「84歳、女性、要介護1。洋式便器が低く、夜中に立ち上がれずトイレの床に座り込んだことが2回ある。娘さんからは『便器も古くなったし、高いのに替えてもらえませんか』と頼まれた」。理由書を書く前に、第2表のどこに何を書きますか。
最初に書くのは、どの動作が、なぜできないかの1行です。第2表ならニーズの欄に、「住宅改修が必要な理由書」なら「具体的な困難な状況」の欄に入る内容です。厚生労働省のQ&Aは、高い便器への取替えについて、その方に適した高さにする理由があれば対象になりうるとし、「古くなったから」の取替えは対象にならないとしています。支給するかどうかを判断するのは市町村で(介護保険法第45条第2項)、判断の中心になる書類が理由書です。
市町村向けの参考資料である国の点検の手引き(令和8年3月 第二版)は、ケアプランが作られている方について、理由書とケアプランの内容が合っているかを確かめる観点を挙げています。この記事がすすめるのは、アセスメントから書いた第2表と理由書を、同じ骨組みでそろえること——困っている動作、改修の方針、改修の項目が1本の線でつながる書き方です。
この記事では、住宅改修の第2表で使える文例を、13の場面で165本まとめました。場面は、退院前・要介護度の上昇・転居・夫婦といった時間の流れの中で起きることと、通路・門扉・浴槽の縁・便器の高さ・ドアノブ・畳・共用部分といった対象工事の境目から選んでいます。
住宅改修の6つの工事、支給限度基準額20万円と給付の割合、事前申請の書類、理由書を書ける人、受領委任払いは、福祉用具・住宅改修の記事にまとめています。玄関前の階段・トイレの手すり・浴室の出入口・敷居・畳からフローリング・開き戸から引き戸・和式から洋式・市営住宅の8場面の文例も、同じ記事にあります。この記事はその続きです。
制度の部分は、介護保険法と施行規則、住宅改修の種類と支給限度基準額の告示、老企第42号(住宅改修費の支給について・平成30年7月13日最終改正)、老企第34号(福祉用具及び住宅改修の取扱いについて)の原文にあたって書いています。厚生労働省の介護サービス関係Q&A集(令和8年9月掲載)、国の点検手引き、地域支援事業実施要綱、統計も読んでいます。
この記事の文例の並び方
第2表の欄ごとに章を分けています。
1章目:ニーズ(「〜したい」の形・主語はご本人)
2章目:長期目標
3章目:短期目標
4章目:サービス内容
各章の中は場面別に分かれているので、担当の方に近い場面から拾ってください。後半に「書き方のコツ」と「運営指導や市町村の点検で見られやすいポイント」があります。

- 文例の前に:住宅改修の第2表で押さえること
- 告示では「1種類・6つの工事」。制度の骨格は福祉用具・住宅改修の記事へ
- 理由書の標準様式は、第2表と同じ骨組み
- 計画に書いてあれば、理由書と申請書の重複部分は省略して差し支えない
- 市町村は「ケアプランと理由書が合っているか」を見る
- 第2表の「必要な理由」の記載は福祉用具だけ。住宅改修の理由は理由書が担う
- 見積もり:ケアマネジャーの役割は「複数の事業者から取るよう説明すること」
- 退院前の改修:入院中は支給されない。事前に市町村へ確認し、支給申請は退院後
- 3段階リセット:基準は「最初の着工日の区分」。区分が上がっただけでは適用されない
- 転居:転居後の家で改めて20万円。元の家に戻ると、前の支給状況が戻る
- 夫婦がともに要介護(要支援):限度額は1人ずつ。同じ範囲を2人で申請しない
- 対象工事の「境目」:厚生労働省のQ&Aの判断
- 「古くなったから」は理由にならない。身体に合わせる理由を書く
- 住宅改修だけを使う方の理由書:担当ケアマネジャーがいないときの行き先
- 給付件数の6割強は要支援1〜要介護1
- 目標に「手すりが付く」「住宅改修ができる」を書かない
- ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例(52文例)
- 長期目標の文例(16文例)
- 短期目標の文例(46文例)
- サービス内容の文例(51文例)
- 書き方のコツ(深めたい方向け)
- 運営指導や市町村の点検に備えて確かめたいポイント
- よくある迷いどころ
- まとめ
- あわせて読みたい
- 参考・出典
文例の前に:住宅改修の第2表で押さえること
この記事の文例は、在宅で暮らす要介護の方が住宅改修を使うときの第2表を主軸にしています。要支援の方の計画は「介護予防サービス・支援計画書」なので、欄の名前は読み替えてください。その前に、住宅改修ならではの入口を15個。
告示では「1種類・6つの工事」。制度の骨格は福祉用具・住宅改修の記事へ
住宅改修の種類を定めた告示(平成11年厚生省告示第95号)は、住宅改修を「一種類」とし、その中に6つの工事を含めています。手すりの取付け、段差の解消、床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、そしてこれらに付帯して必要となる工事です。
支給限度基準額は20万円で(平成12年厚生省告示第35号)、「介護の必要の程度」が3段階以上上がった状態で改修するときと、転居したときに、改めて設定されます。事前申請の書類や理由書を書ける人も含めて、福祉用具・住宅改修の記事のコツ5にまとめました。この記事で扱うのは、その細則と、第2表との関係です。
理由書の標準様式は、第2表と同じ骨組み
「住宅改修が必要な理由書」の標準様式は、老企第42号の別紙3です。1枚目の「総合的状況」には、利用者の身体状況・介護状況のほか、「住宅改修により、利用者等は日常生活をどう変えたいか」を書く欄があります。2枚目は、次の4つを具体的に書く形です。
①改善をしようとしている生活動作(排泄・入浴・外出・その他の活動から選ぶ)
②①の具体的な困難な状況(「・・なので ・・で困っている」の形)
③改修目的と改修の方針(目的は5つから選び、方針は「・・することで ・・が改善できる」の形)
④改修項目(手すりの取付け・段差の解消・扉の取替え・便器の取替え・床材の変更など)
③の目的の選択肢は、「できなかったことをできるようにする」「転倒等の防止、安全の確保」「動作の容易性の確保」「利用者の精神的負担や不安の軽減」「介護者の負担の軽減」の5つです。
これを第2表に重ねると、次のように対応します(編集部の整理で、国が対応させるよう定めたものではありません)。
(1)「日常生活をどう変えたいか」→ 長期目標の方向
(2)①改善をしようとしている生活動作 → ニーズの「何を」
(3)②具体的な困難な状況 → ニーズの本文(「〜なので、〜したい」)
(4)③改修の方針 → 短期目標(改修後にできるようになる動作)
(5)④改修項目 → サービス内容(工事の種類と箇所)
この記事のニーズの文例は、多くを「〜なので、〜したい」の形にしています。前半の「〜なので」が理由書の②に、後半の「〜したい」が①と③につながります。
計画に書いてあれば、理由書と申請書の重複部分は省略して差し支えない
