病法の告示番号はALSが2、多系統萎縮症が17、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)が18です。
同じ施行令の第7号は「進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病」の3つで1つの号です。特定疾病の診断基準では「パーキンソン病関連疾患」とまとめられています。主治医意見書記入の手引きは「これら三疾患にはパーキンソン症状が共通に認められる」としたうえで、進行性核上性麻痺は「異常な姿勢(頚部を後屈させ、顎が上がる)や、垂直方向の眼球運動障害(下方を見にくい)」、大脳皮質基底核変性症は「パーキンソン症状と大脳皮質症状(手が思うように使えないなど)が同時にみられる」と書き分けています。この2疾患の文例は、パーキンソン病の記事を土台にして、下を見にくいことによる足元の危険と、早い時期からの転びやすさを足して書いてください。この記事では第7号には踏み込みません。
症状が進み、痛みや呼吸のつらさ、食べられないことが前に出てきた局面の文例は、次の記事に分けています。
数の感覚を1つ。難病情報センターが掲載している令和6年度末の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数(衛生行政報告例)では、ALS 9,768人、多系統萎縮症 10,170人、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)26,491人です。患者数そのものではなく「医療費助成を受けている方の数」です。40〜59歳で見ると、ALS 1,847人、多系統萎縮症 1,422人、脊髄小脳変性症 5,512人(40〜49歳と50〜59歳の合計)。60〜64歳は統計の区切りが「60〜69歳」で分けられないので、第2号被保険者の実数は出せません。パーキンソン病の受給者証所持者は150,569人なので、3疾患を合わせてもその3分の1で、担当した経験が少ないケアマネジャーが多いのは当然なんです。
40〜64歳の申請:がんのような「回復の見込み」の限定はない
「難病の人は、申請の時に何か特別な書類が要るんじゃない?」。ここは施行令の条文どおりに読むのがいちばん早い方法です。
介護保険法施行令第2条は、がん(第1号)にだけ「回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る」という限定をつけています。ALS・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の3つには、そうした限定がありません。診断名がそのまま特定疾病の名称です。
申請書には「要介護状態の原因である特定疾病の名称」を書きます(介護保険法施行規則第35条第1項)。該当するかどうかは、特定疾病の診断基準(平成21年9月30日 老老発0930第2号 別添3)の前文が「主治医意見書の記載内容に基づき、市町村等に置かれる介護認定審査会が確認を行う」と定めています。材料は主治医意見書の「診断名 1.」欄で、同じ前文は「必ずしも、新たに診察・検査等を行う必要はなく、過去の診療録等を参考に記載することで差し支えない」と添えています。がんについては平成31年2月19日の事務連絡で病名だけで受理できる旨が示されていますが、同じ趣旨の事務連絡を3疾患については厚生労働省の要介護認定ページの事務連絡一覧で見つけていません。実務では「申請書には施行令の名称で書く。該当は意見書をもとに審査会が確認する」で足ります。
65歳以上(第1号被保険者)には特定疾病の要件そのものがありません。担当の方の年齢を確かめてから読み進めてください。なお、介護保険法第7条第3項第2号の「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」は法律上の枠組みの言葉で、40代のALSの方に原因を説明する言葉ではありません。
病名の呼び方は制度ごとに違う(オリーブ橋小脳萎縮症の扱い)
同じ方の病名が、書類によって違って見えることがあります。介護保険法施行令は「脊髄小脳変性症」「多系統萎縮症」。難病法の告示は「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」と「多系統萎縮症」。訪問看護の別表第七は「多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)」です。
迷いやすいのがオリーブ橋小脳萎縮症です。特定疾病の診断基準は「従前の診断基準では脊髄小脳変性症の一病型として取扱うこととしていたが…多系統萎縮症の一病型として取扱うこととしたため、注意を要する」と注記しています。要介護認定の申請書には施行令の名称、難病の受給者証には告示の名称で書き分け、オリーブ橋小脳萎縮症の方は介護保険では多系統萎縮症(第11号)として扱う、と覚えておくと書類が揃います。
訪問看護は最初から医療保険。訪問リハと居宅療養管理指導は介護保険のまま
「難病だから、訪問看護は全部医療保険でしょ?」。半分正しくて、半分は危ない覚え方です。
医療保険と介護保険の給付調整通知(令和8年3月27日 老老発0327第2号・保医発0327第4号、令和8年6月1日適用)の8(1)は、訪問看護療養費を要介護者には原則算定できないとしつつ、例外に「基準告示第2の1の(1)に規定する疾病等の利用者」を挙げています。この「疾病等」が特掲診療料の施設基準等の別表第七で(留意事項通知 保発0305第19号 第2の1の定義)、そこに筋萎縮性側索硬化症・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症が疾患名で載っています(令和8年厚生労働省告示第71号で全改・この3つの名称に条件はついていません)。介護保険側も同じで、介護報酬告示の訪問看護費は注1で「別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者」を対象から除き、利用者等告示第四号が同じ疾患名を列挙しています。
だから3疾患の方の訪問看護は、要介護認定があっても診断名の時点で医療保険です。第7表には載せず、第2表には他制度のサービスとして位置づけます。判断の材料は主治医の訪問看護指示書で、ケアマネジャーが決めるものではありません。
ここで混ぜてはいけない点が2つあります。1つ目は、同じ別表第七のパーキンソン病だけ「ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る」と条件がつくこと。特定疾病の診断基準はパーキンソン病について「Yahrの分類のStageは問わない」と書いているので、介護保険の対象になることと、訪問看護が医療保険になることは別の判定です。進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症には条件がありません。
2つ目は、医療保険に移るのは訪問看護だけだということ。給付調整通知の9は、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を要介護者には「急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションの指導管理を行う必要がある場合には、6月に1回、14日間に限り」しか認めていません。在宅患者訪問薬剤管理指導料は要介護者には算定できない整理です。つまり訪問リハビリテーションと居宅療養管理指導は介護保険のまま第7表に残り、訪問看護だけが外れます。訪問診療は医療保険なので、これも他制度として第2表に書く形です。「別表第七だから全部医療保険」と書いたプランは、訪問リハの請求で止まります。
医療保険の訪問看護は「毎日・1日に2回以上・2か所」まで組める
介護保険の訪問看護が外れる代わりに、医療保険側の上限が外れます。訪問看護療養費の告示(平成20年厚生労働省告示第67号)は週3日を限度としつつ「別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者に対する場合を除く」と書き、令和8年3月5日の留意事項通知(保発0305第19号)は別表第七の方について「週4日以上算定でき」としています。同じ告示の注7は、この方たちに「必要に応じて1日に2回又は3回以上」の訪問を認め(難病等複数回訪問加算)、注15は他のステーションから受けている場合の例外として「他の1つの訪問看護ステーション」、週7日の訪問が計画されている方は「他の2つ以下」まで認めています。
生活の言葉に直すと、毎日の訪問を、曜日で分けて2か所(週7日の計画なら3か所)のステーションで担えるということです。ただし留意事項通知は「同一日にそれぞれの訪問看護ステーションで訪問看護療養費は算定できない」と釘を刺しています。同じ日に2か所は組めません。訪問看護指示書の有効期間は6か月が限度なので、更新の時期をモニタリングの予定に入れておいてください。金額と単位数はこの記事に載せません。
難病の医療費助成(特定医療費)は介護保険と同時に進める
3疾患は指定難病なので、難病法の医療費助成(特定医療費)の対象になりえます。ケアマネジャーが押さえる点は5つです。