老企第42号は、居宅サービス計画が作られている方について、計画の記載と重複する内容は、計画で確認できれば理由書への記載を省略して差し支えないとしています。申請書(住宅改修の内容・箇所・規模など)についても同じ扱いです。
第2表をていねいに書いておくと、理由書の同じ内容を二度書かずに済む場合がある、ということです。ただし、国の様式は標準例で、市町村が独自の様式を定めることもできます(厚生労働省Q&A・平成18年)。省略をどこまで認めるかは、担当の市町村の様式と案内で確かめてください。
市町村は「ケアプランと理由書が合っているか」を見る
国の点検の手引き(「介護給付適正化における住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進に向けた手引き 第二版」令和8年3月・厚生労働省掲載)は、市町村向けの参考資料です。事前申請の書類点検では、ケアプランが作られている利用者について、理由書とケアプランを照らし合わせ、住宅改修の目的が合っているかを確かめるよう示しています。合っておらず必要性を判断できないときは「ケアマネジメントを振り返りましょう」と書いています。
工事の後の支給申請でも、理由書の目的が達成され、課題が解決できたかを確かめる観点が挙がっています。
手引きは、重点的に点検する工事の例も挙げています。浴槽の取替え、1階から2階への階段や2階以上の手すり、洋式便器等への取替え、大規模な段差解消、2回目以降の住宅改修、夫婦など複数の被保険者が同じ住宅で2回以上申請した場合、入院中に改修を行った場合などです。認められにくい工事という意味ではありません。第2表と理由書で、必要な理由を厚めに書いておく場面です。手引き自身が「全てを実施しなければならないものではない」としているので、点検の進め方は市町村によって違います。
第2表の「必要な理由」の記載は福祉用具だけ。住宅改修の理由は理由書が担う
記載要領(老企第29号・介護保険最新情報Vol.958)の第2表⑧は、福祉用具貸与と特定福祉用具販売を位置づけるときに、必要な理由が明らかになるように書くよう求めています。住宅改修はこの⑧に入っていません。住宅改修の必要な理由を書く書類は、理由書です。
第2表の側では、ニーズとサービス内容を読めば工事の理由がわかり、理由書と食い違わないようにしておきます。第3表では、「週単位以外のサービス」の欄に住宅改修を書きます(同じ記載要領)。
見積もり:ケアマネジャーの役割は「複数の事業者から取るよう説明すること」
平成30年7月の老企第42号の改正で、介護支援専門員と地域包括支援センターの担当職員は、複数の住宅改修の事業者から見積もりを取るよう、利用者に説明することとされました。見積書の標準様式(別紙2)が示されたのも同じ改正です。
求められているのは、説明することです。第2表の介護支援専門員の行に「複数の事業者から見積もりを取る方法の説明」と書いておくと、説明した記録にもなります。
退院前の改修:入院中は支給されない。事前に市町村へ確認し、支給申請は退院後
「退院の日までに、手すりを付けておけませんか」。厚生労働省のQ&A(平成12年)は、入院中は住宅改修が必要と認められないので支給されないとしています。そのうえで、退院後の住宅について事前に市町村に確認して改修し、退院後に支給申請することは差し支えない、という答えです。退院しないことになった場合は申請できない、とも書いています。特別養護老人ホームを退所する場合も同じ扱いです。
施行規則第75条第2項は、やむを得ない事情があるときに、理由書などを工事の後に出せる道を置いています。老企第42号は、その例として、退院・退所後の住宅での受け入れのために前もって着工する必要がある場合を挙げています。どの書類をいつ出すかの細かな手順は市町村によって違うので、着工の前に担当の窓口に相談してください。
退院の日が延びたり、施設に移ることになったりする可能性があるときは、その場合に費用がどうなるかを、着工の前に本人と家族へ説明しておきます。病院との連絡の文例は、主治医・医療機関との連携の記事へ。改修が退院に間に合わない場合に福祉用具貸与でつなぐ文例は、ターミナル期の記事にあります。
3段階リセット:基準は「最初の着工日の区分」。区分が上がっただけでは適用されない
「要介護3になったので、また20万円使えますよね」。老企第42号は、「介護の必要の程度」を6段階に分けています。第一段階=要支援1、第二段階=要支援2または要介護1、第三段階=要介護2、第四段階=要介護3、第五段階=要介護4、第六段階=要介護5です。別紙1は、細則を次のように説明しています。
(1)基準になるのは、初めて住宅改修費が支給された改修の「着工日」の区分
(2)要支援1から要介護2になった場合、区分は3つ上がっても「介護の必要の程度」は2段階(第一段階から第三段階)なので適用されない
(3)3段階以上上がっても自動的に適用されるのではなく、その状態のときに住宅改修を行わなければ適用されない(区分が下がったあとでは適用されない。再び3段階以上上がった状態で改修すれば対象になる)
(4)適用されると限度額は改めて20万円。前の残りは足されない。要介護1のときに12万円の支給を受け、要介護4で改修した場合、残りの8万円はリセットされ、限度額は20万円になる。そのあと区分が下がっても、8万円は戻らない
(5)1人につき1回限り。ただし転居した場合は、転居後の住宅での最初の着工日の区分を基準に、改めて3段階を数える
たとえば最初の改修の着工日が要介護1(第二段階)なら、要介護3(第四段階)は2段階上がっただけなので当たりません。第五段階(要介護4)以上の状態で改修したときが対象です。なお、介護予防住宅改修費と居宅介護住宅改修費は同じ限度額で管理されるので、要支援から要介護に変わっただけで限度額が増えることはありません(老企第42号 1(2)①)。
適用になるかを判断するのは市町村です。区分変更のあとに改修を考えるときは、事前申請の前に、最初の着工日の区分とこれまでの支給額を市町村に確かめてください。区分変更の結果を待って急いで工事を、とすすめる話ではありません。
転居:転居後の家で改めて20万円。元の家に戻ると、前の支給状況が戻る
老企第42号は、支給限度額の管理は今住んでいる住宅について行うとし、転居した場合は、転居前の支給状況にかかわらず、転居後の住宅で改めて20万円まで支給を受けられるとしています。別紙1は、転居前の住宅に再び戻った場合は、転居前の住宅の支給状況が復活し、3段階リセットの基準になる区分も転居前のものに戻る、と説明しています。
「住宅」は住所地の住宅です。厚生労働省のQ&A(平成12年)は、子の家に一時的に身を寄せている場合は対象とならず、住所を移していれば対象になるとしています。住民票と被保険者証の住所が違うときは、一義的には被保険者証の住所で判断する、とも書いています。「しばらく娘の家で暮らす」という相談では、住所をどうするかを家族と確かめてから、市町村に相談してください。
夫婦がともに要介護(要支援):限度額は1人ずつ。同じ範囲を2人で申請しない