1. 対象は「病気ごとの重症度分類に照らして一定以上の方」です。指定難病は2025年4月から348疾病(令和8年4月時点も348)ですが、診断がついた全員が受給者証を持つ制度ではありません。重症度分類を満たさなくても医療費が高い月が続く方には「軽症高額該当」の道があります。上限額の表はこの記事に載せません。難病情報センターの「医療費助成制度のご案内」と、お住まいの都道府県・指定都市の窓口(多くは保健所)で確認してください
2. 助成の開始は診断日まで遡れます。令和4年の法改正(法律第104号)で、遡り(法第7条第5項)は令和5年10月1日から施行されています。厚生労働省のリーフレットは「遡り期間は原則として申請日から1か月」「やむを得ない理由があるときは最長3か月まで延長」と書いています。遡るのは「診断日」からで「発症日」ではありません。診断がついたら1か月以内に申請、が実務の目安です
3. 登録者証は令和6年4月1日からです(法第28条第2項の指定難病要支援者証明事業)。難病情報センターは「医療費助成の対象とならない方にも交付されます」「原則としてマイナンバーカードが登録者証になります」と案内していますが、都道府県の努力義務で「申請方法や登録者証の発行方法は、自治体により異なります」とも書いています。「令和6年4月から遡り支給」と混ぜて覚えないでください
4. 人工呼吸器等を装着している方は、都道府県の認定を受けると所得にかかわらず負担上限月額が1,000円になります(難病法施行令第1条第1項第6号)。難病情報センターは要件を「継続して常時生命維持管理装置を装着する必要があり、かつ、日常生活動作が著しく制限されていること」とし、具体例に気管切開・鼻マスク・顔マスクで人工呼吸器を装着している神経難病の患者を挙げています。自動ではなく認定が要ること、夜間だけのマスク型が当たるかは個別判断であること。この2点を都道府県の窓口で確かめてください
5. 訪問看護ステーションが難病法の「指定医療機関」かどうかを初回に確認します。難病情報センターは指定医療機関を「都道府県・指定都市から指定を受けた病院・診療所、薬局、訪問看護ステーション等」と書き、医療費助成は原則として指定医療機関で行われた医療に限られます。難病法施行令第6条は介護保険の訪問看護事業者も指定医療機関になれると定めています。介護保険のサービスに公費を併用するときの請求実務はこの記事では扱わないので、事業所と都道府県の窓口へ確認してください
障害福祉の上乗せは「限度額でケアプラン上確保できない」が根拠。第2表と第7表が材料になる
「介護保険が優先だから、障害福祉は使えないって市役所に言われた」。この言葉が出たら、根拠の通知を一緒に開く場面です。
障害者総合支援法第4条第1項は「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病」による障害のある18歳以上の方を障害者に含めています(対象疾病は令和7年4月から376疾病)。厚生労働省のリーフレットは「障害者手帳をお持ちでなくても、必要と認められた支援が受けられます」「対象疾病に罹患していることがわかる証明書(診断書など)を持参し、お住まいの市区町村の担当窓口に」と案内し、「訓練系・就労系サービス等は障害支援区分の認定を受ける必要はありません」とも書いています。ここで言う376は障害者総合支援法側の数で、指定難病348とは別の数です。
介護保険との関係は、平成19年3月28日の通知(障企発第0328002号・障障発第0328002号)が整理しています。通知は「介護保険サービスを一律に優先させ…一概に判断することは困難」とし、市町村が個別に判断すると書いています。介護保険に相当するものがない固有のサービス(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)は障害福祉で支給。そして具体的な運用のアに、こうあります。
「当該市町村において適当と認める支給量が…区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合」
つまりケアマネジャーが限度額まで組んだ第2表と第7表そのものが、障害福祉で上乗せするための材料です。重度訪問介護を「介護保険にないから使える」と説明するのではなく、「限度額の制約でケアプラン上確保できない時間を、障害福祉で確保する」という順番で書きます。障害支援区分の認定調査は、難病患者等の認定マニュアル(令和7年4月)が「できたりできなかったりする場合は、できない状況に基づき判断」としています。日によって差の大きい方の調査に同席するときは、この一文を頭に置いてください。
意思伝達装置は介護保険でなく補装具。吸引器は日常生活用具
福祉用具貸与の種目に、意思伝達装置はありません。行き先は障害者総合支援法の補装具(重度障害者用意思伝達装置)です。補装具費支給事務取扱指針は平成25年3月15日の改正(障発0315第4号)で「難病患者等」を追加し、対象者欄に「難病患者等については、音声・言語機能障害及び神経・筋疾患である者」と書いています。注記は「難病患者等は、症状が日内変動する者もいるため、症状がより重度である状態をもって判断すること」。手帳は要らず、受給者証等で疾患名が確認できれば医師の診断書を求めないことができる、という手続きです。判定は身体障害者更生相談所で、申請書等で判定できる場合は来所が要らないこともあります。窓口は市町村の障害福祉担当課です。
難病情報センターのALSのページは「早めに新たなコミュニケーション手段の習得を行うことが大切です」「文字盤とよばれるコミュニケーションボードを使用するには最初に練習が必要です」と書き、「体や目の動きが一部でも残存していれば、適切な…意思伝達装置および入力スイッチの選択により、コミュニケーションが可能」とも書いています。話せるうちに練習を始める、が第2表に落とす形です。
吸引器も福祉用具貸与・販売にはありません。行き先は市町村の地域生活支援事業の日常生活用具で、「在宅療養等支援用具」に電気式たん吸引器が例示されています。対象者に「難病患者等」が含まれ、利用者負担は「市町村の判断による」ので、品目と負担は市町村ごとに確認してください。車いす・歩行器・つえは介護保険の貸与が優先ですが、平成19年通知は身体状況に個別に対応する必要があると医師や更生相談所等が判断する場合の補装具費の支給を認めています。
介護職ができる医療的ケアの線引き:吸引と経管栄養は条件つきで可、人工呼吸器の管理は範囲外
「ヘルパーさん、吸引できますよね?」。できる事業所とできない事業所があり、条件が4つあります。
社会福祉士及び介護福祉士法は、介護福祉士と「認定特定行為業務従事者認定証」を持つ介護職員に、医師の指示の下で喀痰吸引等を行うことを認めています(平成24年4月1日施行)。行為は施行規則第1条の5つ、口腔内の喀痰吸引・鼻腔内の喀痰吸引・気管カニューレ内部の喀痰吸引・胃ろう又は腸ろうによる経管栄養・経鼻経管栄養に限られます。条件は、①研修を修了した従事者であること ②事業所が都道府県に登録していること(登録特定行為事業者・登録喀痰吸引等事業者)③医師の指示があること ④「医師、看護師その他の医療関係者との連携を保たなければならない」こと。研修には「不特定多数」対象と「特定の者」対象があり、在宅の神経難病では、その方に対してだけ実施できる「特定の者」対象の研修(第3号研修と呼ばれます)で組むことが多い構造です。担当者会議で確認するのは、事業所が登録済みか・その方向けの研修を修了した従事者がいるかの2点。
人工呼吸器は別の話です。令和4年12月1日の「医師法第17条…の解釈について(その2)」(医政発1201第4号)で介護職が行えると整理されたのは、「在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、医師又は看護職員の立会いの下で、人工呼吸器の位置の変更を行うこと」までです。吸引器に溜まった汚水の廃棄と水の補充、経管栄養の準備と片付け(注入と停止を除く)も同じ通知に載っています。回路の管理、設定の変更、マスクの着脱は列挙されていません。「載っていない=できない」と断定はしませんが、第2表の訪問介護のサービス内容に「人工呼吸器の管理」と書かない、が守る線です。同じ通知は、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は医行為とされうるとし、担当者会議の開催時等に医師・看護職員へ確認するよう求めています。令和7年12月26日のその3(医政発1226第12号)でも、人工呼吸器の項目は増えていません。
目標は「保つ」「今の方法で続ける」「難しくなる前に習得する」で書く
記載要領(老企第29号・令和3年3月31日改正後)は、第2表の目標について「抽象的な言葉ではなく誰にもわかりやすい具体的な内容で記載することとし、かつ目標は、実際に解決が可能と見込まれるものでなくてはならない」と書いています。「症状の進行を止める」「歩けるようになる」は、ケアチームが解決できる課題ではありません。記載要領に「維持」という言葉はなく、「維持を目標にしてよい」とも「悪い」とも書いていません。書けるのは趣旨からで、「保つ」と書くなら何を・どの場面で・どの方法でまで具体にします。「今の方法で続ける」「〇〇が難しくなる前に△△を身につける」は、課題に対応した具体的な目標として書けます。