老企第42号は、1つの住宅に複数の被保険者が住む場合、限度額の管理は被保険者ごとに行うので、それぞれが申請できるとしています。ただし、同時に改修するときは、各被保険者にとって意味のある範囲を分け、重ならないように申請します。
たとえば、それぞれの専用の部屋の床材を変えるなら、各自が自分の部屋の分を申請できます。共用の部屋の床材を変えるなら、申請はどちらか一方だけ。国の手引きは、夫婦など複数の被保険者が同じ住宅で2回以上申請した場合を、重点的な点検の例に挙げています。夫婦の担当ケアマネジャーが違うときは、申請の前に範囲を突き合わせてください。
対象工事の「境目」:厚生労働省のQ&Aの判断
「これは住宅改修になりますか」。厚生労働省のQ&A集(令和8年9月掲載)の住宅改修の問と、老企第34号・老企第42号から、福祉用具・住宅改修の記事の8場面で扱っていない境目を並べます。多くは平成12〜14年のQ&Aですが、令和8年9月掲載のQ&A集に収録されています。いずれも国の考え方で、最終的に判断するのは市町村です(介護保険法第45条第2項)。事前申請の前に、市町村の窓口で確かめてください。
対象とされているもの
○ 玄関から道路までの通路の手すり・スロープ・コンクリート舗装など。通路の階段をゆるやかにする工事は段差の解消、路盤の整備は付帯工事(平成12年)
○ 門扉の取替え(扉の取替えとして)(平成12年)
○ 掃き出し窓に付けるスロープと、その先の通路(平成12年)
○ 上がり框を二段にする工事、持ち運びが容易でない式台(平成12年)
○ 浴室の床のかさ上げ(段差の解消)に伴って必要になった水栓の位置の変更・浴槽のかさ上げ・浴槽の取替え(付帯工事として)(平成14年)
○ 洋式便器のかさ上げ(便器の取替えとして)(平成12年)
○ 扉を替えずに、右開きを左開きにする・ドアノブをレバーに替える・戸車を付ける(身体の状況に合わせて扉の性能が変わる場合)(平成12年・老企第34号)
○ 階段のノンスリップ・カーペット・滑り止めのゴム(床材の変更として)(平成12年ほか)
○ 新築住宅の竣工日以降に付ける手すり(平成12年)
理由があれば対象になりうるもの
○ 高い便器への取替え=その方に適した高さにする理由がある場合(平成12年)
○ 重い引き戸の取替え=開け閉めが容易でない理由がある場合(平成12年)
○ 浴槽の取替え=1人で、または介助を受けて入浴できるよう、浴槽の深さや縁の高さを適切にするための取替え。国のQ&Aは「浴槽の縁も、玄関の上がり框と同様『段差』に含まれる」として、段差の解消に当たりうるとしています(平成14年)
○ 畳から畳(転んだときの衝撃をやわらげる畳など)・板床から畳=心身の状況や住宅の状況などから必要と認められる場合(平成29年)
○ 賃貸アパートの共用部分=一般的には本人専用の部屋の中に限られるとしたうえで、トイレや洗面所が共同になっているなど、通常の生活の範囲と認められる特別な事情があり、所有者の承諾がある場合(平成12年)
○ 分譲マンションの共用部分=専用部分が一般的としたうえで、管理規程や他の区分所有者の同意がある場合(平成12年)
○ 増築=手すりの取付けや便器の取替えに当たる部分(老企第42号)
対象にならないとされているもの
○ 「古くなったから」の引き戸・便器の取替え(平成12年)
○ すでに洋式の便器に、洗浄機能だけを付ける工事(平成12年)
○ 昇降機・リフト・段差解消機など動力を使う機器(リフトは福祉用具貸与の移動用リフトになりうる)(平成12年・老企第34号)
○ 新築、賃貸住宅の退去時の原状回復費用(平成12年・老企第42号)
○ 家族が大工の場合の工賃(材料費は対象)(平成12年・老企第42号)
○ 持ち運びが容易な式台(平成12年)
福祉用具で扱うもの
○ 段差を解消するために置く浴室内すのこ(特定福祉用具販売)(平成12年)
○ 補高便座(特定福祉用具販売の腰掛便座)(平成12年)
「古くなったから」は理由にならない。身体に合わせる理由を書く
便器と引き戸のQ&Aに共通するのは、同じ工事でも、理由が「古くなったから」なら対象にならず、「その方の身体の状況に合わせるため」なら対象になりうる点です。国の手引きも、疑義の例に「床材変更:劣化による改修か、素材変更か不明確な場合」や、L字の手すりを付けられるのに2本付けるなどの過度な設置を挙げています。
冒頭の例で娘さんが言った「古くなったし」は、理由書にも第2表にも書きません。書くのは「便器が低く、膝が曲がりきらないので立ち上がれない」という、その方の動作の側の理由です。
住宅改修だけを使う方の理由書:担当ケアマネジャーがいないときの行き先
「住宅改修だけしたいので、理由書だけ書いてもらえますか」。住宅改修費は、介護保険法第8条第1項の「居宅サービス」に含まれず、第45条で市町村が被保険者に支給する給付です。居宅介護支援費は給付管理票を出した事業者が算定する仕組みで(老企第36号)、給付管理票に載るのは法定代理受領サービスの情報です(居宅介護支援基準第14条)。このため、住宅改修だけを使う方の場合、居宅介護支援費の請求にはつながらないと考えられます。これは上の通知と基準を読んだ範囲での編集部の整理なので、担当地域の取扱いは保険者に確認してください。
こうした方の理由書のために、国の地域支援事業実施要綱には、市町村が任意事業として、理由書を作った人に経費を助成する事業を置けるとしています。対象は、居宅介護支援(介護予防支援)の提供を受けていない方の理由書に限られています。実施しているか、いくらかは市町村ごとに違います。
老企第42号は、介護支援専門員等が理由書を作る業務は居宅介護支援(介護予防支援)の一環なので、被保険者から別に費用を受け取れないこと、住宅改修の事業者から仲介料・紹介料を受け取れないことを定めています。担当していない方から理由書だけを頼まれたときは、自分の事業所で作るか、市町村の介護保険の窓口や地域包括支援センターを案内するかを、担当地域に作成費の助成事業があるかと合わせて確かめてから決めます。要支援の方の理由書は、地域包括支援センターの担当職員も作れます(厚生労働省Q&A・平成18年)。
給付件数の6割強は要支援1〜要介護1
介護保険事業状況報告(令和6年度年報)では、住宅改修の給付件数は434,746件でした。そのうち要支援1〜要介護1が64.0%、要介護2以下が81.3%です(編集部計算)。人数ではなく給付の件数です。
軽度の方が中心なので、目標は「転ばずに暮らす」より、「夜間のトイレを1人で済ませる」「門の外まで自分で出る」のように、改修で取り戻したい動作で書くと、理由書の③と重なります。要支援の方の介護予防サービス・支援計画書では、「目標」「目標についての支援のポイント」に読み替えてください。
目標に「手すりが付く」「住宅改修ができる」を書かない
記載要領は、第2表の目標を、抽象的な言葉ではなく誰にもわかりやすい具体的な内容で書き、実際に解決が可能と見込まれるものにするとしています。工事は手段なので、目標には入りません(福祉用具・住宅改修の記事のコツ1)。
理由書の③「・・することで ・・が改善できる」を、短期目標に写す型を3つ挙げます。「便器を高くすることで立ち上がりが楽になる」→「高さを合わせた便座から、手すりにつかまって1人で立ち上がれる」。「門扉を替えることで外出しやすくなる」→「門扉を自分で開け、通路を杖で歩いて送迎車まで行ける」。「手すりを付けることで介護者の負担が減る」→「手すりを使い、家族の手を借りずに玄関の上がり框を上がり下りできる」。目標の書き方の全体は、目標の文例の記事にまとめています。
ニーズ(生活全般の解決すべき課題)の文例(52文例)

この章の文例は「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」欄に書きます。主語はご本人です。家族の困りごとは行頭に(家族)を付けて区別しています。「〜なので」の部分が、理由書の「具体的な困難な状況」にそのまま写せるか、見ながら選んでください。
退院前に、家の手すりや段差を整えておきたい
- 退院したその日から、自分の足でトイレまで行きたい
- 病院のリハビリで練習した立ち上がり方を、家の手すりでも同じようにしたい
- 玄関の上がり框を1人では上がれないので、退院の日に家へ入るところから困らないようにしたい
- (家族)退院の日取りが決まる前に工事を始めてよいか分からないので、手順を知ってから準備したい
要介護度が大きく上がり、もう一度改修を考える
- 介助を受けるようになっても、自宅のお風呂に入り続けたい
- 車いすを使うようになったので、家の中を車いすで移動したい
- 前に付けた手すりだけでは立ち上がれなくなったので、今の体に合う形でトイレを使いたい
- (家族)もう一度改修できるのかが分からないので、使える範囲を知ってから相談したい
引っ越した先の家で改修する
- 息子の家に住所を移して一緒に暮らすことになったので、その家でも1人でトイレに行きたい
- 新しい家の玄関に慣れず出入りが怖いので、1人で出入りできるようにしたい
- 新しい家の段差の位置が体に入っていないので、つまずかずに暮らしたい
- (家族)前の家で改修したことが引っ越し先でどう扱われるかを知っておきたい
夫婦とも要介護で、同じ家を改修する
- 妻も要介護で夜中の介助を頼めないので、自分1人でトイレを済ませたい
- 夫婦それぞれが、自分のペースで同じトイレを使いたい
- 夫も同じ家で改修を予定しているので、どちらがどこを直すかを一緒に決めたい
- (家族)両親2人分の改修をどう分けて申請すればよいかを知りたい
玄関から道路までの通路・門扉
- 門の外まで自分で出て、デイサービスの送迎車に乗りたい
- 玄関から道路までの砂利道で杖が取られるので、つまずかずに歩きたい
- 重い門扉を1人で開け閉めできず外出をあきらめているので、自分で開けて外に出たい
- 敷地の中の通路の傾斜で足がすくむので、手すりにつかまって道路まで出たい
2階の寝室へ上がる階段
- 2階の自分の部屋で眠り続けたい
- 階段の途中で足が止まるので、手すりにつかまって昇り降りしたい
- 洗濯物を2階のベランダに干す役割を続けたい
- (家族)階段で転ばないか心配で目が離せないので、本人が1人で昇り降りできる形にしたい
洋式便器が低くて立ち上がれない
- 便器が低くて夜中に1人で立ち上がれないので、自分でトイレを済ませたい
- 便座から立つたびに膝が痛むので、膝に負担の少ない高さで立ち座りしたい
- トイレで床に座り込んでしまったことがあるので、1人でも安全に用を足したい
- (家族)夜中のトイレの介助で眠れないので、本人が1人で行けるようにしたい
浴槽の縁が高くてまたげない
- 湯船につかる習慣を続けたい
- 浴槽の縁が高くて足が上がらないので、またいで入れる高さのお風呂で入りたい
- 浴槽の出入りでふらつくので、つかまる所があるお風呂で入りたい
- (家族)浴槽から抱え上げる介助がつらいので、本人が自分で出入りできるようにしたい
扉は替えずに、ドアノブ・戸車・開く向きを変える
- 杖を持ったままでも、トイレの戸を開け閉めしたい
- 手の力が弱くドアノブを回せないので、自分で部屋の出入りをしたい
- 開き戸が体に当たってふらつくので、戸の開く向きを変えて安全に通りたい
- 重い引き戸を開けるのに力が要るので、軽い力で自分で開けたい
畳の部屋で転んでもけがをしにくくしたい・階段で滑る
- 畳の部屋での暮らしを続けたい
- 畳の上で転んだことがあるので、転んでもけがをしにくい床で過ごしたい
- 階段の板が滑りやすいので、足を滑らせずに昇り降りしたい
- (家族)居間で転ばないか心配なので、慣れた部屋のまま床だけを見直したい
マンション・アパートの共用部分に手すりが要る
- 自分の部屋から建物の外まで、1人で出たい
- マンションの共用廊下を、手すりにつかまって歩いてゴミを出しに行きたい
- アパートの入口の段差で車いすが止まるので、1人で外に出たい
- (家族)管理組合や大家さんへの相談の順番が分からないので、手続きを知りたい
認知症の方の改修(慣れた動線を大きく変えない)
- 迷わずに、いつものトイレに行きたい
- 夜中に目が覚めても、1人でトイレまで行って戻りたい
- 家の様子が大きく変わると落ち着かないので、今の通り道のまま安全に歩きたい
- (家族)工事で家の中が変わると本人が混乱しないか心配なので、変え方を一緒に考えたい
家族の介助の負担を減らしたい
- 家族に抱えられずに、自分で浴槽から出たい
- 家族に支えられずに、自分で玄関を上がり下りしたい
- トイレの介助を頼むのに気が引けるので、家族に遠慮せずにトイレへ行きたい
- (家族)腰を痛めて介助が続けられないので、本人が自分でできる動作を増やしたい
長期目標の文例(16文例)

この章の文例は「長期目標」欄に書きます。工事の完成ではなく、改修した家で続ける暮らしの形で書きます。 理由書1枚目の「住宅改修により、日常生活をどう変えたいか」と同じ方向になっているか、並べて見てください。担当の方の長期目標に「手すり」「改修」という言葉が入っていませんか。
- 退院後も、住み慣れた家の中をトイレ・寝室・居間と自分で移動しながら暮らせる
- 介助を受けながらでも、自宅の浴室で入浴を続けられる
- 転居先の家の間取りに慣れ、トイレと浴室を1人で使いながら暮らせる
- 夫婦それぞれが、同じ家のトイレと居間を自分のペースで使いながら暮らせる
- 門の外まで自分で出て、送迎車や通院の車に乗って外出を続けられる
- 2階の寝室で眠る暮らしを、階段を自分で昇り降りしながら続けられる
- トイレを1人で済ませる暮らしを、夜間も含めて続けられる
- 湯船につかる入浴を、つかまる場所を使いながら続けられる
- 家の中の戸の開け閉めを自分で行い、部屋を行き来して過ごせる
- 慣れた畳の部屋を居場所にして、日中を過ごし続けられる
- 建物の共用部分を通って、1人で外へ出る暮らしを続けられる
- 慣れた家の通り道のまま、自分でトイレへ行く暮らしを続けられる
- 家族の介助に頼る場面を減らし、自分でできる動作を保ちながら在宅生活を続けられる
- (家族)介助を分け合える形をつくり、本人との暮らしを続けられる