記載要領はもう2つ、進行性の病気で効く一文を置いています。期間は「終了時期が特定できない場合等にあっては、開始時期のみ記載する等として取り扱って差し支えない」。そして「緊急対応が必要になった場合には、一時的にサービスは大きく変動するが、目標として確定しなければ『短期目標』を設定せず、緊急対応が落ち着いた段階で、再度…見直しを行い記載する」。胃ろう造設や気管切開の入院直後に、無理に目標を作り直さなくてよい根拠です。期間の設定には「認定の有効期間」も考慮すること。
サービス内容の欄については、記載要領が「家族等による援助や必要に応じて保険給付対象外サービスも明記」するよう求めています。医療保険の訪問看護、障害福祉サービス、補装具、保健所の支援は、この「保険給付対象外サービス」として第2表に書ける、という整理です。
保健所の難病担当と難病相談支援センターは、ケアマネジャーと並んで走る
神経難病の方の周りには、介護保険の外に支援の仕組みがあります。難病法第28条は都道府県の療養生活環境整備事業として、相談・情報提供(第29条の難病相談支援センター)、支援者の育成、訪問看護を行う事業を挙げています。難病特別対策推進事業の実施要綱(健医発第635号)は「保健所を中心として」、要支援難病患者ごとの「在宅療養支援計画策定・評価事業」と訪問相談事業を行うと書いています。つまり保健所の難病担当保健師は、ケアプランとは別に在宅療養支援計画を持っていることがある。実施は「地域の実情に応じて」なので全国一律ではありませんが、初回に保健所へ連絡して計画の有無を聞いておくと重なりを防げます。
難病法第32条の難病対策地域協議会は努力義務で、設置していない自治体もありえます。難病情報センターのALSのページは、在宅療養の相談先として「ケアマネジャーや都道府県の難病相談支援センター、地域の難病拠点病院」を名指ししています。
症状は病名でなく「止まった動作」で書く:3疾患で最初に困る場所が違う
「ALS」「小脳失調」とニーズ欄に書いても、訪問介護員の次の一手は決まりません。難病情報センターの一般向けページから、第2表に落とせる形に3つ分けます。薬剤名や治療法の優劣は主治医の領域なので、この記事では書きません。
ALS(情報更新日 令和7年12月)。 「多くの場合、手指の使いにくさや、肘から先の筋肉がやせて力が弱くなることで始まります」。話しにくい・食べ物がのみ込みにくい、足先が上がりにくい(下垂足)で始まることもあります。一方で「体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通」で、進行しても「視力や聴力、体の感覚などは問題なく」とあります。判断する力は保たれている前提で、意向確認の主体はご本人です。時期を前に置く記述が3か所あります。リハビリは「早期から」。体重が減ると病状が悪化することが知られており、胃ろうは体重維持のために有効で「早めに主治医と相談」。コミュニケーション手段も「早めに」。食事は体を起こす・食後1時間その姿勢・一口を少なく・あごを引く・とろみ・回数を増やす。同じページは、停電に備えた呼吸器と吸引器の電源の準備にも触れています。
脊髄小脳変性症(情報更新日 令和7年12月)。 「動かすことは出来るのに、上手に動かすことが出来ない」=運動失調が中心で、「起立や歩行がふらつく、手がうまく使えない、喋る時に口や舌がもつれる」。転ぶのは「特に、歩き出したり、向きを変えたりするとき」で、「廊下・お風呂・トイレなど、日常生活で頻繁に移動する場所には、手すりなどを設置して、つかまることの出来る固定した場所を確保」と書いています。「症状は、とてもゆっくりと進みます」「病気が進んでも、コミュニケーションは十分に可能」。長期目標の期間を長めに置け、構音障害を「伝えられない」と書かない根拠です。「食事の際のむせこみに気づいたら、早めに…嚥下機能検査を」ともあります。遺伝性のものとそうでないものがありますが、ご本人・家族の心情に関わるので、第2表には書きません。
多系統萎縮症(情報更新日 令和7年12月)。 「成年期(30歳以降、多くは40歳以降)に発症」し、小脳性運動失調・パーキンソニズム・自律神経障害のどれかで始まって、進むと重なってきます。自律神経の症状が「排尿障害、頻尿、尿失禁、頑固な便秘…起立性低血圧、発汗低下、睡眠時障害(睡眠時喘鳴、睡眠時無呼吸…)」。このページは「注意すべきは睡眠時の喘鳴や無呼吸などの呼吸障害であり、早期から単独で認められることがある」と書いていて、夜のいびきと呼吸の止まりは主治医に伝えるサインとして第2表に置きます。抗パーキンソン病薬が効きにくいとあるので、パーキンソン病の記事の日内変動の型をそのまま流用しないでください。呼吸障害にはマスク型の人工呼吸などの補助が有用、リハビリは「積極的に勧め」、とあります。
ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例(55文例)

この章の文例は「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」欄に書きます。主語はご本人です。家族の困りごとは行頭に(家族)を付けて区別しています。病名を書いて終わりにせず、どの動作がどの場面で止まっているかまで書けていますか。
歩行・転倒(ふらつき・足が上がりにくい)
- 歩き出しや向きを変えるときにふらつくので、廊下とトイレで転ばずに移動したい
- 足先が上がりにくくつまずくので、家の中の段差で転ばない方法を知りたい
- 外で転ぶのが怖くて出かけなくなったので、安全に外出できる方法がほしい
- つかまる場所がない所で立ち止まれないので、家の中に手すりをつけたい
- 足が突っ張って歩きにくいので、無理のない範囲で歩く力を保ちたい
手が使いにくい(着替え・食事・字を書く)
- 指先に力が入らずボタンや箸が難しいので、自分でできる道具と方法を知りたい
- 肘から先の力が弱くなり茶碗が持てないので、食事を自分の手で続けたい
- 手が震えて字が書けないので、書類や日記を別の方法で残したい
- スマートフォンの操作が難しくなってきたので、連絡手段を保ちたい
話しにくい・意思を伝える
- ろれつが回らず家族に聞き返されるので、伝わる方法を見つけたい
- 声が小さくなって電話が難しいので、外との連絡を別の手段で続けたい
- 話しにくくなる前に文字盤や意思伝達装置の練習を始め、自分の考えを伝え続けたい
- 支援者が入れ替わっても自分の意思が正しく伝わるようにしたい
飲み込み・食事・体重
- 食事でむせることが増えたので、安全に食べられる形と姿勢を知りたい
- 食べるのに時間がかかり疲れて量が減っているので、体重を保ちたい
- 唾液や痰が増えて食事中に苦しくなるので、対処の仕方を教わりたい
- 胃ろうをすすめられているが口から食べることも続けたいので、両方の方法を知りたい
- 飲み込みの検査を受けるよう言われたので、受診の段取りを整えたい
- 少しずつしか食べられないので、食事の回数を増やして息苦しさを減らしたい
呼吸・睡眠(いびき・息切れ・マスク型の呼吸補助)
- 夜のいびきと息が止まる時間を家族が心配しているので、主治医に伝えて対処したい
- 日常の動作で息切れが出てきたので、疲れない動き方を知りたい
- 夜だけマスク型の人工呼吸器を使うことになったので、つけ外しと停電時の備えを整えたい
- 痰が出しにくく苦しいので、吸引を誰にどう頼めるかを決めておきたい
- 呼吸器の選択を急かされたくないので、決めるまでの間も安心して過ごせる体制がほしい
排尿・便秘・立ちくらみ
- トイレが近く間に合わないことがあるので、失敗を減らして外出したい
- 夜中に何度もトイレに起きるので、転ばずに済ませられるようにしたい
- 立ち上がると目の前が暗くなるので、食後や入浴後に倒れずに動きたい
- 頑固な便秘がつらいので、排便のリズムを整えたい
寝返り・体位変換・床ずれ
- 自分で寝返りが打てなくなってきたので、床ずれを作らずに眠りたい
- 体の向きを変えてもらう回数が増え家族が眠れないので、夜の体制を整えたい
- 起き上がりが日によってできたりできなかったりするので、ベッドを整えたい
- 同じ姿勢で痛みが出るので、日中の座る時間と姿勢を工夫したい
入浴・清潔
- 浴槽をまたぐときにふらつくので、安心して湯につかりたい
- 入浴後に立ちくらみが出るので、倒れないように入りたい
- 体を洗う手が届かなくなってきたので、手伝ってもらいながら清潔を保ちたい
- よだれで口の周りが荒れるので、口の中と皮膚を清潔に保ちたい
通院・受診・保健所
- 脳神経内科(神経内科)の専門医と近くの医師の両方にかかっているので、情報が食い違わないようにしたい
- 通院の移動と待ち時間で疲れきってしまうので、負担の少ない通院方法を知りたい
- 保健所の保健師さんとケアマネジャーに別々に同じ話をしているので、一緒に考えてほしい
- 入院や検査のたびに支援が途切れるので、退院後すぐに元の生活に戻れるようにしたい
お金と制度
- 難病の医療費助成の手続きが分からないので、申請の窓口と段取りを知りたい