- (家族)改修の手続きと費用の見通しを知り、本人と相談しながら住まいを整えられる
- (家族)改修後の家での本人の動き方を知り、見守る場面を必要なところに絞れる
短期目標の文例(46文例)

この章の文例は「短期目標」欄に書きます。誰が見ても達成できたかどうかが分かる形が基本です。住宅改修では、工事の後に、どの動作が、どの程度できるようになるかを書くと、理由書の「改修の方針」と、工事後の市町村の確認の両方に使えます。担当の方の短期目標、工事が終わった翌月に「できた・できない」を言えますか。
退院前に、家の手すりや段差を整えておきたい
- 退院前の家屋訪問に本人か家族が立ち会い、手すりを付ける場所と高さを病院の担当者と確かめられる
- 退院後1週間、日中のトイレに手すりを使って見守りで行ける
- 退院の日に、玄関の上がり框を手すりにつかまって上がり、家に入れる
- (家族)工事を始める前に、市町村へ確認する手順と、退院しなかった場合の扱いの説明を受けられる
要介護度が大きく上がり、もう一度改修を考える
- 浴槽の出入りを、介助者1人の手を借りて行える
- 車いすで居室からトイレの前まで、段差で止まらずに移動できる
- 新たに付けた縦手すりを使い、便座からの立ち上がりを見守りで行える
- (家族)3段階リセットが適用になるかを市町村に確かめた結果と、使える範囲の説明を受けられる
引っ越した先の家で改修する
- 転居後1か月で、新しい家の玄関を手すりにつかまって見守りで出入りできる
- 転居後2週間で、夜間に寝室からトイレまで迷わず1人で行ける
- 新しい家の段差の位置を、本人が家族と一緒に歩いて確かめられる
- (家族)転居前の家での支給状況と、転居後の家で使える範囲の説明を受けられる
夫婦とも要介護で、同じ家を改修する
- 手すりを使い、介助なしで便座から立ち上がれる
- 夜間のトイレを、配偶者を起こさずに1人で行える
- 夫婦それぞれの申請の範囲を、担当者会議で本人たちが確かめられる
玄関から道路までの通路・門扉
- 門扉を自分で開け、通路を杖で歩いて送迎車まで行ける
- 玄関から道路までの通路を、手すりにつかまって立ち止まらずに歩ける
- 週○回の通院の日に、家族の付き添いなしで門の外の車まで行ける
2階の寝室へ上がる階段
- 手すりを使い、2階の寝室までの階段を見守りで昇り降りできる
- 訪問リハビリの職員と確かめた昇り降りの手順で、朝と夜に階段を使える
- 2階のベランダでの洗濯物干しを、週○回続けられる
- (家族)階段で見守る場面と見守らなくてよい場面を、担当者会議で確かめられる
洋式便器が低くて立ち上がれない
- 高さを合わせた便座から、手すりにつかまって1人で立ち上がれる
- 夜間のトイレを、家族を呼ばずに1人で週5日以上済ませられる
- 便座から立ち上がるときの膝の痛みの程度を、訪問の職員に伝えられる
- 補高便座と便器の取替えのどちらにするかを、両方の説明を受けて本人が選べる
浴槽の縁が高くてまたげない
- 浴槽の出入りを、縦手すりにつかまって1人で行える
- 週○回、湯船につかる入浴を続けられる
- 入浴台や浴槽内いすと改修のどちらにするかを、説明を受けて本人と家族が選べる
扉は替えずに、ドアノブ・戸車・開く向きを変える
- 杖を持ったまま、片手でトイレの戸の開け閉めができる
- レバーハンドルに替えた戸を自分で開け、部屋を出入りできる
- 戸の開く向きを変えたあと、戸に体を当てずにトイレに出入りできる
畳の部屋で転んでもけがをしにくくしたい・階段で滑る
- 畳を替えた居間で、日中の大半を過ごす暮らしを続けられる
- 滑り止めを付けた階段を、手すりと足元を確かめながら昇り降りできる
- (家族)床材を決める前に、本人の歩き方を見た職員の意見を聞ける
マンション・アパートの共用部分に手すりが要る
- 共用廊下の手すりにつかまり、自分の部屋からエントランスまで歩ける
- 週○回のゴミ出しを、自分で続けられる
- (家族)管理組合(または大家さん)の承諾を得る手順を知り、必要な書類をそろえられる
認知症の方の改修(慣れた動線を大きく変えない)
- 工事の前に置き型の手すりを試し、本人が使う場所を確かめられる
- トイレまでの廊下の手すりを伝って、迷わずにトイレへ行ける
- 夜間、週4日以上、自分でトイレまで移動できる
- (家族)工事の前と後で本人の夜の様子を記録し、職員と共有できる
家族の介助の負担を減らしたい
- 家族1人の見守りで、入浴を終えられる
- 手すりを使い、家族の手を借りずに玄関の上がり框を上がり下りできる
- (家族)介助が要る動作と要らない動作を、担当者会議で確かめられる
- (家族)腰に負担がかかる介助の回数を、改修から1か月後に職員へ伝えられる
サービス内容の文例(51文例)

この章の文例は「サービス内容」欄に書きます。住宅改修の行は、「住宅改修(工事の種類):箇所と内容」の形です。工事の種類は、告示の6つの工事の名前にそろえると、見積書・理由書の④と照らし合わせやすくなります。介護支援専門員の行と、福祉用具で対応する行は分けます。担当の方の第2表、「住宅改修:トイレ」の1行で止まっていませんか。
介護支援専門員(どの場面でも使う行)
- 介護支援専門員:現地で動線と動作を確かめたうえで、住宅改修が必要な理由書を作成する
- 介護支援専門員:複数の住宅改修の事業者から見積もりを取るよう、本人・家族に説明する
- 介護支援専門員:事前申請の書類の準備を支援し、市町村の確認の結果を本人・家族に伝える
- 介護支援専門員:工事の前後の写真と、完成後の状態を確かめる書類の準備を支援する
- 介護支援専門員:工事の後に、理由書に書いた動作ができているかを本人と確かめ、モニタリングの記録に残す
退院前に、家の手すりや段差を整えておきたい
- 住宅改修(手すりの取付け):寝室からトイレまでの廊下と便器横への手すりの取付け(入院中の着工は事前に市町村へ確認したうえで行い、支給申請は退院後)
- 介護支援専門員:退院前の家屋訪問で、病院の理学療法士等と改修の箇所と高さを確かめ、理由書を作成する
- 介護支援専門員:退院の日が延びた場合・退院しないことになった場合の扱いを、着工の前に本人・家族へ説明する
要介護度が大きく上がり、もう一度改修を考える
- 住宅改修(段差の解消・手すりの取付け):浴室の出入口の段差の解消と、浴槽横の縦手すりの取付け(3段階リセットの適用は事前に市町村へ確認)
- 介護支援専門員:初めて住宅改修費が支給された改修の着工日の区分と、これまでの支給額を確かめ、本人・家族に説明する
- 福祉用具貸与(車いす):屋内で使う車いすの選定と、改修後の通り道の幅の確認
引っ越した先の家で改修する
- 住宅改修(手すりの取付け・段差の解消):転居先の家の玄関と浴室への手すりの取付け、上がり框の段差の解消
- 介護支援専門員:転居前の家での支給状況を確かめ、転居後の家で改めて使える範囲を本人・家族に説明する
- 介護支援専門員:転居先の住所と介護保険の被保険者証の住所がそろっているかを確かめる