- 介護保険だけでは足りない時間を、ほかの制度で補えるかを知りたい
- 意思伝達装置や吸引器をどこで申請するかが分からないので、行き先を整理してほしい
- 手帳や手当の対象になるか分からないので、相談先を知りたい
気持ち・選択・役割
- 病気のことを考えると眠れない夜があるので、話を聞いてくれる相手がほしい
- これから決めることが多くて頭が整理できないので、決めるまでの時間を大切にしたい
- 家族の負担ばかり考えて自分の希望を言えないので、自分の言葉で希望を伝えたい
- 家の中でできる役割を続けて、自分らしく暮らしたい
一人暮らし
- 一人でいるときに転んだり呼吸が苦しくなったりしたら誰に連絡するかを決めておきたい
- 食事の用意が難しくなってきたので、栄養を落とさずに暮らしたい
- 停電のときの呼吸器と吸引器の電源が心配なので、備えを整えたい
家族が介護している
- (家族)夜の体位変換と吸引で眠れないので、休める時間がほしい
- (家族)呼吸器の扱いや吸引を自分が担うことに不安があるので、教わりながら進めたい
- (家族)仕事を続けながら支えたいので、日中の支援と制度を組み合わせたい
- (家族)本人が決めることを尊重したいが自分の気持ちも整理したいので、相談できる相手がほしい
長期目標の文例(16文例)

この章の文例は「長期目標」欄に書きます。病気の回復や進行を止めることではなく、暮らしの形で書きます。 期間は認定の有効期間と診断からの経過を見て設定し、終了時期が決められないときは開始時期のみでもかまいません。
- 手すりと福祉用具を使い、家の中を転ばずに移動して暮らせる
- 自分に合った道具と方法で、食事と着替えを自分の手で続けられる
- 話す・書く・装置を使うのどれかで、自分の意思を家族と支援者に伝え続けられる
- 安全な形と姿勢で口から食べることを続け、食事の量と回数を自分の体に合わせて調整できる
- 呼吸の変化を早く主治医に伝え、必要な補助を受けながら自宅で過ごせる
- 排尿と排便の困りごとを整え、外出と夜の睡眠を続けられる
- 体位を主治医・訪問看護と決めた間隔で整えてもらいながら、夜間に眠れる時間を保てる
- 週◯回の入浴で清潔と気分転換を保てる
- 専門医と近くの医師、保健所、ケアマネジャーが同じ情報を持ち、切れ目なく支援を受けられる
- 医療費助成と障害福祉の制度を使い、必要な支援の量を確保して暮らせる
- 自分で決めたことを尊重され、決めていないことは急かされずに暮らせる
- 急な変化のときの連絡先と手順のもとで、一人暮らしを続けられる
- 停電や災害時にも呼吸器と吸引器を使い続けられる備えのもとで暮らせる
- (家族)休める時間を確保しながら、本人の生活を支え続けられる
- (家族)医療的ケアの分担を医療者と決め、無理のない範囲で関われる
- 状態が変わったときに計画を見直せる関係を医療者と保ち、自宅での生活を続けられる
短期目標の文例(45文例)

この章の文例は「短期目標」欄に書きます。誰が見ても達成できたかどうかが分かる形にします。回数・曜日・場所まで入れて、「進行を遅らせる」「歩けるようになる」という言葉は入れません。今の担当の方の短期目標、訪問看護師と訪問介護員が同じ物差しで確かめられますか。
歩行・転倒
- 廊下・トイレ・浴室の3か所に手すりをつけ、つかまって方向転換できる
- 室内では歩行器(または壁伝い)を使い、1か月間転倒なく過ごせる
- つま先を引っかけないよう敷物を外し、夜間のトイレへの往復で転ばずに過ごせる
- 訪問リハビリテーションで教わった立ち上がりの手順を、毎日1回続けられる
手が使いにくい
- 太い柄のスプーンと滑り止めマットを使い、昼食を自分で食べられる
- 面ファスナーの衣類に替え、上着の着脱を自分でできる
- タブレットの音声入力で、家族への連絡を1日1回送れる
- 訪問リハビリテーションで自助具を試し、合うものを1か月以内に決められる
話しにくい・意思を伝える
- 文字盤の練習を週◯回行い、はい・いいえと10の単語を伝えられる
- 意思伝達装置の申請を市町村の障害福祉担当課に行い、判定の日程を決められる
- 伝わりにくいときの合図(うなずき・まばたきなど)を家族と支援者で統一できる
- 支援者が交代しても同じ方法で意思を確かめられるよう、伝え方のメモを共有できる
飲み込み・食事・体重
- とろみと刻みの形を主治医の指示のもと訪問看護と決め、むせずに1食を食べ終えられる
- 食事は体を起こし、食後1時間は座った姿勢で過ごせる
- 1日の食事を5回に分け、1回の量を減らして息苦しさなく食べられる
- 嚥下機能検査の受診日を決め、結果を支援者で共有できる
- 週1回体重を測って記録し、減っているときは主治医に伝えられる
呼吸・睡眠
- 夜のいびきと呼吸の止まりを家族が記録し、次の受診で主治医に伝えられる
- 痰の吸引を担う人(訪問看護・研修修了の介護職・家族)と時間帯を決め、表にできる
- 呼吸器と吸引器の停電時の電源(バッテリー・充電の手順)を確認し、置き場所を決められる
排尿・便秘・立ちくらみ
- 立ち上がりは座って数分待ってから行い、立ちくらみで倒れずに過ごせる
- 夜間はポータブルトイレを使い、転ばずに排尿できる
- 排便の間隔を記録し、主治医から指示された範囲で下剤を使って3日に1回は排便できる
寝返り・体位変換・床ずれ
- 体位変換の時間と向きを表にし、夜間◯回を家族と訪問介護(障害福祉サービスを含む)で分担できる
- 床ずれ防止用マットレスを使い、赤みや痛みがあった日は、その日のうちに訪問看護に伝えてもらえる
- 日中は車いすで◯時間座り、同じ姿勢を2時間以上続けずに過ごせる
入浴・清潔
- 入浴は訪問介護の見守りのもと週2回、浴槽の出入りを手すりとバスボードで行える
- 入浴後は座って数分休んでから移動し、立ちくらみで倒れずに過ごせる
- 口の中の清潔を毎食後に保ち、口の周りの皮膚の荒れを防げる
通院・受診・保健所
- 専門医の受診日と近くの医師の往診日をカレンダーに書き、支援者と共有できる
- 保健所の難病担当保健師と顔合わせをし、困ったときの相談先を1つ増やせる
- 通院に介護タクシーを使い、帰宅後に横になって休める
お金と制度
- 特定医療費の申請を診断から1か月以内に行い、受給者証の交付を待てる
- 受給者証を訪問看護ステーションに提示し、自己負担上限額管理票に記入してもらえる
- 障害福祉サービスの申請を市町村に行い、限度額で足りない時間を確保する見通しを立てられる
気持ち・選択・役割
- 週1回、支援者と気持ちを話す時間をもてる
- 呼吸器についての説明を主治医から受け、決めるまでの相談先を決められる
- 家の中でできる役割(◯◯)を週◯回続けられる
一人暮らし
- 緊急時の連絡先と手順を書いた紙を電話のそばに置き、訪問者全員と共有できる
- 配食と訪問介護を組み合わせ、1日3食を欠かさず食べられる
- 避難行動要支援者名簿への登録を市町村に相談し、停電時の連絡先を決められる
家族
- (家族)短期入所を月◯日使い、続けて眠れる夜をもてる
- (家族)吸引と体位変換を訪問看護から教わり、手順表を見ながら行える
- (家族)マスク型の呼吸器のつけ外しを訪問看護から教わり、手順どおりに行える
- (家族)家族会や難病相談支援センターに1回相談し、次に相談する先を決められる
サービス内容の文例(56文例)

この章の文例は「サービス内容」欄に書きます。医療サービスは、主治医の指示にもとづくことが読み取れる形に。3疾患の訪問看護は医療保険なので「医療保険」と明記し、第7表には載せません。訪問リハビリテーションと居宅療養管理指導は介護保険のまま。介護保険で出ないもの(障害福祉・補装具・日常生活用具・特定医療費・保健所)は、窓口の名前まで書きます。担当の方の訪問看護指示書を出している医師の名前、言えますか。
主治医・専門医・医療機関との連携
- 脳神経内科(神経内科)の専門医:診断と治療、病状の説明、呼吸・嚥下・コミュニケーションの評価、主治医意見書、臨床調査個人票(難病指定医)
- 在宅の主治医(訪問診療・医療保険):日常の診療、訪問看護指示書の交付、急な変化のときの相談と往診
- ケアマネジャー:医療サービスの利用にあたり本人の同意を得て主治医の意見を求め、作成した居宅サービス計画を、意見を求めた主治の医師等(訪問看護指示書を出す医師・専門医)に交付する
- ケアマネジャー:食事量の減少・転倒・夜間の呼吸の変化を、本人の同意を得て主治医・薬剤師へ情報提供する
- ケアマネジャー:本人が病気と選択肢についてどこまで説明を受けているかを主治医と家族に確認し、支援者間で共有する
- ケアマネジャー:入院が決まったときは入院当日(可能なら入院前)に病院へ情報提供し、退院前のカンファレンスに参加して計画を見直す
- ケアマネジャー:保健所の難病担当保健師と初回に連絡を取り、在宅療養支援計画がある場合はケアプランと重ならないよう役割を分ける
- ケアマネジャー:月1回の訪問で動作の変化・食事量・呼吸の様子・意思の伝わり方を確認し、状態が変わったときは計画の見直しを検討する
訪問看護(医療保険・主治医の指示書に基づく・第7表には載せない)
- 訪問看護:呼吸状態(息切れ・いびき・呼吸の止まり・痰の量)の観察と、主治医への報告
- 訪問看護:嚥下の状態の観察、食事の形と姿勢の助言、食後の口腔ケアの指導
- 訪問看護:気管カニューレ内部の喀痰吸引と、家族・研修修了の介護職への吸引手技の指導
- 訪問看護:人工呼吸器(マスク型・気管切開)の回路と設定の確認、着脱の指導、業者との連携
- 訪問看護:胃ろうからの栄養注入の管理と、家族への手順の指導
- 訪問看護:排尿の状態(残尿・失禁・夜間の回数)の観察と、導尿・カテーテル管理(主治医の指示に基づく)
- 訪問看護:皮膚の観察と床ずれの予防、体位変換の方法の家族・介護職への指導
- 訪問看護:本人・家族の不安の傾聴と、専門医・在宅の主治医・保健所への橋渡し
訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション(介護保険・主治医の指示に基づく)
- 訪問リハビリテーション:転倒しにくい歩き出しと方向転換の練習、手すりと歩行器の使い方の指導
- 訪問リハビリテーション:自助具(太い柄のスプーン・面ファスナーの衣類など)の選定と、食事・着替えの動作練習
- 訪問リハビリテーション:文字盤・意思伝達装置の入力練習と、スイッチの位置の調整(作業療法士・言語聴覚士)
- 訪問リハビリテーション:呼吸を楽にする姿勢と動き方の指導、痰を出しやすくする方法の練習
- 通所リハビリテーション:週◯回、残っている運動機能を使う運動と入浴、他の利用者との交流
訪問介護
- 訪問介護:朝の着替えと洗面の一部介助(本人ができる部分は本人が行い、時間をかける)
- 訪問介護:とろみ・刻みの形での調理と、体を起こした姿勢での食事介助、退室前に食後1時間は座って過ごせる姿勢と手の届く場所の物を整える
- 訪問介護:1日5回に分けた少量の食事の準備と、食事量の記録
- 訪問介護:ポータブルトイレへの移乗介助と排泄の介助、パッド交換
- 訪問介護:入浴の見守りと洗身の一部介助(浴槽の出入りは手すりとバスボードを使う)
- 訪問介護:口腔内・鼻腔内の喀痰吸引(登録事業所の研修修了者が医師の指示・訪問看護との連携のもとで実施)
- 訪問介護:体位変換と、その際の人工呼吸器の位置調整(医師または看護職員の立会いのもと=訪問看護との同時訪問時)、吸引器の水の補充と汚水の廃棄
- 訪問介護:買い物・掃除・洗濯と、緊急時の連絡先の確認(一人暮らしの方)
福祉用具・住宅改修
- 福祉用具貸与:手すり(据置型)、歩行器、車いす(日によって歩行が困難な状態が頻繁にある方は、医師の所見と担当者会議の記録を添えて保険者に確認)
- 福祉用具貸与:特殊寝台と付属品(起き上がり・寝返りが日によって困難な方の軽度者例外は医師の所見をもとに保険者に確認)
- 福祉用具貸与:床ずれ防止用具・体位変換器
- 福祉用具貸与:移動用リフト(移乗に一部介助または全介助を要する場合)
- 特定福祉用具販売:バスボード・シャワーチェア・ポータブルトイレ
- 住宅改修:廊下・トイレ・浴室の手すりの取り付け、敷居の段差の解消
通所・短期入所
- 通所介護:週◯回の入浴と、日中の見守り・活動(家族の休息の時間を兼ねる)
- 短期入所療養介護:月◯日、医療的ケアのある方の受け入れ先での短期入所(家族の休息)
- 短期入所生活介護:月◯日、家族の休息と本人の環境の変化の確認
障害福祉・補装具・日常生活用具(介護保険外・市町村の障害福祉担当課)
- 障害福祉サービス(重度訪問介護など):介護保険の区分支給限度基準額の制約でケアプラン上確保できない時間の上乗せ(市町村の支給決定による)
- 補装具(重度障害者用意思伝達装置):市町村への申請と身体障害者更生相談所の判定(難病患者等は手帳がなくても対象・症状のより重い状態で判断)
- 日常生活用具(電気式たん吸引器など):市町村の地域生活支援事業への申請(品目・負担は市町村ごと)
- 補装具(車いす):既製品で身体状況に合わない場合の個別対応(医師・更生相談所の判断による)
- 身体障害者手帳:肢体不自由・音声言語機能障害の該当を主治医と相談し、指定医(身体障害者福祉法第15条)の診断書を添えて市町村へ申請(税の控除・運賃割引などに関わる)
- 特別障害者手当・障害年金:市町村の窓口・年金事務所への相談(対象と等級は窓口が判断)
難病法・保健所・その他の制度(介護保険外)
- 特定医療費(指定難病):都道府県・指定都市の窓口(保健所)への申請、臨床調査個人票の依頼(難病指定医)、受給者証の更新
- 人工呼吸器等装着者の負担上限の認定:都道府県への申請(要件は都道府県の窓口で確認)
- 保健所(難病担当保健師):在宅療養支援計画、訪問相談、災害時の電源確保と避難行動要支援者名簿の相談
- 難病相談支援センター:療養生活の相談、患者会・家族会の紹介、就労の相談
- 訪問診療(医療保険):在宅の主治医による定期的な診療と、訪問看護指示書の交付
- 避難行動要支援者名簿:市町村の防災担当への登録の相談(停電時の呼吸器・吸引器の電源確保と合わせて)
本人・家族の取り組み
- 本人:転びやすい場面(歩き出し・方向転換・夜間のトイレ)で手すりを使い、急がない
- 本人:文字盤の練習を毎日◯分行い、伝わりにくかった言葉を記録する
- 本人:食事は体を起こし、一口を少なく、あごを引いて飲み込む
- 家族:夜のいびき・呼吸の止まり・むせの回数を記録し、受診時に見せる
- 家族:体位変換と吸引の手順表を見ながら行い、迷ったら訪問看護に電話する
- 家族:短期入所と通所の日は自分の休息と用事にあて、本人と離れる時間をもつ
書き方のコツ(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。神経難病の方の第2表ならではの書き分けのコツをまとめました。
コツ1:訪問看護は第2表に「医療保険」と書いて残す。第7表から外すのは訪問看護だけ
3疾患の訪問看護は医療保険なので第7表に載りませんが、第2表には必ず載せます。記載要領は「保険給付対象外サービスも明記」と求めていて、ケアチームの中心にいる訪問看護が計画書から消えている状態は、担当者会議の記録とも合いません。サービス内容の欄に「訪問看護(医療保険・主治医の指示書に基づく)」と書き、頻度欄に「毎日朝・夕」のように実際の回数を書きます。
第7表から外すのは訪問看護だけです。訪問リハビリテーションと居宅療養管理指導は介護保険のまま第7表に残り、限度額の計算に入ります。訪問診療は医療保険で、第2表に他制度として書きます。第7表の1本目に訪問看護がないのに訪問リハがある、という形が正しい形です。訪問リハと居宅療養管理指導の書き方は、それぞれの記事にまとめています。
コツ2:短期目標は「難しくなる前に習得する」型で書く
進行する病気の短期目標は、「できなくなったら考える」と書いた瞬間に遅れます。難病情報センターのALSのページは、リハビリ・胃ろうの相談・コミュニケーション手段について「早期から」「早めに」と3か所で書いています。この3つは、まだ困っていない時期に短期目標に置く項目です。
たとえば、まだ話せる方に「文字盤の練習を週◯回行い、はい・いいえと10の単語を伝えられる」。まだ口から食べられる方に「嚥下機能検査の受診日を決め、結果を支援者で共有できる」。「今の動作を続ける」目標と「次の方法を先に身につける」目標を1本ずつ並べておくと、状態が変わったときに計画を作り直さずに済みます。嚥下の評価と食事の形の書き方は、次の記事に詳しくあります。
コツ3:限度額まで組んだ第7表が、障害福祉の申請書類になる
「限度額を超えるから訪問介護を減らそう」と考える前に、平成19年通知の運用アを思い出してください。障害福祉の上乗せの根拠は「区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができない」ことです。つまり、必要な時間を先に第2表に書き、第7表で限度額を超える分を見せることが、市町村の支給決定の材料になります。
順番はこうです。①アセスメントで必要な支援の時間を出す(夜間の体位変換・吸引の回数まで)②第2表に必要量を書き、第3表(週間サービス計画表)で時間帯の空白、第7表で限度額との差を示す ③市町村の障害福祉担当課に、第2表・第3表・第7表を添えて相談する ④支給決定が出たら、第2表のサービス内容に「障害福祉サービス(重度訪問介護など):限度額の制約で確保できない時間の上乗せ」と書き直す。
コツ4:医療的ケアの実施者は、名前でなく「条件」で書く
第2表に「吸引:ヘルパー」と書いたプランは、運営指導で条件を聞かれます。書くのは「口腔内・鼻腔内の喀痰吸引(登録事業所の研修修了者が医師の指示・訪問看護との連携のもとで実施)」の形です。誰がどの条件で行えるかが読めれば、事業所が変わっても書き直しが要りません。
人工呼吸器は、介護職の欄に「管理」と書かないことが線です。書けるのは「体位変換の際の人工呼吸器の位置調整(医師または看護職員の立会いのもと=訪問看護との同時訪問時)」「吸引器の水の補充と汚水の廃棄」「経管栄養の準備と片付け(注入と停止を除く)」まで。回路・設定・マスクの着脱は訪問看護と家族の欄に置きます。家族が担う医療的ケアは、訪問看護から指導を受けたことが読み取れる形で書き、担当者会議で「病状が不安定で専門的な管理が必要な状態か」を医師・看護職員に確認した記録を残します。
コツ5:呼吸器の選択は目標に書かない。「どちらを選んでも組める体制」をサービス内容に書く