夫婦とも要介護で、同じ家を改修する
- 住宅改修(手すりの取付け):本人の申請分=トイレの便器横の縦手すり(配偶者の申請分と範囲を重ねない)
- 住宅改修(床材の変更):夫婦で使う居間の床材の変更は、どちらか一方の申請として行う
- 介護支援専門員:夫婦それぞれの計画で申請の範囲が重ならないことを確かめ、市町村に事前に相談する
玄関から道路までの通路・門扉
- 住宅改修(通路面の材料の変更):玄関から道路までの通路の滑りにくい舗装(付帯工事=路盤の整備)
- 住宅改修(扉の取替え):軽い力で開け閉めできる門扉への取替え
- 住宅改修(手すりの取付け):玄関から道路までの通路への手すりの取付け
2階の寝室へ上がる階段
- 住宅改修(手すりの取付け):2階の寝室へ上がる階段への手すりの取付け(片側か両側かは担当者会議で検討)
- 訪問リハビリテーション:階段の昇り降りの動作の評価と、手すりの高さと位置の助言
- 介護支援専門員:2階で眠り続けたい理由と、階段で困っている場面を、理由書と第2表に同じ言葉で書く
洋式便器が低くて立ち上がれない
- 住宅改修(便器の取替え):便器のかさ上げ、または本人の膝の状態に合う高さの便器への取替え(便器の取替えに伴う床材の変更を含む)
- 特定福祉用具販売(腰掛便座):補高便座で対応する場合との比較と選定
- 住宅改修(手すりの取付け):便器横への縦手すりの取付け
浴槽の縁が高くてまたげない
- 住宅改修(段差の解消):縁の低い浴槽への取替え(浴槽の縁の高さを本人がまたげる高さにするため。適否は事前申請の前に市町村へ確認)
- 住宅改修(手すりの取付け):浴槽の出入りに使う縦手すりの取付け
- 特定福祉用具販売(入浴補助用具):入浴台・浴槽内いすで対応する場合との比較
扉は替えずに、ドアノブ・戸車・開く向きを変える
- 住宅改修(扉の取替え):トイレの戸のドアノブからレバーハンドルへの変更
- 住宅改修(扉の取替え):開き戸の開く向きの変更、重い引き戸への戸車の設置
- 介護支援専門員:戸の開け閉めで困っている動作(握る・引く・体をよける)を、理由書と第2表に書く
畳の部屋で転んでもけがをしにくくしたい・階段で滑る
- 住宅改修(床材の変更):居間の畳から、転んだときの衝撃をやわらげる畳への変更(必要性は事前に市町村へ確認)
- 住宅改修(床材の変更):階段の踏み板へのノンスリップ(滑り止め)の取付け
- 介護支援専門員:床材を変える理由(転んだ場面・歩き方)を、傷みによる取替えと区別して理由書に書く
マンション・アパートの共用部分に手すりが要る
- 住宅改修(手すりの取付け):共用廊下からエントランスまでの手すりの取付け(管理組合または所有者の承諾が前提)
- 介護支援専門員:共用部分が本人のふだんの生活の範囲である理由を理由書に書き、所有者の承諾書の取得を支援する
- 介護支援専門員:管理組合・所有者への相談と、市町村への事前相談の順番を本人・家族と決める
認知症の方の改修(慣れた動線を大きく変えない)
- 福祉用具貸与(手すり):工事の前に、置き型の手すりで使う場所と高さを試す
- 住宅改修(手すりの取付け):寝室からトイレまでの廊下への手すりの取付け(今の通り道を変えない位置)
- 介護支援専門員:理由書の改修目的に「利用者の精神的負担や不安の軽減」を含め、夜間の移動の様子を家族と記録して評価する
家族の介助の負担を減らしたい
- 住宅改修(段差の解消・手すりの取付け):浴室の出入口の段差の解消と、浴槽の出入りに使う手すりの取付け
- 介護支援専門員:理由書の改修目的に「介護者の負担の軽減」を含め、第2表には本人の動作の目標として書く
- 訪問介護(身体介護):改修後の入浴で、本人ができる動作を残した介助
市町村・住宅の所有者(保険給付対象外)
- 市町村の介護保険担当課:事前申請の書類の確認と、保険給付として適当かどうかの事前の教示
- 市町村の介護保険担当課:3段階リセット・転居・入院中の改修の扱いについての相談
- 住宅の所有者(管理組合・大家):改修の承諾
本人・家族の取り組み
- 本人:工事の前に、手すりの位置や便座の高さを体で確かめ、希望を伝える
- 本人:改修した場所の使い方に慣れ、困ったことを職員に伝える
- 家族:見積書を比べ、分からない点を施工事業者に聞く
- 家族:工事の前後の写真と領収証を保管する
書き方のコツ(深めたい方向け)
すぐ使いたい方は、ここから先は読まなくて大丈夫です。住宅改修の第2表ならではの書き方のコツをまとめました。
コツ1:第2表を書いたら、理由書の①〜④に写せるかを確かめる
冒頭の例で、第2表と理由書を並べます。
(第2表)
ニーズ:便器が低くて夜中に1人で立ち上がれないので、自分でトイレを済ませたい
短期目標:高さを合わせた便座から、手すりにつかまって1人で立ち上がれる
サービス内容:住宅改修(便器の取替え):本人の膝の状態に合う高さの便器への取替え/住宅改修(手すりの取付け):便器横への縦手すりの取付け
(理由書)
①改善をしようとしている生活動作:排泄(便器からの立ち座り)
②具体的な困難な状況:便器が低く膝が曲がりきらないので、夜間に1人で立ち上がれず、床に座り込んだことが2回ある
③改修目的:転倒等の防止、安全の確保/動作の容易性の確保。改修の方針:膝の状態に合う高さの便器に替え、横に縦手すりを付けることで、夜間も1人で立ち座りができる
④改修項目:便器の取替え・手すりの取付け
ニーズの「〜なので」が②に、短期目標が③の方針に、サービス内容が④に、そのまま移っています。逆に、第2表を読んでも②が書けないときは、アセスメントがまだ足りていない合図です。夜中に何回起きるか、どこで立てなくなるかを本人と家族に聞き直してください。
コツ2:サービス内容は「工事の種類+箇所+数量」で書く
老企第42号は、申請書の「住宅改修の内容、箇所及び規模」を、工事の種類(告示の第1号から第5号の別)ごとに書くとしています。書くのは、便所・浴室・廊下などの箇所と、数量・長さ・面積などの規模です。第2表も同じ区分で書くと、申請書・理由書・見積書との照合が一度で済みます。
❌ 住宅改修:トイレ改修
⭕ 住宅改修(手すりの取付け):便器横への縦手すり1本の取付け(壁の下地補強を含む)
計画で内容が確かめられれば、申請書の重複部分も省略して差し支えない、というのが老企第42号の扱いです。第2表に箇所と数量まで書いておく意味は、ここにもあります。
コツ3:一度で終わるサービスの頻度・期間は「着工予定」で書く(書き方の一例)
記載要領は、頻度を「一定期間内での回数、実施曜日等」、期間を「どの程度の期間にわたり実施するか」と説明しています。住宅改修のように一度で終わるサービスは、次のように書く方法があります。書き方の一例なので、保険者が書き方を示している場合はそれに合わせてください。
⭕ サービス種別:住宅改修
⭕ 事業所:○○(複数の見積もりを比べて本人が決定)
⭕ 頻度:1回(○月着工予定)
⭕ 期間:○月○日〜○月○日(工事の予定期間)
見積もりの比較中で事業所が決まっていないときは、決まった時点で第2表を直し、支援経過に決めた日と理由を残します。