人工呼吸器をつけるかどうかは、ご本人が主治医の説明を受けて決めることです。運営基準第1条の2第2項は居宅介護支援を「利用者の選択に基づき」行うと定めていて、ケアマネジャーが誘導する立場にはありません。第2表の目標に「呼吸器を◯月までに決める」とは書きません。
書けるのは、難病情報センターが「人工呼吸器を使用する場合であっても基本的には在宅での生活になります」「ケアマネジャーや都道府県の難病相談支援センター、地域の難病拠点病院に相談して下さい」と案内している範囲、つまりどちらを選んでも在宅で組める体制の情報を出すことです。ニーズ欄に「決めるまでの間も安心して過ごせる体制がほしい」、サービス内容に「主治医からの説明の機会」「難病相談支援センターへの相談」「医療的ケアに対応できる短期入所先の確認」を並べます。第1表の意向欄には「決めていない」も意向として書けます。専門医と在宅の主治医が分かれる方の連携文例は、次の記事にあります。
現場のひとこと
神経難病の方の第2表は、担当者会議の出席者がいちばん多くなります。専門医、在宅の主治医、訪問看護(2か所のことも)、訪問リハ、訪問介護、福祉用具、保健所の保健師、障害福祉の相談支援専門員、呼吸器の業者。全員が同じ計画書を見て動くために、第2表は「誰が・どの制度で・どの条件で」を書き切る書類になります。ご本人の判断する力は保たれている、という前提を最初の1行に置いてから書き始めてみませんか。
運営指導で見られやすいポイント
1. 第2号被保険者(40〜64歳)の場合、要介護状態の原因が特定疾病(施行令第2条第3号・第8号・第11号)によることが認定結果で確認でき、主治医意見書の内容と計画の整合が取れているか
2. 3疾患の訪問看護が医療保険として扱われ、第7表の給付管理に含まれていないか。逆に、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導が介護保険として第7表に載っているか
3. 医療保険の訪問看護・訪問診療が第2表に「保険給付対象外サービス」として明記されているか(記載要領④)
4. 医療サービスの利用にあたり利用者の同意を得て主治医の意見を求め、作成した計画を主治医等へ交付した記録があるか(平成11年厚生省令第38号 第13条第19号・第19号の2・第20号)
5. 訪問介護のサービス内容に喀痰吸引等を位置づけている場合、事業所の登録と従事者の研修修了、医師の指示、訪問看護との連携が確認できる記録があるか
6. 訪問介護のサービス内容に「人工呼吸器の管理」など、医行為でない行為として整理されていない内容が書かれていないか
7. 目標が「進行を遅らせる」「歩けるようになる」など解決が見込めないものではなく、本人が取り組める動作と方法、回数になっているか
8. 要介護1以下の方に特殊寝台などを位置づけている場合、医師の所見(主治医意見書・診断書・ケアマネジャーが聴取して計画に記載した所見)と担当者会議の記録、市町村への確認の経過が残っているか
9. 障害福祉サービスを併用している場合、限度額の制約で確保できない量であることが第2表・第7表から読み取れ、市町村の支給決定と整合しているか
10. 本人の選択(人工呼吸器・胃ろうなど)について、本人の意向を確認した経過が第1表と支援経過記録に残り、第2表の目標が選択を誘導する内容になっていないか
よくある迷いどころ
45歳の方がALSと診断されました。申請書の病名欄には何と書きますか。診断書は要りますか
申請書には施行令の名称で「筋萎縮性側索硬化症」と書きます(施行規則第35条第1項「要介護状態の原因である特定疾病の名称」)。がんのように「回復の見込みがない状態に限る」という限定はありません。該当するかどうかは、主治医意見書の記載内容をもとに介護認定審査会が確認します。診断基準の前文は、意見書の記載にあたって「必ずしも、新たに診察・検査等を行う必要はなく、過去の診療録等を参考に記載することで差し支えない」としているので、別に診断書を添える建て付けではありません。窓口の運用は保険者ごとに違うので、申請前に一度電話で確かめると往復が減ります。
同時に、難病法の特定医療費の申請(都道府県・指定都市の窓口)も動かします。遡れるのは申請日から原則1か月前までなので、診断日から1か月以内に申請しないと診断日まで戻れません。介護保険の申請と同じ週に済ませる段取りが実務です。
訪問看護が医療保険なら、第2表に書かなくてよいですか
書きます。記載要領は「必要に応じて保険給付対象外サービスも明記」と求めています。第7表に載せないだけで、第2表のサービス内容には「訪問看護(医療保険・主治医の指示書に基づく)」と明記し、頻度も実際の回数で書きます。運営基準第13条第20号の「主治の医師等の指示がある場合に限り」の趣旨は医療保険の訪問看護でも同じなので、指示書の存在を確認した記録を残してください。
週3回の訪問看護では足りません。増やせますか。2か所のステーションに頼めますか
3疾患は別表第七の疾患なので、訪問看護療養費の告示の「週3日を限度」の例外に当たり、留意事項通知は「週4日以上算定でき」としています。1日に2回、3回以上の訪問も難病等複数回訪問加算の対象です。ステーションは「他の1つ」=2か所まで、週7日の訪問が計画されている方は「他の2つ以下」=3か所まで組めます。ただし「同一日にそれぞれの訪問看護ステーションで訪問看護療養費は算定できない」ので、曜日で分ける形になります。ケアマネジャーの役目は回数を決めることではなく、必要な回数の根拠(夜間の吸引の回数・家族の休息)を主治医と訪問看護に伝えることです。
限度額いっぱいです。重度訪問介護を上乗せしたいのですが、「介護保険が優先」と言われました
介護保険優先の原則(障害者総合支援法第7条)は、平成19年3月28日の通知で「一律に優先させ…一概に判断することは困難」と整理されています。上乗せの根拠は同通知の運用ア、「区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができない」場合です。限度額まで組んだ第2表と第7表を添えて、市町村の障害福祉担当課に相談してください。重度訪問介護は「介護保険にないから使える」のではなく、「限度額で確保できない時間を確保する」順番で説明します。最終判断は市町村です。手帳がなくても難病等として申請でき、介護給付は障害支援区分の認定が要ります。
意思伝達装置を福祉用具貸与で探しましたが、種目にありません
福祉用具貸与の種目に意思伝達装置はありません。行き先は補装具(重度障害者用意思伝達装置)で、窓口は市町村の障害福祉担当課、判定は身体障害者更生相談所です。補装具費支給事務取扱指針は平成25年改正で難病患者等を対象に加え、「音声・言語機能障害及び神経・筋疾患である者」を対象者に、「症状が日内変動する者もいるため、症状がより重度である状態をもって判断すること」を注記しています。手帳は要らず、受給者証等で疾患名が確認できれば診断書を求めないことができる手続きです。文字盤の練習は装置が届く前から始められるので、短期目標に先に置いてください。
要介護1の脊髄小脳変性症の方に、特殊寝台を借りたいと言われました
要介護1の方の特殊寝台は原則として給付対象外ですが、老企第36号の軽度者例外に「疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に…該当する者」(ⅰ)があります。例示は「パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象」ですが、同じ通知の注は「括弧内の状態以外の者であっても、ⅰ)~ⅲ)の状態であると判断される場合もありうる」と書いています。日によって起き上がりが困難な状態が頻繁にあることを、医師の所見(主治医意見書・診断書・ケアマネジャーが聴取して計画に記載した所見のいずれか)と担当者会議の記録で示し、市町村に確認する道があります。ⅲ)の「嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避」で頭を上げる必要がある場合も同じ手順です。様式や事前・事後の扱いは保険者ごとに違うので、先に保険者へ聞いてください。
家族が「もう眠れない」と言っています。医療的ケアのある方の短期入所は組めますか
夜間の体位変換と吸引が続くと、家族の休息が先に切れます。短期入所療養介護(医療的ケアに対応できる施設)と、難病法の基本方針(平成27年告示)が挙げるレスパイト入院(専門医・在宅の主治医と相談)の2つが行き先です。人工呼吸器や吸引が必要な方の受け入れ先は地域で限られるので、困ってから探すのではなく、初回の担当者会議で受け入れ先を確認して第2表に書いておくのが実務です。家族の短期目標には「短期入所を月◯日使い、続けて眠れる夜をもてる」のように回数を入れます。難病相談支援センターと患者会・家族会も、家族の相談先として第2表に書ける場所です。
【ショートステイ(短期入所生活介護)】ケアプラン第2表の文例集
まとめ
✓ この記事の範囲は施行令第2条の第3号・第8号・第11号。パーキンソン病関連疾患(第7号)は第16弾を土台に、症状が進んで痛みや呼吸のつらさが前に出た局面は第27弾へ。受給者証所持者は3疾患合わせてもパーキンソン病の3分の1で、慣れていなくて当然