コツ4:工事で終わらせない。短期目標の評価で「動作ができているか」を見る
住宅改修は一度で終わりますが、評価は続きます。国の手引きが工事後の支給申請で見る観点も、理由書の目的が達成されたか、課題が解決できたかです。モニタリングで見るのは「手すりを使っているか」ではなく、「夜間のトイレを1人で済ませているか」のように、短期目標に書いた動作です。
使われていない手すりがあれば、位置や高さが合っていない、動作が変わった、などの理由を本人と確かめ、次の計画に生かします。モニタリングの書き方の文例は、モニタリングの記事にあります。
コツ5:「なぜ工事か/なぜ貸与か」を1行残す
国の手引きは、短い期間で状態が変わる可能性がある場合や、目標を決めにくい場合には、住宅改修の前に、手すりなどを福祉用具貸与やデモで試して合うかを確かめることも有効としています。一方で、手すりやスロープを工事で付けられる場所に福祉用具貸与を使う場合を、事前相談の対象に挙げている町村の例も載っています。
どちらを選んでも、選んだ理由を第4表か支援経過に1行残しておきます。たとえば「立ち上がりの動作が変わりやすいため、まず置き型の手すりを貸与で試す」。あるいは「動作が安定していて、置き型では位置が合わないため、壁に固定する手すりを工事で付ける」。貸与で試してから工事にする進め方の文例は、関節疾患の記事にあります。
【関節疾患(変形性膝関節症・関節リウマチ・脊柱管狭窄症)】ケアプラン第2表の文例集
階段や浴室の動作の評価を訪問リハビリテーションに頼む場合の文例は、訪問リハビリの記事にあります。病気ごとの住宅改修の書き方は、次の疾患別の記事にもあります。
【骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折(骨折後の痛み・コルセット・臥床からの回復期)】ケアプラン第2表の文例集
【脳梗塞・脳卒中(脳血管疾患後遺症)】ケアプラン第2表の文例集
現場のひとこと
住宅改修の書類で手が止まるのは、たいてい理由書の②「具体的な困難な状況」です。ここが書けないまま工事の話が進むと、第2表も理由書も「転倒予防のため」の一言になり、市町村の確認で説明を求められることがあります。第2表のニーズを「〜なので、〜したい」の形で先に書いておくと、②はほぼ埋まっています。担当の方の第2表、そのまま理由書の②に写せますか。
運営指導や市町村の点検に備えて確かめたいポイント
運営指導では居宅介護支援の記録が、市町村の住宅改修の点検では理由書とケアプランが見られます。国の点検手引きは市町村向けの参考資料で、どこまで点検するかは市町村によって違います。以下は、根拠の通知や手引きから編集部が整理した、記録を見直すときの目安です。
1. 理由書が事前申請の書類として工事の前に作成され(施行規則第75条第1項第3号)、現地を確かめた日が書かれているか(理由書の標準様式の「現地確認日」欄)
2. 第2表のニーズ・目標・サービス内容と、理由書の困難な状況・改修の方針・改修項目が同じ内容になっているか(国の点検手引き 第二版)
3. 複数の住宅改修の事業者から見積もりを取るよう、本人・家族に説明した記録があるか(老企第42号 2(1)①)
4. 利用者から理由書の作成費用を受け取っていないか、住宅改修の事業者から仲介料・紹介料を受け取っていないか(老企第42号 2(1)②)
5. 第3表の「週単位以外のサービス」に住宅改修が書かれているか(記載要領)
6. 福祉用具貸与で試すか、工事にするかを検討した経過が、第4表か支援経過に残っているか(国の点検手引き 第二版は、状態が変わる可能性がある場合などに貸与で試すことも有効としている)
7. 工事の後に、理由書に書いた動作ができているかを本人と確かめた記録があるか(国の点検手引き 第二版の支給申請時の観点)
8. 目標が「手すりが付く」「住宅改修ができる」ではなく、本人の動作になっているか(記載要領)
9. 住宅の所有者が本人でない場合に、所有者の承諾書の取得を支援した経過が残っているか(施行規則第75条第3項)
よくある迷いどころ
ネジで留める簡易な手すりは、福祉用具貸与ですか、住宅改修ですか
老企第34号は、福祉用具貸与の手すりから、取付けに際して工事を伴うものを除いています。この「工事」には、ネジなどで居宅に取り付ける簡易なものも含まれます。工事を伴う手すりのうち、住宅改修の手すりの取付けに当たるものは、住宅改修の対象です。置き型・突っ張り型は貸与、ネジで壁に留めるものは工事、と分けて考えてください。
住宅改修だけを使いたい方の理由書は、誰が書きますか
担当ケアマネジャーがいない方の理由書は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作ることもあれば、市町村の介護保険の窓口や地域包括支援センター(要支援の方)が相談を受けることもあります。市町村によっては、居宅介護支援を受けていない方の理由書を作った人に経費を助成する事業があります(地域支援事業の任意事業)。介護支援専門員等が理由書を作る業務は居宅介護支援(介護予防支援)の一環とされ、被保険者から別に費用は受け取れません(老企第42号)。住宅改修だけの方の居宅介護支援費の扱いと、助成事業の有無は、担当地域の保険者に確認してください。
入院中に工事を始めてもよいですか
厚生労働省のQ&A(平成12年)は、入院中は支給されないとしたうえで、退院後の住宅について事前に市町村に確認して改修し、退院後に支給申請することは差し支えないとしています。退院しないことになった場合は申請できない、ともしています。着工の前に市町村の窓口で手順を確かめ、退院が延びた場合の扱いを本人と家族に説明しておいてください。
夫婦で同じ家に住んでいます。2人分の限度額を使えますか
限度額は1人ずつ管理されるので、それぞれが申請できます(老企第42号 3(5))。ただし、同時に改修するときは範囲を分け、重ならないように申請します。共用の部屋の床材の変更は、どちらか一方だけの申請です。
要介護度が上がりました。もう一度20万円まで使えますか
「介護の必要の程度」が、初めて支給された改修の着工日の区分から3段階以上上がった状態で改修したときに、1回だけ改めて20万円までの支給が受けられます(老企第42号 別紙1)。要支援1から要介護2は2段階なので当たりません。転居した場合は、転居後の住宅で改めて数えます。適用になるかは、事前申請の前に市町村に確かめてください。
事前申請が通れば、工事の後に必ず支給されますか
老企第42号は、事前の確認は工事完了後の支給決定とは異なることを、市町村が説明するよう求めています。国の手引きは、工事後の点検で疑義の例として、事前申請のときと改修内容が違う場合、事前申請にない箇所を改修している場合、金額が大きく変わった場合を挙げています。工事の内容が変わりそうなときは、着工の前に市町村へ相談してください。
まとめ
✓ 理由書の標準様式は①生活動作②具体的な困難な状況③改修目的と方針④改修項目。第2表のニーズ→短期目標→サービス内容と同じ骨組みで書くと、理由書にそのまま写せる