✓ 40〜64歳の申請書には施行令の名称で。がんのような「回復の見込み」の限定はない。該当は主治医意見書をもとに審査会が確認。難病の受給者証は告示の名称で、オリーブ橋小脳萎縮症は多系統萎縮症の扱い
✓ 3疾患の訪問看護は診断名の時点で医療保険(別表第七・条件なし)。パーキンソン病だけヤール3以上かつ生活機能障害度Ⅱ・Ⅲの条件。医療保険に移るのは訪問看護だけで、訪問リハと居宅療養管理指導は第7表に残る
✓ 医療保険の訪問看護は週4日以上・1日2回3回以上・2か所(週7日なら3か所)まで。同じ日に2か所は不可。第2表には「医療保険」と明記して載せる
✓ 特定医療費は診断日まで遡れる(令和5年10月1日〜・原則1か月)。登録者証は令和6年4月1日〜。人工呼吸器等装着者は都道府県の認定で上限1,000円。訪問看護ステーションが指定医療機関かを初回に確認
✓ 障害福祉の上乗せは「限度額の制約でケアプラン上確保できない」が根拠(平成19年通知)。限度額まで組んだ第2表・第7表が申請の材料。手帳は不要
✓ 意思伝達装置は補装具(難病患者等は手帳不要・重い状態で判断)、吸引器は日常生活用具(市町村)。福祉用具貸与にはない
✓ 喀痰吸引と経管栄養は研修修了者・登録事業所・医師の指示・看護との連携の4条件で介護職も可。人工呼吸器の管理は通知にない=介護職は「体位変換時の位置調整(医師または看護職員の立会いの下)」まで
✓ 目標は「保つ」「今の方法で続ける」「難しくなる前に習得する」。開始時期のみの記載可、緊急時は短期目標を確定しない(記載要領)
✓ 保健所の難病担当(在宅療養支援計画)・難病相談支援センターと並走。呼吸器の選択は目標に書かず、どちらを選んでも組める体制をサービス内容に
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参考・出典
1. 介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3項第2号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
2. 介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条第1号・第3号・第7号・第8号・第11号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412
3. 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第35条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
4. 厚生労働省 老健局老人保健課長通知「要介護認定における『認定調査票記入の手引き』、『主治医意見書記入の手引き』及び『特定疾病にかかる診断基準』について」(平成21年9月30日 老老発0930第2号)別添3 特定疾病にかかる診断基準(前文・3・7・8・11) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6469&dataType=1&pageNo=5 ・別添2 主治医意見書記入の手引き(特定疾病の症候・所見のポイント) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6469&dataType=1&pageNo=4 (2026年9月時点で現行として掲載されている版)
5. 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)第5条・第7条第5項・第28条・第29条・第32条、令和4年法律第104号附則第1条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC0000000050
6. 難病の患者に対する医療等に関する法律施行令(平成26年政令第358号)第1条第1項第6号・第4条・第6条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/426CO0000000358
7. 難病情報センター「医療費助成制度のご案内」(自己負担上限・高額かつ長期・軽症高額該当・人工呼吸器等装着者・指定医療機関・登録者証) https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
8. 難病情報センター「告示番号順索引」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/5346
9. 厚生労働省「指定難病」(令和8年4月時点の告示番号1〜348) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html ・医療費助成制度周知用資料(348疾病) https://www.mhlw.go.jp/content/001438374.pdf
10. 厚生労働省 リーフレット「2023(令和5)年10月1日から難病医療費助成制度が変わり、助成開始時期を前倒しできます」 https://www.mhlw.go.jp/content/001154634.pdf ・掲載元:厚生労働省 難病対策 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html
11. 厚生労働省「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」(平成18年4月28日 老老発第0428001号・保医発第0428001号/最終改正 令和8年3月27日 老老発0327第2号・保医発0327第4号・令和8年6月1日適用)8(1)・9・別紙 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001697767.pdf
12. 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)別表第七(令和8年厚生労働省告示第71号で全改)/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9733&dataType=0&pageNo=5
13. 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号)区分01 注1・注7・注15/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9734&dataType=0&pageNo=1
14. 厚生労働省 保険局長通知「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保発0305第19号)第2の1・第2の12/九州厚生局掲載 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000433553.pdf ・掲載元 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/kango/todokede_r8.html
15. 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費 注1・訪問リハビリテーション費 注12/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0253&dataType=0&pageNo=1
16. 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第四号・第三十一号/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4583&dataType=0&pageNo=1
17. 厚生労働省 老企第36号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日)第二の9(4)(軽度者の例外) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080856.pdf ・同 最終改正(令和6年3月15日)の抄録=厚生労働省 事務連絡「がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について」(令和6年5月31日)別添1 https://www.mhlw.go.jp/content/001262712.pdf
18. 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第1条の2・第13条第13号の2・第19号・第19号の2・第20号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