✓ 計画で確かめられる内容は、理由書・申請書への重複記載を省略して差し支えない(老企第42号)。様式と省略の扱いは市町村で確かめる
✓ 国の点検手引き(令和8年3月 第二版)は、市町村がケアプランと理由書の合致を工事の前後で見るよう示している
✓ 入院中は支給されない。事前に市町村へ確認→退院後に支給申請。退院しないことになった場合は申請できない
✓ 3段階リセットの基準は最初の着工日の区分。要支援1→要介護2は2段階。区分が上がった状態で改修したときだけ、1回限り。前の残りは戻らない
✓ 転居すると転居後の家で改めて20万円。元の家に戻ると前の支給状況が戻る。対象は住所地の住宅
✓ 夫婦はそれぞれ申請できるが、範囲を重ねない。共用の部屋の床はどちらか一方だけ
✓ 浴槽の縁も段差として扱える場合があり、ドアノブや戸車の変更も扉の取替え。「古くなったから」は理由にならない。判断するのは市町村
✓ 理由書の作成費を助成する事業は市町村の任意事業で、対象は居宅介護支援を受けていない方の理由書に限られる
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【脳梗塞・脳卒中(脳血管疾患後遺症)】ケアプラン第2表の文例集
参考・出典
1. 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第1項・第45条・第57条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
2. 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第75条・第76条・第94条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
3. 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第14条/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
4. 厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(平成11年厚生省告示第95号) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506169.pdf
5. 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費支給限度基準額(平成12年厚生省告示第35号) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506184.pdf
6. 厚生労働省 老企第42号「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(最終改正 平成30年7月13日)本文・別紙1(3段階リセット・転居リセット)・別紙2(見積書の標準様式)・別紙3(住宅改修が必要な理由書の標準様式) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506185.pdf
7. 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.664(平成30年7月13日 老高発0713第1号・老企第42号の改正) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2018/0717110817560/ksvol664.pdf
8. 厚生労働省 老企第34号「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(最終改正 令和6年3月15日)第一(7)手すり・第二 住宅改修 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506170.pdf
9. 厚生労働省「福祉用具・住宅改修に関する告示・通知等」(上記4〜6・8と10の掲載ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58897.html
10. 介護給付適正化における住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進に向けた手引き 第二版(令和8年3月・令和7年度老人保健健康増進等事業) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001742644.pdf
11. 厚生労働省 介護サービス関係Q&A集(令和8年9月掲載)「27 住宅改修」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001751835.xlsx ・掲載ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/qa/index.html
12. 厚生労働省 地域支援事業実施要綱(最終改正 令和8年8月20日 老発0820第1号)別記5 任意事業 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001741386.pdf
13. 厚生労働省 老企第36号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について」第三 居宅介護支援費/厚生労働省法令等データベース https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4378&dataType=1&pageNo=1
14. 厚生労働省 老企第29号「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」別紙1 記載要領(令和3年3月31日改正後全文・介護保険最新情報Vol.958)第2表・第3表 https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0401101809839/ksvol.958.pdf
15. 厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)令和6年度」第8-1表 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/24/index.html
16. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(制度の概要・手続きの流れ) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf


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