19. 厚生労働省 老企第29号「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」別紙1 記載要領(令和3年3月31日改正後全文・介護保険最新情報Vol.958) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0401101809839/ksvol.958.pdf
20. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第4条第1項・第7条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123
21. 厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/index.html ・令和7年4月 周知用リーフレット(376疾病・手帳不要) https://www.mhlw.go.jp/content/001398603.pdf ・対象疾病の見直しについて https://www.mhlw.go.jp/content/001513536.pdf
22. 厚生労働省「難病患者等に対する障害支援区分認定マニュアル」(令和7年4月) https://www.mhlw.go.jp/content/001470213.pdf
23. 厚生労働省 障害保健福祉部企画課長・障害福祉課長通知「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(平成19年3月28日 障企発第0328002号・障障発第0328002号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4788&dataType=1&pageNo=1
24. 厚生労働省 障害保健福祉部長通知「補装具費支給事務取扱指針について」(平成18年9月29日 障発第0929006号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4774&dataType=1&pageNo=1 ・同 一部改正(平成25年3月15日 障発0315第4号・難病患者等の追加・沖縄県掲載の通知写し) https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/673/250315_hosouguhisikyuuzimutoriatukaisisinokaisei.pdf
25. 厚生労働省「補装具費支給制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/hosouguhisikyuuseido.html
26. 厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html
27. 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第2条第2項・第48条の3・附則(認定特定行為業務従事者に係る特例)/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/362AC0000000030
28. 厚生労働省「喀痰吸引等制度について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/index.html ・同 制度概要 https://www.mhlw.go.jp/content/000464962.pdf
29. 厚生労働省 医政局長通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」(令和4年12月1日 医政発1201第4号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7179&dataType=1&pageNo=1 ・同(その3)(令和7年12月26日 医政発1226第12号) https://www.mhlw.go.jp/content/001624372.pdf ・掲載元:厚生労働省「原則として医行為ではない行為について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gensoku_ikoui.html
30. 厚生労働省 健康医療局長通知「難病特別対策推進事業について」(平成10年4月9日 健医発第635号)第4 難病患者地域支援対策推進事業 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3791&dataType=1&pageNo=1
31. 厚生労働省「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」(平成27年)第7・第8 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000099473.pdf
32. 難病情報センター「筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)」(情報更新日 令和7年12月) https://www.nanbyou.or.jp/entry/52
33. 難病情報センター「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)」(情報更新日 令和7年12月) https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879
34. 難病情報センター「多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)」((1)は情報更新日 令和7年12月・(2)(3)は令和4年12月) https://www.nanbyou.or.jp/entry/221 ・「(2)オリーブ橋小脳萎縮症」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/399 ・「(3)シャイ・ドレーガー症候群」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/400
35. 難病情報センター「特定医療費(指定難病)受給者証所持者数」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354 ・令和6年度末 年齢階級・対象疾患別(衛生行政報告例より) https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/2024koufu_age.xlsx
36. 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」介護票 第24表 CSV(e-Stat) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040071925&fileKind=1
37. 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条・別表/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000283
38. 厚生労働省「特別障害者手当について」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/tokubetsu.html
39. 日本年金機構「障害年金の受給要件」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
40. 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)入院時情報連携加算・退院・退所加算/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0254&dataType=0&pageNo=1 ・厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第八十五号・第八十五号の二 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4584&dataType=0&pageNo=3
※文例はあくまで参考です。病状の見通し、訪問看護の回数と保険の別、呼吸器・胃ろう・吸引などの医療的ケアの実施者、食事の形と姿勢、運動や入浴の可否は、主治医(専門医・在宅の主治医)と訪問看護・リハビリテーション専門職の指示にもとづいて個別に決めてください。診断は医師が行い、特定疾病への該当は介護認定審査会が判断します。特定医療費・登録者証・障害福祉サービス・補装具・日常生活用具・身体障害者手帳・特別障害者手当・障害年金の対象と内容、福祉用具の例外給付の可否は、都道府県・市町村・年金事務所・保険者によって案内が異なる場合があります。実際の取り扱いについては、主治医およびそれぞれの窓口にご確認ください。


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